noa/ノア
GARABATEAR[風信&南風✈] アイスの食べ方がアレな風信機長というネタが聞こえたので落書きしました。健全に食べてるだけ……な、はずなんですけど……。
「ふぅ……あっつい……」
申し訳程度に椅子が置かれた狭い休憩スペースにやってきた風信は、腰を下ろすと手の甲で額の汗を拭った。一つ息をつくと、片手に持っていたアイスクリームバーの袋を破る。
「あ、風信機長」
タイミング良く現れるその声にはもう風信は驚かない。「おう南風。休憩か?」
「はい」
風信の向かいの席に腰を下ろした南風も暑そうに手でゆるく扇いでいる。
「アイス、いいですね」
風信が袋から取り出したバニラアイスのバーを見て南風が笑う。風信も笑って返す。
「やらんぞ」「わかってますよ」
サイズも濃厚さも従来品よりアップという宣伝文句に偽りはないらしい。うっすらとクリーム色がかった乳白色のバーはしっかりと太さがある。
2106申し訳程度に椅子が置かれた狭い休憩スペースにやってきた風信は、腰を下ろすと手の甲で額の汗を拭った。一つ息をつくと、片手に持っていたアイスクリームバーの袋を破る。
「あ、風信機長」
タイミング良く現れるその声にはもう風信は驚かない。「おう南風。休憩か?」
「はい」
風信の向かいの席に腰を下ろした南風も暑そうに手でゆるく扇いでいる。
「アイス、いいですね」
風信が袋から取り出したバニラアイスのバーを見て南風が笑う。風信も笑って返す。
「やらんぞ」「わかってますよ」
サイズも濃厚さも従来品よりアップという宣伝文句に偽りはないらしい。うっすらとクリーム色がかった乳白色のバーはしっかりと太さがある。
noa/ノア
HECHO[慕情&扶揺✈] お題をいただいていた、酔っぱらった玄真航空のふたり。こっちはちょっと展開が早いです(※健全)
※前半と後半に分けて投稿したものの全体バージョンです
休日の前の夜ほど良いものはない。
なかなか読めずにいた本を手に、慕情は部屋のソファに身を沈めた。だが、三行も読まないうちに、テーブルに置いた携帯が震えた。
ちらりと画面を見る。表示された送信人を確認した慕情の視線は、何事もなかったかのように本へ戻った。
しかし、苛つくかのように携帯は何度も振動音を響かせる。歯ぎしりしたい気持ちで忌々しく視線をやる。
『今、家か?』
『どこにいる?』
風信──なんでアイツは慕情が邪魔されたくないときを見計らったように連絡を寄越すのだ。身じろぎせず、火がつきそうなほど画面を睨みつける。だが、次に現れた名前に思わず眉が動いた。
『扶揺が困ったことになってるらしいぞ』
扶揺が? しばし逡巡したのち、短く返す。
6295なかなか読めずにいた本を手に、慕情は部屋のソファに身を沈めた。だが、三行も読まないうちに、テーブルに置いた携帯が震えた。
ちらりと画面を見る。表示された送信人を確認した慕情の視線は、何事もなかったかのように本へ戻った。
しかし、苛つくかのように携帯は何度も振動音を響かせる。歯ぎしりしたい気持ちで忌々しく視線をやる。
『今、家か?』
『どこにいる?』
風信──なんでアイツは慕情が邪魔されたくないときを見計らったように連絡を寄越すのだ。身じろぎせず、火がつきそうなほど画面を睨みつける。だが、次に現れた名前に思わず眉が動いた。
『扶揺が困ったことになってるらしいぞ』
扶揺が? しばし逡巡したのち、短く返す。
noa/ノア
HECHO[風信&南風✈] 7月4日は、なんふぉんの日ということで、風信機長視点の南風。アメリカ西海岸の浜辺でくつろぐ二人。
西海岸のカラリと温かい空気は、気持ちまで軽くする。ロサンゼルスへのフライト明けの休息日、昼下がりの海岸沿いを軽くジョギングしていた風信は、ふと速度を緩めた。
視線の先、歩道脇の柵に腕を置いて軽く寄りかかりながら下に広がる砂浜と海を見つめているのは──南風だ。
見慣れているはずのその姿が、少しいつもと違って見えるのはラフな格好のせいか、それとも明るい陽射しのせいか。
