rotenozatta
MENU洋ゲーフェス2024お品書き(ピクスク版)ついでにサクカも。3枚目アクキーイメージ画像です。
前回すごい大きく作ったんだけどでかすぎた感じがしたので少し小さめに。
今の配置って仮置きだと思うので横長版にはサークル位置入れたいかなって思ってます。アクキーは前回頑張りすぎたので今回は1個にしました。 3
Yako_san8
DONE《珍しく仲良く話してる兄弟神》リクエストどうもありがとうございました~。遅くなってしまいすみません…!対面より隣に並んで話す方が仲良さげかな…?と思いながら描いたのですがいかがでしょうか。☆おまけの4コマはちょっと雑な神様ムーヴをするお兄ちゃん回です。 4triste_273
TRAINING先日「Thanzagお風呂でイチャついてくれ…」願望からの古代ギリシャ式(ヒップバス)にするか、時代考証関係無く現代式の浴室にするかの話をさせて頂きまして、取り敢えず導入だけ思い浮かんだので書きました。 死は寒さと共に来る。
それは何よりも数多の肉体より魂を導いてきたタナトスが一番よく知っている事だ。死した身体は熱を失う。それは半神半人たる冥府の王子、血の神であるザグレウスとて例外では無い。故にステュクスの泉から這い出てきた蘇りたての身体は、まだ血が巡りきっていないのか死神たる己の肌と同じ様に冷たい。それは前々から分かりきっていたものであった。
だけれども、その日はとりわけ彼の体温を遠くに感じた。冥府への帰還と再会を歓び抱擁した身は生きているのにまるで死人の様に凍えている。燃える月桂冠も両足も輝きに翳りは無いというのに、文字通りただの「飾り」に成り下がっている。愛しき小さな炎は確かに目の前にいるというのに……コキュートスにでも落ちた弾みに、その熱も落としてきてしまったのだろうか?
1544それは何よりも数多の肉体より魂を導いてきたタナトスが一番よく知っている事だ。死した身体は熱を失う。それは半神半人たる冥府の王子、血の神であるザグレウスとて例外では無い。故にステュクスの泉から這い出てきた蘇りたての身体は、まだ血が巡りきっていないのか死神たる己の肌と同じ様に冷たい。それは前々から分かりきっていたものであった。
だけれども、その日はとりわけ彼の体温を遠くに感じた。冥府への帰還と再会を歓び抱擁した身は生きているのにまるで死人の様に凍えている。燃える月桂冠も両足も輝きに翳りは無いというのに、文字通りただの「飾り」に成り下がっている。愛しき小さな炎は確かに目の前にいるというのに……コキュートスにでも落ちた弾みに、その熱も落としてきてしまったのだろうか?
yvn_futon
DONEザグレウスとヒュドラたち--------------------------------------------------------
HADESwebオンリー「クトニオス叙事詩2」開催おめでとうございます!
