アサルト
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DONE喜怒愛楽「明日には年が変わってるんだね」
教導官に見つからないよう、灯りを落とした部屋。カーテンの向こうからそっと差し込む外の闇の方が明るい。
私の言葉に、隣の神琳がそっと身じろぎをした。布が擦れる音。動きに合わせてベッドの中に篭った熱が少しだけ外へ出て行った。
「あと、一時間半程度でしょうか」
その声音はどこか億劫そうで、普段彼女の方が就寝時間が早いことを思い出した。私も、二人でくっついている温かさに意識が遠のいていきそう。
「今年は、いろいろなことがあったな……」
「えぇ、わたくしもです」
百合ヶ丘に来て、レギオンを組んで、ギガント級を討ち取った。他にも大小、数えきれないことがあったけれど、そのすべてに神琳がいる。
864教導官に見つからないよう、灯りを落とした部屋。カーテンの向こうからそっと差し込む外の闇の方が明るい。
私の言葉に、隣の神琳がそっと身じろぎをした。布が擦れる音。動きに合わせてベッドの中に篭った熱が少しだけ外へ出て行った。
「あと、一時間半程度でしょうか」
その声音はどこか億劫そうで、普段彼女の方が就寝時間が早いことを思い出した。私も、二人でくっついている温かさに意識が遠のいていきそう。
「今年は、いろいろなことがあったな……」
「えぇ、わたくしもです」
百合ヶ丘に来て、レギオンを組んで、ギガント級を討ち取った。他にも大小、数えきれないことがあったけれど、そのすべてに神琳がいる。
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DONEループアウトループ周りに誰もいないことを確認してから、植え込みの角を曲がる。それから噴水や寮を横切って、さらに進む。もう少し。
大きな木の下が私の目的地。そこには予想通り、先客がいた。
「今日もいるんだ」
声をかけたつもりはなかったけれど、私の存在に気がついたのかゆっくりと尻尾が揺れた。薄い茶色の毛並みは穏やかな日に照らされて、きっと触れれば心地いいのだろう。
木陰に腰を下ろす。日差しが心地よいのか、動く気配はない。ただ、尻尾がゆるゆると動いているだけ。
私も何をするわけでもなく、それを視界に捉える。風の音しか聞こえない。日常を送るガーデンにいることを忘れてしまいそう。
いつだったか、梅様と鶴紗さんに連れて来られたのがここだった。よく猫がいる場所があると言われて、手を引かれて連れて来られた場所。確かにいつ行っても一匹は猫がいて、私が道順を思い出さずとも行けるようになるまでそれほど時間はかからなかった。
1447大きな木の下が私の目的地。そこには予想通り、先客がいた。
「今日もいるんだ」
声をかけたつもりはなかったけれど、私の存在に気がついたのかゆっくりと尻尾が揺れた。薄い茶色の毛並みは穏やかな日に照らされて、きっと触れれば心地いいのだろう。
木陰に腰を下ろす。日差しが心地よいのか、動く気配はない。ただ、尻尾がゆるゆると動いているだけ。
私も何をするわけでもなく、それを視界に捉える。風の音しか聞こえない。日常を送るガーデンにいることを忘れてしまいそう。
いつだったか、梅様と鶴紗さんに連れて来られたのがここだった。よく猫がいる場所があると言われて、手を引かれて連れて来られた場所。確かにいつ行っても一匹は猫がいて、私が道順を思い出さずとも行けるようになるまでそれほど時間はかからなかった。
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DONE目測を見誤る渋にあげた時の書き下ろし、モブ注意。
「お二人とも、今日も仲がよろしいのね」
そう言ったのは、通りがかりの椿組のリリィだった。次いでごきげんようと挨拶する彼女は、神琳のクラスメイト。名前は……以前に一度、遠くから呼ばれているのを聞いただけだからすぐに思い出せない。
私と神琳は顔を見合わせる。視線が一瞬だけ交わって、先に彼女へ向き直ったのは神琳だった。
「雨嘉さんとはルームメイトですもの」
「一番仲のよろしいルームメイトは、お二人ではありませんか? よく話題にあがっていますよ」
「あら……そうなんですの? お褒めに預かり、光栄ですわ」
淀みなく話を進めていく神琳の隣で、私は曖昧な微笑みを浮かべた。顔しか知らない人に応対ができるほど、人付き合いは上手じゃない。悲しいけれど。
1830そう言ったのは、通りがかりの椿組のリリィだった。次いでごきげんようと挨拶する彼女は、神琳のクラスメイト。名前は……以前に一度、遠くから呼ばれているのを聞いただけだからすぐに思い出せない。
