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    昭和

    sabacanz

    DONE12/11新刊の昭和の食堂パロ【端境につがう】より、Twitter用サンプルです。
    兄弟は舟i屋を改造した店舗兼住宅に住み始めた後、段々ひとに囲まれる様になってきました。
    その中で、客人を世話していたのですが……
    端境につがう【双手の揺籃-一九四九-前編】抜粋サンプル 一緒に夕食を取った二人が離れへと休みに下がった頃、明日の朝餉の支度を手短に済ませながら、百之助がぽろりと呟いた。

    「しかし勇作さん、短い間に此処はホントに賑やかになりましたな……あんたツバメだったんですかい。みぃーんな、お仲間引き連れて、ねえ?ったく、巣に籠る暇もありもせんな…」
    「えっ、あ、申し訳ございません、そんなつもりじゃないんですが……‥‥」
    「…ほお……じゃあ、確かめてみねえといけませんなあ‥…」
     調理器具をもとの位置に戻して、前掛けで手を拭く。一日使い倒してきて、すっかりくたくたになっている布地は、五分ほどしか水気を拭えない――限界だ。
    まだ水気を含んだ指先がぎゅう、と勇作のシャツを握る。その指から先―掌から、唇迄をじわり沁み込ませてしまう様に、開襟の胸部分に口付けた。すう、と息を吸い込むと、、勇作の過ごしてきた一日が、百之助の知らない分まで肺一杯に広がった。
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    Soqi7O

    REHABILI金魚売りのはじめちゃんと人間に化ける金魚の立香ちゃんの話
    岡本かの子の金魚繚乱と室生犀星の蜜のあわれのパロディみたいなものです。
    漫画のプロットに書いたものを小説っぽく整えました。前半はモブキャラ視点です。好きな人だけどうぞ
    ※時代は戦後の昭和をイメージしてますが金魚の値段は現代参考にしてます。金魚の飼育法については素人調べなので雰囲気だけです。あしからず
    金魚姫一、金魚売りの男

    私は近所でも有名な金魚の愛好家である。若い頃に苦労して働いてばかりいたので、子供が大きくなってそれぞれ自立していくと私はすっかり暇になってしまった。そんなとき知人が、うちで飼えなくなったので飼わないかと私に1匹の金魚を託した。犬猫を飼った経験はあるが水棲の生き物は全くの未知で、貰った当時は世話も細君に任せきりだった。金魚とは不思議な生き物で、犬猫ならば餌をやればあとは勝手に育つものだが、これは毎日水を入れ替え丁寧に世話をしてやらないと死んでしまう。元はフナだというのに大変手のかかる繊細なものだった。しかし、毎日手間暇をかけて育てれば育てるだけ美しくなるような気がして、私はいつしかこの生き物にすっかり魅了され、のめり込んでいた。
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