楽しく描きました。
Yako_san8
DONE★hadesweekly6回目お題・《めしあがれ!》冥界王妃と宴会することになった王子と死神の話。※王子と死神は伴侶になって日が浅いくらいの距離感です。
灼熱のシンポシア「―ねぇ、ザグレウス。今度アスポデロスを《通過》するとき、エウリュディケのところに顔を出してお行きなさい」
「え……、彼女が何か言っていましたか?オルフェウスからは特に聞いていませんが」
冥王譲りの闇色の結膜に浮かぶ紅い瞳がきょとんと見返してくる様が何だか微笑ましくてペルセポネはふふっと笑う。
「行ってみればわかるわ!」
「はい、母上がそうおっしゃるのなら、忘れずに立ち寄ってみます!」
一片の疑いもなく素直に頷いた王子の姿に、我が息子ながら純粋に育ち過ぎやしないかと一抹の不安が頭をもたげた冥界王妃だったが、あの気難しやのハデスの元ですくすく育った彼自身の強かさを信じることにした。
◇
「―ふぅ、こう暑いと早く歌乙女の所に寄って美味しいフレッシュネクタルでも飲みたくなるな……」
6542「え……、彼女が何か言っていましたか?オルフェウスからは特に聞いていませんが」
冥王譲りの闇色の結膜に浮かぶ紅い瞳がきょとんと見返してくる様が何だか微笑ましくてペルセポネはふふっと笑う。
「行ってみればわかるわ!」
「はい、母上がそうおっしゃるのなら、忘れずに立ち寄ってみます!」
一片の疑いもなく素直に頷いた王子の姿に、我が息子ながら純粋に育ち過ぎやしないかと一抹の不安が頭をもたげた冥界王妃だったが、あの気難しやのハデスの元ですくすく育った彼自身の強かさを信じることにした。
◇
「―ふぅ、こう暑いと早く歌乙女の所に寄って美味しいフレッシュネクタルでも飲みたくなるな……」
Yako_san8
DONE★hadesweekly5回目お題・《夢うつつ》王子と眠りの化身の話です。誰に対しても分け隔てなく友好的に接する王子と、そんな王子の姿がこの頃なんだか眩しい眠神……。※CP要素はないです。
冥界王子は銀羊毛の夢をみるか ふわりと意識が浮上して薄ぼんやり陰っていた視界が鮮明になる。同時に周囲のざわめきがひたひた満ちる潮のように四方から迫り、銀細工めいて繊細な睫毛を瞬かせたヒュプノスは伏せていた顔を上げた。寝惚けた頭を巡らし《入館口》に目をやるも、赤い水を湛えたステュクス川支流に繋がる泉の表面は穏やかに凪いだままだ。
(……気のせいかな?)
一瞬ザグレウス王子が戻ったような気がしたのだが……。
(な~んだ、つまらないの)
眠神は辺りにはばかることもせず大あくびするとまだ眠気の抜けない目を擦った。
当初からすれば冥界王子の《家出》期間は近頃ではだいぶ長くなったように思う。加えて呆れるほど豊かな死因がザグ王子の家出記録を賑やかしていた。
5007(……気のせいかな?)
一瞬ザグレウス王子が戻ったような気がしたのだが……。
(な~んだ、つまらないの)
眠神は辺りにはばかることもせず大あくびするとまだ眠気の抜けない目を擦った。
当初からすれば冥界王子の《家出》期間は近頃ではだいぶ長くなったように思う。加えて呆れるほど豊かな死因がザグ王子の家出記録を賑やかしていた。
Yako_san8
DONEhadesweekly4回目お題・《さよなら》王子から突然さよならを告げられ動揺する死神とその顛末について。Twitterでフォロワーさんが上げてた死神友情選択時のセリフが妙に印象に残って出来た話です。死神にとって王子に向く過分な感情はすべて二神の関係を脅かすもの(それが恋や愛でも)で、自覚する以前にとても恐れてるのかな~と。ずっ友だった場合自身の恋心に気付けないままなんだろな。気付いて……!
