inmfog
DOODLE月と犬二十一時のサイレンがひびく。風に乗って耳触り良くたゆたう、多情な音だと思った。
このところ一気に残暑が遠のいて、木立はあたたかく色づき始めた。柔らかい日差しが降り注ぐ日中は、季節の盛りを感じるけれど、日の入りと共に下がっていく気温は滑り落ちるようだ。
肌寒さを感じて鼻を啜ると、言葉もなく、身体に腕が回された。肌の出ているところ同士が触れ合うといやに温かくて、私の身体が冷えているのだと気付く。
「風邪ひいた?」
覗き込むようにじっと見つめられる。涼しく研がれた輪郭を暗がりに溶かしながら、その中に浮かぶ深い湖のような目が私を探ろうとしている。
「ひいてないと思います」
リンクは私から視線を外さないまま、唇を左右に薄く引き伸ばした。作り笑いのような表情のちぐはぐさを見て、差し込まれるように、好きだと思う。
651このところ一気に残暑が遠のいて、木立はあたたかく色づき始めた。柔らかい日差しが降り注ぐ日中は、季節の盛りを感じるけれど、日の入りと共に下がっていく気温は滑り落ちるようだ。
肌寒さを感じて鼻を啜ると、言葉もなく、身体に腕が回された。肌の出ているところ同士が触れ合うといやに温かくて、私の身体が冷えているのだと気付く。
「風邪ひいた?」
覗き込むようにじっと見つめられる。涼しく研がれた輪郭を暗がりに溶かしながら、その中に浮かぶ深い湖のような目が私を探ろうとしている。
「ひいてないと思います」
リンクは私から視線を外さないまま、唇を左右に薄く引き伸ばした。作り笑いのような表情のちぐはぐさを見て、差し込まれるように、好きだと思う。
mag
DONE【リンゼル、ネタバレ注意】私のティアキンリンゼルはこうだ...!!を形にしたくて頑張ってるけど小説を書くこと自体ほぼ初めてなので迷子中... なんとか書き切りたい...
ラストは絶対的ハッピーエンドにするけど最初はどうしても鬱描写です
#リンゼル 4490
ogawa_stis
INFOオルスタ新刊再版、とらのあなさんで予約開始していますhttps://ec.toranoana.shop/joshi/ec/item/040031101245
質問等あればプロフィールのwaveboxまでお願いします
こちらで回答したいのでポイピク見た!と書いといていただけると助かります!
というわけでトリミング前表紙です
四 季
DONEリンクが姫様に自分の家を譲ったことに対する自分なりの考えを二次創作にしようという試み。(改題前:『ホームカミング』)帰郷「本当に、良いのですか?」
ゼルダの問いかけに、リンクははっきり頷き、「はい」と言葉少なに肯定の意を示した。
リンクのその、言葉少ないながらもゼルダの拒絶を認めない、よく言えば毅然とした、悪く言えば頑ななその態度が、百年と少し前の、まだゼルダの騎士だった頃の彼の姿を思い起こさせるので、ゼルダは小さくため息を吐いた。
ハイラルを救った姫巫女と勇者である二人がそうして真面目な表情で顔を突き合わせているのは、往時の面影もないほど崩れ、朽ち果ててしまったハイラルの城でも、王家ゆかりの地でもなく、ハイラルの東の果てのハイリア人の村・ハテノ村にある、ごくありふれた民家の中だった。
家の裏手にあるエボニ山の頂で、いつからか育った桜の樹の花の蕾がほころび始め、吹き下ろす風に混じる匂いや、ラネール山を白く染め上げる万年雪の積もり具合から春の兆しを感じたハテノ村の人びとが、芽吹の季節に向けて農作業を始める、ちょうどそんな頃のことだった。ゼルダの知らないうちに旅支度を整えたリンクが、突然、ゼルダにハテノ村の家を譲り、しばらく旅に出かける──そう告げたのは。
12481ゼルダの問いかけに、リンクははっきり頷き、「はい」と言葉少なに肯定の意を示した。
リンクのその、言葉少ないながらもゼルダの拒絶を認めない、よく言えば毅然とした、悪く言えば頑ななその態度が、百年と少し前の、まだゼルダの騎士だった頃の彼の姿を思い起こさせるので、ゼルダは小さくため息を吐いた。
ハイラルを救った姫巫女と勇者である二人がそうして真面目な表情で顔を突き合わせているのは、往時の面影もないほど崩れ、朽ち果ててしまったハイラルの城でも、王家ゆかりの地でもなく、ハイラルの東の果てのハイリア人の村・ハテノ村にある、ごくありふれた民家の中だった。
