sazanka_1031
MEMO『寒い雪の夜、待ち合わせに大遅刻するデュースをシルバーがただ待つ話』【SS】待ちぼうけ*注意書き
・成人後設定(デュースが夢を叶え、警察官になっています。)
大丈夫な方はどうぞ↓
雪の降る夜のこと。18時に待ち合わせをしようと約束した時計の針は、もう19時半を指している。
はあ、と白くなる息を吐くと、それはたちまち夜空に消えていく。いつの間にかコートも肌も、空気に触れて冷たくなっていた。
スマートフォンを取り出し、メッセージの羅列を確認する。
待ち合わせ場所についてから、10分後に送ったメッセージ。
『今、どこにいる?』
30分後に送ったメッセージ。
『何かあったのか?』
1時間後にかけてみた通話の、応答なしの文字。
『待っている』
直後に送ろうとして、やめたメッセージ。
デュースは、警察官の仕事を終えてから来ると言っていた。仕事で何かトラブルがあったのならこれ以上連絡をするのも迷惑だろうと、それ以上のことはしていない。
3074・成人後設定(デュースが夢を叶え、警察官になっています。)
大丈夫な方はどうぞ↓
雪の降る夜のこと。18時に待ち合わせをしようと約束した時計の針は、もう19時半を指している。
はあ、と白くなる息を吐くと、それはたちまち夜空に消えていく。いつの間にかコートも肌も、空気に触れて冷たくなっていた。
スマートフォンを取り出し、メッセージの羅列を確認する。
待ち合わせ場所についてから、10分後に送ったメッセージ。
『今、どこにいる?』
30分後に送ったメッセージ。
『何かあったのか?』
1時間後にかけてみた通話の、応答なしの文字。
『待っている』
直後に送ろうとして、やめたメッセージ。
デュースは、警察官の仕事を終えてから来ると言っていた。仕事で何かトラブルがあったのならこれ以上連絡をするのも迷惑だろうと、それ以上のことはしていない。
sazanka_1031
PAST前唐突に晒したSS。シルデュがお互い運命じゃないけどそれでもお互いがいいって思う話。【SS】お前の運命は俺じゃない【シルデュ】「……すいません、愚痴ばかり言って。ちょっと、不安になっちゃってたみたいです。やっぱり、僕は先輩とは釣り合わないっていうか、運命……とか、お似合いじゃない、って、どうにも悪い方にばっかり考えてしまって……」
ダメですよね、と誤魔化すように笑うと、シルバー先輩の手に、強く腕を掴まれた。その表情を見た瞬間、僕は驚いた。だって、その目には、見たことのないもの……涙が浮かんでいたから。
「お前は、……お前は、いつもそうだ」
「……え?」
「きっと自分は運命の相手じゃないと悩んでいるのも、もっと傍にいたいと願ってしまうのも、いつか離れる日を考えて、それに涙しているのも、お前は、自分だけだ、自分ばかりだと思っているだろう……っ!!」
1063ダメですよね、と誤魔化すように笑うと、シルバー先輩の手に、強く腕を掴まれた。その表情を見た瞬間、僕は驚いた。だって、その目には、見たことのないもの……涙が浮かんでいたから。
「お前は、……お前は、いつもそうだ」
「……え?」
「きっと自分は運命の相手じゃないと悩んでいるのも、もっと傍にいたいと願ってしまうのも、いつか離れる日を考えて、それに涙しているのも、お前は、自分だけだ、自分ばかりだと思っているだろう……っ!!」
kurutta_ningen2
DONE深エジWEBオンリー『星と成るキミに栄光を』に展示させていただいているSSです。タイトル通り深エジに巻き込まれる不憫な松です。
パスワード:深エジ背番号を続けて 8
kurutta_ningen2
DONE風邪を引いて二日程学校を休んでいた深津さんが、ピョンしか話せなくなっていた(タイトル)ピョンしか話せなくなった深とそれに振り回される沢のお話
pass:深エジ背番号 7
haramiLunch
DOODLEキラキスのケーキ🎂アンケートにお付き合い頂きありがとうございました🙇♀️いろいろ(シャニライとの別れ)(映画告知)あって上げられていなかった小話2つを掲載させていただきます
これらを書いたあとに高…屋の件をテレビで見て、なんと間が悪いんだと思いましたがもう書き直す気力もないのでそのまま上げます…😇 4
