Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    皆無

    雑魚田(迫田タト)

    DONE戦場時代、怪我したムリとその横で代わりに剣の手入れしてあげてるトーがただ真面目な会話するだけのトームリ
    (やることやってる関係のつもりだけどそういう要素は皆無)

    ※失望の結果殺意が芽生えるほどのかつてのムリおじのカリスマ性ってほんとなに……?って頭を抱えて唸ってた末の産物なので捏造しかないです
    「起きてるか、ムリナール」
     小さめの医療テントの外から、トーランドは控えめに声を掛けた。予想通りすぐに中で居住まいを正す気配がして、時間を置かずに短く簡潔な返事が返ってくる。
    「ああ」
    「邪魔するぜ」
     一応ひとこと断りを入れてから、トーランドは入り口をそっと手で捲り上げ、なるべく静かに中に足を踏み入れた。
    「調子はどうだい、ムリナールさんよ。だいぶバッサリいかれたって話だが」
     入ってすぐに立ち止まり、トーランドはムリナールに問いかけた。端のほうで椅子に大人しく座っているムリナールの肩口辺りには、包帯がぐるぐると厚く巻き付けられている。
     ウルサス軍の本隊の斥候に徹していたトーランドが後から聞いたところによると、別方面の斥候が見落としていた相手の遊撃隊に部隊の脇腹の隙を突かれ、そこから防衛線が崩れかけたのを後方のムリナールが飛び込んでぎりぎり立て直した、という話だ。相変わらず一人でどうにかできてしまうのが恐ろしいところなのだが、正式に訓練され統率された騎士団などでない以上、彼ほどの不確定要素を含めなければ、相手との圧倒的な練度の差を埋めることは難しい。彼自身が誰よりもはっきりとそれを認識しているため、いつも多少の負傷は数に入れずに暴れ回っているのだが、今回ばかりは流石にそうも言っていられなかったようだ。
    5508

    drasticparadigm

    DONE満ボ収穫祭にて公開させていただいたお話です。
    モブの「僕」とたくさんのねこりんぼちゃんたちがわちゃわちゃするお話を書きたかったのですが、わちゃわちゃ感皆無の「僕」×1臨ちゃんになってしまいました……。
    また、1臨ちゃんも猫になったり人間の姿になったりと忙しないですが、それでもよろしければご覧ください!
    僕とふしぎな猫のはなし あるところに、一人の若者がおりました。
     若者は家族と共に幸せに過ごしておりましたが、両親も、兄弟も、皆若くしてこの世を去ってしまうと、彼は古めかしい家で一人きり、寂しく日々を送ることとなったのです。
     ところがある時、彼の前に一匹のお客様が現れます。
     これより語られるは、そんな至極奇妙で不可思議な、出逢いの物語。
     果たして若者が幸せを掴むことができたのか否か、どうか貴方の目で確かめてくださいますよう──。



     寂しくないと言えば、嘘になる。僕は家族と一緒に過ごしたこの家が大好きで、すっかり古くなってしまった今でもここを離れる気はないけれど、それでも寂しさを覚える日は多い。僕を一人残して旅立ってしまった家族たちの部屋は今も当時のままになっていて、僕もその頃の思い出を失うことのないよう、時折彼らの部屋を訪れては懐かしい気持ちに浸った後、必ずと言っていいほど僕の心は寂しさで塗り潰されるのだった。
    8018