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七井の倉庫DONEサトミタン2025記念のヒトリワンライ作品です。お題から「視線」を使わせていただきました。シリーズ【歌声、 奈落の底までも】の世界観をベースにしています。聡実くん、20歳おめでとう!幸祐のペルセポネ 去年の互いの誕生日のことを思い返すたび、聡実はつい笑ってしまう。 どちらの誕生日も散々だった――特に、自分の誕生日は酷いものだった。マンションは爆発する、車には尾行される、カーチェイスは始まる、乱闘に銃、犬たち、そして狂児――。本当に碌なものではなかったが、今となっては楽しい思い出である。今にして思えば、あれは明確に、聡実が"こちら側"に踏み入った最初の出来事だったと言える。あれから一年、自分はすっかり"こちら側"に馴染んでしまった。自分が望んだことであり、後悔などまったくしていないが、しかし、当時は自分がここまで"適正"があるとは思ってもみなかった。 1489 七井の倉庫MEMO天淵三話より、神話部分のみ抜粋しました。天淵第三話神話部分(仮) ——すると、姿が見えない神様が言いました。 「それでは、私が風を起こして、赤い霧を吹き払ってあげましょう」 人々は驚きました。大嘯穢の最中は、風は淀み、水は濁り、光は薄くなってしまうのに、どうやって風を起こすというのでしょう。 神様は、こう答えました。 「みなさん、声を出してみてください」 人々は、言われるまま、声を出してみました。 するとどうでしょう、人々の口から出た声は空気を揺らし、風になったではありませんか。 驚く人々に、神様は、自分と同じ声になるよう、声を出して見るように言いました。 低い声、高い声。 高い声、低い声。 そうして神様を真似て声を出すうち、人々はそれがとても心地良い響きを生み出すことに気が付きました。 982 七井の倉庫MAIKING【天淵に響け、黎明の祝歌】第二話冒頭を公開しておきます。こんな感じで始まる予定です。天淵第二話冒頭(仮) サトミは昔から、かくれんぼが苦手だった。 少年の周囲には、常に誰かが契約した精霊が控えていて、きらきらと、優しい光を放っていたからである。燃える鷹、白い虎、奇怪な土の猫に始まり、氷の蛇、岩の熊——そして、白く輝く鶴。様々な精霊が、契約者でもない小さな少年に付き従う様は、実に神秘的な光景であった。 時には、精霊だけでなく、契約者本人が控えていることもあった。炎を操る魔術師、風より早く射抜く狙撃手、様々な薬草に精通する薬草師、常に冷え冷えとした冷気をまとう魔術師、岩のような剣闘士——そして、何よりも少年を大事にする、あらゆる武器を使いこなす剣士。 彼らは、あの大嘯穢にも動じず楯ノ森を守り抜いた、誇り高き傭兵団・祭林組の組員たちであった。彼らは大嘯穢から町を守った後も、残った魔獣退治や魔獣の屍の処理、西の森で発生した瘴気の封印などの危険な仕事から、次の大嘯穢に備えての兵の訓練、防壁の強化、隣町までの護衛など、楯ノ森の町のために多岐にわたる仕事を引き受け、一つ一つ解決していった。やがてサトミが五つになる頃には、彼らは町の一角に拠点となる”祭林組本部”を構え、すっかり楯ノ森の一員として認められるまでになっていた。組員の中には、町のものと結婚し、子をもうける者までいた。彼らはいまだに傭兵団を名乗っていたが、今となっては傭兵団というより”町の便利屋集団”と言った方が相応しくなっていた。 847 七井の倉庫MAIKING【天淵に響け、黎明の祝歌】第一話冒頭を公開しておきます。こんな感じで始まる予定です。天淵に響け、黎明の祝歌 第一話冒頭 「40年ぶりに南の大森林から大嘯穢が発生した」という報せは、王国の西域の町【楯ノ森】にも大きな混乱と恐怖をもたらした。 楯ノ森は、多くの旅人が訪れる、古くから栄える宿場町である。町は賑いに溢れ、旅人が泊まるための様々な宿屋はもちろん、三つの商店街はそれぞれに活気に満ち、中央には小さいながらも立派な六大神の神殿が建てられていた。町の西側には豊かな森が広がり、森林資源にも事欠かず、住人たちは溌剌と暮らしている。しかしながら、森は瘴気が発生しやすい場所でもあるために、町の外周を囲む防壁は、西側だけ他より高く作られていた。