さよならの後先 「―なぁ、タナトス。俺たちここで《さよなら》しないか?」
待ち合わせていたわけではない。けれどふたりのこれからについて一度きちんと話さなければならないと考えた死の化身は、冥界王子の私室で気まぐれな友神の帰りを待っていた。
部屋に戻り佇む影に気付いた王子は一瞬顔を輝かせたものの、すぐハッとした風に頬を強張らせる。不安げな表情といつになく緊張した声で、けれど地下で育まれた宝石めいた双眸は真っ直ぐ死神の姿を捉えていた。ひどく神妙な面持ちで薄く開かれた唇にタナトスは自然注意を向ける。
正面切ってザグレウスから告げられた先の言葉はあまりに衝撃的で、ハデスの館内で大抵床に降りている死神の足裏が少し宙に浮いたくらいだ。そんな動揺を悟られぬようタナトスは金の目を伏せ一呼吸おいてから口を開く。
4967待ち合わせていたわけではない。けれどふたりのこれからについて一度きちんと話さなければならないと考えた死の化身は、冥界王子の私室で気まぐれな友神の帰りを待っていた。
部屋に戻り佇む影に気付いた王子は一瞬顔を輝かせたものの、すぐハッとした風に頬を強張らせる。不安げな表情といつになく緊張した声で、けれど地下で育まれた宝石めいた双眸は真っ直ぐ死神の姿を捉えていた。ひどく神妙な面持ちで薄く開かれた唇にタナトスは自然注意を向ける。
正面切ってザグレウスから告げられた先の言葉はあまりに衝撃的で、ハデスの館内で大抵床に降りている死神の足裏が少し宙に浮いたくらいだ。そんな動揺を悟られぬようタナトスは金の目を伏せ一呼吸おいてから口を開く。
triste_273
MOURNING自己肯定感の低い頃のザグとのタナザグ話を考えてたのですが、描写部分書き出す気力が湧いてこず、とりあえず台詞部分だけ先に投稿供養します。Gift「贈り物を受け取ってくれないか。」
「構わないが」と短く返事をすると、目の前で不安気だった顔がぱぁっと明るく、花開く様に輝き、月桂冠はまるで花冠の様に眩しく、火の粉が花弁の様に空気中にふんわり舞い散った。
「これは……血珠か?」
「ああ……あ、これはまた血に戻ったり、俺に吸収されたりしないから安心してくれ。ちゃんと切り離した。」
「……。」
手渡された深緋色に輝石をじっと見つめ思案を巡らせていると、その沈黙に不安がまた戻ってきた様で、ザグレウスは呟く様に声を上げた。
「……や、やっぱり嫌か?」
「……否、そうではない。……すまない、少しばかり、意表を突かれただけだ。嬉しく思う。」
「そうか、良かった!」
「……だが急にまたどうした? お前からはネクタルにアンブロシア、返しきれない程に品を贈られてきたが……。」
1345「構わないが」と短く返事をすると、目の前で不安気だった顔がぱぁっと明るく、花開く様に輝き、月桂冠はまるで花冠の様に眩しく、火の粉が花弁の様に空気中にふんわり舞い散った。
「これは……血珠か?」
「ああ……あ、これはまた血に戻ったり、俺に吸収されたりしないから安心してくれ。ちゃんと切り離した。」
「……。」
手渡された深緋色に輝石をじっと見つめ思案を巡らせていると、その沈黙に不安がまた戻ってきた様で、ザグレウスは呟く様に声を上げた。
「……や、やっぱり嫌か?」
「……否、そうではない。……すまない、少しばかり、意表を突かれただけだ。嬉しく思う。」
「そうか、良かった!」
「……だが急にまたどうした? お前からはネクタルにアンブロシア、返しきれない程に品を贈られてきたが……。」
Yako_san8
DONEhadesweekly3回目お題・手入れで書かせていただきました。冥界王子が祖神の領域に遊びに(?)行く話です。
深淵の輝石箱 ハデス館の外れ、冥界王子の秘密の裏庭で暇を持て余した骸骨男は、組み合わせた両手の関節をポキポキ鳴らすと恨めし気な視線を壁前の一角へと向ける。
「坊ちゃん、そろそろあっしにも《仕事》をさせてくだせぇ!……《掃除》ならあっしと同じくらい働き者のゴルゴンにでも頼めばいいじゃないですかい?坊ちゃんには似合いやせんよ!」
