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    狩り

    kasai kou(加彩 煌)

    MOURNING何の因果かBloodborneの世界で目覚めたハチワレ。
    狩人の夢の世界で屋敷の主人・ゲールマンとその従者・人形と出会い――……。
    突然”獣狩り”に参加する羽目になったハチワレの短い物語。

    ――可愛さだけを武器に獣狩りの夜に挑む。

    *ハチワレ×ブラッドボーンのクロスオーバーギャクです。数年前に考えたネタを雑ですがSS風にしてみました。他サイトに置いたSSに少し加筆しています。
    ハチワレボーン【ヤーナムへようこそ】――報酬でお菓子を買って、皆で食べる筈だったのに……。どうして。

    憂鬱な霧と重苦しい静寂の中でハチワレは目を覚ました。空気はひんやりと冷えていて、起こした身体の周りから土の匂いがしてはっとした。乾いた土の感触が伝わって来た。どうやらずっと地面に横たわっていたらしい。小さな身体は冷え切っていた。
    起き上がって数秒、何処からか物悲しいメロディーが流れてくるのに気が付いた。クラシックで心に纏わりつくような音色はあまりにも美しい。耳を澄まし、音のする方へとハチワレは歩き出した。まるで見えない何かに誘われているようだった。
    花嫁か被るヴェールのような霧が徐々に薄れ、土と緑で埋もれた小道が現れた。小道には高い木が植えられていて、その下に灰色の石造りの墓石のようなものが並んでいた。大きさはどれも同じぐらいだが、ひとつひとつの装飾が異なり、彫られている文字も違っていた。中は空っぽだが、平らな器や聖水盤に似た作りの像が置かれているところもあった。墓石はきちんと手入れはされているが、不気味だった。ハチワレはそこで初めて怖気づいた。
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    PROGRESS「私は狩りが得意だ。立派な巣も準備できる」
    「う、ん……? はは、そうか」
    ゴロゴロゴロ……
    「細やかながらこのバブルオレンジは君へのプレゼントだ。受け取ってほしい」
    「(二十個はあるぞ、これ……)」
    ヌヴィリオ・メリュジーヌ視点。前後半の予定で前半はバター大好きマーナちゃん視点です。仕事一途で自分たちを大切にしてくれていたヌヴィレットの恋路を応援したいとマーナが奔走するお話。
    ウォーアイニー①【マーナの証言】


     仕事の合間にボーッと海を眺めるのが、マーナの密かな楽しみである。
     特段変わった事を考えている訳ではない。今日は何を食べようかとか、まだバターが残っていたかなとか、些細な日常の出来事をだ。
    「今日も良い天気だわ~。帰りにお茶でもしに行こうかな」
     ポテポテと、今日はスメールからの観光客が多いパレ・メルモニアを巡回しつつ、元気よく頭上で輝く真夏の太陽に目を細めた。雨季から乾季へと切り替わったこの季節のフォンテーヌは、とても心地が良い。小さな体で太陽の恵みを受け止めつつ、マーナは水の薫りを胸いっぱいに吸い込んだ。
     天気は最高、気分は良好、仕事も順調。
     あと三十分で今日のお勤めも無事に終わる。いつもの場所で夕暮れを眺めようかとパレ・メルモニアの裏手へ回ると、そこには先客の姿があった。
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    zeppei27

    DONEなんとなく続きの主福で、単品でも読めます。ちょっと横浜の遠くまで、紅葉狩りデートをする二人のお話です。全く季節外れですが、どうしても書きたかったので!一緒にクエストで出かけたい人生でした……

    >前作(R18)https://poipiku.com/271957/10379583.html
    秋遠からじ 朝の空気が一段と冷えるようになって、香りからも冬の訪れが近いことをひしひしと感じさせる。晩秋も終わりに近づき、あれほど横浜の街を賑わせていた色とりどりの木々は葉を落とし、寒々とした木肌をなす術もなく晒していた。落ち葉をかく人々だけがただ忙しい。そうして掃き清められた道にいずれ冬が訪れ、雪が全てを覆うだろう。貸布団屋に夏布団を返しに行く道すがら、隠し刀は世の移ろいを新鮮な面持ちで眺めて目を見張った。
    「秋が、終わるんだな」
    至極当然の自然の摂理である。これまでも幾度もの春を、夏を、そして秋やこれから来る冬を延々繰り返し眺めていた。季節は人間がどうこうするものでもなく、ただただ流れてゆく川にも似ている。せいぜい農作物やこんな布団の交換の目安くらいでしか見ておらず、花見の楽しみさえ我関せずであった隠し刀だが、横浜で迎える初めての秋は格別に去り難く、また引き止めたい心地にさせていた。
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