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DONEワードパレット、19番「抱擁の処方箋」(一番効く・がまん・ぬくもり)で水麿です。触りすぎて離れてって怒られて落ち込むすいくんのお話。
(ワードパレット・水麿)抱擁の処方箋(一番効く・がまん・ぬくもり) お預けをくらった。
昨日は久々の非番が重なったことが嬉しくて、部屋に二人だけなのをいいことにずっと清麿にくっついていた。肩を寄せるだけでは足りなくて、抱き寄せるようにして肩や背中や腹やら脚に触れ続けた。充電させてもらいたくて。
けれど清麿はそれが耐えかねたらしい。夕方になったころ、爆発するように怒ってしまった。
『もう触らないで、離れて!』
身をよじって逃げるようにしてそう放たれて、大好きな綺麗な瞳に睨み上げられた時、あっ折れてしまいたいと本気で思った。
そのまま夕食を終えても湯浴みを終えても彼の機嫌は戻らず、しまいには布団を部屋の端まで離して就寝されてしまった。
そんななので、起きたところで彼が横にいるわけはないのである。
2022昨日は久々の非番が重なったことが嬉しくて、部屋に二人だけなのをいいことにずっと清麿にくっついていた。肩を寄せるだけでは足りなくて、抱き寄せるようにして肩や背中や腹やら脚に触れ続けた。充電させてもらいたくて。
けれど清麿はそれが耐えかねたらしい。夕方になったころ、爆発するように怒ってしまった。
『もう触らないで、離れて!』
身をよじって逃げるようにしてそう放たれて、大好きな綺麗な瞳に睨み上げられた時、あっ折れてしまいたいと本気で思った。
そのまま夕食を終えても湯浴みを終えても彼の機嫌は戻らず、しまいには布団を部屋の端まで離して就寝されてしまった。
そんななので、起きたところで彼が横にいるわけはないのである。
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DONEお題箱にいただいてました「風邪ひきを甘やかす(無自覚)すいくんと熱が下がっても甘やかされたいまろくん」の水麿小説です!微妙に本線が外れてる気がしてすみません…べた甘。(腐)風邪っぴきハニー(水麿)「おはよう、水心子」
笑う君が朝だというのに頬を真っ赤にしていたから。
「やっぱり風邪か」
手を引いて支えてやって戻ってきた二人部屋、布団を敷き直してやるとそこに膝をついた清麿がううと唸った。
「ごめん……なんだかふわふわしているなとは思ったのだけれど……」
「あんな真っ赤な顔してたらそりゃそうだよ……薬研殿が出陣前でいてくれてよかった、診てもらえなかったら清麿だって不安だっただろうし」
手入れ部屋を一人で預かる薬研は今日は出陣の部隊に名を連ねていて、それを知っていたので水心子は清麿を担ぎこんだのだ。きよまろがなにかおかしいんだ診てくれと叫んだ水心子に、彼は驚くでも笑うでもなく真顔で『落ち着け』と諭してくれた。
5703笑う君が朝だというのに頬を真っ赤にしていたから。
「やっぱり風邪か」
手を引いて支えてやって戻ってきた二人部屋、布団を敷き直してやるとそこに膝をついた清麿がううと唸った。
「ごめん……なんだかふわふわしているなとは思ったのだけれど……」
「あんな真っ赤な顔してたらそりゃそうだよ……薬研殿が出陣前でいてくれてよかった、診てもらえなかったら清麿だって不安だっただろうし」
手入れ部屋を一人で預かる薬研は今日は出陣の部隊に名を連ねていて、それを知っていたので水心子は清麿を担ぎこんだのだ。きよまろがなにかおかしいんだ診てくれと叫んだ水心子に、彼は驚くでも笑うでもなく真顔で『落ち着け』と諭してくれた。
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DONE水麿、天涯孤独の大学生すいくんの元に祝福の天使まろくんが舞い降りたお話です。一応R指定ではないのですがちょっとそういう描写通ります。約束されたハピエン。(水麿天使パロ)君という奇跡 人を羨むのは好きじゃない。『いいなあ』なんて口が裂けても言いたくない。嫉むなんてもってのほかだ。だってそれは、その言葉を宛てる誰かのそこに至るまでの努力も何もかもを軽視している。人は幸せになるべくして幸せになる。水心子はそう思っている。