「―もう少し待ってくれ、スケリー。これが済んだら、ちゃんとおまえの《手入れ》もしてやるからさ!」
背を向けて黙々と作業していたザグレウス王子は少しだけ振り返ると悪戯っぽく笑う。
「……はぁ、口ばっかり達者になられやしたね」
骸骨男の呆れた風な呟きと共に口蓋の中の2オボロス貨がからりと乾いた音をたてた。
3775「坊ちゃん、そろそろあっしにも《仕事》をさせてくだせぇ!……《掃除》ならあっしと同じくらい働き者のゴルゴンにでも頼めばいいじゃないですかい?坊ちゃんには似合いやせんよ!」
「―もう少し待ってくれ、スケリー。これが済んだら、ちゃんとおまえの《手入れ》もしてやるからさ!」
背を向けて黙々と作業していたザグレウス王子は少しだけ振り返ると悪戯っぽく笑う。
「……はぁ、口ばっかり達者になられやしたね」
骸骨男の呆れた風な呟きと共に口蓋の中の2オボロス貨がからりと乾いた音をたてた。
ぎんまる
DONEHadesWeeklyのお題に合わせて書いたザグタナザグ小話です。初穂「タナトス!来てくれ!」
小さな獣の鳴き声と共に届く若々しい男の呼び声。
ちょうど方々で集めた死者の魂達をカロンへ引き渡したところだった。はっと顔を上げた死神へ、冥府の渡守は低く唸る。そこに揶揄いの色を感じてタナトスは兄神を睨め付けた。
「今日の分はこれで最後だ」
さらば、と言い終わりもしないうちに輝く翼を広げ、死神は呼び声の元へ馳せる。
高らかな弔鐘と共に再び顕現した死の神は、巨きく壮麗な門扉の前に浮かんでいた。人気のない静かな木立の中に立つ、地下の神々へ奉じられたステュクス神殿。ならば今から相対するのはかの冥王ハデスであろう。
唇を引き結び、大鎌を構えて振り向く。しかしその先にいたのは冥王ではなかった。
2415小さな獣の鳴き声と共に届く若々しい男の呼び声。
ちょうど方々で集めた死者の魂達をカロンへ引き渡したところだった。はっと顔を上げた死神へ、冥府の渡守は低く唸る。そこに揶揄いの色を感じてタナトスは兄神を睨め付けた。
「今日の分はこれで最後だ」
さらば、と言い終わりもしないうちに輝く翼を広げ、死神は呼び声の元へ馳せる。
高らかな弔鐘と共に再び顕現した死の神は、巨きく壮麗な門扉の前に浮かんでいた。人気のない静かな木立の中に立つ、地下の神々へ奉じられたステュクス神殿。ならば今から相対するのはかの冥王ハデスであろう。
唇を引き結び、大鎌を構えて振り向く。しかしその先にいたのは冥王ではなかった。
Yako_san8
DONE★hadesweekly一回目お題・My first…/初めての…冥界王子淡い初(失)恋か~ら~の~、死神が何かを察する小話です。王子と死神はなんだかんだ付き合いの長い親友同士という感じ。お題なので3000字以内のライトな感じを目指したのですが、ちょっとオーバーしました。切れのいい短編が書けるようになりたいです。そしてお題に沿えているのか不安になってきました。ファイトォ!
魂の片割れ 深い緑に囲まれた地を疾走する影があった。深紅の衣をひらめかせ軽快に駆け抜ける。弾む息と踏みしめた地に刻まれた燃え盛る足裏の熱の残照とが、久遠の楽土を彩る何よりも生命の輝きに満ちていた。
年経た石造りの橋を渡り新たな区画に足を踏み入れたその影は、かすかに風に乗って届いた控え目な声に顔を上げると歩みを止める。そして再び、今度はゆったりとした足取りで進み出した。最近とみに絆を深めた友人達の元へと。
柔らかな草地を過ぎてひび割れた石の階段に足をかけ、数段上がったところでようやく談笑している二人の姿が目に映る。―刹那、影は息を呑んで立ち止まった。
「ザグレウス?」
立ち竦む影に気付いた金の髪の男が少し驚いた風に目を丸くしたのち、穏やかな声をかける。その視線を辿るようにして振り向いた黒髪に褐色の肌の男も一瞬遅れて微笑んだ。
