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    g_arowana

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    g_arowana

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    とこほです。一応カップリング色のある話です。描写がさっぱりないので年齢指定はいらないと思う。

    安定の弩コンプラ師弟のことなので、言うまでもないかもしれませんが四年後です。

    #とこほ
    evergreenTree

     固く確かで、しかし微かな弾力を忍ばせ、なめらかで、血を通わせて、あたたかい。
     鷹や鷲に似た造りの嘴に、ホークスは唇で触れて回る。
     
     交際相手だった、と言って良さそうな人間は数人いるが、その中に、体の造りに個性を発現させたタイプは一人もいない。ホークスは、鳥のカタチの恋人を得るまで、その事実をまるで意識していなかった。
     視点の高さや角度を異にする検分が、ホークスの人格の根幹だ。だから彼は自分の盲点を、それに気付かされたことを、少なからず愉快に思っている。
     
     ベッドに座した常闇の腿を跨いで覆いかぶさり、ちゅ、ちゅ、と嘴の脇をノックしていると、そろりと隙間が開かれた。小ぶりで平らな下嘴、大きく弧を描いて覆いかぶさる上嘴。上手く首を傾けて避けないと、彼の舌には出会えない。鼻面同士をぶつけないようにするのと、似ているようでちょっと違ったコツがいる。
     一番違うのは、彼に大きく口を開いてもらわないと何も始まらない、ということだろう。かぱりと開いた上嘴のかげに唇を忍び込ませ、気持ちのいいものを舌でねだる。まるで親鳥から餌をもらう雛だ、なんていう想像は、ホークスには少々こそばゆい。
     ないものねだりは行き止まりだ。一歩でも半歩でも先へと進みたくて焦がれる人生に、手に入らなかったものを数えている暇はない。だから、自分に与えられなかった子供時代、なんてものに、彼はあまり関心を持てずにいるのだが、どういうわけか今になって、好きな相手に雛鳥の真似事なんてやっている。

     舌肉は柔らかく、自在に形を変えて、なのに硬い芯をもつ。触れ合わせると、湿った音が体の中に響いて籠もる。上顎や舌横をぬるりと掠めるくすぐったさが、羽で撫でるように背筋を降りて、下腹に熱を溜めていく。
     跨いだ体に擦り付けたくなる性感と、喉を撫でられている猫みたいな気分の綯い交ぜを惜しみながら、ホークスは、合わせた口を一度解いた。熱くなった息の撫でる頬に、うなじに回されていた手がするりと滑ってくる。
    「相変わらず、嘴に興味をお持ちのようで」
    「ありゃ、バレバレ?」
     悪びれない師匠に、弟子の方も慣れたものだ。
    「構わないが。……嘴の無い体と俺を比べて恥じない人となりなら、あなたはもう少し楽をしておいでだろう」
    「いやーそしたら君、そもそも俺にベタ惚れしてなかったでしょ」
    「自信がおありで何よりだ」

     ぬばたま色の毛並みを指で漉き、くくっと喉を震わせて、ホークスは赤い瞳を覗き込んだ。
    「ま、でも実際んとこ、君、キスはどうなの。俺は好きなんだけどさ。ちょっと抵抗ある感じ? 嘴いじられても微妙かなーとか、希望ある?」
    「…………イイか悪いかでいうなら、今のままで大変イイが」
     コホンと咳払いをして、常闇は視線を泳がせる。
    「その、……俺の場合、大口を開けないとあなたに届かなくて、食らおうとしているようになるもので。それが、居た堪れないというか……」

     満点の解答に――この場合「常闇が言うのなら」文句抜きに可愛いという趣旨の採点だが――ホークスは、えい、と弟子に伸し掛かった。
     今はもうフィジカルが弱点だなんて誰にも言わせない、立派に体幹を鍛えた青年は、けれどおとなしく押し倒されて目を白黒させてくれている。
    「そりゃいいね。食べてもらうのに準備してきたかいがある」
     頭からパックリどうぞ? と笑うホークスの後頭部が、下から伸びた手に捕まえられる。それから彼は、希望の通り、準備万端の体を大口あけた恋人に食べられた。
     