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄️⛸バックハグして、言いたいことだけ言って、言い逃げする勇利くんに振り回されてしまうヴィクトルのお話😊
ふわっとしたお話になったので、ポイピクにあげます。ふわっと読んでくださるとありがたいです。
うかれたびくゆう。
「油断ならない」
「油断ならない」 おれが愛弟子である勇利と付き合い始めて知ったことが二つある。
一つ目は、おれのことを、おれが思った以上に好きでいてくれたこと。そして二つ目は、その愛情表現がとてつもなく不器用なこと、だ。
「びくとる!」
「わっ…! ユウリ、どうしたの?」
リビングのソファーに座るおれの背中に、とん、と小さな衝撃がある。振り向けば、満面の笑みを浮かべた恋人の姿があった。
「びっくりした?」
「うん。すごく驚いたよ」
最近のユウリは、どうやらおれの後ろから気づかれないように近づき、ハグするのがマイブームらしい。驚くほどに可愛い。天使かな。
愛しい恋人は、おれが手にしていた紙の束を指しながら、首を傾けた。
「ヴィクトル、今、何してるの?」
1316一つ目は、おれのことを、おれが思った以上に好きでいてくれたこと。そして二つ目は、その愛情表現がとてつもなく不器用なこと、だ。
「びくとる!」
「わっ…! ユウリ、どうしたの?」
リビングのソファーに座るおれの背中に、とん、と小さな衝撃がある。振り向けば、満面の笑みを浮かべた恋人の姿があった。
「びっくりした?」
「うん。すごく驚いたよ」
最近のユウリは、どうやらおれの後ろから気づかれないように近づき、ハグするのがマイブームらしい。驚くほどに可愛い。天使かな。
愛しい恋人は、おれが手にしていた紙の束を指しながら、首を傾けた。
「ヴィクトル、今、何してるの?」
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸お互い一人暮らし。初夜を迎えた付き合いたてのヴィク勇が、ちょっとしたやりとりの勘違いから二度目の幸せセッ……をすることになる平和なお話です😊
2回目には夢がある。
びくゆう、すれ違わせすぎて、コントみたいになってないかそれはそれで心配になってきた今日この頃です😇
「勘違いでも」 まぶたの裏まで貫くような強い光。あまりに深い眠りから勇利が目覚めたのは、小さな電子音が、ピコンと耳元で鳴ったからであった。二、三度瞬きをした直後、一気に現実感を取り戻した青年は、ベッドの上から勢いよく身を起こし、手元のスマホへと目を落とした。
『ユウリ、おはよう。予定通り、十一時に迎えに行くけど大丈夫? デート楽しみにしてるね!』
「まずい……!」
ヴィクトルからのメッセージアプリ通知、現在の時刻は――十時五十分だ。
「……やっちゃった……」
青年は、深いため息をついた。昨夜、夕食後にヴィクトルと別れて一人暮らしの家に帰ってから、あまりの眠さにシャワーも浴びずに寝落ちしてしまっていたらしい。太い眉をへにゃりと下げて、慌てて返信をする勇利。
2209『ユウリ、おはよう。予定通り、十一時に迎えに行くけど大丈夫? デート楽しみにしてるね!』
「まずい……!」
ヴィクトルからのメッセージアプリ通知、現在の時刻は――十時五十分だ。
「……やっちゃった……」
青年は、深いため息をついた。昨夜、夕食後にヴィクトルと別れて一人暮らしの家に帰ってから、あまりの眠さにシャワーも浴びずに寝落ちしてしまっていたらしい。太い眉をへにゃりと下げて、慌てて返信をする勇利。
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸恋人になりたての二人。「恋人」としての距離感にまだ戸惑っている勇利くんが、勇気を出して自分からヴィクトルと触れ合うお話です😊
「おれは君のものなので」「ヴィクトル、何か怒ってる?」
意思の強そうな眉を少しだけ下げた恋人がそう声をかけてきたのは、誰もいなくなったチムピオーンのリンクサイド、帰り支度が終わり荷物を背負ったその瞬間だった。
「え? 急にどうしたの?」
