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    セナ

    うたこ

    DONEにーちぇさん(@chocogl_n)主催の合同誌に載せていただいた、ディアエンのダンシャロです。
    エンブレムの最後は悲劇的な結末になることが確定しているので、互いを思う二人に幸せな時間がありますようにと思い書きました。書いたのが8月でGAの発表もまだだったので、今開催中のイベントとは雰囲気が異なるかもしれないです。
    インターリフレクション 白く清潔なテーブルの上に置かれたマグカップから、フルーツの香りが漂う湯気がふわっと湧いた。ほのかに異国のスパイスの匂いも後から追いかけてくる。
    「先生、ヴァンショーです。あったまりますよ?」
     この香りは昔、嗅いだことがある。
     何百年も前の風景、ガス灯や石畳の町並みが一瞬だけ脳裏に浮かんだ。へにゃっとした緊張感の無い少年の笑い顔と一緒に。
     懐古趣味なんてらしくねぇなぁ。
     頭に浮かんだ人物と風景を追い払ってマグカップに口を付ける。
     甘い。
     ヴァンショーは葡萄酒に柑橘系の果物とスパイスを加えて煮るのが一般的だが、出されたものには甘いベリーがたっぷりと入っていた。この医療都市にそびえ立つパンデモニウム総合病院には、もちろんしっかり空調が完備されている。真冬の今も建物内に居る限り、さほど寒さは感じない。大昔、隙間風の入り込む部屋で飲んだヴァンショーとはありがたみが随分違う。
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    himmel_blumen

    PAST◆きらきら、金のほしの降る
    3/17春コミの無配だった話です。
    しばらく姿を見せなかった帝統が、久しぶりに幻太郎と顔を合わせて、ある提案をする話。
    過去作「やわくてぬくい、橙の」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21076654)の後の話ですが単独でも読めます。
    きらきら、金のほしの降る 最近、帝統の付き合いが悪い。最初にそう感じたのは、カレンダーを一枚捲って、最後の一枚が日の目を見た頃だった。
     仕事も一区切りつき、午後に少し入った頃。昼食でも取ろうかと思いつつ、一人の食卓を想像するとどうにもしっくりこなくて、よく我が家で食卓についている男にメッセージを送った。
     普段なら、食事をご馳走すると言えば一も二もなく飛んでくる。返事がない時は、ひたすらギャンブルに夢中で連絡に気付いていない時か、ごくごくまれにアルバイトをしている時くらいだ。でもその日は、すぐに返事が来たにもかかわらず、いつもの迷いない同意ではなかった。
    『今ちょっとそっち行けねえから、悪いけどまた今度行く』
     どういう理由でその場を離れられないのか、短い文章からは読み取れない。パチンコかスロットで大当たりの波でも来ているのか。そんな想像をするがどうしても引っかかる。そういう時は大抵素直に状況報告をしてくれていたのに。
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    819sone

    MOURNING扶揺の正体のネタバレあり/本当にモブ小神官の話/BL要素なし、ほっこり系好きな人は好き?自己満

    《あらすじ》
    玄真将軍みたいなかっこいい人になりたいと子供の頃から慕情を憧れたモブ男。そんな時に玄真殿の採用枠募集がありあわてて応募しなんと採用される。しかし思っていた以上にモブ男はうまく仕事をこなせなくて──。
    玄真殿に入った新米モブ小神官君の話 じゃり、と地面にある小石が音を立てた。黒を基調とした厳かに佇む門。その先に神秘的で緊張感の漂った大殿がある。 

     僕は今日から玄真殿で見習いとして働くことになった中天庭の新米小神官、モブ男。幼いの頃から玄真将軍は僕のあこがれだった。うちは貧乏だったからおこづかいも少なくて、周りの友達とは馴染めず、距離があり、疎外感を感じることも多かった。でも、心を強く持つことができたのは同じ境遇でも強くたくましく逆境に立ち向かい天界の上位神官の座まで昇りつめたあのお方がいたからだ。

     父親は不慮の事故で亡くなり、女手一つで育ててくれた母親も父の事故死をきっかけに身体が弱くなってしまった。家には床にこもってる母とまだ小さい弟がいて、十五歳の僕がお金を稼がなければならなかった。生活が苦しく他の同い年の子達が楽しく学校に通う中、僕は働かなければならなかった。あの頃、僕が曲がらずに育ったのも、玄真将軍がいたからだ。小さい頃からずっと憧れだった玄真殿が今、目の前にある。
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