花月ゆき
DONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑨―赤井Side 6月―
修学旅行の最後の夜。
赤井は、これまで経験したことのないようなひどい頭痛を覚えるのと同時に、自分が“本当は中学生ではない”ことを思い出した。
いや、正確には、小さな頭痛を伴い何度も思い出しかけたことはあった。
これまで何度か訪れた、記憶違いかと思われた“小さな違和感”が、まさか失くした記憶の断片だったとは思いもよらなかった。
降谷も自分と同じように、何度も小さな違和感に首を傾げていたのを思い出す。
しかし、降谷はまだ記憶を取り戻してはいないようだった。
六月七日、金曜日。朝、目が覚めると家の中に降谷の気配がなかった。
『日直なので、僕は早めに学校に行きます』
RX-7の裏にあるボタンを押すと、降谷の声が聞こえてくる。その声は、自分が良く知るそれよりも幼くて可愛らしい。
5635修学旅行の最後の夜。
赤井は、これまで経験したことのないようなひどい頭痛を覚えるのと同時に、自分が“本当は中学生ではない”ことを思い出した。
いや、正確には、小さな頭痛を伴い何度も思い出しかけたことはあった。
これまで何度か訪れた、記憶違いかと思われた“小さな違和感”が、まさか失くした記憶の断片だったとは思いもよらなかった。
降谷も自分と同じように、何度も小さな違和感に首を傾げていたのを思い出す。
しかし、降谷はまだ記憶を取り戻してはいないようだった。
六月七日、金曜日。朝、目が覚めると家の中に降谷の気配がなかった。
『日直なので、僕は早めに学校に行きます』
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑧―降谷Side 5月―
五月に入り、クラスメイトたちは浮足立っていた。
理由は、まごうことなく修学旅行である。
今年は、九日、十日、十一日の二泊三日で、京都へ行くことが決まっていた。
赤井とはクラスは同じだが、修学旅行のための班分けで、別々のグループになってしまった。赤井と一緒がよかったが、五十音順でグループ分けをされてしまったので仕方がない。グループは男女混合だったので、赤井と一緒のグループになった女子たちは見るからに嬉しそうにしていた。
移動も宿泊先の部屋も自由時間も、すべてグループ行動になるため、旅行中は赤井とほとんど離れ離れで過ごすことになる。記念日である十日も旅行真っ只中なので、今月は旅行を楽しもう、ということになった。
7897五月に入り、クラスメイトたちは浮足立っていた。
理由は、まごうことなく修学旅行である。
今年は、九日、十日、十一日の二泊三日で、京都へ行くことが決まっていた。
赤井とはクラスは同じだが、修学旅行のための班分けで、別々のグループになってしまった。赤井と一緒がよかったが、五十音順でグループ分けをされてしまったので仕方がない。グループは男女混合だったので、赤井と一緒のグループになった女子たちは見るからに嬉しそうにしていた。
移動も宿泊先の部屋も自由時間も、すべてグループ行動になるため、旅行中は赤井とほとんど離れ離れで過ごすことになる。記念日である十日も旅行真っ只中なので、今月は旅行を楽しもう、ということになった。
花月ゆき
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑦―降谷Side 4月―
四月に入り、赤井と降谷は中学二年生になった。
先月催された卒業式は、感動的な式として幕を下ろした。特に赤井の演奏した『旅立ちの日に』は、イントロ部分から会場にいた多くの人々の涙を誘った。
会場は中学校の体育館。ピアノもスタインウェイなどの高級ブランドではなく、どこにでもあるタイプのグランドピアノ。
特別なものは何ひとつないのに、すべてが特別に感じられる[[rb:一時 > ひととき]]だった。
優しくも切ない旋律にはじまり、躍動感溢れる音の波が広がってゆく。力強い音の奔流に、ピアノの音色が体の奥にまで響き渡るような心地がした。
演奏の技術だけではない、どこかミステリアスな雰囲気が興味を煽るのか、保護者が座っている体育館の後ろ側でも、「ピアノを弾いてる男の子は、何年何組の子?」と噂になっていたと聞いた。
7079四月に入り、赤井と降谷は中学二年生になった。
先月催された卒業式は、感動的な式として幕を下ろした。特に赤井の演奏した『旅立ちの日に』は、イントロ部分から会場にいた多くの人々の涙を誘った。
会場は中学校の体育館。ピアノもスタインウェイなどの高級ブランドではなく、どこにでもあるタイプのグランドピアノ。
特別なものは何ひとつないのに、すべてが特別に感じられる[[rb:一時 > ひととき]]だった。
優しくも切ない旋律にはじまり、躍動感溢れる音の波が広がってゆく。力強い音の奔流に、ピアノの音色が体の奥にまで響き渡るような心地がした。
演奏の技術だけではない、どこかミステリアスな雰囲気が興味を煽るのか、保護者が座っている体育館の後ろ側でも、「ピアノを弾いてる男の子は、何年何組の子?」と噂になっていたと聞いた。
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑥―降谷Side 3月―
三月十日、日曜日。
三年生の卒業式を間近に控え、赤井のピアノの練習も佳境に入っている。平日も毎日練習しているので日曜日くらいは休んでもよいのではないかと思ったが、赤井は朝からずっと部屋でピアノの練習をしていた。寝室から遠い部屋にピアノを置いているので、ピアノの音色はほんの少しだけ聞こえる程度だ。ある程度、防音の施された部屋のためか、何を弾いているのかまではわからない。