心あたりがなさすぎたおれは首を傾げる。今日の練習で厳しくしすぎたかと心配していると、予想に反して頬を染めた――すっかりオフモードのユウリが、唇を尖らせながら言葉を紡いだ。
「だって……最近、ヴィクトルからハグとかキ……スとかしてくれないから、僕、何か変なことしちゃったのかなって……」
「――それは、」
紆余曲折を経て、おれとユウリが「恋人」として付き合い始めたのはつい最近のこと。
おれはずっとユウリのことが大好きで、時間をかけて口説き落として、ようやく手に入れた愛しい子だ。手放すつもりなんて、あるはずがない。しかし、そんな中でおれからのスキンシップが減っていることは事実だった。
2404意思の強そうな眉を少しだけ下げた恋人がそう声をかけてきたのは、誰もいなくなったチムピオーンのリンクサイド、帰り支度が終わり荷物を背負ったその瞬間だった。
「え? 急にどうしたの?」
心あたりがなさすぎたおれは首を傾げる。今日の練習で厳しくしすぎたかと心配していると、予想に反して頬を染めた――すっかりオフモードのユウリが、唇を尖らせながら言葉を紡いだ。
「だって……最近、ヴィクトルからハグとかキ……スとかしてくれないから、僕、何か変なことしちゃったのかなって……」
「――それは、」
紆余曲折を経て、おれとユウリが「恋人」として付き合い始めたのはつい最近のこと。
おれはずっとユウリのことが大好きで、時間をかけて口説き落として、ようやく手に入れた愛しい子だ。手放すつもりなんて、あるはずがない。しかし、そんな中でおれからのスキンシップが減っていることは事実だった。
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸あたり前の日常過ぎて、公衆の面前で「あーん」をしてしまうヴィク勇のお話😊
いつもの平和なバカップル💜💙
「いつも通り過ぎたので」 チムピオーンの午後は、いつも平和だ。けれど、ヴィクトル・ニキフォロフの教え子として勝生勇利が同じリンクを使用するようになってから、その平穏はわずかながら乱される瞬間があった。
「あいつら、いつもくっついてるよな……」
「もう見慣れたわ」
練習合間の休憩中――スケートリンクの壁面に背を預けたユーリとミラは、とある光景を同時に見つめながら苦笑いを浮かべた。その視線の先に見えるものは――ヴィクトルと勇利、二人の姿であった。
「ヴィクトル、今のとこ、どうだった?」
「悪くはないと思うけど、ちょっとしっくりこないんだよね」
今期プログラムの全体構成を考えているようで、一曲流して滑った勇利が、エッジカバーをつけながらリンクサイドのコーチのところへやってくる。
1677「あいつら、いつもくっついてるよな……」
「もう見慣れたわ」
練習合間の休憩中――スケートリンクの壁面に背を預けたユーリとミラは、とある光景を同時に見つめながら苦笑いを浮かべた。その視線の先に見えるものは――ヴィクトルと勇利、二人の姿であった。
「ヴィクトル、今のとこ、どうだった?」
「悪くはないと思うけど、ちょっとしっくりこないんだよね」
今期プログラムの全体構成を考えているようで、一曲流して滑った勇利が、エッジカバーをつけながらリンクサイドのコーチのところへやってくる。
meganeuo0713ul
DONEウルトラふわふわワールド1019話『ふわふわエックスのハロウィン肝試し』登場ふわ
ふわっクス…F市W町 A家を守るふわふわ。住む家主の家は古めの日本家屋。タタミに敷いた座布団の上での昼寝をこよなく愛す。今日は新兵器4Kアクションカメラを装備し上機嫌。
ふわコスモス…F寺住まいのふわふわ。とても穏やかな調子で話すが色々鋭い。 6
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸恋人に甘えたい気分の勇利くんが、ヴィクトルに構ってほしくて甘噛みするけど返り討ちにあう話😊(オチが見えるけど可愛いから書きたかった)
行為中、キュートアグレッション的に噛んでしまうヴィクトルと、構ってほしくてかぷかぷしてしまう勇利くん🐾
「甘噛み」 リビングのデスクに広げた資料とパソコンを前に、おれが仕事に苦しめられていたとある深夜のこと――きい、と扉の軋む音が静かな空間に響いた。はっとして振り返れば、ドアの隙間から室内を覗き込むパジャマ姿の恋人の姿が見えて、おれは目を細めた。