私と神琳は顔を見合わせる。視線が一瞬だけ交わって、先に彼女へ向き直ったのは神琳だった。
「雨嘉さんとはルームメイトですもの」
「一番仲のよろしいルームメイトは、お二人ではありませんか? よく話題にあがっていますよ」
「あら……そうなんですの? お褒めに預かり、光栄ですわ」
淀みなく話を進めていく神琳の隣で、私は曖昧な微笑みを浮かべた。顔しか知らない人に応対ができるほど、人付き合いは上手じゃない。悲しいけれど。
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DONEノンカフェインふわりと部屋に広がったカモミールの香りに、思わず目を細めた。カップを満たす薄い茶色の液体は、飲む前からその香りで心を解してくれるようだった。
「神琳」
お盆に乗せて、テーブルへ向かう。名前を呼べば神琳は読んでいた教本を閉じて私へ向き直った。
「お茶、入ったよ」
「えぇ、ありがとうございます」
教本を棚に戻した神琳がまた椅子に腰掛けたから、カップを置いてその正面に座る。
ゆったりとカップを傾ける所作の優雅さを視界に入れながら、私も一口含む。鼻へ抜けるその香りの良さに、ほぅと息を漏らした。
この間、購買で見かけて買ったカモミールティーは、消灯時間前に二人で飲む用として普段は戸棚の奥の方に置いている。別に隠すわけでもないけれど、二人だけの秘密ができたようで、何となくそれに心地よさを感じていた。
1684「神琳」
お盆に乗せて、テーブルへ向かう。名前を呼べば神琳は読んでいた教本を閉じて私へ向き直った。
「お茶、入ったよ」
「えぇ、ありがとうございます」
教本を棚に戻した神琳がまた椅子に腰掛けたから、カップを置いてその正面に座る。
ゆったりとカップを傾ける所作の優雅さを視界に入れながら、私も一口含む。鼻へ抜けるその香りの良さに、ほぅと息を漏らした。
この間、購買で見かけて買ったカモミールティーは、消灯時間前に二人で飲む用として普段は戸棚の奥の方に置いている。別に隠すわけでもないけれど、二人だけの秘密ができたようで、何となくそれに心地よさを感じていた。
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DONE累何となく、何となくでしかないけど、私を見つめるその目が、いつもと違う気がした。
日曜日の午後。模擬戦や訓練を午前中にして、特に予定もないゆったりとした時間。
窓の外は綺麗に晴れて青空。遠くに聞こえるのは、午後から訓練を始めたのであろう生徒の声。絵に描いたような穏やかな日だ。
一柳隊で揃ってランチを取ってから解散になり、自室に戻ってきたのが多分2時間くらい前のこと。
ルームメイトの神琳は図書館へ行って不在。私一人だと部屋ががらんとしているように思えるのは、いつも隣にいる神琳が華やかな人だからかな。手入れの行き届いた柔らかそうな亜麻色の髪に、目が覚めるようなオッドアイ。彩のある彼女がいないと、部屋は無機質に見える。
1865日曜日の午後。模擬戦や訓練を午前中にして、特に予定もないゆったりとした時間。
窓の外は綺麗に晴れて青空。遠くに聞こえるのは、午後から訓練を始めたのであろう生徒の声。絵に描いたような穏やかな日だ。
一柳隊で揃ってランチを取ってから解散になり、自室に戻ってきたのが多分2時間くらい前のこと。
ルームメイトの神琳は図書館へ行って不在。私一人だと部屋ががらんとしているように思えるのは、いつも隣にいる神琳が華やかな人だからかな。手入れの行き届いた柔らかそうな亜麻色の髪に、目が覚めるようなオッドアイ。彩のある彼女がいないと、部屋は無機質に見える。
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DONEしぇんゆ熱源いつもの部屋。いつもの寝巻き。
そしていつもの通り、隣には神琳。
きっと他の人から見れば、私たちはずっと変わらず、良きルームメイトなのだろう。実際、よく言われる。仲がいいねって。
「雨嘉さん?」
「神琳……」
名前を呼ばれて、声の方向へ顔を向けると、神琳がこちらを見つめている。
「ぼんやりしていらしたから。体調でも悪いのですか?」
「ううん。そうじゃないの……ちょっと、考えてただけ」
気遣わしげな表情に微笑んで応える。嘘ではないのが伝わったのか、その表情は幾分か和らいだ。
「ならよろしいのですが……」
「大丈夫。ありがとう…神琳」