この家にはもともとピアノはなかったので、練習するときには学校の音楽室へ通っていた。当然、音楽室が空いている日中の時間しか練習できない。卒業式の日から逆算し、練習の時間が足りないと踏んだらしい赤井は、電子ピアノをレンタルしたいと降谷に相談してきた。コナンの知り合いからレンタルさせてもらえる目途が立ったのだという。
6477三月十日、日曜日。
三年生の卒業式を間近に控え、赤井のピアノの練習も佳境に入っている。平日も毎日練習しているので日曜日くらいは休んでもよいのではないかと思ったが、赤井は朝からずっと部屋でピアノの練習をしていた。寝室から遠い部屋にピアノを置いているので、ピアノの音色はほんの少しだけ聞こえる程度だ。ある程度、防音の施された部屋のためか、何を弾いているのかまではわからない。
この家にはもともとピアノはなかったので、練習するときには学校の音楽室へ通っていた。当然、音楽室が空いている日中の時間しか練習できない。卒業式の日から逆算し、練習の時間が足りないと踏んだらしい赤井は、電子ピアノをレンタルしたいと降谷に相談してきた。コナンの知り合いからレンタルさせてもらえる目途が立ったのだという。
花月ゆき
DONEライ時代、催眠術をかけられてしまった赤井さん。組織壊滅作戦前、赤井さんが降谷さんへの恋心を自覚するのと同時に催眠の効果があらわれはじめ…というお話の後編です。
前編:https://poipiku.com/1436391/8302545.html
ヒトフリの魔法(後編)-降谷Side-
医師の診断と治療を受けて、降谷は待合室に戻った。想像していたよりも傷は深かったが、まだ軽傷といえる類のもので、誰かの介助を必要とするものではなかった。しかし赤井は、まるで重傷者を扱うように自分に接しようとする。服の上から、幾重にも重なった包帯が透けて見えているせいだろう。
組織壊滅作戦を間近に控えているこの時期に、この負傷。病院を出てすぐ、赤井の愛車の中で、ひとり行動は避けるようにと赤井に言い渡されてしまう。日常生活や事務作業に支障はないが、敵と相対するのは難しい状況――つまり、自分の身を自分で護れるほどの十分な余力がないことを、赤井には見抜かれてしまっていた。
今日手に入れたデータの中身は、組織の機密事項だ。あらゆるリスクを承知の上で、倉庫内に保管されている組織のサーバから直接データを抜き取った。
26511医師の診断と治療を受けて、降谷は待合室に戻った。想像していたよりも傷は深かったが、まだ軽傷といえる類のもので、誰かの介助を必要とするものではなかった。しかし赤井は、まるで重傷者を扱うように自分に接しようとする。服の上から、幾重にも重なった包帯が透けて見えているせいだろう。
組織壊滅作戦を間近に控えているこの時期に、この負傷。病院を出てすぐ、赤井の愛車の中で、ひとり行動は避けるようにと赤井に言い渡されてしまう。日常生活や事務作業に支障はないが、敵と相対するのは難しい状況――つまり、自分の身を自分で護れるほどの十分な余力がないことを、赤井には見抜かれてしまっていた。
今日手に入れたデータの中身は、組織の機密事項だ。あらゆるリスクを承知の上で、倉庫内に保管されている組織のサーバから直接データを抜き取った。
すいまー
DONE虎翼の寅ちゃんの爆裂感動激エモ告白セリフがあまりにも降谷零だったので勝手にひとり置き換えて萌え滾ってしまい気の迷いと勢いだけでパロ小説を書いてしまいました
ポイピクで小説投稿機能はじめて使った😊
虎翼パロ小説「僕にとってずっと、恋や愛は二の次、三の次でした。」
【ままならない恋情】
合同捜査の捕物騒動の後処理のため、庁舎に残っていた俺と降谷君。
引き上げようか、と言う頃合いに突然降り出した雷雨に足止めを喰らっていた。
執務室で二人きり。急ぎでは無い書類を繰る、静かな物音。降谷君との沈黙の時間はいつもどこか心地よい。
「ねぇ、赤井。今…少し話をしても?」
雨の音にかき消されそうな声で、ポツリとポツリと降谷くんが話し出す。
僕は心からこの国を守りたいと思っている。今も、そして、これからも。
僕はこの国以上に、愛するものは作れない男です。
赤井のことは、今は、誰よりも大切に想っている。
心から想っているけど。
だから、きちんと、気持ちには線を引きたいんです。
2801【ままならない恋情】
合同捜査の捕物騒動の後処理のため、庁舎に残っていた俺と降谷君。
引き上げようか、と言う頃合いに突然降り出した雷雨に足止めを喰らっていた。
執務室で二人きり。急ぎでは無い書類を繰る、静かな物音。降谷君との沈黙の時間はいつもどこか心地よい。
「ねぇ、赤井。今…少し話をしても?」
雨の音にかき消されそうな声で、ポツリとポツリと降谷くんが話し出す。
僕は心からこの国を守りたいと思っている。今も、そして、これからも。
僕はこの国以上に、愛するものは作れない男です。
赤井のことは、今は、誰よりも大切に想っている。
心から想っているけど。
だから、きちんと、気持ちには線を引きたいんです。
つぶあん
DONEライバボ期にバボの着換えてる所をうっかり見ちゃったラッキースケベなライ。それが忘れられなくて飲みに行った勢いでれーくんに聞いちゃうシュ(付き合ってない赤安) 7/5はビキニの日!🩲たいした事ないけど肌色多めなのでワンクッション。
hanayouakam
INFO6/30JUNE BRIDE Fes.両片想い赤安本。
文庫p146/R18部分抜粋サンプルです。
あらすじ、R18以外のサンプルはXと部数アンケートリンク先に入れてます。🔑は赤安の年齢4桁 1915
hanayouakam
DONEtlにアップしたツリー。喧嘩する赤安のその後のえっちを書きました。
これで完結です。
🔞、攻めふぇ、🐳噴き、赤井のスラングあり。
お付き合いありがとうございました😊
パスワードは赤安の年齢4桁。 3860
でこちゃそうどん!