家の裏手にあるエボニ山の頂で、いつからか育った桜の樹の花の蕾がほころび始め、吹き下ろす風に混じる匂いや、ラネール山を白く染め上げる万年雪の積もり具合から春の兆しを感じたハテノ村の人びとが、芽吹の季節に向けて農作業を始める、ちょうどそんな頃のことだった。ゼルダの知らないうちに旅支度を整えたリンクが、突然、ゼルダにハテノ村の家を譲り、しばらく旅に出かける──そう告げたのは。
namonakisaihate
MEMO前に書いた「呼び捨ての話」でゼルダをめちゃめちゃ赤面させたから、次はリンクの番だ! ……と意気込んで書いたはずなのにやはりリンクは筆者より一枚上手でした膝の上の話 唐突だが、リンクを照れさせたい。それも長時間。
ゼルダはじっと、リンクが日課にしている鍛練を地面に座って見ながらそう思った。
前の呼び捨て騒動で自分だけ赤面祭りだったのだ。その後リンクは弱点について話してくれたのだが、少ししか赤面していないし、正面から見ていない。
むぅ、とゼルダは頬を膨らませた。だけど、肝心の方法がわからない。
ゼルダはリンクを照れさせる方法をあれこれ考えた。だから、防御体制がとれなかった。
「ゼルダ」
不意打ちで呼び捨てで呼ばれてゼルダの肩は大きく跳ねた。頬が熱くなる。いつもは身構えているのであまり熱くはならなくなったのに。
「あ、顔が赤くなった。最近呼び捨てで呼んでもなかなか赤くならなかったから、寂しかったんだよね。まだ耐性ついてなくて嬉しい」
1841ゼルダはじっと、リンクが日課にしている鍛練を地面に座って見ながらそう思った。
前の呼び捨て騒動で自分だけ赤面祭りだったのだ。その後リンクは弱点について話してくれたのだが、少ししか赤面していないし、正面から見ていない。
むぅ、とゼルダは頬を膨らませた。だけど、肝心の方法がわからない。
ゼルダはリンクを照れさせる方法をあれこれ考えた。だから、防御体制がとれなかった。
「ゼルダ」
不意打ちで呼び捨てで呼ばれてゼルダの肩は大きく跳ねた。頬が熱くなる。いつもは身構えているのであまり熱くはならなくなったのに。
「あ、顔が赤くなった。最近呼び捨てで呼んでもなかなか赤くならなかったから、寂しかったんだよね。まだ耐性ついてなくて嬉しい」
namonakisaihate
MEMOゼルダが対リンク呼び捨て耐性無かったらよきですなぁ、とか思っていたら色々思いついて予定より長くなってしまった呼び捨ての話 下から何かが焼けるいい匂いがしてくる。
柵の隙間から覗くと、リンクが下の階の台所で何かを作っているのが見えた。そろそろおやつの時間だろう。
ゼルダは再び筆を動かし始めた。おやつになる前に今書いている手紙を完成させたい。
黙々と筆を走らせ、手紙を書き終えた。羽ペンを置いて、ゼルダが腕をぐぅーっと伸ばしたのと、リンクが声をかけたのが同時だった。
「ゼルダ、おやつにしましょう」
その瞬間、ゼルダは硬直した。何故か頬が熱くなる。
「ゼルダ?」
「は、はい! 今すぐ行きます!」
ゼルダは慌てて椅子から立ち上がり、顔が赤いまま下の階に駆け降りた。リンクと目が合い、なんとなく気まずくて目をそらす。
「どうされましたか?」
2872柵の隙間から覗くと、リンクが下の階の台所で何かを作っているのが見えた。そろそろおやつの時間だろう。
ゼルダは再び筆を動かし始めた。おやつになる前に今書いている手紙を完成させたい。
黙々と筆を走らせ、手紙を書き終えた。羽ペンを置いて、ゼルダが腕をぐぅーっと伸ばしたのと、リンクが声をかけたのが同時だった。
「ゼルダ、おやつにしましょう」
その瞬間、ゼルダは硬直した。何故か頬が熱くなる。
「ゼルダ?」
「は、はい! 今すぐ行きます!」
ゼルダは慌てて椅子から立ち上がり、顔が赤いまま下の階に駆け降りた。リンクと目が合い、なんとなく気まずくて目をそらす。
「どうされましたか?」
ogawa_stis
DOODLE絶対安全忠犬(安全ではない可能性もある)2枚目は没表情 3枚目は🐺の絵文字たくさん貰ってたので🐺差分です
waveboxのほうにわんこリンクみたいってコメント頂いたので描きました〜ありがとうございます🙏🙏 3
テン🦡
DOODLEティアダムのリンクとゼルダについて。Fedibirdでつらつら投稿してた内容を少しまとめたり付け足したりしたような感じ。
(ワンクッションは何となくです)
正直ティアダムのリンゼルは語りたいこと多すぎて語り切れないよね!!!
