いしゅたむ
DOODLEWV(牧台)原作後、一応死ネタです。
個人的にハッピーエンド。
長年の凝り固まった感情を書きなぐったらアホみたいに長くなりました。ごめんなさい。
笑顔が呪いではなく祝福になりますように 19
2kisakiii
DOODLE7話の後Wさん側からおやすみなさい、それから 目の前の男が倒れた瞬間、咄嗟に動けたのはウルフウッドだけだった。重力に従って床に叩きつけられた身体。それを慌てて抱え起こす。布越しでも分かるほど体温が低く、呼吸も浅い。ぐったりとした身体からは生気が感じられず、今にも死にそうだ、というのが、正直な印象だった。
その後、ロベルトとメリルは医務室を探しに外へと出ていった。死体のように冷たい身体を抱きかかえたまま、ウルフウッドは小さく息を吐いた。無機質なプラントルームに、機械のモーター音と、呼吸の音が響いている。
――ここ数時間に起きたことを思い返すと、どうにかなりそうだった。
紙のように白くなってしまったヴァッシュの顔を見ながら、ウルフウッドは息を吐き、そして吸う。努めてゆっくりと呼吸を繰り返したが、殺気立つ自分を宥めようにも、思考がそれを許さなかった。目にした光景が頭の中を巡り続けている。
1598その後、ロベルトとメリルは医務室を探しに外へと出ていった。死体のように冷たい身体を抱きかかえたまま、ウルフウッドは小さく息を吐いた。無機質なプラントルームに、機械のモーター音と、呼吸の音が響いている。
――ここ数時間に起きたことを思い返すと、どうにかなりそうだった。
紙のように白くなってしまったヴァッシュの顔を見ながら、ウルフウッドは息を吐き、そして吸う。努めてゆっくりと呼吸を繰り返したが、殺気立つ自分を宥めようにも、思考がそれを許さなかった。目にした光景が頭の中を巡り続けている。
dekopon_ko
DONE牧台+葬台 謎時空の纏めです。どれも強火の幻覚なので、泥酔でもしたときにどうぞ!素面じゃやめとけ…
内容が特殊なので、エロはありませんがワンクッションしておきます。
①お題箱リク「人間台風ケーキを食べるヴァッシュ」
②4話のあと、葬儀屋登場回
③ネコチャンの日
④突然の現パロ
社会人同棲カップル牧台+高校生葬台です。
⑤バレンタインのお話
⑥においの話 20
2kisakiii
DOODLE7話のあとおやすみなさい 俺は悪夢を見ない。
つらい事の方が多いような毎日なのに、不思議なほど夢でうなされた事がない。だからといって何も見ない訳でもなく、眠れば人並みに夢の世界が現れた。
大抵は本当にどうでも良いような夢だ。トースターが壊れてパンが黒焦げになるだとか、居酒屋で人にからまれるとか、本当に、本当に、瑣末な事ばかり。過去に出会い、別れてきた人たちが、代わる代わるに出演する。現実ではあり得ないような不思議な夢。それを夢だと理解しながら眺めている事もあれば、現実のように思う事もある。
――そして、目が覚める。
そこにあるのは、積み重なった沢山の過去と、これから訪れる未来。終わらせる事ができなかった昨日と、地続きになって存在する今日。目が覚めた時の、この途方もないような気持ちは、何度体験しても慣れなかった。
1454つらい事の方が多いような毎日なのに、不思議なほど夢でうなされた事がない。だからといって何も見ない訳でもなく、眠れば人並みに夢の世界が現れた。
大抵は本当にどうでも良いような夢だ。トースターが壊れてパンが黒焦げになるだとか、居酒屋で人にからまれるとか、本当に、本当に、瑣末な事ばかり。過去に出会い、別れてきた人たちが、代わる代わるに出演する。現実ではあり得ないような不思議な夢。それを夢だと理解しながら眺めている事もあれば、現実のように思う事もある。
――そして、目が覚める。
そこにあるのは、積み重なった沢山の過去と、これから訪れる未来。終わらせる事ができなかった昨日と、地続きになって存在する今日。目が覚めた時の、この途方もないような気持ちは、何度体験しても慣れなかった。
2kisakiii
DONE7話がこんなふうに収まると良いな…(願望)言葉にならない傷を撫でる 爆発するサンドスチームの様子は怒り狂ったワムズのようで、静かな大地に砂の大波を発生させた。爆発音と共にもくもくと巻き上がる砂塵。その隙間から転がり落ちるように飛び出してきた男二人は、すぐ後ろを走る車に"運良く"回収されたのだった。
