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    鬼太郎

    めるしー

    DONE「ゲゲ郎」という名に縛られてしまった、父と水木の話。
    ※設定捏造多め
    ※前編は目玉おやじ、後編は水木視点
    ※前編(1/7投稿のものに加筆修正)+今回書いた後編。完結済み

    <あらすじ>
    哭倉村の件から数年後。水木、目玉おやじ、鬼太郎で同居。
    だんだん様子がおかしくなっていく水木を見ていられず、目玉おやじは鬼太郎と家を出ようとする。一方、水木は……?

    無断転載禁止 / Do not repost.
    魚と水前編 妖怪の寄り合いがお開きになったあと、わしは砂かけばばあに呼び止められた。彼女の肩に乗せてもらい、世間話をしながら帰途につく。
     森でかたまって暮らす他のものたちと違い、わしは息子とともに「水木」という人間に世話になっている。
    「お主、力を取り戻しておるのじゃろう?」
     いよいよ人間の街との境に近付いてきた頃、彼女に言われたのだった。

        ◇ ◇ ◇

    「遅くなったな。ただいま帰ったぞ」
     家に入り声をかけるが、返事はない。
     水木は縁側に座り、ぼうっと遠くを見ていた。その腕には鬼太郎を抱いている。時折頭を撫でたり、ぎゅっと抱き締めたりしている。
     なにか深く考え込んでいるのか、わしが近付いても反応がない。最近、彼はこうしていることが増えた。
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    nashireonnn

    DONE一個前のやつの続き。
    間に合わなかった鬼太郎と親父が水木の肉と骨をせっせと集めてる話。
    ほぼ鬼太郎しかいない。鬼→水への愛を語るだけの話。
    このままならずっと一緒にいられるけどやっぱり生身の身体にも触れたい、心がふたつある〜!って話。
    もう一個オマケが出来たらまとめるかもしれない
    美味なるものよ、此処へ ──カラン、カラン。
     蛙がゲコゲコと鳴き、鈴虫がリィリィとさざめく。天辺には青白く輝く満月がいて、薄暗闇の世界を照らし続けている。
     ──カラン、カラン。
     小さな生き物たちの声だけが支配する空間に、鉄の筒に木を打ち付ける軽快な音が響き渡る。使われなくなって久しい廃工場のタンクの上に、一人小柄な少年が座って夜空を眺めていた。
     何かを待っているような、ただただぼんやりとしているような、どちらとも取れる様子の少年はカランカランと一定のリズムで足に履いた下駄の踵をタンクに打ち付けて鳴らす。
     ──カラン。
     足を動かすのを止めれば、途端に世界の音は自然のものだけになる。ゲコゲコ、リィリィ、さざめく音と、ザァとゆるやかに吹く風が少年の髪を揺らす。それらをジッと肌で感じながら、少年は腕に抱いた桐の箱をするりと撫でた。
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