…という気持ちに共感してくれる人が一人でもいたらとても嬉しい!
楽だけど汚いし読みづらいので自力手書き文字やめました()
※描き忘れを見つけたので修正
四 季
MAIKINGお盆休みにリンゼル二次創作をupする予定だったのですが、他人様のリンゼル二次創作小説読んだり、ティアキンで遊んだり、寝たり食べたりするのに忙しくってェ……🍀ブレワイ〜ティアキンに至るまでのハテノ村リンゼル(書きかけ)。
(仮)fu ru sa to「貴方の故郷は、どんな所ですか」
姫の問いかけに、騎士はいつだったか、バーチ平原で姫にカエルを勧められた時のように、驚きに目を丸くした。
【fu ru sa to】
春の気配を感じさせる風に、雪割草や福寿草が吹かれてそよいでいる。万年雪を戴くラネール山から村に時折吹き下ろす風にも、心なしか、ほのかに暖かな春の匂いが混じり始めた。
雪深いハイラルの東の果てにある村に訪れる短い春は、だからこそ萌え出る生命の、眩しいようなきらめきがそこかしこに満ち溢れていた。
清らかな雪解け水が流れる川に架かる橋の先の村外れにある一軒家では、家主である少女が窓を大きく開け放って、春の空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
「ああ、春ですね……!」
3827姫の問いかけに、騎士はいつだったか、バーチ平原で姫にカエルを勧められた時のように、驚きに目を丸くした。
【fu ru sa to】
春の気配を感じさせる風に、雪割草や福寿草が吹かれてそよいでいる。万年雪を戴くラネール山から村に時折吹き下ろす風にも、心なしか、ほのかに暖かな春の匂いが混じり始めた。
雪深いハイラルの東の果てにある村に訪れる短い春は、だからこそ萌え出る生命の、眩しいようなきらめきがそこかしこに満ち溢れていた。
清らかな雪解け水が流れる川に架かる橋の先の村外れにある一軒家では、家主である少女が窓を大きく開け放って、春の空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
「ああ、春ですね……!」
四 季
DONE新式・英傑の服にまつわるあれこれ妄想(見た目からしてい前の服より高い防御力、隠し場所等々)。7/24 (ほとんど加筆していないですが)書き終わりました!
誓い「う〜ん、何ていうか、懐かしいわね」
そう言って、プルアが楽しそうに、そして意味ありげに微笑む。
私はその、「意味ありげ」な部分にはあえて触れずに頷いた。
「そうですね。
久しぶりなので、手がきちんと覚えているか、心配だったのですが……。
案外覚えているようで安心しました」
そう言いながら、私は針を持つ手を動かし、晴れた空のように目の覚めるような青い生地に、白い糸で刺繍を描いていった。
【誓い】
そんな何気ないやりとりがあってから数日後のある日、私はプルアと一緒に、ハイラル城を訪れていた。
かつては厄災に乗っ取られたガーディアンが跋扈し、誰も立ち入ることのできなかった城と城下町だが、今となってはあんなにも恐れられたガーディアンの姿は姿形もなく、もの寂しい廃墟の町が広がっているのみだ。
8996そう言って、プルアが楽しそうに、そして意味ありげに微笑む。
私はその、「意味ありげ」な部分にはあえて触れずに頷いた。
「そうですね。
久しぶりなので、手がきちんと覚えているか、心配だったのですが……。
案外覚えているようで安心しました」
そう言いながら、私は針を持つ手を動かし、晴れた空のように目の覚めるような青い生地に、白い糸で刺繍を描いていった。
【誓い】
そんな何気ないやりとりがあってから数日後のある日、私はプルアと一緒に、ハイラル城を訪れていた。
かつては厄災に乗っ取られたガーディアンが跋扈し、誰も立ち入ることのできなかった城と城下町だが、今となってはあんなにも恐れられたガーディアンの姿は姿形もなく、もの寂しい廃墟の町が広がっているのみだ。
四 季
MAIKINGティアキン発売前に書き始めたブレワイ百年前ifラブコメ。この頃自分の中で、偽装婚姻ネタが流行していたものと思われます(ティアキンでハテノ村のお家とか井戸とか龍の泪とか見てそれどころではなくなった)。