「ユウリ。どうしたの?」
「……ヴィクトル、まだ寝ないの?」
意思の強そうな眉が、かなしげに下がってるのを見て、罪悪感が刺激される。
「うん、ごめんね。もうちょっとかかるよ」
「さっきも、それ聞いた。ねえ、ヴィクトル。もう今日は一緒に寝ようよ」
おれの返事に、勝生家の末っ子は少しだけ唇を尖らせて裸足の足でペタペタと部屋の中に入り込んでくる。
おれの隣に座り、ぎゅっとTシャツの裾を掴んでくる恋人の仕草に気持ちがゆらいだが、拒絶には聞こえないようにできるだけ優しい声で言った。
1196「ユウリ。どうしたの?」
「……ヴィクトル、まだ寝ないの?」
意思の強そうな眉が、かなしげに下がってるのを見て、罪悪感が刺激される。
「うん、ごめんね。もうちょっとかかるよ」
「さっきも、それ聞いた。ねえ、ヴィクトル。もう今日は一緒に寝ようよ」
おれの返事に、勝生家の末っ子は少しだけ唇を尖らせて裸足の足でペタペタと部屋の中に入り込んでくる。
おれの隣に座り、ぎゅっとTシャツの裾を掴んでくる恋人の仕草に気持ちがゆらいだが、拒絶には聞こえないようにできるだけ優しい声で言った。
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸付き合って長いふたり。ちょっとさびしい気持ちでヴィクトルの帰りを待つ勇利くんが誤爆をやらかしてしまうけど、ヴィクトルがただただ嬉しいお話😇
いつものバカップル💍✨
#ヴィク勇
「みんな知ってた」
みんな知ってた 現在の時刻はもう二十三時――夜も随分と更けた頃、家主がいないニキフォロフ邸のリビングには、寄り添うふたつの影があった。
「ヴィクトル遅いねえ、マッカチン」
「わふ……」
ふわふわのブランケットを肩から羽織り、ソファーに座る勇利が時計を見上げながら呟く。そんな青年の膝の上、溶けるように顎を乗せて伸びている大きな毛玉は、仲良しのマッカチンだ。
「ヴィクトルは、先に寝てて良いって言ってたけど……」
遅くなると思うから、先にご飯食べて寝ててね――と恋人であるヴィクトルから連絡があったのは約四時間前。勇利は、深いため息をついた。
「ヴィクトルの顔見て、安心したいよね。マッカチンも、いつもこんな気持ちでヴィクトルのこと待ってたの?」
2462「ヴィクトル遅いねえ、マッカチン」
「わふ……」
ふわふわのブランケットを肩から羽織り、ソファーに座る勇利が時計を見上げながら呟く。そんな青年の膝の上、溶けるように顎を乗せて伸びている大きな毛玉は、仲良しのマッカチンだ。
「ヴィクトルは、先に寝てて良いって言ってたけど……」
遅くなると思うから、先にご飯食べて寝ててね――と恋人であるヴィクトルから連絡があったのは約四時間前。勇利は、深いため息をついた。
「ヴィクトルの顔見て、安心したいよね。マッカチンも、いつもこんな気持ちでヴィクトルのこと待ってたの?」
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸こっそりと隠れて、なぜか楽しそうにスマホを眺めるようになった勇利くんに不安を覚えたがヴィクトル、最終には圧倒的にhappyになるおはなし😇🌸
ヴィ「ケータイ見せて?」
結局は君のこと ここ一週間、ユウリの様子がおかしい。
どこか幸せそうに微笑みながら、スマホの画面を眺めるようになった。何を見ているのかと何気なく尋ねれば、なんでもないよとはぐらかされてしまう。――どうして、ごまかす必要があるんだろう。
休憩中、ベンチに腰掛けて楽しげにスマホを見つめる恋人を、おれはリンク上から見守った。
「……まさか、おれ以外に好きな人が?」
ぽつりと呟いて、慌てて首を振る。ユウリに限って浮気なんてありえない。何よりこの一週間、おれたちは公私共にずっと一緒にいた。おれ以外の誰かと出会う暇なんてないはずだ。
「ユウリ! もう、休憩終われる?」
「え?! あっ、はいっ……!」
声をかければ、驚いたようにびくんと肩をすくめるユウリ。大切そうにスマホを置いてエッジカバーを外す恋人の姿を見つめながら、おれは、今夜、「決着」を付けることに決め、人知れず深く息を吐いた。
