母たちの昼下がり「そういえば、タナトスはすっかり大きくなって。」
湯気が立つカップを手に取りながら、ペルセポネは感慨深く呟く。湯気の向こう側に揺らめく群青色、夜の帳そのものである女神が、やはり同じように若芽色に満たされたカップをもって佇んでいた。女王の言葉に、女神ニュクスも同じように懐かしそうに眼を細めて穏やかに言葉を紡ぐ。
「……ええ、彼は立派に成長してくれました。」
「ふふ、瞬間移動で貴方の手を焼かせていたのが懐かしいわ。」
カップを口に運びながらペルセポネは微笑む。温かな液体を口に含むと、今の気持ちと同じように穏やかで、それでいて爽やかな風味が喉を抜けてゆく。この冥界の、ハデスの館の中庭で彼女が手ずから育てたハーブ……常夜のミントティーは、この穏やかな語らいにぴったりの飲み物であった。
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