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    #mafiyami

    KAYASHIMA

    DONE💛💜です。
    にじそうさく07にて無配ペーパーとして書きましたお話です。
    学パロ。
    雰囲気なお話。
    【mafiyami】スモールワールドの扉「さっき校舎裏でヤミノが告白されてたのみちゃった」
     ザワザワとした教室の空気に、針が一本ぷすりと刺さった。入口から気色ばんで飛び込んできたクラスメイトは、少し大きな声でそういった。くっきりとした音だった。オレの耳に、聞かせるような声だった。と思わせるくらい、鮮明だった。
    「また? ヤミノってモテるねえ」
    「美人だもの」
    「でもしゃべると変? じゃない?」
    「ギャップじゃん。綺麗で近寄り難いと思ってたけど気さくで明るいから」
     さわさわと、さざなみみたいにオレへと近づいてくる他人から見えるシュウの情報に、どうしてか緊張して、生唾を飲んだ。ヤミノシュウは、オレの親友で、誰に紹介しても自慢できる最高のヤツ。多数に流されない芯があって、他人と違うことにも何処吹く風。綺麗な黒い髪と、ミステリアスな深い紫の目をした、澄まし顔の美人。だけど、気さくで豪快に笑うただのオレと同い年の男。物静かで、快活で、うつくしくて、少しだけズレている。振り幅だけなら多分、学校一だろうって思えるくらい、魅力のある人間。ヤミノシュウは、そんなヤツ。家が近所で、小さいころからだいたい一緒だった。高校も、理数科を選んだ結果同じ。ただオレはスポーツ推薦も相まって、シュウとは同じクラスにはならない運命だった。まあ四六時中一緒にいたいわけじゃなかったし。と思って過ごした二年。この間に、「他人から与えられるシュウの情報」に胸をモヤモヤとさせていて、ひとり気まずさを育てている。ほとんど知ってるシュウのこと。耳にするのも大抵は知ってること。特別新しいことなんてないはずなのに、どうしてか初めて聞くような感覚になって、何度首を傾げただろう。
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