1890どこか幸せそうに微笑みながら、スマホの画面を眺めるようになった。何を見ているのかと何気なく尋ねれば、なんでもないよとはぐらかされてしまう。――どうして、ごまかす必要があるんだろう。
休憩中、ベンチに腰掛けて楽しげにスマホを見つめる恋人を、おれはリンク上から見守った。
「……まさか、おれ以外に好きな人が?」
ぽつりと呟いて、慌てて首を振る。ユウリに限って浮気なんてありえない。何よりこの一週間、おれたちは公私共にずっと一緒にいた。おれ以外の誰かと出会う暇なんてないはずだ。
「ユウリ! もう、休憩終われる?」
「え?! あっ、はいっ……!」
声をかければ、驚いたようにびくんと肩をすくめるユウリ。大切そうにスマホを置いてエッジカバーを外す恋人の姿を見つめながら、おれは、今夜、「決着」を付けることに決め、人知れず深く息を吐いた。
雪ノ下
MEMO2023.08.08『🍮が🚬の看病をする話』再録Main:KURONO・MASHIRO
クロノがマシロの看病をする話この熱が疲労によるものなのか、己への腹立たしさからくるものなのかわからない。それほど今の状態に苛立っていた。
「……最悪」
わかりやすく熱をだすのはいつぶりだろう。不摂生を自覚しながら体調を崩さないのをいい事に適当な生活を放置していた。体の強さを過信していたのが仇になったか。
今日は本当なら揃って新曲のリハをするはずだった。
よりにもよって、なんだってこの大事な時期に。
ため息をついて寝返りをうつと、室内に来客を知らせるチャイムの音が響く。どうせ新聞の営業か何かだろう。無視していればそのうちいなくなる……と、軽く考えていたのだが。
ピンポーン ピピピピンポーン
「……うるさ」
その業者は有り得ないくらいしつこかった。布団を頭から被り抵抗してみるものの、リズミカルなチャイム音が止むことはない。ただでさえ調子が悪いというのにこう連打されてはますます頭が痛くなる。あまりのしつこさに耐えきれなくなって、仕方なくベッドから這い出した。
3923「……最悪」
わかりやすく熱をだすのはいつぶりだろう。不摂生を自覚しながら体調を崩さないのをいい事に適当な生活を放置していた。体の強さを過信していたのが仇になったか。
今日は本当なら揃って新曲のリハをするはずだった。
よりにもよって、なんだってこの大事な時期に。
ため息をついて寝返りをうつと、室内に来客を知らせるチャイムの音が響く。どうせ新聞の営業か何かだろう。無視していればそのうちいなくなる……と、軽く考えていたのだが。
ピンポーン ピピピピンポーン
「……うるさ」
その業者は有り得ないくらいしつこかった。布団を頭から被り抵抗してみるものの、リズミカルなチャイム音が止むことはない。ただでさえ調子が悪いというのにこう連打されてはますます頭が痛くなる。あまりのしつこさに耐えきれなくなって、仕方なくベッドから這い出した。
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸真夜中、悪夢から目覚めた勇利くんを、優しく慰めるヴィクトルの短いおはなし😊
眠れない夜。心が騒がしい夜。
なにか辛いことがあった日も、
二人の迎える夜が、いつも幸せなものであるといい💍🌙✨
さいごのときは 隣で眠っていたはずの恋人が、突然ベッドから身を起こしたのは、夜ももう随分と更けた頃のことだった。闇の中に響く、乾いた荒い呼吸と衣擦れの音。薄く目を開けば、激しく肩を上下させながら胸を押さえているユウリの姿が見えた。
「……ユウリ? どうしたの、」
上体を起こそうとしたが、それよりも早く、全身の力が抜けたようなユウリの身体が、シーツの上にどさりと倒れ込んでくる。沈み込む恋人の肢体を、慌てて腕の中に抱き込んだ。わずかに凍えた背中が冷たい。掠れた声が、呟くように言った。
「……びくとる、」
「なに?」
吐息が触れるほどの距離で、ユウリはおれの名を呼ぶ。その指先がおれの頬を静かになぞる。
「……僕と『お別れ』する時はさあ、」
1092「……ユウリ? どうしたの、」
上体を起こそうとしたが、それよりも早く、全身の力が抜けたようなユウリの身体が、シーツの上にどさりと倒れ込んでくる。沈み込む恋人の肢体を、慌てて腕の中に抱き込んだ。わずかに凍えた背中が冷たい。掠れた声が、呟くように言った。