MOURNING怖井のネタ。最初は純粋な赤安→怖井になったら面白そうだなってのと、転生ネタ混ぜたらアッ…いいなこれ…と思ったのでまとめてみました。
最後の部分だけ描きたかったと供述しており。。。
Xに載せるのはなんとなく気が引けたのでこちらで供養🙏 401
すいまー
DONE現代陰陽師×九尾の狐☯️🦊妄想です〜いいよね、キスで憑依合体……🥺💕
私が大好きな宮田先生の『犬神姫にくちづけ』のパロなんですが、こちらの漫画めちゃくちゃ萌えるから…ぜひ読んで…🥰→https://t.co/5o70A3NfJJ) 10
花月ゆき
DONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑤―降谷Side 2月―
毎月十日は、赤井と自分の記念日となった。
特に決まりはないが、その日は普段はしないようなことをするようになった。
手の込んだ料理を作ったり、どこかへ遊びに行ったり。毎月思い出がひとつひとつ増えていく。
先月は、阿笠博士からプレゼントをもらった。
赤色の車は赤井に。白色の車は自分に。コナンから手渡されたそれは、自分たちにとっての宝物だ。
ネットで調べると、赤色の車はマスタング、白色の車はRX-7というらしい。車のフォルムが美しいからだろうか。理由ははっきりしないが、心惹かれる車だ。
二月九日、金曜日。
目を覚ますと、家の中に赤井はいなかった。
降谷はリビングへ行き、自分たちの宝物の前に立つ。阿笠博士のくれたプラモデルは、ただのプラモデルではない。ボイス機能付きだ。
4031毎月十日は、赤井と自分の記念日となった。
特に決まりはないが、その日は普段はしないようなことをするようになった。
手の込んだ料理を作ったり、どこかへ遊びに行ったり。毎月思い出がひとつひとつ増えていく。
先月は、阿笠博士からプレゼントをもらった。
赤色の車は赤井に。白色の車は自分に。コナンから手渡されたそれは、自分たちにとっての宝物だ。
ネットで調べると、赤色の車はマスタング、白色の車はRX-7というらしい。車のフォルムが美しいからだろうか。理由ははっきりしないが、心惹かれる車だ。
二月九日、金曜日。
目を覚ますと、家の中に赤井はいなかった。
降谷はリビングへ行き、自分たちの宝物の前に立つ。阿笠博士のくれたプラモデルは、ただのプラモデルではない。ボイス機能付きだ。
花月ゆき
DONEツンツンな降谷さんのデレが見たい赤井さんの話。お題「♡」 交際をはじめてからの降谷は、ずっとツンツンだ。ツンデレではない。デレがないので、ツンツンである。
赤井は降谷から届いたメッセージを見て、思わず微笑んでいた。
『たまたまその日は空いているので、いいですよ』
これは、赤井が送ったデートの誘いに対する降谷の返事である。
赤井がデートに誘うと、降谷は、“たまたま空いていたから”という言い訳を枕詞にして返事をしてくる。もちろん、それは嘘だ。多忙な彼がたまたま暇になることなど、まずあり得ない。その証拠に、降谷の部下である風見から、「赤井さんとの約束を守るために、降谷さんは鬼のように仕事してますよ」と、たびたび密告がある。
自分に対する言葉、態度とは裏腹に、降谷は自分とのデートの時間も大事にしてくれようとしているのだ。そんな降谷の様子を、彼の周囲にいる人間から聞くたびに、赤井は嬉しくてたまらなくなる。と同時に、なぜ、自分の前ではツンツンした様子しか見せてくれないのだろうかと、疑問に感じてもいた。
3396赤井は降谷から届いたメッセージを見て、思わず微笑んでいた。
『たまたまその日は空いているので、いいですよ』
これは、赤井が送ったデートの誘いに対する降谷の返事である。
赤井がデートに誘うと、降谷は、“たまたま空いていたから”という言い訳を枕詞にして返事をしてくる。もちろん、それは嘘だ。多忙な彼がたまたま暇になることなど、まずあり得ない。その証拠に、降谷の部下である風見から、「赤井さんとの約束を守るために、降谷さんは鬼のように仕事してますよ」と、たびたび密告がある。
自分に対する言葉、態度とは裏腹に、降谷は自分とのデートの時間も大事にしてくれようとしているのだ。そんな降谷の様子を、彼の周囲にいる人間から聞くたびに、赤井は嬉しくてたまらなくなる。と同時に、なぜ、自分の前ではツンツンした様子しか見せてくれないのだろうかと、疑問に感じてもいた。
花月ゆき
DONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。
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Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)④―コナンSide 1月―
一月十日。コナンは阿笠邸を訪れていた。目的は、赤井と降谷の解毒薬の進捗を聞くためだ。
「……三十パーセントってところかしらね」
「……そうか。やっぱり、俺が飲まされた薬とは違うのか?」
「ええ。成分は似ているけれど、同じものではなさそうよ。ああ、それから、薬によって記憶が失われたどうかはまだわからないわ」
赤井と降谷は毒薬によって身体が縮み、今は中学生として学生生活を送っている。
二人の身体は健康そのものだ。姿形さえ気にしなければ、FBIとして、公安として、職務に復帰することもできるだろう。しかし、それぞれの機関の回答はNOだ。理由は様々だが、二人が記憶を失くしていることも大きな理由のひとつに違いない。
