「お前は人間だから、あと何十年かしたら死んじゃうよね」
「そうですね。ほら乱数くん、そちらの手も見せてください」
さっき帝国軍だとかいう輩がいっぱい来た。寝床にしている大樹を切ろうとするから追い払って、少し怪我をした。寂雷はそれをわざわざ治療しに来てる。
ボクはドラゴンだから自己治癒できるんだよ、と説明したのはいつだったかな。そんな前じゃないはず。
裂傷の箇所を綺麗にしてくれてる寂雷は、そういうの忘れているのかな。清潔な綿も消毒のアルコールもタダじゃないだろうに。
近くの村でお医者さんしてる寂雷は名医、ってやつらしい。
「ゲンタローとダイスが戻ってきちゃうから早めに終わらせてね」
「治療をしたらちゃんと村に帰りますよ。一二三くんと独歩くんが待っていますから」
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