――だけれど、その言葉が出かかる瞬間は毎日訪れる。高校生の頃から独りぼっちの家への帰り道を辿りながら、吐き出す息が白いのを見ていた。
幼いころに父が亡くなった。それからは母を守るのだと必死に生きてきたというのに、高校時代にはその母も亡くなった。貯めてくれていた預金と自分のアルバイト代で大学生にまでなれたけれど、先に何が見えているでもない。
帰ったってどうせ独りなのだ。温かいご飯なんてない。一緒に食べてくれる人なんていない。
7345――だけれど、その言葉が出かかる瞬間は毎日訪れる。高校生の頃から独りぼっちの家への帰り道を辿りながら、吐き出す息が白いのを見ていた。
幼いころに父が亡くなった。それからは母を守るのだと必死に生きてきたというのに、高校時代にはその母も亡くなった。貯めてくれていた預金と自分のアルバイト代で大学生にまでなれたけれど、先に何が見えているでもない。
帰ったってどうせ独りなのだ。温かいご飯なんてない。一緒に食べてくれる人なんていない。
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DONEすいくんが幼児から成長していく水麿、すい13歳くらいの頃のはなし。いつメンで飲み会やった夜の雑魚寝です。これだけでも読めますが元ネタの本のほうも通販中です…よろしければ!(幼児水麿)鼓動のわけは 二月の庭に雪は降り積もる。景趣は冬のもののまま、正月の浮かれぶりがやっと薄れ出したこの夜に、仲間内で小さな宴会をしていた。
「ね~、なんであるじは俺だけ残してみんな出陣させるのぉ~……?」
こたつの一辺で加州が管を巻く。この本丸ではありがちなのだが、加州以外の新撰組刀たちは今日も夜間の出陣に出ていた。それがどうにも気に入らないらしい彼に、清麿が苦笑して水のグラスを差し出す。
「加州が一番に練度が上がっていたから、その調整のために他のみんなが出陣しているってことだろう。最初の頃は俺だけ気に入られてるーって喜んでいたじゃないか」
「ううううう、そう、だけどぉ! おれだけぼっちだよ、寂しいじゃん~……安定堀川和泉守長曽祢さんー!」
2301「ね~、なんであるじは俺だけ残してみんな出陣させるのぉ~……?」
こたつの一辺で加州が管を巻く。この本丸ではありがちなのだが、加州以外の新撰組刀たちは今日も夜間の出陣に出ていた。それがどうにも気に入らないらしい彼に、清麿が苦笑して水のグラスを差し出す。
「加州が一番に練度が上がっていたから、その調整のために他のみんなが出陣しているってことだろう。最初の頃は俺だけ気に入られてるーって喜んでいたじゃないか」
「ううううう、そう、だけどぉ! おれだけぼっちだよ、寂しいじゃん~……安定堀川和泉守長曽祢さんー!」
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DONEタイトルまんまの水麿現パロです。描写ないですけど致してるとこ通るのでご注意。まろくん視点です。(水麿)官能小説家×ヌードモデル3 源清麿の体型は少年体型だ。
大学生の時にそう話題になった。趣味でデッサンをしていた友人の言葉がきっかけで。
『源って中高生みたいなんだよな、体型がさ! 細くて筋肉未発達って感じで……そういうモデルってなかなかいないから、ヌードモデルとかやったら重宝されるかも!』
なるほど、と思ってしまったのだ。隣にいた水心子は嫌な顔をしていたけれど、清麿には元々やりたい仕事もなかった。それだ、と妙に閃いた。
『僕、ヌードモデルになる』
ぎょっとこちらを向いた水心子の顔を忘れない。もうきっかけを作った友人の顔も憶えてはいないけれど、水心子のことだけは取りこぼさない。何ひとつ。
「源くんの身体は、僕らみたいな連中にはとても魅力的でね」
4221大学生の時にそう話題になった。趣味でデッサンをしていた友人の言葉がきっかけで。