「……びくとる、」
「なに?」
吐息が触れるほどの距離で、ユウリはおれの名を呼ぶ。その指先がおれの頬を静かになぞる。
「……僕と『お別れ』する時はさあ、」
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸某動画サイトの個人チャンネルにて、毎回お騒がせをする勇利くんと結局惚気けるヴィクトルのお話😊
くるっぷにてネタを呟いたところ、お声がけ頂いたのが嬉しかったので書いてみました🙏✨ありがとうございました🙇
お騒がせ勇利くん チムピオーンのリンク、その建物内にあるミーティングルームでは、珍しく眉を吊り上げたヴィクトルと肩を落とした勇利が、テーブルを挟んで向かいあっていた。
「ユウリ、これ、ちゃんと反省してる?」
愛弟子に見えるよう、画面を上にしてスマホをテーブルの上に置くヴィクトル。そこに映し出されたのは、とある動画サイトに開設された「勝生勇利」の個人チャンネルである――真っ黒なサムネイルに『大切なお知らせ』という白文字がなんとも物々しい。
その新着動画が、今回『騒動』を引き起こした。「証拠」を突き付けられた青年は、深々とコーチに頭を下げる。
「……本当にお騒がせしました」
「この動画、実際どんな内容だったっけ?」
「……SNSアカウント開設のお知らせです」
4140「ユウリ、これ、ちゃんと反省してる?」
愛弟子に見えるよう、画面を上にしてスマホをテーブルの上に置くヴィクトル。そこに映し出されたのは、とある動画サイトに開設された「勝生勇利」の個人チャンネルである――真っ黒なサムネイルに『大切なお知らせ』という白文字がなんとも物々しい。
その新着動画が、今回『騒動』を引き起こした。「証拠」を突き付けられた青年は、深々とコーチに頭を下げる。
「……本当にお騒がせしました」
「この動画、実際どんな内容だったっけ?」
「……SNSアカウント開設のお知らせです」
ツ。(月灯)
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◆1.辰豊で今日のお題は『それでは皆様、良き余生を!』です。
「お前、あの時、なんで死のうとしたんだよ」
「あの場面で生き残っても仕方ねぇだろ」
ゆるやかに立ち上る煙を見つめながら豊は視線を合わせない。まっすぐ過ぎる視線に貫かれれば何かが崩壊してしまいそうで。
「生き残ったんだから、生きろよ」
「……さてね」
良き余生を過ごせるかどうか、それは目の前の相手にかかっているような予感が煙とともに通り過ぎていった。
◆2.辰豊で今日のお題は『誰かの代用品』です。
誰も誰かの代わりになんてなれないと知ることは大人になるための儀式の1つなのだろうか。
同じ高さの目線、短くて硬い髪、でかい手の平、骨太な身体。
余りにも違いすぎて代わりになんてなるはずが無かった。
3064「お前、あの時、なんで死のうとしたんだよ」
「あの場面で生き残っても仕方ねぇだろ」
ゆるやかに立ち上る煙を見つめながら豊は視線を合わせない。まっすぐ過ぎる視線に貫かれれば何かが崩壊してしまいそうで。
「生き残ったんだから、生きろよ」
「……さてね」
良き余生を過ごせるかどうか、それは目の前の相手にかかっているような予感が煙とともに通り過ぎていった。
◆2.辰豊で今日のお題は『誰かの代用品』です。
誰も誰かの代わりになんてなれないと知ることは大人になるための儀式の1つなのだろうか。
同じ高さの目線、短くて硬い髪、でかい手の平、骨太な身体。
余りにも違いすぎて代わりになんてなるはずが無かった。
ツ。(月灯)
MAIKINGエイ○アンズエ○アの豊写140+α字SS倉庫追加していくスタイル
◆1.豊写で今日のお題は『はんぶんこ』です。
「知らないかい?日本で1番有名なわけっこアイス」
写楽の差し出した、瓶の形を模倣したアイスの片割れ。
「…あのバカの入れ知恵だろ」
写楽の生立ちを思い返せば自主的に食べてるとは想像し難い。
「この前分けてもらってね、美味しかったから」
美味しいと思った物を共有する。ただそれだけのことが二人にとって喜びになるまで、まだ時間が必要だった。