2741一月十日。コナンは阿笠邸を訪れていた。目的は、赤井と降谷の解毒薬の進捗を聞くためだ。
「……三十パーセントってところかしらね」
「……そうか。やっぱり、俺が飲まされた薬とは違うのか?」
「ええ。成分は似ているけれど、同じものではなさそうよ。ああ、それから、薬によって記憶が失われたどうかはまだわからないわ」
赤井と降谷は毒薬によって身体が縮み、今は中学生として学生生活を送っている。
二人の身体は健康そのものだ。姿形さえ気にしなければ、FBIとして、公安として、職務に復帰することもできるだろう。しかし、それぞれの機関の回答はNOだ。理由は様々だが、二人が記憶を失くしていることも大きな理由のひとつに違いない。
花月ゆき
DONE駆け落ちっぽいことをする赤安。赤→安。何でも許せる方向け。いずれハピエンになる前提で書いています。お題「夢」 組織が壊滅したあと、まだ後始末に追われている頃のことだ。
ある日。降谷は赤井とふたりきりでいた。赤井に連れて来られたのは、夜景の見える洒落たバー。男二人で行くのには場違いとも思えるような場所である。その証拠に、カップルと思しき男女ばかりが視界に入ってきた。
しかし、杯を重ねてゆくうちに、そんな些細なことはどうでもよくなってくる。酒に酔うことを自分自身に禁じ、ある程度の緊張感は保っていたはずだが、隣に赤井がいることで、その緊張感とやらもいくらかやわらいでいた。赤井と一緒ならば、何が起きてもきっと大丈夫。そう思ってしまうほどには、自分は赤井を信頼していた。
度数の高い酒を口にしたせいだろうか。身体がぽかぽかとして心地よい。身も心もほぐれてゆくにつれて、自制心も砕けてゆく。
3186ある日。降谷は赤井とふたりきりでいた。赤井に連れて来られたのは、夜景の見える洒落たバー。男二人で行くのには場違いとも思えるような場所である。その証拠に、カップルと思しき男女ばかりが視界に入ってきた。
しかし、杯を重ねてゆくうちに、そんな些細なことはどうでもよくなってくる。酒に酔うことを自分自身に禁じ、ある程度の緊張感は保っていたはずだが、隣に赤井がいることで、その緊張感とやらもいくらかやわらいでいた。赤井と一緒ならば、何が起きてもきっと大丈夫。そう思ってしまうほどには、自分は赤井を信頼していた。
度数の高い酒を口にしたせいだろうか。身体がぽかぽかとして心地よい。身も心もほぐれてゆくにつれて、自制心も砕けてゆく。
花月ゆき
DONEDay1、2のお題からの続き。恋人未満だった赤安の恋が成就するまで。捏造多々。Day1:https://poipiku.com/1436391/9730263.html
Day2:https://poipiku.com/1436391/9733562.html
Day3お題「空港」 赤井がアメリカへ渡ったあと。アメリカで起きた凶悪事件はすぐに大きな動きを見せはじめた。
そして、主犯格の人間がすべて逮捕されたと日本でも報道されはじめた頃。降谷のもとには一通のメールが届いた。
『今夜、九時頃にそちらに着くよ』
「今夜」
思わず叫んでしまうと、向かいの席で定食を食べていた風見がびっくりした様子で身体を跳ねさせた。間抜けな体勢を誤魔化すように、くい、と眼鏡を持ち上げて、風見は言う。
「どうかしましたか? 降谷さん」
「それが……赤井がこちらに戻って来るそうだ」
「それはよかったです。こちらも人手不足が続いてましたからね。それで、いつ戻って来られるんですか?」
「今夜」
「今夜」
風見が自分と同じような反応をするので、降谷は笑ってしまう。
3167そして、主犯格の人間がすべて逮捕されたと日本でも報道されはじめた頃。降谷のもとには一通のメールが届いた。
『今夜、九時頃にそちらに着くよ』
「今夜」
思わず叫んでしまうと、向かいの席で定食を食べていた風見がびっくりした様子で身体を跳ねさせた。間抜けな体勢を誤魔化すように、くい、と眼鏡を持ち上げて、風見は言う。
「どうかしましたか? 降谷さん」
「それが……赤井がこちらに戻って来るそうだ」
「それはよかったです。こちらも人手不足が続いてましたからね。それで、いつ戻って来られるんですか?」
「今夜」
「今夜」
風見が自分と同じような反応をするので、降谷は笑ってしまう。
花月ゆき
DONEDay1のお題からの続き。恋人未満(赤→安)の赤安。恋心を自覚してゆく降谷さん。捏造多々。
Day1:https://poipiku.com/1436391/9730263.html
Day3:https://poipiku.com/1436391/9736950.html
Day2お題「雪」 赤井がアメリカへと旅立った。FBIの上層部からの指示で、急遽、アメリカで起きている凶悪事件の解決のために呼び戻されたのだ。組織が壊滅し、残党処理に明け暮れる昨今。残党の動きもけっして軽視はできない状況だが、アメリカで起きている事件は日本でも連日報道されるほどの大事件となっている。
一刻の猶予もないことは、降谷にもよくわかっていた。これ以上、犠牲者を増やしてはならないと、日本に滞在中の赤井にお呼びがかかったのも理解できる。
最後に赤井と会ったのは、とある喫茶店だ。初めて二人でその喫茶店に行ったのは、ひどく寒い日。電車が止まり、運行が再開するまでの滞在場所として選んだ場所だ。赤井が気に入ったこともあり、仕事帰りや休憩したいときに、その喫茶店には二人でよく訪れるようになっていた。
3075一刻の猶予もないことは、降谷にもよくわかっていた。これ以上、犠牲者を増やしてはならないと、日本に滞在中の赤井にお呼びがかかったのも理解できる。