古い時代から、幾度も様々な職人の手によって補強され、また幾重にも重ねられ続けた防衛魔術により、西壁は夜になると微かに蒼く発光する。その美しい景色は、平素は町の観光資源としても役立っていた。 1144 七井の倉庫TRAINING富士野より鷹島の方がメイクが得意、ということは??那須原のアネゴ、爆誕実際富士野より鷹島の方がメイク得意だよ、鷹島は変装のためにメイクも勉強したから。え、鷹島のメイクで那須原が激変する話??目つきキツイ三白眼の身長180cmのほっそり爆乳(夢と希望をみっちり詰め込んだ)美女が爆誕してしまって全員にドン引きされる回の話ですか?? というところから書きました。 ついでに未来の面子の会話の練習させてください。 *** *** 「わあ…那須原さん、本当はすごい美人だったんですね…」 「違す!」 「声もそんな違和感なくて怖いなあ」 「怖いてなんですか!?」 「…オマエそれで店出てみるか」 「カシラ!?!?」 「俺天才ちゃう?」 「この野郎!!!!」 「おわあ」 「おい松山ぁなんや『おわあ』っちゅうのはぁドタマブチ抜くぞゴァ」 1079 七井の倉庫DONEぶつかりおじさん🆚御一行の話が書きたかっただけなのにやたら長くなりました。先日ちょびっと書いた、犬たちの組み合わせの話とも関わっています。設定を小説風に書いた設定小説(?)です、よろしければどうぞ。不離一体の番犬たち 狂児と聡実の外出には、犬二匹が"表"、残り二匹が"裏"についている。"表"の二匹は近距離から、"裏"の二匹は遠距離から二人を護衛している。四匹のどの組み合わせでも機能するが、それぞれの得意分野を考慮した組み合わせになることが多い。 例えば、富士野は元ボディーガードという経歴もあって、"表"に回る方が圧倒的に多い。とっさの判断と行動力は、四匹の中で群を抜いていた。狂児との年齢も近く、一緒に行動していて違和感がない。顔の傷と眼帯も、メイクで隠し医療用のものに変えるだけで、ほとんど目立たなくなる。それらがなければ、富士野は「ガタイのいい優しそうなオジサン」にしか見えなかった。聡実はこの"表"用の富士野の顔を穴が開くほど見つめ、メイクの凄さを思い知ったのだった。 3401 七井の倉庫MAIKINGBlueskyに投稿している短い話をまとめて置いています。いずれ本編に組み込むかもしれません。Blueskyの短い話まとめ浜名湖騒動その後 「…富士野さん、やっぱ今からでも指示役交代しません?」 「お、どうした鷹島ぁ。落ち込んどるなあ」 「そら落ち込みますよ…岡くんにあんな怪我させてもうて…」 「…確かにアレは失態やったな、ホサにあの場で殴り殺されてもおかしぃなかった」 「…怪我させた本人に庇ってもろて…俺ホンマ情けのうて…」 「そう思うんやったら、指示役交代しとる場合とちゃうな」 「え、でも俺は…」 「今回は確かにお前の采配が悪かった。ただ、お前はまだ若い。失敗から学ぶことも仰山ある。そこからどう成長するかが大切や。同じ失敗をせんためにはどうしたらええか、よお考えよ。ホサはそれを期待しとる」 「期待やなんてそんなん…っ」 「クビにされんかったやろ」 7506 七井の倉庫MOURNING再録本の書き下ろしにしようとしていた話です。七井らしさが完全に死んだ文章ですが、自戒を込めてここに上げ、供養したいと思います。興味ある方はどうぞ。再録本用 ボツ原稿一、使わへんもんばっかり 「へ!? プレゼントですかぁ!? ホサに!?」 アルファードの車内に、那須原の叫び声が響く。 勢いよく振り向いた那須原は、ただでさえ青い顔をもう一つ青くして、怪物を見る目で聡実を見た。 「しーっ、声が大きいです!」 聡実は慌てて身を乗り出し、助手席の那須原に一生懸命”静かに”のサインを送る。聡実はハリアーの窓越しに富士野と狂児の様子を伺ったが、二人は車外の前方で何事か真剣に話し合っていて、こちらの話に気付いた様子は無かった。 ほっと息をつき、聡実は後部シートにもたれかかると、ピーコートの厚い袖で顔を半分覆う。 「もうすぐクリスマスやないですか? せ、せっかく、けっ、けっこ……お、お付き合いすることになって、最初のアレやし、何かその、贈ろかなと……」 14081 七井の倉庫TRAINING情報部の八幡くん(ジャージくん)の一日について。