◆2.豊写で今日のお題は『忘れられないのです』です。
「それは仕方の無いことだね」
そんな聞き分けのいい台詞が聞きたいわけじゃなかった。どうしても消えない炎が胸に燻る。
「ちゃんとフラれてくればよかったのに」
もう出来ないことだから意味は無いと知っていても口にする写楽にこれ以上なにも言わせたくなくて、ただ乱暴にその唇を塞いだ。
3172「知らないかい?日本で1番有名なわけっこアイス」
写楽の差し出した、瓶の形を模倣したアイスの片割れ。
「…あのバカの入れ知恵だろ」
写楽の生立ちを思い返せば自主的に食べてるとは想像し難い。
「この前分けてもらってね、美味しかったから」
美味しいと思った物を共有する。ただそれだけのことが二人にとって喜びになるまで、まだ時間が必要だった。
◆2.豊写で今日のお題は『忘れられないのです』です。
「それは仕方の無いことだね」
そんな聞き分けのいい台詞が聞きたいわけじゃなかった。どうしても消えない炎が胸に燻る。
「ちゃんとフラれてくればよかったのに」
もう出来ないことだから意味は無いと知っていても口にする写楽にこれ以上なにも言わせたくなくて、ただ乱暴にその唇を塞いだ。
ツ。(月灯)
MAIKINGエイ○アンズエ○アの辰写140+α字SS倉庫追加していくスタイル
◆1.辰写で今日のお題は『嘘吐きの恋』です。
最近自分がわからねぇ。相棒で、運命共同体だと言ってくれた写楽を見てると腹の辺りがムズムズする。コンビだから共に事件に向かえば、集中していればやりすごせるのに書類を渡す時に触れた手だとか俺の弁当をつまみ食いにきた期待に満ちた笑顔とか。なんでもねぇことだと必死に言い聞かせていた。
嘘をつくのは主義ではないね。言わないこともあるし流し方も心得ている。必要なら言えない訳では無いけれど、これは必要なのか不要なのか判断が難しい。相棒の真っ直ぐな目と熱情に返す応えに嘘を混ぜていいのか混ぜた方がいいのか、こんな難題は久しぶりで少し心が踊ったことは黙っておこう。
◆2.辰写で今日のお題は『またあとで』です。
4110最近自分がわからねぇ。相棒で、運命共同体だと言ってくれた写楽を見てると腹の辺りがムズムズする。コンビだから共に事件に向かえば、集中していればやりすごせるのに書類を渡す時に触れた手だとか俺の弁当をつまみ食いにきた期待に満ちた笑顔とか。なんでもねぇことだと必死に言い聞かせていた。
嘘をつくのは主義ではないね。言わないこともあるし流し方も心得ている。必要なら言えない訳では無いけれど、これは必要なのか不要なのか判断が難しい。相棒の真っ直ぐな目と熱情に返す応えに嘘を混ぜていいのか混ぜた方がいいのか、こんな難題は久しぶりで少し心が踊ったことは黙っておこう。
◆2.辰写で今日のお題は『またあとで』です。
yuakanegumo
DONE両片想いヴィク勇❄⛸ヴィクトルが勇利くんの唇ケアをするようになったきっかけのお話😊
何でも許しちゃう勇利くんが、ちょっと心配になるヴィクトルだけど、結果的にハッピーエンド🥰
無防備な君のはなし その時、なぜ唇を見つめていたのかとユウリ本人に聞かれたら、おれは何も答えられなかったに違いない――君のことを、恋愛対象として愛してしまっただなんて。
「ユウリ、唇荒れてない? リップとか持ってる?」
貸し切りの空間。リンクサイドのベンチに並んで座りながら、おれはふとユウリに尋ねた。自らの唇に触れた教え子は、かさりとしたその乾いた感触にいきあたり、意思の強そうな眉を下げた。
「リップ、持ってないです……」
分かりやすくしゅんと肩を落としてしまうユウリ。うつむいて、黒髪の隙間からちらりとおれの顔を覗く仕草が、まるで悪戯をしてしまった子犬のようで可愛いらしくて、思わず笑ってしまった。
「だろうね。待ってて。おれがやってあげるよ」
1747「ユウリ、唇荒れてない? リップとか持ってる?」
貸し切りの空間。リンクサイドのベンチに並んで座りながら、おれはふとユウリに尋ねた。自らの唇に触れた教え子は、かさりとしたその乾いた感触にいきあたり、意思の強そうな眉を下げた。
「リップ、持ってないです……」