ベッドに腰掛けたままの私を見つめて立っている彼女は、黙ってその綺麗な目をほんの少しだけ揺らす。
1301そしていつもの通り、隣には神琳。
きっと他の人から見れば、私たちはずっと変わらず、良きルームメイトなのだろう。実際、よく言われる。仲がいいねって。
「雨嘉さん?」
「神琳……」
名前を呼ばれて、声の方向へ顔を向けると、神琳がこちらを見つめている。
「ぼんやりしていらしたから。体調でも悪いのですか?」
「ううん。そうじゃないの……ちょっと、考えてただけ」
気遣わしげな表情に微笑んで応える。嘘ではないのが伝わったのか、その表情は幾分か和らいだ。
「ならよろしいのですが……」
「大丈夫。ありがとう…神琳」
ベッドに腰掛けたままの私を見つめて立っている彼女は、黙ってその綺麗な目をほんの少しだけ揺らす。
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DONE残温「王さん」
耳に馴染みのない声で呼ばれ、心臓が跳ねた。
焼き魚定食を食べる手を止めて振り返れば、予想通り。話したことのないクラスメートが立っている。
どうしたんだろう、教室じゃなくてわざわざ食堂で声をかけるだなんて。
「雨嘉さん」
「ぁ…えっと、何?」
驚きと不安で返事をしない私に、隣で野菜炒めを食べていた神琳が小声で囁く。やっと返事をしたけれど、これでは冷たく聞こえたかもしれない。
早くも自己嫌悪に陥りかけている私に、クラスメートは申し訳なさそうな顔をする。これは本当に返事が悪かったかも。
「お食事中に突然ごめんなさいね。次の実技が先生の都合で自習になったらしくて。王さん、教室にいらっしゃらなかったから、もしかしたらご存知ないかと思ったの」
1795耳に馴染みのない声で呼ばれ、心臓が跳ねた。
焼き魚定食を食べる手を止めて振り返れば、予想通り。話したことのないクラスメートが立っている。
どうしたんだろう、教室じゃなくてわざわざ食堂で声をかけるだなんて。
「雨嘉さん」
「ぁ…えっと、何?」
驚きと不安で返事をしない私に、隣で野菜炒めを食べていた神琳が小声で囁く。やっと返事をしたけれど、これでは冷たく聞こえたかもしれない。
早くも自己嫌悪に陥りかけている私に、クラスメートは申し訳なさそうな顔をする。これは本当に返事が悪かったかも。
「お食事中に突然ごめんなさいね。次の実技が先生の都合で自習になったらしくて。王さん、教室にいらっしゃらなかったから、もしかしたらご存知ないかと思ったの」
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DONEしぇんゆシロップはお好みで。偶然手に入りましたの。
そう言って差し出されたのは、白い紙箱。両手で受け取ると、予想よりも軽い。ケーキではなさそう。
「これは……?」
「購買に珍しいものが入っていたものですから」
いつも通りの笑顔で神琳はお茶を飲んでいる。購買で買ったということは、お菓子ではあるのだろうけど。
二人きりのお茶会は、いつもどおり自室で行われていた。
窓辺の机を囲むそれは、すぐ目をやれば私の好きなテラリウムが見えるし、神琳の好きなお茶を飲んで神琳と過ごすことができる。
私にとってはかけがえのない時間。
そんなお茶会がはじまってから15分。
唐突に渡された箱から神琳へ視線をあげると、色の違う目がじっと見つめ返してくる。
「……あの、神琳」
2643そう言って差し出されたのは、白い紙箱。両手で受け取ると、予想よりも軽い。ケーキではなさそう。
「これは……?」
「購買に珍しいものが入っていたものですから」
いつも通りの笑顔で神琳はお茶を飲んでいる。購買で買ったということは、お菓子ではあるのだろうけど。
二人きりのお茶会は、いつもどおり自室で行われていた。
窓辺の机を囲むそれは、すぐ目をやれば私の好きなテラリウムが見えるし、神琳の好きなお茶を飲んで神琳と過ごすことができる。
私にとってはかけがえのない時間。
そんなお茶会がはじまってから15分。
唐突に渡された箱から神琳へ視線をあげると、色の違う目がじっと見つめ返してくる。
「……あの、神琳」
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DOODLEモブ視点から見たしぇゆのような何か。全捏造なので閲覧注意してください。
モブがしぇゆと仲良くしている。
付き合ってない。
宙ぶらりんそれでは近くに座っている四人でグループを作って。