情報部八幡の一日八幡はジャージくんのつもり。情報部所属。学生時代にインターネットで”イタズラ”をしており、それがキッカケで若頭に目をつけられ、スカウト(ほぼ誘拐)されてきた。頭のネジが緩んでいたところに、このことで何本か抜けてしまい、すっかり組に馴染んでしまった。もともと倫理観がゆるかったこともあり、犯罪行為に躊躇いがない。体力があり、躊躇いがないので、以外に腕っぷしが強い。 【朝】 八幡の朝は早い。情報部というのは、読んで字の通り”情報”を扱う。情報を得るためには、インターネットはもちろん、足で歩いて調べ回ることも重要になってくる。体力が必要なのだ。よって八幡は、朝に向かって眠りにつく”夜の街”を一人でランニングするのが日課であった。今朝もいつものジャージを着込み、先日四宮から手渡された”臨時収入”で購入したばかりのランニングシューズの紐をしっかりと締め、アパートの鍵もついでにしっかりと締めると、階段を降りて駐輪場へ向かう。そこで準備体操をしながら、今日はどちらの方向へ向かうか決めるのだった。白い息が、規則正しく現れては消える。明けの明星が、東の空に輝いていた。 1066 七井の倉庫DONE教習所行こ! ブルスカのメモをまとめました。嘘予告風。できたら追加していきます。教習所行こ!※注意! 拙作【歌声、 奈落の底までも】がベースになった妄想です! 免許を取るため自動車学校に通うことになった聡み。彼の性格を知る面々は恐怖に慄く。例のイッタレパワーが発揮されたら、車どころか自動車学校が爆発するかもしれないのだ。狂じは「ほんまに取らなあかん? 足がいるなら狂じさんがどこへでも送ったるよ?」と一生懸命訴えたが、聡みは頑なに免許を取ると譲らない。なぜなら聡みには一つの願望があった。自分が運転する車の助手席に狂じを乗せて、温泉旅行に出かけたいという、実にささやかな願望である。しかしそのためには、車の運転は勿論、クソと名高い学科試験をクリアしなくてはならない。果たして聡みは、学科試験を攻略することができるのか——? 次回、「大炎上」お楽しみに! 2041 七井の倉庫MOURNING七井の【使わないけど取っておく文章置き場】より発掘した、「歌声、暁闇に祝ぐ ⑥」のボツ部分と、その部分の解説です。歌声、暁闇に祝ぐ⑥のボツ部分七井の【使わないけど取っておく文章置き場】より発掘しました。 ーーーー 「カシラホサ、割とあっさり許可くれましたね……」 出来上がっていく表を見ながら、那須原がぽつりと零す。 「僕もっとめちゃくちゃ言われると思てました……」 鷹島は苦笑した。 「そら、アレ見てあの報告書見てあの報告聞いたらなぁ……」 鷹島は、明るい春の空を見上げながら、今朝の出来事を思い返した。 朝方、ようやく連絡がついた狂児は、この世の終わりのような顔で、数カ月で綺麗に消えたはずの隈を復活させていた。 表計算の結果がまったく合わないと思ったら、どうも改竄されているらしいことが分かり、計算しなおしたところ、他も含めて何だかとんでもないことになってきたらしい。どのぐらいとんでもないかと言うと、出張が三日で終わらないぐらいとんでもないということだった。 2506 七井の倉庫MOURNING七井の【使わないけど取っておく文章置き場】より発掘した、「咆哮、月下に鳴響き②」のボツ部分と、その部分の解説です。咆哮、月下に鳴響き②のボツ部分七井の【使わないけど取っておく文章置き場】より発掘しました。 ーーーー 「そう。なら、【Tomorrow】のアルト、今でも歌える?」 「え、あっ、はい!」 “動くな”と命じられた以上、松山はその場を離れることもできず、不安げな表情で立ち尽くす。 芝野は目を丸くしながらも、黙って事の成り行きを見守っていた。 聡実はやがて芝野のデスク横で立ち止まり、松山と相対すると、何とか笑おうとして失敗した顔のまま、松山に指示した。 「……歌ってみて。一番だけでいいから」 ——今から!? 伴奏無しで!? しかし犬に拒否権はない。 松山は息を深く吸うと、覚悟を決めて歌いだした。 ——時の流れ いつでも—— 歌いながら松山はこの一週間の出来事を走馬灯のように思い出していた。 1320 1