異様な状況の中、車内は興奮状態に陥った。悲鳴にも似た運転手の問いかけ。それに返答する男達もまた興奮から脱せずにいた。殺気立ったまま小さな町にたどり着き、気づいた時には、二人はツインの部屋に押し込まれていた。
呆然と、お互いの顔を見る。
ここにたどり着くまで、時間にして一刻ほどだろうか。まだ銃撃戦の音が頭の中で響いている。身体には硝煙の匂いが染みついていた。
1356異様な状況の中、車内は興奮状態に陥った。悲鳴にも似た運転手の問いかけ。それに返答する男達もまた興奮から脱せずにいた。殺気立ったまま小さな町にたどり着き、気づいた時には、二人はツインの部屋に押し込まれていた。
呆然と、お互いの顔を見る。
ここにたどり着くまで、時間にして一刻ほどだろうか。まだ銃撃戦の音が頭の中で響いている。身体には硝煙の匂いが染みついていた。
2kisakiii
DONE5話のあと風が吹いた日「ほんま、いい加減にせぇよ」
「……」
風のない、静かな夜だ。
今日の火の番は最初がヴァッシュで、次がウルフウッドという取り決めだった。月が天頂から45度傾いたら交代という暗黙の了解があったのだが、ウルフウッドが目を覚ました時、月はだいぶ先の方まで傾いていた。起こすために話しかけるより、寝ずの番をした方がましってことか、と、内心で舌打ちをする。そうやって出て行った先では、赤いコートの男が酷く傷ついた顔をして座っていた。それが、ウルフウッドの気持ちを逆撫でした。
「いつまでぶすくれとんねん。おどれがそうやって黙っとるから、ねーちゃんもおっさん――は知らんけど、とにかく揃いも揃って辛気臭い顔してかなわん。車内の空気が最悪や」
1147「……」
風のない、静かな夜だ。
今日の火の番は最初がヴァッシュで、次がウルフウッドという取り決めだった。月が天頂から45度傾いたら交代という暗黙の了解があったのだが、ウルフウッドが目を覚ました時、月はだいぶ先の方まで傾いていた。起こすために話しかけるより、寝ずの番をした方がましってことか、と、内心で舌打ちをする。そうやって出て行った先では、赤いコートの男が酷く傷ついた顔をして座っていた。それが、ウルフウッドの気持ちを逆撫でした。
「いつまでぶすくれとんねん。おどれがそうやって黙っとるから、ねーちゃんもおっさん――は知らんけど、とにかく揃いも揃って辛気臭い顔してかなわん。車内の空気が最悪や」
2kisakiii
DOODLE名前はまだない 目を見たら分かる、と言われた。その時の柔らかい声音が、先ほどからウルフウッドの思考の中をふわふわと漂っていた。
目の前の焚き火がパチパチと小気味よい音を立ててはぜている。ちらりと横を見れば、赤いコートの男が薪をくべている所だった。焚き火に照らされたその顔を盗み見る。薄いオレンジのサングラスの下、焚き火を映した瞳がちらちらと光っていた。
瞳の色は青だろうか、とウルフウッドは思い、いや緑か、と思い直す。どちらともつかない色だった。暗がりではよく分からない。焚き火に合わせて揺れるそれは、たっぷりと入った水を彷彿とさせた。
――わからんな。
そう思いながら、ウルフウッドはぱちりと瞬く。目を見ればわかる、と男は言った。しかし、ウルフウッドが男の瞳を見ても、分かる事はひとつもない。長いまつげに縁取られた瞳。柔和な印象を覚える。それだけだった。男が何を考えているかだとか、何を抱えているかだとか、そういう事は皆目見当がつかない。
774目の前の焚き火がパチパチと小気味よい音を立ててはぜている。ちらりと横を見れば、赤いコートの男が薪をくべている所だった。焚き火に照らされたその顔を盗み見る。薄いオレンジのサングラスの下、焚き火を映した瞳がちらちらと光っていた。
瞳の色は青だろうか、とウルフウッドは思い、いや緑か、と思い直す。どちらともつかない色だった。暗がりではよく分からない。焚き火に合わせて揺れるそれは、たっぷりと入った水を彷彿とさせた。
――わからんな。
そう思いながら、ウルフウッドはぱちりと瞬く。目を見ればわかる、と男は言った。しかし、ウルフウッドが男の瞳を見ても、分かる事はひとつもない。長いまつげに縁取られた瞳。柔和な印象を覚える。それだけだった。男が何を考えているかだとか、何を抱えているかだとか、そういう事は皆目見当がつかない。