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    #流三

    stream3

    akubi_el

    MAIKING11月の新刊の冒頭です。省いている部分などもあるので内容は変わります。
    三井が詐欺にあい家が燃える話(仮) 思わず「え?」と間抜けな声が出た。
     がやがやとうるさい居酒屋で、三井は耳に当てたスマートフォンを握り直す。たった今聞いた言葉にまるで大量の水を頭からかけられたように全身が冷え固まった。
     かかってきたのはアパートの管理人からで、要約すると隣の家から出火して三井の住む部屋はほぼ全焼した、という知らせだった。警察が連絡したらしいが、繋がらなかったので再度連絡したとどうでもよい情報を続けている。だが、今知りたいのはそんな話ではなかった。ただそう思っても脳が理解することを拒否していてぱくぱくと唇が動くだけで、聞きたいことを具体的に口に出すことができない。
     そのとき、目の前にいた男がどうしたという風に首を傾げて視線を合わせてきた。高校の後輩で腐れ縁といって良い相手である宮城だ。三井が電話をとったまま動かないからか、もしくはビールとハイボール数杯分のアルコールで火照った顔色が瞬時に消えて蒼白にでもなっているのだろうか。その男を見て少しだけ冷静になった三井は、そちらに視線をやったまま電話相手に返していた。
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