最後に赤井と会ったのは、とある喫茶店だ。初めて二人でその喫茶店に行ったのは、ひどく寒い日。電車が止まり、運行が再開するまでの滞在場所として選んだ場所だ。赤井が気に入ったこともあり、仕事帰りや休憩したいときに、その喫茶店には二人でよく訪れるようになっていた。
花月ゆき
DONE恋人未満(赤→安)の赤安。降谷さんは自覚なし。捏造多々。Day2、3に続きます。
Day2:https://poipiku.com/1436391/9733562.html
Day3:https://poipiku.com/1436391/9736950.html
Day1お題「体温」 定時過ぎ。帰り支度をする自分のもとに、赤井がやってきた。赤井はあの赤色の愛車で来ていたはずだが、今日は電車を使って帰ると言い出した。自分と同じように赤井も徹夜が続いていたため、運転は危険と判断してのことだろう。
傘をさすほどではないが、小雨が降りはじめている。吐く息が白色に染まり、ぐっと外気の寒さが増した気がした。防寒対策はしっかりしているので気持ちの問題かもしれないが、身体の底から温もりが失われてゆくような心地がする。
駅に着くと、電車が止まっているようで、駅構内が大混雑していた。復旧見込みは現時点では不明。寒さと人の混雑。徹夜続きの身体には、なかなか堪える状況だ。
「電車が動くまで、僕は喫茶店にでも入ろうかと思います。あなたはどうします?」
2779傘をさすほどではないが、小雨が降りはじめている。吐く息が白色に染まり、ぐっと外気の寒さが増した気がした。防寒対策はしっかりしているので気持ちの問題かもしれないが、身体の底から温もりが失われてゆくような心地がする。
駅に着くと、電車が止まっているようで、駅構内が大混雑していた。復旧見込みは現時点では不明。寒さと人の混雑。徹夜続きの身体には、なかなか堪える状況だ。
「電車が動くまで、僕は喫茶店にでも入ろうかと思います。あなたはどうします?」
れも🍋
DONE #赤安ワンナイト・ドローイングアンドライティング12/31のお題「体温」より。
素敵な企画をありがとうございます!
楽しんでいただけましたら幸いです。
【注意】
・主要キャラクターの流血表現
・名前の無い、組織の人物が登場します 3512
花月ゆき
DONE組織壊滅後。恋人同士になった赤安。あかいさんのサンタになる計画を立てていたふるやさんは…お題「プレゼント」 赤井と恋人同士になって、はじめて迎えるクリスマス。
赤井から二十四・五日の予定はどうかときかれて、「普通に仕事ですけど」と、涼し気な顔でこたえてしまったが、実のところ、降谷はクリスマスに向けて“ある計画”を練っていた。
それは、クリスマスイブの夜、サンタの帽子をかぶって、赤井の泊っているホテルに突撃するというものだ。もちろん赤井には内緒で。
この計画を遂行するために、降谷は十二月に入ってからずっと、多忙な日々を送っていた。
クリスマスに予定を空けるために、年の瀬らしく降り積もった仕事を前倒しで片付ける必要があったからだ。それに加え、組織の残党も、まるでクリスマスを狙っているかのように動きをみせはじめたので、FBIには内緒で、部下を引き連れて制圧した。
3780赤井から二十四・五日の予定はどうかときかれて、「普通に仕事ですけど」と、涼し気な顔でこたえてしまったが、実のところ、降谷はクリスマスに向けて“ある計画”を練っていた。
それは、クリスマスイブの夜、サンタの帽子をかぶって、赤井の泊っているホテルに突撃するというものだ。もちろん赤井には内緒で。
この計画を遂行するために、降谷は十二月に入ってからずっと、多忙な日々を送っていた。
クリスマスに予定を空けるために、年の瀬らしく降り積もった仕事を前倒しで片付ける必要があったからだ。それに加え、組織の残党も、まるでクリスマスを狙っているかのように動きをみせはじめたので、FBIには内緒で、部下を引き連れて制圧した。
no123mi
DONE我儘な恋人「降谷くんはいるか?」
警備企画課。普段彼がデスクワークをしている部屋を訪ねると、現れた彼の部下は、立派な眉をさげ、困った顔でオフィスの奥を見た。彼は声を潜め、席にいる降谷をうかがう。
「いるにはいるんですが……」
「ご機嫌ななめかな?」
「いえ、ご機嫌というより」
風見の言葉の先を待つまでもなく、赤井は彼の言いたいことを察した。
赤井の目当ての人物は、いつものように奥の席で姿勢よく座り書類をさばいていたが、よく見ればいつもの精彩がない。彼をよく知らない者が見れば、すばやく書類を捌いているように見えるが、常日頃から彼をよく知る自分(と風見)から見れば、その違いは一目瞭然だった。
「朝からあの様子なんですが、何度言っても休んでいただけず……」
11025警備企画課。普段彼がデスクワークをしている部屋を訪ねると、現れた彼の部下は、立派な眉をさげ、困った顔でオフィスの奥を見た。彼は声を潜め、席にいる降谷をうかがう。
「いるにはいるんですが……」
「ご機嫌ななめかな?」
「いえ、ご機嫌というより」
風見の言葉の先を待つまでもなく、赤井は彼の言いたいことを察した。
赤井の目当ての人物は、いつものように奥の席で姿勢よく座り書類をさばいていたが、よく見ればいつもの精彩がない。彼をよく知らない者が見れば、すばやく書類を捌いているように見えるが、常日頃から彼をよく知る自分(と風見)から見れば、その違いは一目瞭然だった。
「朝からあの様子なんですが、何度言っても休んでいただけず……」
花月ゆき
