はもん
DONE・「魔法の鏡なんてないよ」の続き・初デートするルシアラ
・当て馬ヴォックス
赤の指先 自身の感情を理解したルシファーは混乱の最中にあった。
(私が、アラスターを好き? 恋をしていると? まさか、そんな。ハハッ。だって、あのアラスターだぞ? あの……)
テーブルを挟んだ向かい側。ソファで寛ぎながら、アラスターはロックグラスを傾けていた。
ルシファーが持ってきたウィスキーは気に入ったらしい。眦を緩めながら、ラジオパーソナリティらしく喋り続けている。
「……かわいい」
『何か言いました?』
「いやっ。この生ハム美味いなって」
『そうでしょう』
自慢げに頷く様は幼い子どものようだった。たいそう可愛いらしいく見えて、ルシファーは掌で目を覆う。
なんてこった。アラスターが輝いて見える。彼の一挙手一投足が愛おしくて仕方がない。なんだか彼の周りにピンクのエフェクトも見えてきた。重症だ。
8277(私が、アラスターを好き? 恋をしていると? まさか、そんな。ハハッ。だって、あのアラスターだぞ? あの……)
テーブルを挟んだ向かい側。ソファで寛ぎながら、アラスターはロックグラスを傾けていた。
ルシファーが持ってきたウィスキーは気に入ったらしい。眦を緩めながら、ラジオパーソナリティらしく喋り続けている。
「……かわいい」
『何か言いました?』
「いやっ。この生ハム美味いなって」
『そうでしょう』
自慢げに頷く様は幼い子どものようだった。たいそう可愛いらしいく見えて、ルシファーは掌で目を覆う。
なんてこった。アラスターが輝いて見える。彼の一挙手一投足が愛おしくて仕方がない。なんだか彼の周りにピンクのエフェクトも見えてきた。重症だ。
はもん
DONE・「彼を知る前に己を知れ」の続き・ルシファーが恋心を自覚する話
・ニフティは素敵なレディ
魔法の鏡なんてないよ ルシファーの小っ恥ずかしい宣言から数週間。進捗は芳しくなかった。
まず、アラスターは普通に忙しかった。
ホテルの[[rb:あるじ > ・・・]]なんて言うだけあって、ホテルの裏方業務をほとんど一人でこなしている。経理などの事務作業から来客(冷やかしがほとんど)対応、細々とした雑務の処理など、とにかくやることが多い。これでもホテルが新しくなってかなりマシになったらしいので、あのオンボロホテルがどうしてオンボロのままだったか理由が知れた。
そして、彼にはラジオ放送もある。スタッフはいないので放送に伴う作業は彼一人で全てこなす必要があった。番組の構成を考えたり、お便りコーナーの手紙やファンレターを確認したり、機械のメンテナンスをしたり等。
6525まず、アラスターは普通に忙しかった。
ホテルの[[rb:あるじ > ・・・]]なんて言うだけあって、ホテルの裏方業務をほとんど一人でこなしている。経理などの事務作業から来客(冷やかしがほとんど)対応、細々とした雑務の処理など、とにかくやることが多い。これでもホテルが新しくなってかなりマシになったらしいので、あのオンボロホテルがどうしてオンボロのままだったか理由が知れた。
そして、彼にはラジオ放送もある。スタッフはいないので放送に伴う作業は彼一人で全てこなす必要があった。番組の構成を考えたり、お便りコーナーの手紙やファンレターを確認したり、機械のメンテナンスをしたり等。
はもん
DONE・「ルームツアー・アフター」の続き・ルシ→(←)アラ
・暴力表現あり
彼を知り己を知れば百戦殆うからず 食後のティーブレイク(コーヒーブレイク)に至るまで、ルシファーは少しだけアラスターという悪魔を知った。食の好みや利き手など細やかなものばかりだが、ルシファーの罪悪感を刺激するには十分だった。
剥き出して捻じ曲がっている基礎を一瞥し、小さな傷がそこかしこに付いているテーブルから目を逸らし、ルシファーは徐に口を開いた。
「あー……実はな、アラスター。申し訳ないんだが、君の部屋とか、このテラスとかが、その……こんな感じなのはな。わざとやったんだ」
──嫌がらせで。
