Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    circle_mlc

    PASTアビス本編軸、モブ目線のナタリア小説です。
    インゴベルト私室にあるナタリアの肖像画を描いた画家という設定のオリジナルモブが登場します。
    カップリング要素はありません。
    昨日ポイピクにログインしたところ、なぜか削除されていたので再投稿します。以前お読みいただいた方、スタンプを送っていただいた方、本当にありがとうございました!
    この腕が支えるもの彼女が部屋に入ってきた瞬間、空気が変わった。小声でおしゃべりをしていたメイドたちは背筋を伸ばした後、小さな少女に深々とお辞儀をする。部屋の入り口に立っている兵士も、開いた扉の隙間から敬礼している姿が見えた。この空間の主は今、この金色の髪の少女なのだ。
    「あなたが、私を描いてくださる方ですの?」
     よく通る凛とした声。真っ直ぐにこちらを見て微かに微笑んでいる。
    「その通りです、ナタリア殿下。本日はどうかよろしくお願いします」

     「私、あなたが描いたお父様とお母様の絵、大好きですわ!お父様の横顔は凛々しく、お母様は優しそうで」
     椅子に座ると、殿下は年相応の屈託のない笑顔を見せた。それでも、揃えた膝の上にきちんと手を乗せた美しい座り方で、絵を描きやすいよう気を遣っているようだ。
    3448