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    ciff_2

    DONEパロで書いている猫っぽちんとひふみによる番外編の怪談です。
    前半の語りはモブの女性で、後半の語りは猫っぽちんです。

    3Dビッグネコチャンの広告、わが家の屋根にもつけたいです。
    守り神 乾いた音が路地裏に響きわたる。私は握りしめていた大事なものを取り落としてしまった。いま、なにかいた。すぐに周囲の様子を窺ったけれど、怯えるまなざしは宵闇を彷徨うばかりだった。でも、気のせいじゃない。いまもどこかにいて、私をじっと見ている。まるで針の雨を浴びているようだった。痛いほど鋭利なそれは私をその場に縫い留め、ほんのわずかでも動くことを許さなかった。私にできるのは、震える手を握り締めて息を殺すことだけだった。でも、探さなくちゃ。私はもう一度、眸を動かして身のまわりを確認した。薄汚れた建物の壁。転がった空のビールケース。ゴミの溢れる使い古されたポリバケツ。新聞紙と雑誌の束。濡れてぺしゃんこになった段ボール。外れて傾いた雨樋。潰れた自転車。どこにもいない。どこにもいないけれど、絶対にいる。だけど、私が落としたものはどこにもない。どうしても必要だったのに。私の思いの全てだったのに。思わず噛みしめた唇の端が切れた。それにしても暗い。表通りから溶けだしたネオンの光は逃げ水だ。私まで届いてはくれない。いつまで経っても夜目が利かないのも変だ。路地裏に降る宵闇が、私と外界を断つヴェールになっているみたいだ。さっきからずっと室外機の音がやけに耳についてうるさい。苛立ちが募っていく。私はつい舌打ちしながらねめつけた。室外機は埃まみれのがらくた同然の状態で、配管が外れていた。それならばこの音は一体なんだろう。だんだん大きくなっている。嵐の前触れかもしれない。なんだか海鳴りに似ている気がするから。身構えた私の視界の端で、ふいになにかがにびいろに光った。やっと見つけた。私の思いを直接届けてくれる大事なもの。私は駆け出した。ああよかった。どうにか退勤時間には間に合いそうだ。しかし伸ばした手がナイフに届く寸前、私の目のまえに大きな月がふたつ昇った。海鳴りが獣の唸り声に変わる。ナイフよりも鋭い牙が剥き出しになる。見上げても正体が分からないほど大きなばけもがそこにいた。
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    (*ΦωΦ*)

    DOODLEキョンシーコス一星を見て思いついたものその1。アレオリ時空的にスポンサー契約やらなんやらで広告塔的な役割ある=グッズとか販売してそうという安易な思いつきその1
    ハロウィンフェスとキョンシー ハロウィンフェスとは名ばかりに、制服として支給されたと思しいパーティーグッズをつけた店員と僕たちを除けば、ショッピングモールの中で仮装している人というのはほとんどいない。

    「まあ、そうですよね……まだ昼に近い夕方だし、それにハロウィンは何日も先なんですから」

     一星くんは指先まで覆い尽くす袖をだらんと垂らす。膝上丈のズボンから露出した脚を少しでも隠そうとしているかのようにも見える。秋に向けて肌を隠す服装へと移ろいゆく季節的に、待ちきれずに浮かれきっているようにしか思えない服装に、目を引くのも仕方ないことだろう。
     それもそのはず、少し気が早いと一笑するには、ハロウィンに合わせて売り出されるグッズの撮影用衣装は手が込みすぎていた。僕は吸血鬼、一星くんはキョンシー。良くできていたものだから撮影が終われば用済みというのはもったいない気がして、撮影終わりそのままの格好で外に出てきたが、衣装を貰ってハロウィン当日に着るべきだったかと少しばかり悔やまれる。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE一枚の広告「フレディ・ライリーは不良債権処理及び買収のプロとして、あなたのビジネスと成功のために尽力します。」/フレディ・ライリーがマーシャ・ベイカーに出会わず敏腕弁護士として活躍しているifルート 工場長のレオと時々レオの経営に口を出すマーシャ、明るく元気な一人娘のリサ(少女たちの確執衣装をイメージ)
    頼れるビジネスパートナー(弁護士遡及妄想時空のマーシャとリサ) 戦争が終結してからというもの、国際欄には和平の記事が目立ち、多少の小競り合いはあっても、少なくとも本土やそれに近い場所で「ライフルが飛ぶように売れる事態」には、およそ発展しそうにもない状況を報じる朝刊を見るにつけ、マーシャは自分の判断――そして、自分の説得を受け入れてくれた夫の寛容さ――に、心から安心するのだった。
     今も縫製工場を営み、余裕があるという程ではないものの、慎ましくも楽しい暮らしを維持するには十分な、そこそこの稼ぎを得ている彼女の夫・レオは、いっとき縫製業界での熾烈な競争にうんざりしたのか、或いは、当時まだ小さかった娘を抱え、先行きの不透明な縫製業界よりは、もっと「割のいい儲け」を得るべきだと、彼なりに使命感に駆られでもしたのか、その頃には業界外でも「奇跡」ともてはやされた軍需工場の購入、そして軍需産業への転身に関心を示していたのだ。その時の夫の浮かれようといったら無くて、明日にでも契約書にサインをしかねない勢いがあったところ、彼は寸でのところで落ち着きを取り戻したのか、「戦争が終わったらライフルなんて見向きもされませんけれど、人々が服を買わなくなることはないでしょう」という、マーシャが再三繰り返してきた説得を聞き入れ、奇跡の軍需工場の買収を取りやめ、渋々ながら縫製業界に留まることにした。それが今から、だいたい七年ぐらい前のことだ。もしあそこで判断を誤っていたら、夫を説得することができなかったら、私達は今頃、どうなっていたのだろう……。マーシャはそのことを考えるにつけ、背筋がぞっと竦む程だった。
    2007