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    本丸

    soseki1_1

    DOODLE本丸傭占奇譚
    「好きな奴が出来たんだと思う」
     言われたとき、なんのことだかさっぱり解らなかった。
    「主」
     そう続けられた言葉でようやく言葉の真意を理解できた。正しくは、広げていた雑誌を読めも見もできず何秒か握りしめ、畳んで、発言した加州清光の方を見て、数秒経ってようやく理解できた。皴のついたページは恋愛特集だった。時の政府が発行している月刊雑誌の中でも恋物語を中心に集めた一冊だ。毎月本丸の、自分の部屋に届くようにしてある雑誌を一文字則宗は横に置く。
    「まじか」
    「たぶんマジ」
     普段使わない一昔前の若者言葉がまろび出る。らしくないとは加州も解っていたろうが全く指摘されなかった。それだけの大事だった。
     この一文字則宗と加州清光が所属する本丸は、端的に言えば素晴らしく堅物なところである。質実剛健を絵に描いたような場所だ。審神者制度が樹立した最初期に設立し、今なお各任務で優秀な成績を残し続け、表彰式に呼ばれ過ぎて参列側じゃなく運営側に回ってしまうような所である。そんな本丸を運営する審神者は、本丸の有り様と同様の人間であった。則宗からすれば朴訥すぎるきらいさえあった。どこぞの国の軍人で、前線を経験しており、かつては大佐と呼ばれる地位にあったらしい。ここまでは本丸の誰もが知っている経歴だ。しかし則宗はもう少し込み入った事情まで知っていた。元監査官の特権だ。最前線を行く審神者の手に渡ると決まったとき、興味を持ってちょっと調べておいた。男には、前線にいたとき作戦の執行に問題があったと難癖をつけられ、結果部下三名を処刑された経歴があった。作戦外で、戦場外で部下を無駄死にさせた経験は男の精神を大層苛み、一時は、というより審神者の招集があるまでは病院に詰めていたらしい。樹立期における軍人経験のある審神者の登用は必死なもので、特に男は指揮力と前線経験のある経歴も申し分なかった。審神者当人は戦場に赴かず、前線に出るのも人間より幾倍も頑丈な刀剣男士だからと何度も説得されて首を縦に振ったらしい。だから審神者になったばかりの頃、刀装なしで初期刀を出陣させる指令にはたいへん反抗的な姿勢を見せたとか。政府に対する三日三晩に渡る必死の抗議と独自に作成したマニュアルにより、この出陣命令は見直され、今は初手の出陣で初期刀が重傷で帰城するようなことは少なくなったのだとか。そしてそういった改善が何件かあり、今では政府
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    yosiyosiyosi_5

    MEMO実は鷺沼の本丸について、顕現した三振り目までのこと以外ほとんど決めてないんすよね
    鷺と鶯と山姥切国広鷺沼は初日からいる鶯丸に対して「うぐいすさん」と呼んでよく共に茶ァを飲んでいる
    本丸発足したばかりのころは緑茶とかを用意する余裕もなかったので、鷺沼がたまたま持ち込んでいた麦茶パックが大活躍した。
    うぐいすさんとしては、主とともに茶ァを飲む時間があることが一番うれしいので、茶の種類についてはこだわっていない。


    鷺沼、陽キャじゃないがめちゃくちゃアウトドアだし活発に動き回るし、ふと目を離した隙にどっか行ってるのでほぼ子ども ただでさえ始まりの一振りに選ばれたからにはしっかりせねば……と頑張っている山姥切国広の負担になる。
    ふと目を離した隙に行方知れずになるのが一番困るので、自然とんばちゃは鷺沼と常に一緒に行動するようになった。でも話しかけられるのに体制があるわけじゃないし、自己肯定感もかなり低めなので、いまのことろ鷺沼に憑いてる守護神みたいな状態。鷺沼はんばちゃと仲良くなりたかったがなかなかきっかけを見つけられずにいたのでラッキー♪と思っている。そうしてそのうちんばちゃは鷺沼に対して必要以上に過保護になる
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    ru_za18

    DONE桑さに
    青空でのお題提出作品
    あることから本丸を逃げ出そうとした主と見つけた桑名のお話

    捏造設定あり
    暗めのお話
    エゴだとしても 物音一つしない、丑三つ刻。今日は生憎の曇りで、本来ならば見えたであろう満月も今は姿を隠している。
     そんな中を小さい鞄一つを抱えて、出来るだけ足音を立てないように廊下をゆっくりと歩く。部屋から出て少し進んだところに、『風通しのためだ』と開けてもらっていた雨戸が見える。そこに辿り着いては息を潜めて辺りを見渡し、誰もいないことを念入りに確認した。
     ――見つかるわけにはいかない。
     緊張感から息をすることすら忘れて、確認出来たと同時に人が通れる程だった雨戸から庭へと下りた。素足のまま下りたものだから、庭に転がる小石たちが『自分はここだ』と存在を主張してくる。痛みを伴うそれを無視しながら、歩く速度はどんどん早まっていき、前へ前へと足を出す。終にはとうとう走り出して、目指す先は本丸の門だ。春には桜の花弁を浮かべた池の横を通り、近くに向日葵が咲いていた畑を横切り、可愛い色だと埋めたチョコレートコスモスの花壇を越え、冬には雪の帽子を被っていた椿の垣根を抜ければ、辿り着いたのは目的地。しんと静まり返る中に佇むそれは、私の最後の覚悟を問うているように思えた。
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