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    尿

    taronono

    DONEいまさら月鯉尿瓶ブームがきたので自家製産しました
    付き合ってない月鯉です
    尿瓶が公式は勝利「傷が開くといけないので、小用の際はこちらをご使用くださいね」
    「う……」
    差し出された瓶の、つるりとした輪郭に眉を寄せる。厠くらい歩いて行けると言い返したかったが、優秀な医者の言葉だ。妙な意地を張って回復が遅れでもしたら困る。鯉登は頷くでも首を振るでもなく、大人しく尿瓶を受け取った。

    訓練で怪我をすることはあれど、ここまでの重症を負うのは初めてだった。持ち前の運動神経を発揮し、飛行船から落ちた時だって、次の日には通常通り任務に当たっていたほどである。つまり、鯉登は今まで尿瓶というものを使ったことがなかった。
    悪あがきで水を飲む量を減らしてみても、いずれ限界は訪れる。
    一人になった病室でしばらく太ももを擦り合わせてから、やがて観念し、渋々尿瓶を持ちあげた。しかし、ひやりとした感覚が伝わるのみで動けない。鯉登にはその使い方が分からなかったのである。家永に聞いてみるかと思ったが、体調に異変があるとき以外、不用意に家永を呼び出すなと月島から言われている。同物同治の思想持ちが排泄物にまで興味があるとは思えなかったが、補佐に余計な心配をかけるわけにもいかない。
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