『源って中高生みたいなんだよな、体型がさ! 細くて筋肉未発達って感じで……そういうモデルってなかなかいないから、ヌードモデルとかやったら重宝されるかも!』
なるほど、と思ってしまったのだ。隣にいた水心子は嫌な顔をしていたけれど、清麿には元々やりたい仕事もなかった。それだ、と妙に閃いた。
『僕、ヌードモデルになる』
ぎょっとこちらを向いた水心子の顔を忘れない。もうきっかけを作った友人の顔も憶えてはいないけれど、水心子のことだけは取りこぼさない。何ひとつ。
「源くんの身体は、僕らみたいな連中にはとても魅力的でね」
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DONE恋人がさんたくろーすな幼児水の水麿小説。鶴丸さんと清光と一緒にクリスマスにお留守番をする幼児水です。メリークリスマス!こいびとが(幼児水×麿)「恋人がサンタクロースなんだよ、水心子ぃ!」
加州が半分閉じかけの目をしてそう喚きグラスをテーブルに置く。その目の前できょとんとする幼児を眺めながら、鶴丸は引きつった笑いを漏らした。
「……また、ずいぶん派手に酔ったなあ、きみは……」
珍しくも泥酔しきった加州清光は、だって、と声を上げたあと唐突に泣き出した。子供のように声を上げてである。本物の幼児の身の水心子はびっくりしたように肩を跳ねさせたので、そっとこちらに引き寄せた。
「だって、だってさあ、せっかくのクリスマスなのに! こんな日に一人にするとか主ばかだよ~! 恋人がいなくたってせめて仲間と祝いたいのに! なんで俺だけ残して出陣なのさ~!」
びえええ、と表記するほかない泣き声に、さすがに同情心は湧いてくる。
3008加州が半分閉じかけの目をしてそう喚きグラスをテーブルに置く。その目の前できょとんとする幼児を眺めながら、鶴丸は引きつった笑いを漏らした。
「……また、ずいぶん派手に酔ったなあ、きみは……」
珍しくも泥酔しきった加州清光は、だって、と声を上げたあと唐突に泣き出した。子供のように声を上げてである。本物の幼児の身の水心子はびっくりしたように肩を跳ねさせたので、そっとこちらに引き寄せた。
「だって、だってさあ、せっかくのクリスマスなのに! こんな日に一人にするとか主ばかだよ~! 恋人がいなくたってせめて仲間と祝いたいのに! なんで俺だけ残して出陣なのさ~!」
びえええ、と表記するほかない泣き声に、さすがに同情心は湧いてくる。
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DONEすいくんが背が高い身長差水麿、お題箱にいただいていたお題から!本当にありがとうございました!!全年齢、肥前くんと南海先生出てきます。師弟が書けてたのしかったです…!
(身長差水麿)せのたかいぼくはちがうからこそ「僕の水心子も同じくらいの背丈だったら、同じ視界だったのかな」
演練場の柱の影、胸がぎゅうっと締まった。己の番の清麿が、他本丸の源清麿に話す声。
知らない声音だった。どこか遠くを見るような。まるでその声の通りに手の届かないところへ行ってしまいそうで、水心子は胸を押さえた。
もしどこかへ行きたいと言っても、自分には止める権利なんてない。
まるで今初めて見つけたような演技をして、二人の清麿の前に歩み出た。
「清麿、探した」
「ああ、ごめん、水心子」
お手洗いの場所を見失って案内してもらっていて、と駆け寄ってくる清麿は、いつも通りだ。見上げてくる大きな瞳が愛しいのに切なくて、ついその頬に触れてしまう。
「……水心子、なのかい? 彼も」
3739演練場の柱の影、胸がぎゅうっと締まった。己の番の清麿が、他本丸の源清麿に話す声。
知らない声音だった。どこか遠くを見るような。まるでその声の通りに手の届かないところへ行ってしまいそうで、水心子は胸を押さえた。
もしどこかへ行きたいと言っても、自分には止める権利なんてない。
まるで今初めて見つけたような演技をして、二人の清麿の前に歩み出た。
「清麿、探した」
