しの/字書き
DONEオスブラ版深夜の創作一本勝負第21回
【お題】・まつ毛
第21回【お題】・雨降り
と同じオスブラです
単体でも読めます
***
雨上がりの晴天、と言うにはあまりにも上昇しすぎた気温に息を吐く。
寒さに比べれば耐えられるが、それでも湿気を含んだ空気が肌にまとわりついた。
ブラッドさまとのパトロール、雨でなかったのは幸いだが、この暑さにも疲労を感じそうだ。
それでもブラッドさまの様子はいつも通りで、市民には柔らかく対応されている。
見習わなければ、と思いながらもその涼やかな様子は俺には真似できないだろうと思う。
「オスカー」
先を歩いていたブラッドさまが振り返り、端末の画面を示した。
そこには地図が表示されている。
「この場所の・・・」
ブラッドさまが指さす。
俺はブラッドさまの手の中の端末の画面を覗き込みながら、ここは日差しが強いので日陰に、と口にしようとして。
923雨上がりの晴天、と言うにはあまりにも上昇しすぎた気温に息を吐く。
寒さに比べれば耐えられるが、それでも湿気を含んだ空気が肌にまとわりついた。
ブラッドさまとのパトロール、雨でなかったのは幸いだが、この暑さにも疲労を感じそうだ。
それでもブラッドさまの様子はいつも通りで、市民には柔らかく対応されている。
見習わなければ、と思いながらもその涼やかな様子は俺には真似できないだろうと思う。
「オスカー」
先を歩いていたブラッドさまが振り返り、端末の画面を示した。
そこには地図が表示されている。
「この場所の・・・」
ブラッドさまが指さす。
俺はブラッドさまの手の中の端末の画面を覗き込みながら、ここは日差しが強いので日陰に、と口にしようとして。
しの/字書き
DONEオスブラ版深夜の創作一本勝負第21回
【お題】・雨降り
ここから恋になっていくオスブラ
***
あいにくの雨だな、と窓越しに空を見上げる。
湿気を纏った空気の重さを感じるような空だが、室内は賑やかだ。
キッズスペースの遊具の移動を頼まれて、作業を終えて立ち上がれば、女の子が2人、俺を見上げていた。
年齢はわからない。子供の年齢、というのがどの部分から判断したらいいのかわからないからかもしれない。
2人はコソコソとお互い話をした後。
「オスカーさんの好きな人は誰?」
と俺に聞いて来た。
物怖じしないその様子に、屈んで話すべきかと頭を掠めて、ゆっくりとその場に腰を落とす。
女の子達は少しだけ怯んだように一歩下がったが、その視線は俺から外れていない。
そう、返事をしなければ。
好きな人。
「ブラッドさまだ」
1141あいにくの雨だな、と窓越しに空を見上げる。
湿気を纏った空気の重さを感じるような空だが、室内は賑やかだ。
キッズスペースの遊具の移動を頼まれて、作業を終えて立ち上がれば、女の子が2人、俺を見上げていた。
年齢はわからない。子供の年齢、というのがどの部分から判断したらいいのかわからないからかもしれない。
2人はコソコソとお互い話をした後。
「オスカーさんの好きな人は誰?」
と俺に聞いて来た。
物怖じしないその様子に、屈んで話すべきかと頭を掠めて、ゆっくりとその場に腰を落とす。
女の子達は少しだけ怯んだように一歩下がったが、その視線は俺から外れていない。
そう、返事をしなければ。
好きな人。
「ブラッドさまだ」
しの/字書き
DONEオスブラ版深夜の創作一本勝負第20回
【お題】・居眠り
まんなんのオスブラ先生の設定です。
お付き合い初期。
***
「オスカー!」
「っはい!」
はっと顔を起こした瞬間、そこにはオスカー先生の顔があった。
驚いた様子のその表情はすぐにくしゃりと緩んでいく。
「ブラッド先生が居眠りなんて珍しいですね」
数回まばたきをして周囲を見回す。
国語科教員室の見慣れた机と、おそらく俺に声をかけに来たオスカー先生。
「すみません、ノックしたんですが返事がなかったので覗いてしまいました」
その手には行き場を失った、おそらくオスカー先生が脱いだのであろうジャージの上着。
オスカー先生は何食わぬ顔で、それを羽織ると袖を通した。
スムーズなその動作に魅入って、頭の隅に残っている何かを反芻する。
目の前に広げていた資料の内容ではない。
1185「オスカー!」
「っはい!」