タイトルもラブコメとついていたので、多分ラブコメになる予定。
(でもティアキンのラウソニ+姫を書き始めてしまった💦)
ブレワイリンゼル百年if設定ラブコメ「リンク。
私と婚約して下さいませんか?」
ゼルダ姫から告げられたその言葉に、退魔の騎士にして救国の勇者と称えられるリンクは、目を丸くした。
※
平和な昼下がりのハイラル城。その中で、離塔にある姫の研究室だけが、妙な緊張感で満ちていた。
やがて、室内に、こほん、と小さな空咳の音が響く。その音に、しばし思考を止めていたリンクの意識が引き戻された。
ハイラル王家を陰で支えるシーカー族らしく、ゼルダの後ろに控えて空咳をしたのは、執政補佐官のインパだった。普段は明朗快活なインパだが、今日この時ばかりはどこか気の毒そうな顔で、戸惑っているリンクの方へ視線を向けた。
「その、姫様。
もう少し詳しく説明してあげた方が……」
3967私と婚約して下さいませんか?」
ゼルダ姫から告げられたその言葉に、退魔の騎士にして救国の勇者と称えられるリンクは、目を丸くした。
※
平和な昼下がりのハイラル城。その中で、離塔にある姫の研究室だけが、妙な緊張感で満ちていた。
やがて、室内に、こほん、と小さな空咳の音が響く。その音に、しばし思考を止めていたリンクの意識が引き戻された。
ハイラル王家を陰で支えるシーカー族らしく、ゼルダの後ろに控えて空咳をしたのは、執政補佐官のインパだった。普段は明朗快活なインパだが、今日この時ばかりはどこか気の毒そうな顔で、戸惑っているリンクの方へ視線を向けた。
「その、姫様。
もう少し詳しく説明してあげた方が……」
四 季
DOODLEティアキンクリアしました〜〜!!!!!!!🎉🎉といっても、ストーリーを終えただけでこれからが本番なんですが……。
そして初のティアキンタグでの投稿です。
totkで再び旅に出る前を書いていますが、龍の泪コンプした時に書き始めたものなので、totkのハテノ村に関する記述があります☺️ 5120
inmfog
MAIKING動植物の調査・保護を行うゼルダと現地ガイドリンクの話。最後の1人になる寂しさとか、人が何かを選択する時の心の計れなさ、言葉の不確かさみたいなものを書きたくて……続編前に自分の性癖だけを追求して書いてたんですが、楽しいところに辿り着く前に続編発売がきてしまいこのまま放置しそうなので一旦供養。全体の3分の1くらいのとこで止まってます……
失われるものたちへ八月の終わりにその地域に向かったのは、そこでしか観察されないという動植物の調査のためだ。やや緯度の高いその国は、短い夏を終えようとしているところだった。空港に降り立つと、乾いた風で景色が白っぽく煙って見える。
ここから電車で40分かけて市内に移動し、さらにバスで4時間半走ったところが、今日の目的地だ。長時間のフライトを終えた身体は、筋肉が凝り固まって多少の疲労を感じている。しかし、観光に来たわけではないのでゆっくりする時間はなかった。目的地に向かうバスは1日おきにこの街と目的地を往復している。乗車を予定している便を逃すと面倒だから、急がなければならない。それでも足取りが重くならないどころか、浮足立ってすらいるのは、今回の調査を心待ちにしていたからだ。
6321ここから電車で40分かけて市内に移動し、さらにバスで4時間半走ったところが、今日の目的地だ。長時間のフライトを終えた身体は、筋肉が凝り固まって多少の疲労を感じている。しかし、観光に来たわけではないのでゆっくりする時間はなかった。目的地に向かうバスは1日おきにこの街と目的地を往復している。乗車を予定している便を逃すと面倒だから、急がなければならない。それでも足取りが重くならないどころか、浮足立ってすらいるのは、今回の調査を心待ちにしていたからだ。
kana_tamayura
PAST2年3ヶ月描いていて楽しかった!ありがとうございます
3部作でブレワイ描きたい事できる限りの力で描き切りました🙏✨✨
読んでくださればうれしいな☺️✨✨