DONEhttps://poipiku.com/1436391/9684930.html の赤井さん視点です。さよならのあと(赤井Side) きっと彼は、潜るのだろう。
本人も、他の人間も、誰も気づいていない。だが、自分にはわかる。降谷の表情も、行動も、ある日を境に変わってしまったと。
降谷の自分を見る目が変わった。思い出を目に焼きつけるように。降谷が自分を見る。まるで、もう二度と逢えなくなる人間を見るように。
降谷と一緒に住んでいるアパート。変化にはすぐ気づいた。違和感を覚えさせないように、彼が少しずつ自身の持ち物を消していく。
そして、彼がこの世界を発つ日。彼は自身の痕跡をすべて消し去った。
今すぐにでも起き上がって、彼を引き留めたい。その想いを堪えて、眠ったフリをし続けた。
小さく聞こえるのは、ノートパソコンのキーを叩く音。この音が止めば、きっと彼はいなくなってしまう。
743本人も、他の人間も、誰も気づいていない。だが、自分にはわかる。降谷の表情も、行動も、ある日を境に変わってしまったと。
降谷の自分を見る目が変わった。思い出を目に焼きつけるように。降谷が自分を見る。まるで、もう二度と逢えなくなる人間を見るように。
降谷と一緒に住んでいるアパート。変化にはすぐ気づいた。違和感を覚えさせないように、彼が少しずつ自身の持ち物を消していく。
そして、彼がこの世界を発つ日。彼は自身の痕跡をすべて消し去った。
今すぐにでも起き上がって、彼を引き留めたい。その想いを堪えて、眠ったフリをし続けた。
小さく聞こえるのは、ノートパソコンのキーを叩く音。この音が止めば、きっと彼はいなくなってしまう。
花月ゆき
DONE何でも許せる方向け赤井さん視点⇒ https://poipiku.com/1436391/9688229.html
さよならのあと(降谷Side) 潜ることになった。
新しい名前をもうひとつ。電話番号もメールアドレスも何もかも変えて。違う世界へ旅立たなくてはいけなくなった。
赤井には何も言わずに。たったひとりで。
素直になれず。一度も愛してると言えないまま。さよならが先に訪れた。
赤井と一緒に住んでいたアパート。自分が住んでいた痕跡をすべて消した。最後に残ったのは、赤井と一緒に使っていたプライベート用のノートパソコン。自分の使っていた跡をすべて消去したあと、ふと未練が溢れ出す。
降谷は静かにキーを叩き続け、朝陽が部屋を照らす前に、静かに家を出た。
あれから一年。
降谷は潜入先にいた。古びた倉庫。もうすぐ裏取引の相手が現れる。
あの日から季節は一巡りして、再び冬が訪れた。あの日のことを、降谷は一度も忘れたことがない。
730新しい名前をもうひとつ。電話番号もメールアドレスも何もかも変えて。違う世界へ旅立たなくてはいけなくなった。
赤井には何も言わずに。たったひとりで。
素直になれず。一度も愛してると言えないまま。さよならが先に訪れた。
赤井と一緒に住んでいたアパート。自分が住んでいた痕跡をすべて消した。最後に残ったのは、赤井と一緒に使っていたプライベート用のノートパソコン。自分の使っていた跡をすべて消去したあと、ふと未練が溢れ出す。
降谷は静かにキーを叩き続け、朝陽が部屋を照らす前に、静かに家を出た。
あれから一年。
降谷は潜入先にいた。古びた倉庫。もうすぐ裏取引の相手が現れる。
あの日から季節は一巡りして、再び冬が訪れた。あの日のことを、降谷は一度も忘れたことがない。
花月ゆき
DONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。
①https://poipiku.com/1436391/9417680.html
④https://poipiku.com/1436391/9804135.html
Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)③―コナンSide 12月―
商店街の福引で、蘭が東都水族館のペアチケットを引き当てた。「相変わらず、すげえな……」と思わずコナンは呟いてしまうが、その声は商店街の喧騒に紛れて、蘭の耳には届いていない。
礼を言ってチケットを受け取り、家へと向かって歩きはじめた蘭を、コナンは隣からそっと見上げた。蘭は嬉しそうにチケットを取り出し、まじまじと眺めている。ところが、チケットを見ていた蘭の表情がしだいに曇りはじめた。
「どうしたの? 蘭姉ちゃん」
「どうしよう……コナン君。このチケット、クリスマスまでの土日しか使えないんだって」
「そうなの?」
コナンは蘭からチケットを受け取る。そこには『土日限定!東都水族館のクリスマスにご招待』の文字があった。
3829商店街の福引で、蘭が東都水族館のペアチケットを引き当てた。「相変わらず、すげえな……」と思わずコナンは呟いてしまうが、その声は商店街の喧騒に紛れて、蘭の耳には届いていない。
礼を言ってチケットを受け取り、家へと向かって歩きはじめた蘭を、コナンは隣からそっと見上げた。蘭は嬉しそうにチケットを取り出し、まじまじと眺めている。ところが、チケットを見ていた蘭の表情がしだいに曇りはじめた。
「どうしたの? 蘭姉ちゃん」
「どうしよう……コナン君。このチケット、クリスマスまでの土日しか使えないんだって」
「そうなの?」
コナンは蘭からチケットを受け取る。そこには『土日限定!東都水族館のクリスマスにご招待』の文字があった。
かとうあんこ
DONEドムサブユニバース、ドム✖️スイッチ、付き合ってない赤安カンペキなトモダチ因縁の組織が壊滅して三ヶ月。