はっと顔を起こした瞬間、そこにはオスカー先生の顔があった。
驚いた様子のその表情はすぐにくしゃりと緩んでいく。
「ブラッド先生が居眠りなんて珍しいですね」
数回まばたきをして周囲を見回す。
国語科教員室の見慣れた机と、おそらく俺に声をかけに来たオスカー先生。
「すみません、ノックしたんですが返事がなかったので覗いてしまいました」
その手には行き場を失った、おそらくオスカー先生が脱いだのであろうジャージの上着。
オスカー先生は何食わぬ顔で、それを羽織ると袖を通した。
スムーズなその動作に魅入って、頭の隅に残っている何かを反芻する。
目の前に広げていた資料の内容ではない。
しの/字書き
DONEオスブラ版深夜の創作一本勝負第19回
【お題】
・おやすみのキス
前回の文がちょっと解釈的に気になってしまったので、甘々オスブラで上書きしたくて書きました。
かなり短いです。
***
ゆっくりとブラッドさまの顔が近づくこの時間が好きだ。
寝支度を整えてベッドに座ったブラッドさまの前に跪き、下から顔をすくいあげるように。
はっきりと形取れていたその輪郭がゆるく歪んでいってそのうちわかるのは色だけになる。
目を閉じたくない。
ブラッドさまの目が閉じていく様を見ているだけで頭の芯が痺れていく。
この後に唇が重なるのだと思うだけでどうにかなってしまいそうなのに、それを求めて止まない。
自分は得すぎている。
両手に抱えられる以上の幸せがあってそれを取りこぼさないように必死で。
なんて滑稽なのだろうか。
それでもそれは与えられたものだけではなく、自分で手を伸ばしたものもあるのだ。
908ゆっくりとブラッドさまの顔が近づくこの時間が好きだ。
寝支度を整えてベッドに座ったブラッドさまの前に跪き、下から顔をすくいあげるように。
はっきりと形取れていたその輪郭がゆるく歪んでいってそのうちわかるのは色だけになる。
目を閉じたくない。
ブラッドさまの目が閉じていく様を見ているだけで頭の芯が痺れていく。
この後に唇が重なるのだと思うだけでどうにかなってしまいそうなのに、それを求めて止まない。
自分は得すぎている。
両手に抱えられる以上の幸せがあってそれを取りこぼさないように必死で。
なんて滑稽なのだろうか。
それでもそれは与えられたものだけではなく、自分で手を伸ばしたものもあるのだ。
しの/字書き
DONEオスブラ版深夜の創作一本勝負第19回
【お題】
・誘惑
初めて参加します。
かなりの短文ですし、お題に添えているか微妙なのですが。
リハビリ的にお読みいただければ幸いです。
***
ブラッドさまの唇がわずかに横に広がって、何かを含むようなそんな表情で。
「この24時間監視が解かれた時には、俺の秘密を1つ教えてやろう」
そう言葉をこぼした。
その様から俺の背筋に鋭い緊張が走る。
指先が冷たくなるのに頭が熱い。
心拍数が跳ね上がると同時に呼吸が苦しくなった。
まるで俺の何かを見透かされたのではないかという畏怖と、否、ブラッドさまはご自分の秘密と言ったのだから俺のことは関係ないはずだ、と。
暴かれて困ることなどないというのに、ブラッドさまの言葉はいつだって俺を大きく揺さぶってくる。
「秘密、ですか」
「そうだ。お前にも関わることだ」
そう言って踵を返したブラッドさまの背中を見ながら、秘密、とはなんだろうかと思う。
943ブラッドさまの唇がわずかに横に広がって、何かを含むようなそんな表情で。
「この24時間監視が解かれた時には、俺の秘密を1つ教えてやろう」
そう言葉をこぼした。
その様から俺の背筋に鋭い緊張が走る。
指先が冷たくなるのに頭が熱い。
心拍数が跳ね上がると同時に呼吸が苦しくなった。
まるで俺の何かを見透かされたのではないかという畏怖と、否、ブラッドさまはご自分の秘密と言ったのだから俺のことは関係ないはずだ、と。
暴かれて困ることなどないというのに、ブラッドさまの言葉はいつだって俺を大きく揺さぶってくる。
「秘密、ですか」
「そうだ。お前にも関わることだ」
そう言って踵を返したブラッドさまの背中を見ながら、秘密、とはなんだろうかと思う。
炉妻さとり
DONE第一回 オスブラ版深夜の創作一本勝負お題より「いつもそばに」「アニバーサリー」お借りしました!