     情緒もいいけど、やっぱりコミュニケーションって大事だよねぇ、と一戦終えた師匠はシーツの上で同意を求める。水を手渡す弟子の答えは、あなたに関しては俺もそう思う、というものだった。
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    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

    g_arowana

    DONE鳥師弟。……いや告白してる気がしなくもないのでとこほなのか。どうなんだ。いつものよぅ分からんやつです。
    ヒ暇世というには忙しい未来の休暇話。
     春空に、無数のシャボン玉が舞っている。

     だだっ広い芝生の上では、小学校に上がるくらいの年頃の子供が何人も、空に虹色を飛ばしている。シャボン玉なんて、と最初はバカにしていたのだが、あたりいっぱいに飛ばしているうちになんだか面白くなってしまったらしい。今は大きく頬を膨らませて意気盛んだ。
    「君は遊ばないの?」
     ホークスは、彼らからちょっと離れた芝生に座る子供の隣で屈みこむ。
     今日の彼の姿は、羽をパーカー下に畳んでキャップを被った休日スタイル。身分を保証するものは掲げていない。もっとも、例え羽が見えていても、近年裏方に回りがちな彼をこの年頃の子供がヒーローと認識するかは怪しいところだ。
     鳥型の少年だった。タイプとしては嘴長めの鴉寄り。ホークスの身内とは色味以外はあまり似ていない。そんな少年は、ホークスの馴れ馴れしくもなければ畏まるでもない、あまりに自然な態度に、答えを返して当然だと思わされたようだった。そう仕向けているのはホークスだが、育成環境由来のこの特技には当人も「適性・人さらいって感じだよなぁ」と思っている。
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    g_arowana

    DOODLEこの間の、嘴が楽しくてしょーがない師がいる時空の話。
    この世界線の彼らのプロポーズ(????)の経緯はこんなでした。

    とこやみくんとかみなりくんの話は珍しい気がする。
     友人が既婚者だつた。
     上鳴は、飲んでいたカシオレに静かに噎せた。
     
     常闇と上鳴は、旧A組の中では特に仲が良かった方ではない。好む話題もベースのテンションも、とかく色々ズレている。
     だが仲の良かった「方」ではないといっても、それは、全員が全員親友だといって過言でないA組基準の話である。二人は一般的には十分以上に仲が良く、こうして上鳴が、飲みの席でも隅を好む常闇の隣に「よう!」と話しに来たりする。加えて言うなら、彼にとって常闇は、個人的に印象深い人間だった。
     彼らにとって超常解放戦線との戦いは今なお忘れがたい傷痕だ。その強個性から学生の身空で「戦争」の最前線に引っ張り出されたとき、上鳴は正直半泣きだった。仲間想いの彼は最後には背後の級友のために奮起したのだが、そういう上鳴だからこそ、ホークスのピンチを叫んで上官の制止を振り切ってしまった常闇に顎を外したものだ。常闇自身の語彙を借りるなら、正しく漆黒の流星のような吶喊だった。
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    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

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    g_arowana

    DONE来世になってもカップリングにならないNo2と3の雑バディ。
    まだジニさんがホーさんを「君」呼びしてたころの話。

    呑み会に繋げる予定で書き始めたのですが、「特に繋げる必要がないな」と途中で気がついたので今日はここまで(多分いつか書きます)
     ホークスのデビューは鮮烈だった。
     ベストジーニストより上の代には、二十歳もそこそこにナンバー2を不動にしたエンデヴァー、そして勿論、生ける伝説のオールマイトがいる。だから「齢十八にしてトップ10入り」という成績の「前人未踏」面のインパクトは案外大きくなかったのだが、それでも異例のスピードには違いなかった。
     端的に、「頼もしいヒーローが出てくれたな」と思ったものだ。ジーニストは社会貢献に積極的なヒーローで、有難いことに支持率にも恵まれている。妥協のない品行方正ぶりは彼の人気の一因だ。「ヒーローが言わずして、一体誰が正論を言えるというのか」と胸を張る彼だったが、その姿勢が、導くべき若者にこそ煙たがられてしまうのには、些か反省の念も抱いていた。その点、ホークスの歯に衣を着せない物言いは、ジーニストでは届かない層にも響くと見えたのだ。
     アイコンとして相応しいかについては、実は全く心配していなかった。単に数字を見ての判断だ。特筆すべきは事件解決数以上に、解決スピードと被害の抑制。
     犠牲を出さないことにあれだけ特化したヒーローは、全国を探しても希有だろう。

     とはいえ、まさかそれから二 2024