教導官の言葉に思わず口の端が歪んだのは、私がグループワークを苦手に思っているからだ。だって、他の人の意見を聞きつつ、自分の考えもまとめなきゃいけないだなんて面倒。しかも他人の意見と衝突するのが分かっていたりしたら、もう最悪。揉めるためにやるんじゃないのにね。
げんなりしながら、今回は誰と組むのかと周囲を確認すれば、その中の一人に目が止まった。
薄茶色の髪に赤と黄色のオッドアイ、肩周りを覆うケープ。隣のクラスの郭神琳さんだ。
中等部時代には百合ヶ丘のガーデン案内の表紙に抜擢されるほどの美貌を持ち、実力だって申し分ない。つまりは才色兼備の有名人。
私の視線に気がついた彼女は、穏やかな微笑みを浮かべてよろしくお願いしますね、と言う。
5071教導官の言葉に思わず口の端が歪んだのは、私がグループワークを苦手に思っているからだ。だって、他の人の意見を聞きつつ、自分の考えもまとめなきゃいけないだなんて面倒。しかも他人の意見と衝突するのが分かっていたりしたら、もう最悪。揉めるためにやるんじゃないのにね。
げんなりしながら、今回は誰と組むのかと周囲を確認すれば、その中の一人に目が止まった。
薄茶色の髪に赤と黄色のオッドアイ、肩周りを覆うケープ。隣のクラスの郭神琳さんだ。
中等部時代には百合ヶ丘のガーデン案内の表紙に抜擢されるほどの美貌を持ち、実力だって申し分ない。つまりは才色兼備の有名人。
私の視線に気がついた彼女は、穏やかな微笑みを浮かべてよろしくお願いしますね、と言う。
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DONEしぇゆのしぇ→ゆ。自覚のありそうでないしぇんと寝ていたゆ。
私の中のしぇんはこういうところがあります。
春の昼下がりの定義ただいま戻りましたというわたくしの声に返事はなかった。出かける前は廊下の向こう側、突き当たりの椅子に座っていた彼女の姿はない。
どこかへ出掛けているのかしら、携帯に連絡はなかったのだけれど。
ひとまずは訓練服を着替えてしまおう。クローゼットへ向かいかけた足が止まったのは、二段ベッドの下、つまり雨嘉さんのベッドに人がいるのを見つけたからだった。
レースカーテン越しに誰かがいることに気がついて、なるほどと得心した。
それでも、万が一予想が外れていては良くないからと、レースカーテンに手を伸ばす。他意なんてどこにもない。
音を立てないよう、慎重に開いたカーテンの中。雨嘉さんは壁にもたれかかって座っていた。綺麗な緑の目は閉じられていて、予想通り彼女が眠っていると分かる。
1679どこかへ出掛けているのかしら、携帯に連絡はなかったのだけれど。
ひとまずは訓練服を着替えてしまおう。クローゼットへ向かいかけた足が止まったのは、二段ベッドの下、つまり雨嘉さんのベッドに人がいるのを見つけたからだった。
レースカーテン越しに誰かがいることに気がついて、なるほどと得心した。
それでも、万が一予想が外れていては良くないからと、レースカーテンに手を伸ばす。他意なんてどこにもない。
音を立てないよう、慎重に開いたカーテンの中。雨嘉さんは壁にもたれかかって座っていた。綺麗な緑の目は閉じられていて、予想通り彼女が眠っていると分かる。
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DONE『アサルトリリィBOUQUET』の一柳梨璃と白井夢結。(余裕が無かったのでいつもより塗りは控えめです)
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『アサルトリリィ Last Bullet』配信おめでとうございます。
アニメのOPが凄くカッコいいのと、大きな武器を持って戦う女の子たちと戦闘シーンの作画が個人的に良かったです。
好きだった娘は一柳結梨ちゃん…うぅ…。
雪風(ゆきかぜ)。
PAST「アサルトリリィ」最近気になってる秋新番組としてアニメも始まりますし(ただ、こっちで視聴できるか怪しい;)
ゆゆりりです。
眠ってしまって相手にもたれかかる、って萌えシチュですよねー。
どぶ板
DOODLE21巻でアサルトさんの修行の成果が出まくっているプロフに目を奪われつつプロフに全く個がないアローさんの日課を見て自身が子供といえる年齢の頃からカロンみたくずっと団長をお守りしてきていたらヤバいなって妄想していたら24巻…!最近描きたいものが大渋滞している
ハラミ
REHABILIワンドロ記念。自分で壁に書いちゃったあさるとさん。
焦っちゃうし雑になっちゃう。うーん、下手くそ😂
まぁ参加することに意義があるということで・・・😅私の憧れの方もワンドロに参加しまくってたらしいので。毎回出よう!