13期ルーキーの入所から4年後の二人のお話。
8月1日『ブラッドさま、お疲れ様です。
今日、そちらへ伺ってもよろしいですか?』
ブラッドの私用のスマホへ唐突にオスカーからメッセージが来た。
お前の家でもあるんだ、いつでも帰ってきてくれて構わない――そんな素っ気ない返事を送りそうになり、手を止める。
13期ルーキー研修を終え、メンターを降りたブラッドはタワー外に部屋を借りて暮らしている。本当はオスカーと二人で住むはずの部屋だった。
メジャーヒーローになったオスカーはメンターを続投し、エリオスタワー内の研修チーム用のドミトリーで共同生活を行っている。オスカーが二人の家を訪れるのは彼の休みの日のみ。14期研修の1年目はルーキー達との関係性構築を優先するために研修チームで休日を過ごすことも多かった。
1192今日、そちらへ伺ってもよろしいですか?』
ブラッドの私用のスマホへ唐突にオスカーからメッセージが来た。
お前の家でもあるんだ、いつでも帰ってきてくれて構わない――そんな素っ気ない返事を送りそうになり、手を止める。
13期ルーキー研修を終え、メンターを降りたブラッドはタワー外に部屋を借りて暮らしている。本当はオスカーと二人で住むはずの部屋だった。
メジャーヒーローになったオスカーはメンターを続投し、エリオスタワー内の研修チーム用のドミトリーで共同生活を行っている。オスカーが二人の家を訪れるのは彼の休みの日のみ。14期研修の1年目はルーキー達との関係性構築を優先するために研修チームで休日を過ごすことも多かった。
炉妻さとり
DONEオスブラWebオンリー「COFFEE BREAK!」開催おめでとうございます!展示小説です。
ブラッドを襲う夢を見たオスカーが夢を思い出して様子がおかしくなるお話です。
続きは部屋で 湯気の中にいるようなふわふわとした視界。白みがかった視界の中でも褐色の腕は確かな輪郭を持ち、白い腕を白いシーツに沈める。白い肌を覆い隠すはずの制服のシャツは、はだけられて肘に溜まり、衣服の意味をなしていない。現実味のないその光景を、オスカーは他人事のように眺めていた。
「やめろ、オスカー……」
そう言って見上げるブラッドの薔薇色の瞳は熱で潤み、オスカーの心を惑わす。『やめろ』という明確な命令の言葉が誘惑の言葉に聞こえるほどに。
オスカーはこの色が好きだった。意志が強く、常に前を向いている目だ。その目が今はオスカーだけを映している。もっと自分だけを見てほしい。ブラッドの頬に手を添え、顔を近づける。耐えるようにブラッドの瞼が伏せられた。黒々とした睫毛を涙の雫が伝い、オスカーの指を濡らした。
5336「やめろ、オスカー……」
そう言って見上げるブラッドの薔薇色の瞳は熱で潤み、オスカーの心を惑わす。『やめろ』という明確な命令の言葉が誘惑の言葉に聞こえるほどに。
オスカーはこの色が好きだった。意志が強く、常に前を向いている目だ。その目が今はオスカーだけを映している。もっと自分だけを見てほしい。ブラッドの頬に手を添え、顔を近づける。耐えるようにブラッドの瞼が伏せられた。黒々とした睫毛を涙の雫が伝い、オスカーの指を濡らした。
しの/字書き
MAIKING以前書いて出していたものの続きを書き加えましたが完結していませんオスブラwebオンリーで完結させて出したい気持ちはあるんですが未定です
とにかく何か新しいオスブラを出したくて
一滴の揺心(未完)***
おやすみなさい、の先にあるものなんか知らなかった。おやすみなさい、を言う相手もいなかったしそれを口にしたところで返してくれる人もいなかったからだ。
だから。
「おやすみなさい」
そう口にした後に、おやすみ、という言葉と共に額に唇が押し当てられることがこんなにも。
ベッド端に座った俺の前に立つブラッドさまのその。額の髪をかき上げる手が。押し当てられた唇が離れてしまうことが。