SNS整理している事、作品が完結したこと、別ジャンルにすでに移動して一年になる事、続編をプレイしつまあまりネタバレしたくないことなど
様々な理由が重なりここは更新しませんので、リンク先pixivの方で閲覧してください🙏✨✨ 4
四 季
DOODLE昨日(5/2)upした「white」(https://poipiku.com/4663883/8691845.html)と少し関連があるようなお話。タイトルと前半が暗めですが、後半は軽いノリ(でもちょっと下品なので、苦手な方はご注意ください🚫)。
自分の中のリンクさんのイメージ、百年前はムッツリ(真面目だけど箍が外れると怖い)、百年後はオープンスケベ(野生児)です😄 2831
四 季
DOODLE百年前のリンクも孤独を抱えていたと思うので、それを、「同じ孤独を抱えていて、リンクの孤独を唯一理解できた姫が癒す」……みたいな話が読みたいです(そしてベクトルの違う話が出来上がりました🫠)。
old days 母は、自分が幼い頃に亡くなった。
父と母の結婚は、比較的早かったという。理由は単純で、父の家系が代々騎士の家柄であり、戦争などの有事によって、血の断絶が起きるのを避けるためだ。
とはいえ、父と母は恋愛結婚で、子どもの自分の目から見ても、それは仲睦まじい夫婦だった。身分はそれほど高くないが、代々王族からの信任厚い、近衛騎士の家系に生まれた勤勉な父と、地方の信心深い聖職者の娘であった母。二人の結婚は、周囲からも温かく歓迎された。
ただ、もともと身体があまり丈夫でなかった母は、二十歳を迎える前に家の後継ぎである自分を、そして自分に続いて妹を産んだことで体調を崩しがちになり、自分が物心ついた頃には、臥せりがちなことが多かったように思う。
7811父と母の結婚は、比較的早かったという。理由は単純で、父の家系が代々騎士の家柄であり、戦争などの有事によって、血の断絶が起きるのを避けるためだ。
とはいえ、父と母は恋愛結婚で、子どもの自分の目から見ても、それは仲睦まじい夫婦だった。身分はそれほど高くないが、代々王族からの信任厚い、近衛騎士の家系に生まれた勤勉な父と、地方の信心深い聖職者の娘であった母。二人の結婚は、周囲からも温かく歓迎された。
ただ、もともと身体があまり丈夫でなかった母は、二十歳を迎える前に家の後継ぎである自分を、そして自分に続いて妹を産んだことで体調を崩しがちになり、自分が物心ついた頃には、臥せりがちなことが多かったように思う。
四 季
DOODLEGW中に、書きかけのものをできるだけ書き上げたい……。星月 ──星が落ちてくる。
夜の帳を縫うように、一筋の弧を描いて。
この広い、ハイラルの大地へと。
【星月】
「この子のような馬を、『星月』と呼ぶのだそうですね」
姫の言葉に、俺は姫の方を振り向いた。俺がそのまま──俺の表情の動きが分かるダルケルやミファーから見れば、かなり呆けているように見えただろう──姫を見つめていると、餌やりの手が止まって不満だったらしい俺の馬が、鼻先で俺の肩を小突く。俺は慌てて、樹からもいだばかりの手に持っていたリンゴを、馬の口元に差し出した。
そんな俺たちのやりとりを見た姫が、陽だまりのように柔らかな笑みを浮かべた。
姫と俺は今、城の厩舎にいる。馬に乗り慣れない姫が、馬と親しくなるために馬の生態と、俺の馬との接し方を知りたいのだと俺に助言を求めたからだ。
3587夜の帳を縫うように、一筋の弧を描いて。
この広い、ハイラルの大地へと。
【星月】
「この子のような馬を、『星月』と呼ぶのだそうですね」
姫の言葉に、俺は姫の方を振り向いた。俺がそのまま──俺の表情の動きが分かるダルケルやミファーから見れば、かなり呆けているように見えただろう──姫を見つめていると、餌やりの手が止まって不満だったらしい俺の馬が、鼻先で俺の肩を小突く。俺は慌てて、樹からもいだばかりの手に持っていたリンゴを、馬の口元に差し出した。
そんな俺たちのやりとりを見た姫が、陽だまりのように柔らかな笑みを浮かべた。
姫と俺は今、城の厩舎にいる。馬に乗り慣れない姫が、馬と親しくなるために馬の生態と、俺の馬との接し方を知りたいのだと俺に助言を求めたからだ。