分かりやすくしゅんと肩を落としてしまうユウリ。うつむいて、黒髪の隙間からちらりとおれの顔を覗く仕草が、まるで悪戯をしてしまった子犬のようで可愛いらしくて、思わず笑ってしまった。
「だろうね。待ってて。おれがやってあげるよ」
あかぎ(利便事屋のすがた)
DONE久方ぶりの小説です。夏休み前に急に思い立って書いたのはいいけど、最初の下書きから状況やら心理やらの描写の追加及びリテイクですっかり遅れてしまいましたがようやく完成しました。ちなみに時系列的にはこのマンガ
https://seiga.nicovideo.jp/watch/mg579856 (全12話)
の後日談です
ミ~ンミンミンミン‥
暦の上ではとうに立秋を過ぎてはいるものの、日本の気候は未だ猛暑の空気が漂っている。それは今、オーサム・ワンとシュンのSPトリオが滞在しているこの地でも変わらなかった。
ここは都心にある小さな墓地。シュンの亡き母、シオリが眠りし地でもある。カザミ一族所有の墓もある事にはあるのだが、周囲の反対を押し切ってイチローと結婚した彼女の事を今なおも快く思わない者もいるためか、最終的には彼が私財を使ってここに建てたのだった。う~ん、金持ちの家系ってつくづく面倒くさい。
シュンも数年前に自分がロスヴォルモスに赴くまでは日々、社長業で多忙を極める父に代わり、お盆と命日の度にトシと一緒に墓参りによく来ていたのだが、父も父でこっそりと花束だけは添えていくようで、二人がここに来た時には既に花束が添えられていた事が何度かあったものの、愛する妻を亡くしたトラウマを掘り起こすようでそれ以上は言及できなかったのだ。
6556暦の上ではとうに立秋を過ぎてはいるものの、日本の気候は未だ猛暑の空気が漂っている。それは今、オーサム・ワンとシュンのSPトリオが滞在しているこの地でも変わらなかった。
ここは都心にある小さな墓地。シュンの亡き母、シオリが眠りし地でもある。カザミ一族所有の墓もある事にはあるのだが、周囲の反対を押し切ってイチローと結婚した彼女の事を今なおも快く思わない者もいるためか、最終的には彼が私財を使ってここに建てたのだった。う~ん、金持ちの家系ってつくづく面倒くさい。
シュンも数年前に自分がロスヴォルモスに赴くまでは日々、社長業で多忙を極める父に代わり、お盆と命日の度にトシと一緒に墓参りによく来ていたのだが、父も父でこっそりと花束だけは添えていくようで、二人がここに来た時には既に花束が添えられていた事が何度かあったものの、愛する妻を亡くしたトラウマを掘り起こすようでそれ以上は言及できなかったのだ。
yuakanegumo
DONE恋人ヴィク勇❄⛸残り香。恋人の香りで安心したい勇利くんとそんな恋人が可愛くて仕方ないヴィクトルのお話😊
こんな幸せが二人にずっと続くといい。
ハッピーヴィク勇💜💙
あなたの香りは 恋人とふたり、寝支度を済ませて、あとは眠るだけとなった夜はあまりにも幸せだ――おれとユウリは、そんな贅沢な時間を過ごしていた。
リビングのソファーで何気ない会話を楽しむおれたちの足元でマッカチンはゆったりとくつろぎ、ユウリは明日の荷物の準備をしている。そんな愛弟子を見て、たまらずにちくりと心が痛んだ。
「……ユウリ、ごめんね」
「え? 何が?」
「最近、なかなか一緒に練習できなくて。明日も取材が入ってるから、リンクに行けるの、夕方くらいになりそうなんだ」
コーチと選手の2足わらじ、覚悟していたことではあったけど、ユウリも辛いのではないだろうか――そう思いながら告げた言葉に、少しだけ不思議そうにアーモンド色の瞳を瞬かせたユウリは、あまりにもあっさりと言い放ったのだ。
1253リビングのソファーで何気ない会話を楽しむおれたちの足元でマッカチンはゆったりとくつろぎ、ユウリは明日の荷物の準備をしている。そんな愛弟子を見て、たまらずにちくりと心が痛んだ。
「……ユウリ、ごめんね」
「え? 何が?」
「最近、なかなか一緒に練習できなくて。明日も取材が入ってるから、リンクに行けるの、夕方くらいになりそうなんだ」
コーチと選手の2足わらじ、覚悟していたことではあったけど、ユウリも辛いのではないだろうか――そう思いながら告げた言葉に、少しだけ不思議そうにアーモンド色の瞳を瞬かせたユウリは、あまりにもあっさりと言い放ったのだ。