怒涛の報告書(反省文含む)を乗り越え、ようやく組織の残党狩りに本腰を入れられるようになった僕の元へ耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。
「赤井が倒れた?」
「ええ……床に膝をつかれてからすぐに立ち上がられたので、立ち眩みだとは思うのですが」
僕にそう報告をする風見はツチノコでも見たような顔をしていた。
きっと僕も同じような顔をしているだろう。
赤井たちFBIと日本の警察は合同捜査本部を立ち上げ、逮捕した組織の幹部を取り調べ、散り散りになった残党を追っている。
赤井が倒れたのは、捜査会議が終わった直後だったという。
僕はまだバーボンとしてやることがあるため、その捜査本部には参加しておらず、こうして風見から進捗状況を聞いていた。
9141怒涛の報告書(反省文含む)を乗り越え、ようやく組織の残党狩りに本腰を入れられるようになった僕の元へ耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。
「赤井が倒れた?」
「ええ……床に膝をつかれてからすぐに立ち上がられたので、立ち眩みだとは思うのですが」
僕にそう報告をする風見はツチノコでも見たような顔をしていた。
きっと僕も同じような顔をしているだろう。
赤井たちFBIと日本の警察は合同捜査本部を立ち上げ、逮捕した組織の幹部を取り調べ、散り散りになった残党を追っている。
赤井が倒れたのは、捜査会議が終わった直後だったという。
僕はまだバーボンとしてやることがあるため、その捜査本部には参加しておらず、こうして風見から進捗状況を聞いていた。
花月ゆき
DONE組織壊滅後。恋人未満の赤安。赤→安要素多し。カッコイイ赤井さんはいません。捏造あり。何でも許せる方向け。お題「料理」 降谷と食事に行く約束をした。何度も何度も断られ、ようやく取り付けた約束だった。
約束の日は、金曜日。絶対に食事の時間に間に合うよう仕事を終えなければならない。そう己に誓って、赤井は月曜日を迎えた。
だが、その日、事件は起きた。
組織の残党に動きがあり、公安やFBIをはじめとした、各国の捜査機関が総出で討伐作戦を行うことが決定した。作戦の決行日は木曜日の深夜。つまり金曜日である。
「食事の約束、延期しませんか?」
警察庁で執り行われた会議のあと。降谷はそう提案してきた。
作戦の日、何が起きるかわからない。状況次第では、作戦が翌日以降までもつれこむ可能性もある。降谷はそう説明したが、赤井は首を縦に振ることはできなかった。まるで聞き分けのない子どものようだと思ったが、どうしても、降谷との約束は守りたかったのだ。
3736約束の日は、金曜日。絶対に食事の時間に間に合うよう仕事を終えなければならない。そう己に誓って、赤井は月曜日を迎えた。
だが、その日、事件は起きた。
組織の残党に動きがあり、公安やFBIをはじめとした、各国の捜査機関が総出で討伐作戦を行うことが決定した。作戦の決行日は木曜日の深夜。つまり金曜日である。
「食事の約束、延期しませんか?」
警察庁で執り行われた会議のあと。降谷はそう提案してきた。
作戦の日、何が起きるかわからない。状況次第では、作戦が翌日以降までもつれこむ可能性もある。降谷はそう説明したが、赤井は首を縦に振ることはできなかった。まるで聞き分けのない子どものようだと思ったが、どうしても、降谷との約束は守りたかったのだ。
dc_hatobannu
MENU12/17 赤安サンプル1
「赤井、結婚しましょうか」
赤井と籍を入れたいと思った。
そう思い至るまでの話をしよう。少々長くなる。
長年追い続けていた国際的犯罪組織・黒尽くめの組織を各国警察のエージェントたちと、とある小さな名探偵の活躍により瓦解に追いやった。多くの人々が組織の犠牲となり、僕の憧れの人であり組織の薬品開発者であった宮野エレーナも亡くなり、失ったものはあまりにも多く、大きかった。僕の公安警察の人生において大きな割合を占めていた黒尽くめの組織の瓦解は僕の生活にぽっかりと穴を開けたが、ある一つの大きな存在が太々しくどっかりと座り込んでいた。
赤井秀一だ。
当時ライというコードネームでFBIから組織に潜入していた赤井は、バーボンというコードネームでスパイとして潜り込んでいた僕とは全くそりが合わなかった。赤井は僕のことを役立たずだとでも思っていたのか顔を合わせるたびに僕を馬鹿にした態度をみせ、嫌味と睨み合いが絶えなかったのは今でもはっきりと覚えている。当時ライが同じ潜入捜査官だとは知らなかったが、態度は悪いながらも頭の切れる奴がこんな組織で燻っているなんて、と半ば嫉妬のような気持ちもあったと思う。そんな機嫌の悪い僕を宥めてくれていたのが、同じく組織に潜入してスコッチというコードネームを貰っていた幼馴染のヒロだった。
11197「赤井、結婚しましょうか」
赤井と籍を入れたいと思った。
そう思い至るまでの話をしよう。少々長くなる。
長年追い続けていた国際的犯罪組織・黒尽くめの組織を各国警察のエージェントたちと、とある小さな名探偵の活躍により瓦解に追いやった。多くの人々が組織の犠牲となり、僕の憧れの人であり組織の薬品開発者であった宮野エレーナも亡くなり、失ったものはあまりにも多く、大きかった。僕の公安警察の人生において大きな割合を占めていた黒尽くめの組織の瓦解は僕の生活にぽっかりと穴を開けたが、ある一つの大きな存在が太々しくどっかりと座り込んでいた。
赤井秀一だ。