サングラスをかけていない横顔は、鼻筋がくっきりとして端正な輪郭を描いている。膝丈のチノパンから覗くふくらはぎは、遠目にも、過不足なく鍛えられ力強さを秘めているのがわかる。操縦席でペダルを緻密に踏むだけではもったいないほどに。
ゆるりとしたTシャツを着たしっかりした上体。いつもはつい可愛い後輩として見てしまうが、こうして見るとやはり間違いなく大人の男性なのだと、そんな当然のことを感じてしまう。
2777視線の先、歩道脇の柵に腕を置いて軽く寄りかかりながら下に広がる砂浜と海を見つめているのは──南風だ。
見慣れているはずのその姿が、少しいつもと違って見えるのはラフな格好のせいか、それとも明るい陽射しのせいか。
サングラスをかけていない横顔は、鼻筋がくっきりとして端正な輪郭を描いている。膝丈のチノパンから覗くふくらはぎは、遠目にも、過不足なく鍛えられ力強さを秘めているのがわかる。操縦席でペダルを緻密に踏むだけではもったいないほどに。
ゆるりとしたTシャツを着たしっかりした上体。いつもはつい可愛い後輩として見てしまうが、こうして見るとやはり間違いなく大人の男性なのだと、そんな当然のことを感じてしまう。
noa/ノア
HECHO[FengQing] フォンチンのウェディング企画参加作品。お題:指輪、誓い現代に暮らす神官の二人。街の真ん中で愛を叫ぶ二人を書きたかっただけですが、残念ながら二人は結婚する事ができない国にいますので、そういう話が苦手な方はそっ閉じで…🙏
結婚しないか──そう言い出したのはどっちだっただろう。
天界を下り、人間界で暮らし始めて、なし崩し的に一緒に暮らすようになり──もはや腐れ縁も来るところまで来た、そんな半ばヤケっぱちめいたところもあったかもしれないが、勢いがついてしまえば、そんな結論にまで達してしまうところは二人とも似通っているかもしれない。
「別に結婚式やら仰々しいことをしたいわけじゃないから安心しろ」
そう言った風信に、慕情は冷たく鼻で笑う。
「お前にそんな願望があるかもしれないなんて、これっぽっちも思ってない」
ああそうかいと、風信も慣れた様子で聞き流す。
「だが──」慕情が言い淀むのを見て風信が片眉を上げる。
「まあしかし──」
4367天界を下り、人間界で暮らし始めて、なし崩し的に一緒に暮らすようになり──もはや腐れ縁も来るところまで来た、そんな半ばヤケっぱちめいたところもあったかもしれないが、勢いがついてしまえば、そんな結論にまで達してしまうところは二人とも似通っているかもしれない。
「別に結婚式やら仰々しいことをしたいわけじゃないから安心しろ」
そう言った風信に、慕情は冷たく鼻で笑う。
「お前にそんな願望があるかもしれないなんて、これっぽっちも思ってない」
ああそうかいと、風信も慣れた様子で聞き流す。
「だが──」慕情が言い淀むのを見て風信が片眉を上げる。
「まあしかし──」
noa/ノア
GARABATEAR[慕情&扶揺✈️] ご機嫌最悪な慕情機長にお呼び出しされる扶揺。 そわそわと幾度となく確認した携帯電話の画面は沈黙している。小さく息を吐き、のろのろと帰り支度を始めた扶揺は、後ろから声をかけられて振り返った。
「ああ、扶揺、まだいたか」
疲れた顔でやってきたのは少し年上の副操縦士だ。
「今到着ですか? 遅かったですね。慕情機長とのフライトでしたよね」
「ああ」
彼の顔の疲労感が濃くなる。
「なんか南陽航空の飛行機が滑走路から出る時にミスったとかで着陸が渋滞して、上でぐるぐる待機だよ」大きくため息をつく。
「おかげで慕情機長のご機嫌は最悪。待たされると機嫌悪くなるけど、今日は過去に類を見ないほど苛ついてた」
へぇ、と適当な返事を返す扶揺に彼が言う。
「で、そんな慕情機長からお呼び出しだぞ、扶揺」
1877「ああ、扶揺、まだいたか」
疲れた顔でやってきたのは少し年上の副操縦士だ。
「今到着ですか? 遅かったですね。慕情機長とのフライトでしたよね」
「ああ」