「・・・物欲しそうな顔をしているな」
唇が離れてブラッドさまが小さく笑うようにそう言うので、顔が熱くなった。
その唇を。唇に欲しいと思う。
なのにブラッドさまの唇は今度は左の頬に触れた。唇の後に頬と頬が重なる。柔らかくしっとりと重なってそのまま手を伸ばしたくなる。
8306おやすみなさい、の先にあるものなんか知らなかった。おやすみなさい、を言う相手もいなかったしそれを口にしたところで返してくれる人もいなかったからだ。
だから。
「おやすみなさい」
そう口にした後に、おやすみ、という言葉と共に額に唇が押し当てられることがこんなにも。
ベッド端に座った俺の前に立つブラッドさまのその。額の髪をかき上げる手が。押し当てられた唇が離れてしまうことが。
「・・・物欲しそうな顔をしているな」
唇が離れてブラッドさまが小さく笑うようにそう言うので、顔が熱くなった。
その唇を。唇に欲しいと思う。
なのにブラッドさまの唇は今度は左の頬に触れた。唇の後に頬と頬が重なる。柔らかくしっとりと重なってそのまま手を伸ばしたくなる。
炉妻さとり
DONEオスブラワンドロワンライお題「眠れない夜」
ビームス家に預けられて1ヶ月ぐらいの捏造17歳オスカーの「眠れない夜」です。
お題を聞いた時にあの歌が脳内でエンドレス再生されてしまった結果がこちらです。
あなたのせいです「遅かったな、オスカー」
「ブラッドさま!?」
オスカーがビームス家の奉公人として働き始めて約1ヶ月。オスカーが皿洗いを終えて自室に戻ると、寝巻き姿のブラッドがオスカーのベッドに腰掛けていた。
オスカーが奉公を初めて以来、ブラッドの初めての帰省だ。夜遅くにこちらに到着したと聞いていたため、今日は会えないと思っていた。会えると分かっていればもっときちんと出迎えたのに。すでにブラッドに見られてしまっているが、腕捲りしたままだった袖をそっと伸ばした。
「すみません。今日はもうおやすみになられたのかと思っていました」
「謝らなくていい。俺が勝手に押しかけただけだからな」
ブラッドに促され、隣に腰かける。こぶし2つ分ほどの距離をとって座ったが、ブラッドに詰められてしまった。自分のベッドだというのに居心地が悪い。
1444「ブラッドさま!?」
オスカーがビームス家の奉公人として働き始めて約1ヶ月。オスカーが皿洗いを終えて自室に戻ると、寝巻き姿のブラッドがオスカーのベッドに腰掛けていた。
オスカーが奉公を初めて以来、ブラッドの初めての帰省だ。夜遅くにこちらに到着したと聞いていたため、今日は会えないと思っていた。会えると分かっていればもっときちんと出迎えたのに。すでにブラッドに見られてしまっているが、腕捲りしたままだった袖をそっと伸ばした。
「すみません。今日はもうおやすみになられたのかと思っていました」
「謝らなくていい。俺が勝手に押しかけただけだからな」
ブラッドに促され、隣に腰かける。こぶし2つ分ほどの距離をとって座ったが、ブラッドに詰められてしまった。自分のベッドだというのに居心地が悪い。
炉妻さとり
DONEオスブラワンライお題「香水(香り)」
ブラッドさまは石鹸の匂い?お題「香水(香り)」
「オスカー、待たせたな。次はお前の番だ」
先にシャワーを浴びてきたブラッドがオスカーを呼ぶ。まだ濡れ髪のブラッドからは風呂上がり特有のふわふわした暖かい香りがした。
ブラッドは石鹸の匂いがする、という誰かの言葉をオスカーは思い出した。清廉なイメージのある彼には相応しいように思える。だが本当にそうならサウスセクター研修チーム全員が同じ匂いをしているはずだ。
「オスカー?」
ぼんやり考えごとをしているとブラッドに呼び戻された。手の届く距離に近づいてきた彼からする匂いはそれこそ石鹸の匂い、シャンプーの匂いなのだろう。だが風呂上がりでなくとも、いつもブラッドからはいい匂いがする気がする。