「ああ、ごめん、水心子」
お手洗いの場所を見失って案内してもらっていて、と駆け寄ってくる清麿は、いつも通りだ。見上げてくる大きな瞳が愛しいのに切なくて、ついその頬に触れてしまう。
「……水心子、なのかい? 彼も」
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DONE水麿小説、二人の出会いを真面目に妄想してみた編。まろくんのほうが先に顕現していた場合です。
君に会いたかった(水麿) 源清麿とはこの程度なのか。最初の訓練でそう言われて、腹の底が怒りで爆発しそうになった。
「江戸三作の刀がこれではな。実装計画は尚早だったんじゃないか」
「新々刀としていい働きを見せてくれると思っていたのに、期待外れだ」
人間たちは清麿に勝手に期待をして勝手に失望したようだった。抗う力だってあるはずなのに、好き放題並べる人間にこの手は刀を向けることさえできない。
政府の人間たちが次に唱え始めた言葉はひとつに集約していった。
「来たるべき祖の実装に向けて、お前が新々刀の誇りを示さなければいけないんだ」
新々刀の祖。水心子正秀。当然のように認知していた自分すらなんだか憎らしかった。人間たちは彼に酷く期待を寄せているようだ。
5458「江戸三作の刀がこれではな。実装計画は尚早だったんじゃないか」
「新々刀としていい働きを見せてくれると思っていたのに、期待外れだ」
人間たちは清麿に勝手に期待をして勝手に失望したようだった。抗う力だってあるはずなのに、好き放題並べる人間にこの手は刀を向けることさえできない。
政府の人間たちが次に唱え始めた言葉はひとつに集約していった。
「来たるべき祖の実装に向けて、お前が新々刀の誇りを示さなければいけないんだ」
新々刀の祖。水心子正秀。当然のように認知していた自分すらなんだか憎らしかった。人間たちは彼に酷く期待を寄せているようだ。
Tears_reality
MEMO麿水両親にせっつかれて麿に偽装結婚申し込んで2人がお互い隣にいるのはって考える2人
水→麿「清麿、一生のお願いだ!女装してくれ!」
そう言って僕は幼なじみに土下座された。水心子正秀、彼は僕の長年の幼なじみだ。ちなみに僕も彼も同性だ。いきなり何をと話を聞けば両親に色々とせっつかれてるらしいが水心子はまだ結婚したくないらしい。理由は分からないけど色々あるんだと思う。水心子の恋愛観は歳の割には古めかしいもので。セフレの話をした時はそれはもう大変だった。水心子と結婚する子は一生分の幸せが保証されている。だって彼はとても真面目で優しいから。
「女装してもバレると思うけど」
「…それは分かってる。」
「ならどうして?」
「何回か考えたんだ。私なりに。でもいつも同じ答えになるんだ。僕のそばにいるのは君以外ありえないんだ。清麿」
401そう言って僕は幼なじみに土下座された。水心子正秀、彼は僕の長年の幼なじみだ。ちなみに僕も彼も同性だ。いきなり何をと話を聞けば両親に色々とせっつかれてるらしいが水心子はまだ結婚したくないらしい。理由は分からないけど色々あるんだと思う。水心子の恋愛観は歳の割には古めかしいもので。セフレの話をした時はそれはもう大変だった。水心子と結婚する子は一生分の幸せが保証されている。だって彼はとても真面目で優しいから。
「女装してもバレると思うけど」
「…それは分かってる。」
「ならどうして?」
「何回か考えたんだ。私なりに。でもいつも同じ答えになるんだ。僕のそばにいるのは君以外ありえないんだ。清麿」
フスキ
DONE水麿で官能小説家×ヌードモデル、昨日ツイートしてたネタ書きました。健全?です。
官能小説家×ヌードモデル(水麿) ぺら、と紙の擦れる音。朝からあまり見たいものでもない内容の小説を捲るのも起きてから二冊目だ。今日中にあと三冊は読みたいと思うものの、課したノルマにため息が出る。
「水心子、僕そろそろ出るね」
「ああ」
かけられた声に顔を上げて、ずれた眼鏡を直す。この世の誰よりも綺麗な恋人は、ショルダーバッグを肩に持った。