彼の顔の疲労感が濃くなる。
「なんか南陽航空の飛行機が滑走路から出る時にミスったとかで着陸が渋滞して、上でぐるぐる待機だよ」大きくため息をつく。
「おかげで慕情機長のご機嫌は最悪。待たされると機嫌悪くなるけど、今日は過去に類を見ないほど苛ついてた」
へぇ、と適当な返事を返す扶揺に彼が言う。
「で、そんな慕情機長からお呼び出しだぞ、扶揺」
noa/ノア
GARABATEAR[風信&南風✈] ふぉんしんさんの🥧を求めるお声が聞こえたのでちょっと焼いてみました…裸で一緒にベッドに入るようになってる時空(?)の✈風南です。
※事故の描写が少しでてきます
体がガタガタと震えているのは機体の振動なのか、自分の恐怖なのか。
視界で点滅し続ける警告サイン。異常を知らせる警告音は止めたはずなのに耳の奥で耳鳴りのように響き続けている。
どれだ。何が原因だ。どうすれば――。
あらゆる可能性を取捨選択するのに与えられるのは数秒。
思いつく限りの操作を試す南風を嘲笑うかのように、機体はもうどんな操作にも反応しない。
割れた氷に覆われた海面がみるみるうちに迫る。操作しようとする腕ももう動かない。固く目を瞑る。
もうだめだ――。
どうして――。
耳をつんざくような音は自分の口から出た悲鳴だろうか。
頭がぐらりと揺れ、その向こうから声が聞こえ――
「南風、夢だ、それは夢だ、目を覚ませ……」
1891視界で点滅し続ける警告サイン。異常を知らせる警告音は止めたはずなのに耳の奥で耳鳴りのように響き続けている。
どれだ。何が原因だ。どうすれば――。
あらゆる可能性を取捨選択するのに与えられるのは数秒。
思いつく限りの操作を試す南風を嘲笑うかのように、機体はもうどんな操作にも反応しない。
割れた氷に覆われた海面がみるみるうちに迫る。操作しようとする腕ももう動かない。固く目を瞑る。
もうだめだ――。
どうして――。
耳をつんざくような音は自分の口から出た悲鳴だろうか。
頭がぐらりと揺れ、その向こうから声が聞こえ――
「南風、夢だ、それは夢だ、目を覚ませ……」
noa/ノア
GARABATEAR[風信&南風✈️] マリモさんの絵から、寒い日にブレザーを忘れて、風信機長に貸してもらう南風です。「さむっ……!」
ドアから一歩出た瞬間、吹き抜けていった湿った冷たい風に、半袖シャツ一枚の体がぶるりと震えた。
昨日の夜は汗でまとわりつくシーツを蹴るようにして寝たのに、今日のこの寒さはいったいなんだ。空の心変わりの早さはわかっているはずなのに、ここ数日暑い日が続いていたから、上着のブレザーはロッカーにしまいこまれている。
だが寒かろうが、フライト前の飛行機の外部点検を任された以上、中に逃げ戻るわけにはいかない。凍り付いたような体で、抱えた両腕をごしごしとさする。
「南風」
首と耳も凍り付いていたのか、突然後ろから聞こえた声に一瞬遅れて振り返る。
「ブレザー、ないのか?」
驚いたような――いや、呆れたと言ったほうがいいかもしれない――風信機長の顔を見ながら曖昧な音を返す。
2217ドアから一歩出た瞬間、吹き抜けていった湿った冷たい風に、半袖シャツ一枚の体がぶるりと震えた。
昨日の夜は汗でまとわりつくシーツを蹴るようにして寝たのに、今日のこの寒さはいったいなんだ。空の心変わりの早さはわかっているはずなのに、ここ数日暑い日が続いていたから、上着のブレザーはロッカーにしまいこまれている。
だが寒かろうが、フライト前の飛行機の外部点検を任された以上、中に逃げ戻るわけにはいかない。凍り付いたような体で、抱えた両腕をごしごしとさする。
「南風」
首と耳も凍り付いていたのか、突然後ろから聞こえた声に一瞬遅れて振り返る。
「ブレザー、ないのか?」
驚いたような――いや、呆れたと言ったほうがいいかもしれない――風信機長の顔を見ながら曖昧な音を返す。
