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    うたこ

    @utako_st

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    うたこ

    DONEにーちぇさん(@chocogl_n)主催の合同誌に載せていただいた、ディアエンのダンシャロです。
    エンブレムの最後は悲劇的な結末になることが確定しているので、互いを思う二人に幸せな時間がありますようにと思い書きました。書いたのが8月でGAの発表もまだだったので、今開催中のイベントとは雰囲気が異なるかもしれないです。
    インターリフレクション 白く清潔なテーブルの上に置かれたマグカップから、フルーツの香りが漂う湯気がふわっと湧いた。ほのかに異国のスパイスの匂いも後から追いかけてくる。
    「先生、ヴァンショーです。あったまりますよ?」
     この香りは昔、嗅いだことがある。
     何百年も前の風景、ガス灯や石畳の町並みが一瞬だけ脳裏に浮かんだ。へにゃっとした緊張感の無い少年の笑い顔と一緒に。
     懐古趣味なんてらしくねぇなぁ。
     頭に浮かんだ人物と風景を追い払ってマグカップに口を付ける。
     甘い。
     ヴァンショーは葡萄酒に柑橘系の果物とスパイスを加えて煮るのが一般的だが、出されたものには甘いベリーがたっぷりと入っていた。この医療都市にそびえ立つパンデモニウム総合病院には、もちろんしっかり空調が完備されている。真冬の今も建物内に居る限り、さほど寒さは感じない。大昔、隙間風の入り込む部屋で飲んだヴァンショーとはありがたみが随分違う。
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    うたこ

    DONE黒猫男子きょう何食べたい?企画のお話。
    さじゅさんとう゛ぃれさんが出ます。
    たいやき。 飽きませんか? と聞かれて何のことを聞かれているのか分からなかったのは昔の職業のせいだろう。昔はそこそこ真面目にお仕事をしていたから、当たり前だと思っていたのだ。
     そういうもの、だと思って居なければ飽きるかもしれない。張り込みなんて。
     言われてみれば、ほとんどの時間は、動きの無い現場をただ見張っているだけだ。退屈でつまらない仕事だ。
     厄介な資産を回収してこいとルダンに命じられて、面倒そうだけど、仕事だからしょうがない。サボりながらやるかと出向いた先には先客がいた。資産を持っているのは没落貴族の娘だそうで、その資産というのは値の張る宝飾品だそうだ。よくある話だが、家宝の古式ゆかしく豪華なアクセサリーには多くの人の恨み辛みが宿っていた。よって幻想銀行に相応しい資産というわけだ。持ち主を不幸にするとか、取り殺すとかそういうアレ。まだ彼女の家が栄華を誇っていた頃にはその家宝の宝石を巡ってどろどろした争い事がたくさん起こったのだそうだ。そうして沢山の怨念を取り込んだ宝石は意思を持つようになったのか、更なる不幸を呼び始めた。彼女の両親も、突如気の触れた侍女に刺し殺された。
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    うたこ

    DONE異層の魔法使いたちと黒猫のカーニバル展示その2
    アポ兄とヴァカ隊長がデートするお話です。それだけの話です。オペレーション・ホリデーの後らへん。
    Just a little monopolize 兄が取材を受けたという話は聞いていたのでエリュマでヴァッカリオは酒を買うついでにその雑誌も買った。これは、兄とは絶縁状態にあった頃からの習慣だ。職場で開くのはちょっと抵抗のある雑誌だが、店長(あだ名)相手なら気にせず買える。彼とはいろいろお互い様の関係なので。
     店内のイートインコーナーに腰掛けて、買ったばかりの缶のプルトップを開ける。雑誌を開くと女性向けのファッション誌で、アポロンⅥ以外に載っている男性は若手の俳優ばかりだった。
    「なんでこれで浮かないのかねぇ」
     パラパラと雑誌をめくっていく。
     一日密着取材、と銘打ったその記事は確かに兄の一日を追ったものだった。決まった時間に起きてトレーニングをし、栄養面を考慮した食事を短時間で済ませて、始業開始時間より早めに出勤して、ヴィランが出れば陣頭指揮をとって自らも出動。紙面を飾る写真はどれも凜々しく、キラキラと輝いている。意外にもポーズをとったような写真はなく、本当に仕事中を撮っている写真ばかり。きっとこのカメラマンはアポロンⅥのファンだ。どの写真も良い。
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    うたこ

    PROGRESSオメガバ進捗。
    これに終章(いちゃいちゃ)足して後日支部にあげます。長かった。
    応援くださった方、ありがとうございました。なんとか書き上がりそうです。ぽいぴくに投げるのはここまでかな。終章はいちゃいちゃしているだけ。
    ブレイキング・ダーンその12 国家権力と財力の合わせ技だ、とドヤ顔で言われて「そーかよ」とてきとうに流す。龍水は入院用の個室一つを一時的に使わせてもらうことができるように数分で整えるという力業をやってのけた。龍水が強引に借りた後、フランソワがその後対応することで後腐れが無くなるという主従の合わせ技だ。悪印象を残すとその後がやりにくい。
     国家権力はもちろん警察の力だが、財力というのは寄付のことらしい。彼の実家から相当な額の寄付が大学病院にされているそうだ。
    「ゲン、大丈夫?」
     少し青白い顔をしたゲンが、貸し切りにした個室に入れた瞬間へたり込む。羽京が駆け寄って、肩を貸してベッドに座らせる。足下がおぼつかない。アルファに何人番がいても問題は無いが、オメガに二人の番の相手がいるというのは本来、あり得ない。上書きされた千空とは別の、本来の番の相手の存在、そのフェロモンを感じてゲンの体組織が混乱しているせいだ。自分が側にいない方が良いのはわかるが、今はあまり離れたくはない。
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