Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    g_arowana

    @g_arowana

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 27

    g_arowana

    ☆quiet follow

    一つ前の、雑バディととこほの合わせ技の、ちょっとした続き。
    何がどうしてこんなふつうに可愛い話が生えたんだろう……?

    #とこほ
    evergreenTree

     メッセージ一つで、鴉の青年は本当に相方の回収に現れた。ホークスと共に別件で上京していた彼は、隣県で丁度事件を片付けたところだったという。
    「すまない。呼び立ててしまった私もよくよく酔っているな」
    「いえ、近場でしたから」
     発言は、礼儀正しい彼の気遣いではなく、単なる事実認識だったらしい。空を駆る彼ら師弟の距離感覚は、重力に縛られた人間にはどうにも量り難いところがある。
     玄関先でジーニストの背後に目をとめ、ツクヨミは微かに目元を和ませ、す、と頭をさげた。
    「……ありがとうございました」
    「礼を言うのはどう考えても、酔っ払いを回収して貰える私の方だよ」
    「師は、佳い時間を過ごしたようです」

     ……何が驚いたって、ただただホークスの幸いを喜ぶ声に、背後から茶化す軽口が返らなかったことだ。靴に突っ込んだ爪先をトントンと床に打ち付ける男を振り返り、ジーニストは人の悪い笑みを見せる。
     先の出来の悪いノロケより、こちらの方がよっぽどだろう。
     
       ◇

    「車を拾うか?」
    「風がいいからちょっと歩きたいかなー……って君に悪いか、さすがに」
    「問題ない。俺とて、脚を使ってここまで来たわけではないのだから」
     めちゃくちゃな理屈だ、とホークスは笑い、結局そのままなし崩し。高層マンションを背に、二人はふらりと歩きだした。ホークスは大きく伸びをする。
    「あー……ひっさしぶりに酔っ払った」
    「ご冗談を。ジーニストの家で火酒をボトルで空けたので?」
    「うーん、理解が正確すぎる」
     喉奥で笑った彼は、でもほんとだよーと続ける。
    「笑うところだけどさ」
    「ああ」
    「人と手を繋いで歩きたいって浮かれたヤツの気持ちが初めて分かった」
    「なるほど」

     常闇は、ひょいと隣を歩く師の手を絡め取り、コートのポケットに仕舞い込んだ。師の素で唖然とした顔はちょっと面白かった。
     シークタイムの短さはこの人譲りなので、当人が驚くことではないと思う。
    「……付き合いイイにも程がない? 君」
    「こういうのは、役得という」

     このひとが、してやられて悔しい、という顔を素直に見せてくれるのだから、酔っているという自己申告は正しいらしい。確かに悪くないようだ、と笑って、常闇はポケットの中の手を握りなおした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏💞😭💯👏❤😭👏💖🌒🐦💖🙏😭👍👍❤❤❤❤❤❤❤❤☺☺👏💴🙏☺👍❤😍💘💖💖🌘🐦💖💖💖😍💖💖👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

    g_arowana

    DONE鳥師弟。……いや告白してる気がしなくもないのでとこほなのか。どうなんだ。いつものよぅ分からんやつです。
    ヒ暇世というには忙しい未来の休暇話。
     春空に、無数のシャボン玉が舞っている。

     だだっ広い芝生の上では、小学校に上がるくらいの年頃の子供が何人も、空に虹色を飛ばしている。シャボン玉なんて、と最初はバカにしていたのだが、あたりいっぱいに飛ばしているうちになんだか面白くなってしまったらしい。今は大きく頬を膨らませて意気盛んだ。
    「君は遊ばないの?」
     ホークスは、彼らからちょっと離れた芝生に座る子供の隣で屈みこむ。
     今日の彼の姿は、羽をパーカー下に畳んでキャップを被った休日スタイル。身分を保証するものは掲げていない。もっとも、例え羽が見えていても、近年裏方に回りがちな彼をこの年頃の子供がヒーローと認識するかは怪しいところだ。
     鳥型の少年だった。タイプとしては嘴長めの鴉寄り。ホークスの身内とは色味以外はあまり似ていない。そんな少年は、ホークスの馴れ馴れしくもなければ畏まるでもない、あまりに自然な態度に、答えを返して当然だと思わされたようだった。そう仕向けているのはホークスだが、育成環境由来のこの特技には当人も「適性・人さらいって感じだよなぁ」と思っている。
    3338

    related works

    g_arowana

    DOODLEこの間の、嘴が楽しくてしょーがない師がいる時空の話。
    この世界線の彼らのプロポーズ(????)の経緯はこんなでした。

    とこやみくんとかみなりくんの話は珍しい気がする。
     友人が既婚者だつた。
     上鳴は、飲んでいたカシオレに静かに噎せた。
     
     常闇と上鳴は、旧A組の中では特に仲が良かった方ではない。好む話題もベースのテンションも、とかく色々ズレている。
     だが仲の良かった「方」ではないといっても、それは、全員が全員親友だといって過言でないA組基準の話である。二人は一般的には十分以上に仲が良く、こうして上鳴が、飲みの席でも隅を好む常闇の隣に「よう!」と話しに来たりする。加えて言うなら、彼にとって常闇は、個人的に印象深い人間だった。
     彼らにとって超常解放戦線との戦いは今なお忘れがたい傷痕だ。その強個性から学生の身空で「戦争」の最前線に引っ張り出されたとき、上鳴は正直半泣きだった。仲間想いの彼は最後には背後の級友のために奮起したのだが、そういう上鳴だからこそ、ホークスのピンチを叫んで上官の制止を振り切ってしまった常闇に顎を外したものだ。常闇自身の語彙を借りるなら、正しく漆黒の流星のような吶喊だった。
    2732

    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

    recommended works

    g_arowana

    DONE鳥の弟子が師匠を甘やかします。
    Without Regretsの世界線。Pardon? から一週間で引っ越してその翌月なので、たぶん常闇青年21歳4月の出来事です。
     夜警を終えて師のマンション(もとい、先月からは彼の自宅でもあるのだが)に帰った常闇は、リビングの灯りに目を丸くした。
     体が資本の稼業、休めるときに休むのは義務のようなもので、シフトの異なる相手を待って睡眠時間を削ることはお互いしない。実際、向こうも常闇を待っていたわけではないだろう。グラスを片手にホークスは、視線をぼんやり前に投げたままひらりと手を振った。
    「お疲れ」
    「そちらも。……珍しいこともあるな」
    「ん-。ごっめん、ちょっと放っといてくれると助かる」
     いつも通りの軽々しい口調に、ひりついた響きが微かに滲む。ふむ、と常闇は逡巡した。

     さして問題だと思ったわけではない。この人の、回転数の規格の狂った思考回路に無理矢理足踏みをさせようとなったら、化学物質で物理的に止めるくらいしか手がないのは承知している。「どうせ気分が腐って休めないのだから、徹夜で仕事を片付ければ一石二鳥」などと言われるより余程安心だという話だ。酒精で体をいためるほど自分を甘やかすことなど、良くも悪くもできない人なのだから。
    1096