「夕方まで帰ってこられないけれど、ちゃんとお昼食べるんだよ。君は食べなければ活動できないタイプなんだから」
こめかみを撫でられ、くすぐったさに目を細める。大丈夫だと頷くと、彼はそっと微笑んだ。
「……無理しないでね」
離れていく手を掴みたい衝動。必死に抑えて、ああ、と笑った。
恋人、清麿は最後まで心配を表情に宿していた。
2550「水心子、僕そろそろ出るね」
「ああ」
かけられた声に顔を上げて、ずれた眼鏡を直す。この世の誰よりも綺麗な恋人は、ショルダーバッグを肩に持った。
「夕方まで帰ってこられないけれど、ちゃんとお昼食べるんだよ。君は食べなければ活動できないタイプなんだから」
こめかみを撫でられ、くすぐったさに目を細める。大丈夫だと頷くと、彼はそっと微笑んだ。
「……無理しないでね」
離れていく手を掴みたい衝動。必死に抑えて、ああ、と笑った。
恋人、清麿は最後まで心配を表情に宿していた。
フスキ
DONEマネ俳優現パロ水麿、スキンケア用品のCMの仕事が入った話。キスマークつけたよ描写ありますが健全だと思います。
マネージャー×俳優4(水麿) こんなにもやめてくれと思うこともない。水心子は会話が電話なのをいいことに口元を引きつらせた。
「……ええと、それは条件、ということでしょうか」
『条件なんて大仰なものではないのですが、お願い、ということで……』
断りたいが断りきれない、なにせこれは事務所の社長のツテの仕事だ。ソファの隣から黙って視線を送ってくる清麿をうまく見られない。
『では、よろしくお願いしますね!』
明るい声を最後にぷつっと通話は切れた。物言わなくなったスマートフォンを下ろして、はああっと息を吐き清麿の肩にもたれかかる。ほぼ同棲状態の清麿の部屋、テーブルにはコーヒーがミルクの渦を巻いている。
細い指がそっと頭を撫でてくれて、その感触に身を委ねながら清麿に向けて口を動かした。
2676「……ええと、それは条件、ということでしょうか」
『条件なんて大仰なものではないのですが、お願い、ということで……』
断りたいが断りきれない、なにせこれは事務所の社長のツテの仕事だ。ソファの隣から黙って視線を送ってくる清麿をうまく見られない。
『では、よろしくお願いしますね!』
明るい声を最後にぷつっと通話は切れた。物言わなくなったスマートフォンを下ろして、はああっと息を吐き清麿の肩にもたれかかる。ほぼ同棲状態の清麿の部屋、テーブルにはコーヒーがミルクの渦を巻いている。
細い指がそっと頭を撫でてくれて、その感触に身を委ねながら清麿に向けて口を動かした。
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DONE幼児水麿小説、幼児の成長に絡むお話。すい視点です。後半出てくるすいは短刀くらい。
きみのからだはつめたいのがいい(幼児×通常水麿) ぼくはきよまろが好きだ。
水心子正秀、っていうのは、どうやらもっと大きくてぴしっとしてるみたい。せいふで顕現したときからぼくは子供で、せいふのひとたちはみんなびっくりしていた。
これじゃ戦えない、本丸へおくれない。そう騒いでいるおとなたちの中で、きよまろだけ、わらって手をさしのべてくれた。
『水心子、よろしくね。僕は君を守るために生まれてきたみたいだ』
そんなふうに言ってくれるのはきっととってもうれしいことなのに、ぼくはかなしかった。だってきよまろの身体は、周りのただの人間たちよりもずっとずっと細くって、ぽきって折れてしまいそうだって思ったから。
『ぴよまろのことは、だれがまもるの?』
おっきくひらいたお目目、きれいだったな。ぴんくいろがゆらゆらしたあとで、ゆっくり細められて、君が守ってくれるんだよってだきしめてくれた。
2527水心子正秀、っていうのは、どうやらもっと大きくてぴしっとしてるみたい。せいふで顕現したときからぼくは子供で、せいふのひとたちはみんなびっくりしていた。
これじゃ戦えない、本丸へおくれない。そう騒いでいるおとなたちの中で、きよまろだけ、わらって手をさしのべてくれた。
『水心子、よろしくね。僕は君を守るために生まれてきたみたいだ』
