麦茶が飲みたい 麦茶が飲みたい。
ふと監督生は口の中に浮かび上がった懐かしい味を思い出し、もにゅりと唇を動かした。
季節は真夏、あともう少しで太陽が真上にくるような時間帯。飛行術で走り回る学友たちを記録ボード片手に眺めているだけの自分は、汗がキラキラとおかしなエフェクトに見える主人公クラスの彼らと違い、日陰でスンとした顔で立っているだけの見切れモブだろう。
そんな彼らを遠くから眺めていると、まるでテレビ画面の向こうを眺めている気分になるわけで。
散々朝寝坊をした後ごうごういう扇風機の前で、見るともなしにお昼のTVの番組をリモコンでパシパシ変えていた夏休み、自分の隣にはいつも、時折からんと涼しい音を立てる氷入りの麦茶があった。
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