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GARABATEAR[風信&南風✈] パイロットAU。不測の事態によりステイ先のホテルの風信機長のベッドで一緒に寝ることになった二人(健全) やっぱり非常識だっただろうか。ホテルの部屋のドアをノックしてからそう思ったが、しかし逡巡する間もなく、目の前のドアが開いた。
「どうした、南風」
「……!?」
南風は思わず固まった。突然目の前に現れたのが、風信機長の裸の上半身だったからだ。
「ん? まあとりあえず中に入れ」
促されて機長の部屋に入る。シャワーを浴びたばかりなのか、どことなく上気しているその胸から目を逸らす。
「どうかしたか?」機長の怪訝な顔に、ステイ先の機長の部屋を訪れるには遅い時間だと改めて気づく。
「あ、あの、それが……へやに、おっきな虫が出まして……!」
「虫?」
「そ、そうなんです。見たこともないような真っ黒で10センチくらいの……」
4951「どうした、南風」
「……!?」
南風は思わず固まった。突然目の前に現れたのが、風信機長の裸の上半身だったからだ。
「ん? まあとりあえず中に入れ」
促されて機長の部屋に入る。シャワーを浴びたばかりなのか、どことなく上気しているその胸から目を逸らす。
「どうかしたか?」機長の怪訝な顔に、ステイ先の機長の部屋を訪れるには遅い時間だと改めて気づく。
「あ、あの、それが……へやに、おっきな虫が出まして……!」
「虫?」
「そ、そうなんです。見たこともないような真っ黒で10センチくらいの……」
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HECHO[慕情&扶揺✈] パイロットAU。こちらは玄真航空の二人です。悪天候のフライトで扶揺が見た慕情機長とは―?
慕情機長はどんなパイロットなんだろうなあと考えてみました。解釈違いだったらすみません。
みんなは慕情機長のことを誤解している。
扶揺は常々そう思っていた。
玄真航空の社員たちの間での彼の評判といえば、操縦の腕はなかなかだが、という枕詞のあとに大抵、人づきあいは悪いし冷たいし自分のことしか考えていない――と、そう続く。
確かに最初の二つについては、まあ完全に否定はできないかもしれない――扶揺も似たようなところがあるし嫌いではなかったが。
だが最後の一つについては、大いに同意しかねるところだった。
「おはよう、扶揺。久しぶりだな」
フライト前のブリーフィングのために情報を調べていた扶揺は、コンピュータの画面から顔を上げた。
やってきた慕情機長は、いつも通りぴしりと完璧にアイロンで折り目をつけたシャツに身を包み、喜怒哀楽のない表情で扶揺の横に立った。そんな慕情機長のあまりの隙のなさには、やたら緊張してしまうから嫌だとぼやく副操縦士仲間は多いが、扶揺は好きだった。冬の朝のきりりとした空気を吸った時のように身が引き締まる。フライト前にはありがたい。
3767扶揺は常々そう思っていた。
玄真航空の社員たちの間での彼の評判といえば、操縦の腕はなかなかだが、という枕詞のあとに大抵、人づきあいは悪いし冷たいし自分のことしか考えていない――と、そう続く。
確かに最初の二つについては、まあ完全に否定はできないかもしれない――扶揺も似たようなところがあるし嫌いではなかったが。
だが最後の一つについては、大いに同意しかねるところだった。
「おはよう、扶揺。久しぶりだな」
フライト前のブリーフィングのために情報を調べていた扶揺は、コンピュータの画面から顔を上げた。
やってきた慕情機長は、いつも通りぴしりと完璧にアイロンで折り目をつけたシャツに身を包み、喜怒哀楽のない表情で扶揺の横に立った。そんな慕情機長のあまりの隙のなさには、やたら緊張してしまうから嫌だとぼやく副操縦士仲間は多いが、扶揺は好きだった。冬の朝のきりりとした空気を吸った時のように身が引き締まる。フライト前にはありがたい。
riku
GARABATEAR子供の皮の時には哥哥が嬉しそうにしてくれるからここぞとばかりにあざとくなる小小花🌸
