Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    手錠

    koimari

    DOODLEヘジェ。某映画手錠のシーンのパロディ(?)
     恋人が自宅内で手錠で繋がれていたとき、どういう反応をとるのが正解なのだろうか。なお手錠はピンク色のふわふわとした毛におおわれており、事件性はないものとする。

    「ジェハンさん、どうしたんですか」
     ヘヨンの恋人イ・ジェハンは、彼自身が長年暮らした自宅内の、ヘヨンにあてがわれた一室の片隅で、百八十センチを超える大きな体躯を縮こまらせるようにしてうずくまっていた。体調不良か事件かと焦ったのも束の間、隠すようにしている彼の片方の手首がふわふわの手錠に拘束されていることに気付き、ヘヨンは「は?」と間抜けな声をあげた。手錠の先は備え付けの戸棚の取手と繋がれている。本物ならともかく、チープな玩具であれば壊して脱出することもできそうなものだが、棚の取手か扉が犠牲になるだろう。物音にジェハンさんの父親が訪室したり、理由を説明することになるのは避けたいということだろうか。それでもヘヨンが帰ってくる前になんとかしようと苦心したようで、彼のまわりにはコートや衣服、タオルなど、手錠の鍵を開けるにはおよそ役に立たなさそうなものが散らばっていた。残念ながら、整理整頓の行き届いたヘヨンの部屋で開錠に役立ちそうなものは反対側にある机の中だ。
    1493