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    生きる

    gt_810s2

    TRAINING※銀時の架空の母親・ネグレクト表現あり※

    本編の銀時の家族を否定する意図はありません。
    死体の中に放置された子供、現代で言うなら捨て子に等しいのでしょうが、彼が同じ境遇に置かれた時に今の感覚であれば確実に児童養護施設に預けられるのが妥当です。
    その場合、彼は護られて生きることになります。それが腑に落ちなかったので、本当の母親なのかもわからない顔も知らない女性を彼の母親役として宛がいました。
     暗愚で怒りっぽい父だった。だが、厳格故に人の信頼を得、俺が家を出るまで質のいい服を着て母親の作った美味い食事を腹に入れることが出来たのは、父親が臆病とも言えるほどに権力に忠実だったためだ。否定するつもりはない。強い者に媚び、弱い者を厳しく叱れば己とその家族の安全は護れるのだから。ひょっとしたら父親なりの愛情表現が、俺を常識という名の秩序で縛り圧することだったのかもしれない。ただ俺とは合わなかっただけだ。
     それは今世に限った話ではない。妙に太い眉も、怒鳴った時に肩を上げる仕草も、感情的になっても手を挙げない姿勢も、記憶の中の父親と全く同じだった。

     夢を見てから三日が経った今、記憶の中の俺と、俺自身の境目は限りなく薄くなっていた。まるでひとつの体を二人で分け合うようだ。それでいて、記憶の中の俺は別の人間ではない。まるで俺という人間が、記憶と人格それぞれ生き別れ、ようやく出会い一つになったように。
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    yataratonemui46

    TRAINING「誰かの夢の中に生きますか」
     解毒薬は効かず、二年の余命を告げられた灰原に、研究所の医師は奇妙な提案をした。それは組織のボスが探らせた研究のひとつで、誰かの無意識の中に転移して生きることにより、魂の死の回避を可能にするものだった。
     工藤、赤井、降谷ーー。事情と生い立ちに理解のある男達が三人集められ、灰原の残る命の居場所を探す実験が始まった。
    彼の荒野にて「どうぞ、おはいり。なにもないところだけれども」
     彼は非常に恐縮しながら、手をとって私を迎えいれた。
     私は、「おかまいなく」と返事をするのに精一杯で、きょろきょろと身を乗り出して暴れまわる目玉を止めることは出来なかった。
     あなたの部屋はシンプルで、住みわけがきちんとしてそうだったのに。漠然と持っていた先入観を、慌てて子供服の尻ポケットに詰め込んだが、しっかりと見咎められていたらしい。
    「安心して、ランゴリアーズは出ないよ」
    と、嗤われた。
     色はないのに音はある。匂いはないのに、ただ冷たい。遠くでごうごうと風の吹き荒ぶ音が聞こえる、一面の岩場。

     降谷の夢の中は、モノクロームの荒野があるだけだった。



     ひとつきほど前、組織壊滅後から専属で研究を委せていた機関の医者に呼び出された。
    10015