バッサバサのまつ毛描いてみたくてまだまだ練習だね
↓
おやつ🍭🍡🍰もらったのでオマケー☺️
そのうち…ちゃんと描きますー 8
noa/ノア
HECHO[FengQing✈] パイロットAU。春のフォンチン祭りのお題「日差し」(と「窓辺」)で書かせていただきました。まだ副操縦士のころの風信と慕情が日焼け止めを買いに行く話です。
自室の窓から差し込む陽の光。風信はぼんやりと窓の外に視線をやる。
いつもなら、休日ともなれば春の陽気に誘われるように特に用事がなくてもふらりと外に行くところだが、今年はそうはいかない。
目が上滑りするほど何度も読んだ資料に目を戻し、溜息をつく。
機長昇格訓練。
肩の線を一つ増やすそれが簡単なものだとは全く思っていなかったが、何か月もの期間、集中力と精神力を保つ大変さは半端ではない。
ここまで、座学やシュミレーター試験は順調にこなし、ついに終盤の実際のフライトでの訓練までたどりついた。だがすでに消耗してきた最後での、このステップはやはり楽ではない。
席が左側の機長席に変わるだけで、こうも勝手が違うものだとは。いつもは絶対にしないようなミスをしそうになりひやりとしたこともある。
3833いつもなら、休日ともなれば春の陽気に誘われるように特に用事がなくてもふらりと外に行くところだが、今年はそうはいかない。
目が上滑りするほど何度も読んだ資料に目を戻し、溜息をつく。
機長昇格訓練。
肩の線を一つ増やすそれが簡単なものだとは全く思っていなかったが、何か月もの期間、集中力と精神力を保つ大変さは半端ではない。
ここまで、座学やシュミレーター試験は順調にこなし、ついに終盤の実際のフライトでの訓練までたどりついた。だがすでに消耗してきた最後での、このステップはやはり楽ではない。
席が左側の機長席に変わるだけで、こうも勝手が違うものだとは。いつもは絶対にしないようなミスをしそうになりひやりとしたこともある。
noa/ノア
HECHO[風信&南風✈️] パイロットAU。モブ機長の代わりに風信機長が助けに入る話のその後、一緒に食事する二人。ある曲がこの二人にぴったりな気がして書きたくなりました。
※あんなにくっついてたのに進展はしません……たぶん。
※ワンクッションしていますが特に深い意味はありません(一応、歌詞が入ってるので) 5232
noa/ノア
HECHO[FengQing] 春のフォンチン祭りの企画のお題「花」で書かせていただきました。※慕情をいじめる仙楽モブがいます
春の訪れを告げる黄色い花。
迎春花と呼ばれるその眩い黄色に、大抵の人は冬の終わりと春の予感を感じて胸を躍らせる。
だが、風信は違った。
八百年、毎年その木が花をつけるたびに蘇る苦い記憶と後悔──まるで、永遠に解けぬ呪いのように、その花は風信の胸に暗い影を落とした。
仙楽国の華やかなりし頃。
皇極観にもその木は植わっており、春を待つ人々の表情をほころばせていた。
花やら美やらには疎い風信も、黄色い花をいっぱいにつけるその木に、思わず足を止めた。手を伸ばし、手近な枝からそっと花を折り取る。そのまま歩きながらくるくると手の中の花を眺めた。
綺麗だな。素直にそんな感想が浮かぶ。黄色は嫌いじゃない。
だが一通り眺めたところで、ふと思った。
3537迎春花と呼ばれるその眩い黄色に、大抵の人は冬の終わりと春の予感を感じて胸を躍らせる。
だが、風信は違った。
八百年、毎年その木が花をつけるたびに蘇る苦い記憶と後悔──まるで、永遠に解けぬ呪いのように、その花は風信の胸に暗い影を落とした。
仙楽国の華やかなりし頃。
皇極観にもその木は植わっており、春を待つ人々の表情をほころばせていた。
花やら美やらには疎い風信も、黄色い花をいっぱいにつけるその木に、思わず足を止めた。手を伸ばし、手近な枝からそっと花を折り取る。そのまま歩きながらくるくると手の中の花を眺めた。
綺麗だな。素直にそんな感想が浮かぶ。黄色は嫌いじゃない。
だが一通り眺めたところで、ふと思った。