言い訳もせず罪を告白する地獄の王。対して鹿の悪魔は、天気の話題を振られたかのように自然と『知ってますよ』と頷いた。
「え? 知ってた? 何を?」
9963剥き出して捻じ曲がっている基礎を一瞥し、小さな傷がそこかしこに付いているテーブルから目を逸らし、ルシファーは徐に口を開いた。
「あー……実はな、アラスター。申し訳ないんだが、君の部屋とか、このテラスとかが、その……こんな感じなのはな。わざとやったんだ」
──嫌がらせで。
言い訳もせず罪を告白する地獄の王。対して鹿の悪魔は、天気の話題を振られたかのように自然と『知ってますよ』と頷いた。
「え? 知ってた? 何を?」
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DONE・「ルームツアー」の続き・ルシ→(←)アラ
・匠に弱い地獄の王と、礼儀礼節は重んじるラジオデーモン
ルームツアー・アフター ホテル復活記念ラジオは恙無く終了した。途中でペンタグラムシティが停電したりしたが、たまにあることだ。特にここ半年ほどは。
「ON AIR」のネオンが消えたラジオブースで、ルシファーは興奮を顕に拍手を送った。
「いや、凄い。凄いな君は!」
ラジオの放送現場を見るのは初めてではない。なんならラジオ全盛期の時代には、ゲストとして出演したこともある(罪人メディアとは別の、地獄産まれの悪魔が運営するメディアにだ)。全体的にノリが合わなかったので一度しか出たことはないが。そんな地獄の王にとっても、アラスターの手腕は素晴らしいものだった。
豊富な語彙。教養の深さが窺い知れる知識の幅広さ。嫌味と皮肉を交えながらの語り口は流暢であり、声音の高低や強弱を巧みに扱って言葉の印象をコントロールしている。
6103「ON AIR」のネオンが消えたラジオブースで、ルシファーは興奮を顕に拍手を送った。
「いや、凄い。凄いな君は!」
ラジオの放送現場を見るのは初めてではない。なんならラジオ全盛期の時代には、ゲストとして出演したこともある(罪人メディアとは別の、地獄産まれの悪魔が運営するメディアにだ)。全体的にノリが合わなかったので一度しか出たことはないが。そんな地獄の王にとっても、アラスターの手腕は素晴らしいものだった。
豊富な語彙。教養の深さが窺い知れる知識の幅広さ。嫌味と皮肉を交えながらの語り口は流暢であり、声音の高低や強弱を巧みに扱って言葉の印象をコントロールしている。
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DONE新しいホテルのお部屋を妄想しようの会。ルシアラ未満。ルームツアー アダムにより崩壊したハズビンホテルは、ルシファーの手によって再建された。正確にはチャーリーやエンジェルなど、ホテルのメンバーも手助けしたが、大部分はルシファーの手によるものだ。
以前より電飾も多く派手な見た目になったホテルには、ちゃっかりルシファー専用の部屋も作られていた。林檎の形をした可愛らしい外観の部屋だ。ルシファーの部屋だと、ひと目でわかる。
その部屋と正反対の位置に、新しいアラスターの部屋はあった。元々アラスターが増設したラジオ塔があった位置だ。
黒と赤で作られた、自身をモチーフにしたデザインの部分を見つけた時、アラスターは目を丸くした。まさか、あのルシファーが、自分の部屋を作ってくれているとは思いもしなかったのだ。しかも、こんなにもアラスター専用と分かりやすい外観で。
2863以前より電飾も多く派手な見た目になったホテルには、ちゃっかりルシファー専用の部屋も作られていた。林檎の形をした可愛らしい外観の部屋だ。ルシファーの部屋だと、ひと目でわかる。
その部屋と正反対の位置に、新しいアラスターの部屋はあった。元々アラスターが増設したラジオ塔があった位置だ。
黒と赤で作られた、自身をモチーフにしたデザインの部分を見つけた時、アラスターは目を丸くした。まさか、あのルシファーが、自分の部屋を作ってくれているとは思いもしなかったのだ。しかも、こんなにもアラスター専用と分かりやすい外観で。