風邪を理由に暁人が風邪をひいた。日頃から身体には気をつけている方だが、連日の疲労と昨晩の夕立ちでびしょ濡れになって帰ってきた結果、見事な風邪っぴきとなってしまった。
「風邪なんて、久しぶりになったよ……」
体温計で熱を測りながら暁人が困った顔で笑う。
ピピッと計測音が鳴って確認すると、微熱だった。
「ま、このぐらいなら寝てりゃ治るよ」
「うん………あのさ、KK」
「ん?」
「………お粥、作ってくれない?」
確かレトルトのお粥があったはずだな、とKKが立ち上がり台所に向かおうとすると暁人が呼び止めた。
「それと、ちょっと高いアイスと暖かいミルクも飲みたい」
「…あとは?」
「…今日はずっとそばにいて欲しい」
「いつもそばにいるだろ」
「うん、いつも以上にそばにいて欲しいんだよね」
ちょっと心細くなっちゃって、と暁人が呟く。
「…あ、でも、そしたらKKに風邪移しちゃうかな」
「…オマエからもらった風邪なら喜んでかかるっていったらどうする?」
「それはちょっと怖いかな」
真顔で答えられ、本心なのか冗談なのかはわからない。暁人は再度「それでも、KKがいいならずっとそばにいて欲しい」とお願いをする。今日の暁人はかなりの甘えたである。
「…仕方ねぇなぁ、風邪が治るまではオマエの我儘を聞いてやるよ」
KKがそっと抱きしめて額にキスを落とすと、くすくすと満足気に暁人が笑う。風邪でなくても日頃から我儘は聞いてくれるのにね?と優越感さえ覚えて。
KK、風邪を理由にいつも以上に甘えさせてくれる?