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    しょくぱん

    DOODLEオケコン徘徊の日に配り歩いたしょっもいお話です。一応公開します…。

    ハートくれた方ありがとう…!
    幾百の輝きの中にあっても 歩く人、待ち合わせの人でごったす広場の端で、エメトセルクは建物の壁に寄り掛かって立っていた。急いで駆け寄ると、彼は組んでいた腕を下ろして、姿勢を直す。
    「お待たせ!ハーデス」
    「時間通りだな。珍しく」
    「今日みたいな日は、さすがにね」
     今日は二人でコンサートを聴きに行く。公務ではないので、目立たない様に二人して白い仮面を着けて。普段と違う装いが、“お忍びデート”みたいで、自然と心が弾む。
    「さ、行こう!」
     早速人々の集まる方へ、一歩踏み出した私の肩をエメトセルクが掴んだ。
    「おい待て。……この人出だ。はぐれるぞ」
     ……はぐれる??彼の言っている意味が解らず目をぱちくりさせてしまう。だって、彼には“目”があるし。そうでなくたって、はぐれようがない。今だって、視界に入る何十人、何百人の中で、たった一人、エメトセルクの事をすぐに見つけた。それはまるで、不思議な力で吸い込まれるみたいに。彼の方も、私が見つけたのとどちらが早いか、駆けつける私の方をずっと真っ直ぐに見てくれていた。着ている物が同じでも、背格好、佇まい、歩き方……全部好きなんだ。絶対に、すぐに判る。
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    nae_purin

    MOURNINGモブに色々改造されて先生に救出されてほっとするも(まだ公子の威厳ギリ保ってる)こんな体みないで!って絶望して(先生に見られてもう自分が公子に相応しくないって思ってしまって)鬱になってふらっと出た徘徊先で旅人にぼろぼろの姿見られてガン泣きしながら迎えにきた先生に回収されて欲しい、話です。供養。
     鍾離をの洞天を抜け出し、行く先もなく歩く。かろうじて履いたスラックスと、肩にひっかけただけの真っ白のシャツ。見下ろした自分の体は見慣れた傷しかない。鍾離に直してもらったばかりのまっさらな体。治療の際、ひとつひとつ鍾離の指先が辿っていったその傷たちはもうないはずなのに、隠すように振るえる指先シャツのボタンを留める。
     踏みしめた地面に転がる石を感じながら足元を見る。洞天から転がり出た先がどこにつながるのか考える暇もなかった。呆然としたまま辺りを見回す。先ほどから見える木々は黄金に色付き、璃月の地であることは伺える。しかし2人ほどが通れる程度の道は舗装されているともいえず、裸足で歩くような道ではないことだけが確かだ。差し込む光を遮る木の葉が影をつくり道を彩る。木漏れ日の隙間から除く青空は雲一つなく、暖かい。常であれば息をのむ景色だったのかもしれない。けれど、いまのタルタリヤにとって景色がどうなどとは関係無かった。ただ、この道の先を進めば鍾離の視界から少しでも遠くに行けると盲目的に信じているだけだ。足を傷つける小石が意識の端に引っかかっては消えてゆく。
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