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    4。

    seki_shinya2ji

    PROGRESS完全オリジナルキャラ作品。10万字チャレンジの1/4。
    辻褄絶妙に合わないラフ状態なので、本にするなら加筆修正する。ただ本にするかは不明。どっちかと言うと、10万字達成されたら支部で全文公開する感じ。
    共犯 起反射的にスマホを落としそうになった。
    恩師が毒殺未遂事件に巻き込まれた、と分かったら普通の人ならどう思うのだろう。心配で頭が真っ白になって病院に走り出すか。それとも「もう何年も前に卒業してしまったから先生は覚えていないだろうな……」と杞憂するだけに留まるか。この質問に答えも何もない。なぜなら滅多にない出来事だからだ。ないようにするのが、この男の仕事であるというのは言わない約束である。

    男はその話を職場で聞いた。ほのかに薄汚れた職場の廊下の壁は若干灰色だ。そこに背中を預けて男2人は外を見ながら近況を報告して情報を交換していた。窓の外はオレンジ色ではある。もうすぐ、1時間もしない内に暗くなっていくだろう。少し薄くなったスーツに風が通る。僅かに肌に触れた冷気は風だったのか、冷房だったのか、それとも悪寒だったのか。男は正しく判断を下せなかった。それくらいには脳みそが混乱してたのだ。しかし男は「ああ、俺今混乱してんな」と、どこか他人事のように思っていた。妙に冷静である事が余計に混乱している事を際立たせている。
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    oct_summer_moon

    TRAININGなるべく毎日かこうという自主練その4。ゲームをする幼少期のオクライ(とその後)の話。ゲームに既視感がある?最近プレイしてるからね。ついね。
    ぼっこぼこ「オー。頼んでいたやつ、買ってくれた?

    「ああ、もちろんだぜ、アジャイ!」

     俺の部屋の扉を閉めるなり、アジャイは間を置かずに問いかけてきた。俺が準備していた物を取り出すと、アジャイは俺の手からそれを強奪して、真っ先に俺の部屋にあるテレビへと駆け寄る。
     それは俺のゲームなんだけどな、なんて思いながらもそれを咎めることはしない。彼女にとって唯一ゲームをすることができる空間がこの場所、俺の部屋だけだと知っているからだ。
     俺たちはそこそこの家の生まれだ。そう言われると欲しい物何でも手に入ると思われることもあるだろうが、実際はそんなに甘くない。それぞれの家庭の教育方針によって、手に入る者は大きく制限される。アジャイの家は娯楽に関するものは徹底的に親に管理され、自宅でゲームをプレイすることができない。その点、俺の家では比較的その辺は自由だ。なので、アジャイが気になるゲームがあれば俺が購入し、アジャイは俺の家でプレイするというのが俺たちのスタイルとなっていた。
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    pesenka_pero

    PROGRESSそろそろノスクラが始まりそうな、クラさんをドラちゃんがかいがいしくお世話する話その4。
    窓の外は星の海 しかし首筋がじくじくと疼き出して、目が覚めてしまう。とっさに手のひらで押さえると、怯み上がるほどに冷たく冷え切っていた。塞がってはいるようだが、傷口とおぼしきふたつの盛り上がりがある。これは、どう考えても吸血鬼の咬み痕だろう。一族の誰かがあなたを吸血鬼に転化させたのでしょう、と彼は言った。

     寒い。首が痛い。心臓が冷たい。どうしてなんだ。ついさっき彼があれほど丁重に温めて、いたわってくれたのに。あの優しくて世話好きな吸血鬼にも溶かすことができない、氷の棘が私の胸に埋まっている。

     彼の一族の誰か。それは誰だ? 私は思い出さねばならない。若く美しい女性や、愛らしい見た目で年若く汚れなき少年少女ならまだ理解できなくもないが、さほど若くもなく容姿も凡庸な成人男性の私を、何故吸血鬼化させてまで生き永らえさせようとしたのか。だが200年近くに渡る時の流れに隔てられ、加えて常にまとわりつくまどろみのせいで、どうにもはっきりとは思い出せない。もういい、これ以上何も考えずに眠りたい。何故私は目を覚まさざるを得なかったのだ。誰が私の永遠の眠りを妨げたのか。その者は、居場所を失った私を迎えてくれるのか。
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