当時ライというコードネームでFBIから組織に潜入していた赤井は、バーボンというコードネームでスパイとして潜り込んでいた僕とは全くそりが合わなかった。赤井は僕のことを役立たずだとでも思っていたのか顔を合わせるたびに僕を馬鹿にした態度をみせ、嫌味と睨み合いが絶えなかったのは今でもはっきりと覚えている。当時ライが同じ潜入捜査官だとは知らなかったが、態度は悪いながらも頭の切れる奴がこんな組織で燻っているなんて、と半ば嫉妬のような気持ちもあったと思う。そんな機嫌の悪い僕を宥めてくれていたのが、同じく組織に潜入してスコッチというコードネームを貰っていた幼馴染のヒロだった。
花月ゆき
DONE恋人未満の赤安。降谷さんが鈍感で自覚なし。かなり嫉妬深い赤井さんがいますので、ご注意ください。なんでも許せる方向け。お題「仲直り」 最近、赤井の様子がおかしい。
ふとしたときに、降谷は赤井の鋭い視線を感じるようになった。
ここ最近、組織の残党に動きがあり、緊張を強いられる仕事が続いていた。そのため、赤井も気が立っているのではないかとはじめは思った。だが、赤井がこうした視線を向けている先に、どうやら必ずといっていいほど自分がいるようなのだ。
他国の捜査機関の人間。自分の部下たち。公安の上層部。警察庁内で降谷が会話を交わす人間は多いが、降谷が誰と話していても、赤井の視線はまっすぐこちらへと向けられている。降谷以外の人間同士が会話をしているときは、赤井の視線は普段通りで、これといった変化はない。つまり、赤井のこの変化は自分が関係している、ということになる。
3253ふとしたときに、降谷は赤井の鋭い視線を感じるようになった。
ここ最近、組織の残党に動きがあり、緊張を強いられる仕事が続いていた。そのため、赤井も気が立っているのではないかとはじめは思った。だが、赤井がこうした視線を向けている先に、どうやら必ずといっていいほど自分がいるようなのだ。
他国の捜査機関の人間。自分の部下たち。公安の上層部。警察庁内で降谷が会話を交わす人間は多いが、降谷が誰と話していても、赤井の視線はまっすぐこちらへと向けられている。降谷以外の人間同士が会話をしているときは、赤井の視線は普段通りで、これといった変化はない。つまり、赤井のこの変化は自分が関係している、ということになる。
花月ゆき
DONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。
①https://poipiku.com/1436391/9417680.html
③https://poipiku.com/1436391/9650469.html
Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)②―コナンSide 11月―
秋を迎え、冬の訪れを感じはじめる頃。
コナンはしばらく訪れていなかった工藤邸へとやってきた。降谷からメールで、「夜ごはん作り過ぎちゃったから、コナン君も食べにおいで」と誘われたからだ。しばらく二人の顔を見ていなかったので、ちょうどよいタイミングだと思いながら、コナンは降谷の誘いに乗ることにした。
夕刻。本来の自分の自宅に辿り着くと、玄関先からすでに赤井と降谷の声が聞こえてきて、コナンは心の中でこっそりと笑う。
身体が縮む前、二人は恋人同士だった。様々な苦難もあったが、自分が知る二人は、すごく相性もよく、仲の良い関係へと落ち着きつつあった。
毒薬を飲んで中学生になってしまった二人は、記憶まで失っている。だが、二人の言葉のやり取りを聞くたびに、根は変わらないと思えるのだ。
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コナンはしばらく訪れていなかった工藤邸へとやってきた。降谷からメールで、「夜ごはん作り過ぎちゃったから、コナン君も食べにおいで」と誘われたからだ。しばらく二人の顔を見ていなかったので、ちょうどよいタイミングだと思いながら、コナンは降谷の誘いに乗ることにした。
夕刻。本来の自分の自宅に辿り着くと、玄関先からすでに赤井と降谷の声が聞こえてきて、コナンは心の中でこっそりと笑う。
身体が縮む前、二人は恋人同士だった。様々な苦難もあったが、自分が知る二人は、すごく相性もよく、仲の良い関係へと落ち着きつつあった。
毒薬を飲んで中学生になってしまった二人は、記憶まで失っている。だが、二人の言葉のやり取りを聞くたびに、根は変わらないと思えるのだ。
かとうあんこ
DONE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治をする話烏丸怪談①結末「怪談ですか?どうしてまた……まあ、ありますよ。工藤家の鉄板ネタが。あれはまだ俺が保育園に通っていた頃。父さんが珍しくホラー小説の原稿を依頼されたんです。小説って言っても長い話じゃなくて、雑誌の企画で短編を一話だけって話だったから、まぁたまには書いてみるかと引き受けたそうです。でも……結論から言うとボツになったんですよ。長年一緒に仕事をしている担当さんや校正さんでも最後まで読めなかったらしいです……怖すぎて。プロが読めない小説なんて気になりませんか?気になりますよね?原稿が読みたい?ええ、俺もそう思いました。でも見つからないんですよ、この家のどこかにあるはずなのに……」
新一くんが話し終わるのと同時に工藤邸の広い書斎を乾燥した風が横切って行った。
5687新一くんが話し終わるのと同時に工藤邸の広い書斎を乾燥した風が横切って行った。