984「オスカー、待たせたな。次はお前の番だ」
先にシャワーを浴びてきたブラッドがオスカーを呼ぶ。まだ濡れ髪のブラッドからは風呂上がり特有のふわふわした暖かい香りがした。
ブラッドは石鹸の匂いがする、という誰かの言葉をオスカーは思い出した。清廉なイメージのある彼には相応しいように思える。だが本当にそうならサウスセクター研修チーム全員が同じ匂いをしているはずだ。
「オスカー?」
ぼんやり考えごとをしているとブラッドに呼び戻された。手の届く距離に近づいてきた彼からする匂いはそれこそ石鹸の匂い、シャンプーの匂いなのだろう。だが風呂上がりでなくとも、いつもブラッドからはいい匂いがする気がする。
炉妻さとり
DONEオスブラワンドロワンライ お題「パーティ」古今東西ありとあらゆるジャンルとキャラで書かれてきたであろう女装パーティ潜入ものです。
書きたいものだけ詰め込んだのでかなり駆け足ですが、どうしても最後のところを書きたかったんです。ロマンですよね。
パーティはおしまいお題「パーティ」
どうしてこんなことになってしまったんだろう、とタキシードに身を包んだオスカーは思った。
サブスタンスの違法取引が行われるという噂のパーティに、ブラッドと共に客として潜入してほしい。特別任務の話が来たとき、特に何も考えずに承諾した。貴人のブラッドとその従僕という役割だろうと勝手に解釈していた。
それがどうだ。オスカーの右腕には、東洋風の美女と化したブラッドが腕を回していた。サブスタンス事業を立ち上げようと出資者を募りに来た青年と、その恋人の東洋系女性。それがオスカーとブラッドの設定だ。
流石にブラッドを女性として送り出すのには無理があるのではないか、とブラッド本人も危惧していたが、エリオス衣装部が全面協力の姿勢を見せた。
1082どうしてこんなことになってしまったんだろう、とタキシードに身を包んだオスカーは思った。
サブスタンスの違法取引が行われるという噂のパーティに、ブラッドと共に客として潜入してほしい。特別任務の話が来たとき、特に何も考えずに承諾した。貴人のブラッドとその従僕という役割だろうと勝手に解釈していた。
それがどうだ。オスカーの右腕には、東洋風の美女と化したブラッドが腕を回していた。サブスタンス事業を立ち上げようと出資者を募りに来た青年と、その恋人の東洋系女性。それがオスカーとブラッドの設定だ。
流石にブラッドを女性として送り出すのには無理があるのではないか、とブラッド本人も危惧していたが、エリオス衣装部が全面協力の姿勢を見せた。
炉妻さとり
DONEブラッドとアッシュ姉がお見合いする話。アッシュ姉の理想の男性像は某グッドルッキングガイの条件を参考にしました(重要)前半はオスカーとアッシュのみ登場です。
後半はブラッド視点。読みにくかったらすみません。
シンデレラストーリーは一度だけでいい「オスカー!」
オスカーがジムで日課のトレーニングに励んでいると、血相を変えたアッシュが飛び込んできた。
「どうした、アッシュ。今日はもうスパーリングは――」
「ちげぇよ! 親父から、俺の姉貴とブラッドが見合いした、このまま順調に進みそうだって連絡が来たんだ。お前は知ってんのか!?」
オスカーの表情に驚きは見られなかった。だからどうした、とでも言いたげな表情に苛立ちが募っていく。彼女の性格からして、見合いをした時点で大事件なのだ。彼女はオルブライト家の人間らしく、自分にも他人にも求める基準が恐ろしく高かった。
彼女の理想の男性像。まず身長185cm以上、年齢は18歳から28歳。容姿端麗であることは前提として、全身のバランス――彼女曰く『デザイン』が良いこと。彼女に尽くしてくれること、等々。
4738オスカーがジムで日課のトレーニングに励んでいると、血相を変えたアッシュが飛び込んできた。