そんなふうに言ってくれるのはきっととってもうれしいことなのに、ぼくはかなしかった。だってきよまろの身体は、周りのただの人間たちよりもずっとずっと細くって、ぽきって折れてしまいそうだって思ったから。
『ぴよまろのことは、だれがまもるの?』
おっきくひらいたお目目、きれいだったな。ぴんくいろがゆらゆらしたあとで、ゆっくり細められて、君が守ってくれるんだよってだきしめてくれた。
フスキ
DONE水麿小説、他人に嫉妬してしまったまろくんがすいくんの本体を抱いて寝ていて、それをすいくんが発見して、のお話。君の嫉妬は醜くない(水麿) 笑顔ってきっととてもいいものだ。笑えるのは本当に素晴らしいことだ。分かっているのにみっともなく足は止まった。
廊下の先のほうで、畑へ向かう水心子が仲間と笑っている。――そんななんでもない当然のこと。そのくせ熱いスープをひっくり返したようなこの心地はなに。
胸を押さえて、死角に入って、必死に呼吸を繰り返した。ばくばく心臓が暴れている。向かうつもりだったのは彼がいるほうだったのに、清麿は駆けるように踵を返した。
――ねえ、その笑顔は。
***
畑へ着いてからだった、ヘアピンを借りるのを忘れていたと気づいたのは。
近頃、ありがたくも手入れ部屋に世話になることがなかったため、横の髪の毛がだいぶ伸びてしまっていて、俯く仕事ではとても邪魔なのだ。
3780廊下の先のほうで、畑へ向かう水心子が仲間と笑っている。――そんななんでもない当然のこと。そのくせ熱いスープをひっくり返したようなこの心地はなに。
胸を押さえて、死角に入って、必死に呼吸を繰り返した。ばくばく心臓が暴れている。向かうつもりだったのは彼がいるほうだったのに、清麿は駆けるように踵を返した。
――ねえ、その笑顔は。
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畑へ着いてからだった、ヘアピンを借りるのを忘れていたと気づいたのは。
近頃、ありがたくも手入れ部屋に世話になることがなかったため、横の髪の毛がだいぶ伸びてしまっていて、俯く仕事ではとても邪魔なのだ。
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DONE春鍋さん(@yymnabe)と絵チャで合作させていただいた絵を元にした小説です。特命調査のあと、転送装置への攻撃ですいくんと離れ離れの本丸へ飛ばされたまろくんのお話。別個体(水麿)出ます。
どれだけ離れたって巡り会えるのさ(水麿)「本丸で、また会えたらさ」
水心子はそう言ってはにかんだ。この世に数多の同位体を持つ自分たちだけれど、この彼のことだけは間違うはずがない。
「今度こそいっぱい抱き締めるから、時間をかけて、好きだってこと伝えるから、……そうしたら、それからはずっと一緒にいてね」
泣き出しそうな語尾は転送装置に飲み込まれて消えた。先に本丸へと迎えられていった水心子を見送る。
政府職員が面食らった顔をしていた。これまで二人きりの時以外ではあんな柔らかい話し方をしたことがなかったのに、この施設での最後だったからなのだろうか。
「…大丈夫、すぐに行くよ」
そう呟く。本丸へ向かった水心子に反して、清麿はこれからまた江戸の地に赴くけれど、不安なんて微塵もなかった。
6590水心子はそう言ってはにかんだ。この世に数多の同位体を持つ自分たちだけれど、この彼のことだけは間違うはずがない。
「今度こそいっぱい抱き締めるから、時間をかけて、好きだってこと伝えるから、……そうしたら、それからはずっと一緒にいてね」
泣き出しそうな語尾は転送装置に飲み込まれて消えた。先に本丸へと迎えられていった水心子を見送る。
政府職員が面食らった顔をしていた。これまで二人きりの時以外ではあんな柔らかい話し方をしたことがなかったのに、この施設での最後だったからなのだろうか。
「…大丈夫、すぐに行くよ」
そう呟く。本丸へ向かった水心子に反して、清麿はこれからまた江戸の地に赴くけれど、不安なんて微塵もなかった。