「どうした、アッシュ。今日はもうスパーリングは――」
「ちげぇよ! 親父から、俺の姉貴とブラッドが見合いした、このまま順調に進みそうだって連絡が来たんだ。お前は知ってんのか!?」
オスカーの表情に驚きは見られなかった。だからどうした、とでも言いたげな表情に苛立ちが募っていく。彼女の性格からして、見合いをした時点で大事件なのだ。彼女はオルブライト家の人間らしく、自分にも他人にも求める基準が恐ろしく高かった。
彼女の理想の男性像。まず身長185cm以上、年齢は18歳から28歳。容姿端麗であることは前提として、全身のバランス――彼女曰く『デザイン』が良いこと。彼女に尽くしてくれること、等々。
炉妻さとり
DONEオスブラワンドロワンライお題「癒し」
可愛い人「15分だけ仮眠を取る」
「わかりました」
ショートスリーパーのブラッドさまでも、連日三時間睡眠はさすがに堪えるらしい。
15分後にアラームをセットし、俺はメンター部屋から出て行こうとするとブラッドさまに手招きされた。確実に時間通りに起こせるようベッドの傍に控えていろ、ということだろうか。照明のリモコンを手にブラッドさまのベッドへ近づくと、腕を引かれた。
「オスカーも来い」
俺がブラッドさまのお誘いを断るはずないとわかっているからか、俺が返事をする前にベッドへ引き摺り込まれた。
ブラッドさまのベッドで寝るのは初めてではない。それなのに、毎回ブラッドさまの匂いと体温に満たされる感覚に心がそわそわする。
1052「わかりました」
ショートスリーパーのブラッドさまでも、連日三時間睡眠はさすがに堪えるらしい。
15分後にアラームをセットし、俺はメンター部屋から出て行こうとするとブラッドさまに手招きされた。確実に時間通りに起こせるようベッドの傍に控えていろ、ということだろうか。照明のリモコンを手にブラッドさまのベッドへ近づくと、腕を引かれた。
「オスカーも来い」
俺がブラッドさまのお誘いを断るはずないとわかっているからか、俺が返事をする前にベッドへ引き摺り込まれた。
ブラッドさまのベッドで寝るのは初めてではない。それなのに、毎回ブラッドさまの匂いと体温に満たされる感覚に心がそわそわする。
炉妻さとり
DONEロスナイ後、手錠が羨ましかったオスカーの話。手錠「ブラッドさま、お願いがあるんです」
シャワーを浴び、後は眠るだけという時間にオスカーが切り出してきた。俺のベッドに肩を触れ合わせながら座り、いつものように今日の報告を受けていた時間だった。仕事の話ではないのは明らかだ。
何も言わない俺をオスカーが待っている。もじもじと、それでも決意を秘めた瞳が俺を離さない。これは――期待してもいいのだろうか?
「言ってみろ」
「これを付けていただけませんか?」
差し出されたのは手錠だった。俺とキースを繋いでいたあの厄介な手錠ではない。プラスチックにメッキをしたような――いわゆるプレイ用の手錠だ。
「オスカーは俺にこれを付けてほしいのか?」
鸚鵡返しに言葉を返すと、オスカーの顔がぱぁっと輝いた。コクコクと何度も頷きが返ってきた。
996シャワーを浴び、後は眠るだけという時間にオスカーが切り出してきた。俺のベッドに肩を触れ合わせながら座り、いつものように今日の報告を受けていた時間だった。仕事の話ではないのは明らかだ。
何も言わない俺をオスカーが待っている。もじもじと、それでも決意を秘めた瞳が俺を離さない。これは――期待してもいいのだろうか?
「言ってみろ」
「これを付けていただけませんか?」
差し出されたのは手錠だった。俺とキースを繋いでいたあの厄介な手錠ではない。プラスチックにメッキをしたような――いわゆるプレイ用の手錠だ。
「オスカーは俺にこれを付けてほしいのか?」
鸚鵡返しに言葉を返すと、オスカーの顔がぱぁっと輝いた。コクコクと何度も頷きが返ってきた。