3496年経た石造りの橋を渡り新たな区画に足を踏み入れたその影は、かすかに風に乗って届いた控え目な声に顔を上げると歩みを止める。そして再び、今度はゆったりとした足取りで進み出した。最近とみに絆を深めた友人達の元へと。
柔らかな草地を過ぎてひび割れた石の階段に足をかけ、数段上がったところでようやく談笑している二人の姿が目に映る。―刹那、影は息を呑んで立ち止まった。
「ザグレウス?」
立ち竦む影に気付いた金の髪の男が少し驚いた風に目を丸くしたのち、穏やかな声をかける。その視線を辿るようにして振り向いた黒髪に褐色の肌の男も一瞬遅れて微笑んだ。
triste_273
MOURNINGhds現代AU(物騒)な小話。ペルザグ親子を守る為に仕事してるタナトス…と、友情出演のカロン。※色々許せる人向け。
※現代マフィアAUなので色々捏造してます(特にカロンの外見)
※ハデスパパはマフィア元締め、ペルママは安全の為田舎に逃した正妻、何も知らないでママと育った花屋のザグ、護衛で派遣されたタナトス、なアース。
※饅頭の中でのバイオレンスのモデルであるウォッチドッグスに大分影響されてます 5829
Yako_san8
MOURNING冥界王子と死神の幼少期妄想とか長髪だった頃の死神+戦神とか。お盆だったし(?)描き散らしてたものの供養。なんというかこう、成長に合わせて徐々に髪が伸びていく過程を含めての《長髪》が好き…!という性癖の供養でもあります…。 3triste_273
REHABILIお題「タナトスとザグが現代の夜の図書館にやってくる話」で書かせて頂きました。お題ありがとう御座いました。読書の前に 人間が現世で過す時間は短い。だが限りある生だからこそ、人はその一生を精一杯に生き、より良い暮らしを目指すべく学習してゆく。観察し研究し、試作と実験を重ね、新たな技術を開発し文明を発展させる。その速度は幾千、幾万もの長い月日存在してきた神々からすれば瞬きの間であった。
そう、「たかが二千年」で世界は大きく変わった。人間同士の争いでオリュンポスの神々は一度衰退しかけた事もあった。だが冥府の本質は変わらない、呼び名や人間の崇拝対象が変わろうと平等に死者を受け入れる。だが全く変化が無かった訳ではない、一番大きかった事はこの「星」に地域別で存在する「あの世」同士での「事業提携」を組んだ事だろう。担当区分の細分化は勿論だが、人間があまりに地上のあらゆる地域を行き来する様になった故に、管轄外の死者に関する取り決めについての会合がまとまったのも、つい最近の事の様に感じる。
2184そう、「たかが二千年」で世界は大きく変わった。人間同士の争いでオリュンポスの神々は一度衰退しかけた事もあった。だが冥府の本質は変わらない、呼び名や人間の崇拝対象が変わろうと平等に死者を受け入れる。だが全く変化が無かった訳ではない、一番大きかった事はこの「星」に地域別で存在する「あの世」同士での「事業提携」を組んだ事だろう。担当区分の細分化は勿論だが、人間があまりに地上のあらゆる地域を行き来する様になった故に、管轄外の死者に関する取り決めについての会合がまとまったのも、つい最近の事の様に感じる。
triste_273
REHABILIお題「タナザグ前提で、ザグへの惚気にしか聞こえない独り言を誰かに聞かれてしまうタナトス」表情や言葉ではあまり変化はないけれど、内側ではめちゃくちゃ影響受けていて思わず言葉で出てしまったタナトス…という像で書かせて頂きました。ありがとう御座いました!
肖像画は笑わずとも かつて、死の神にとって休息とは無縁の物であった。
世界が世界である限り時間は止まらない。常にどこかで新たな命が花開く様に、常にどこかで命の灯火が消え死者が案内を待っている。そう、死の神は常に多忙なのだ。己の疲弊を顧みず職務に没頭しなければならぬ程に。だが神であれ肉体を伴う以上「限界」は存在する。タナトス自身はその疲労を顔色に出す事はほぼ無いものの、母たる夜母神にその事を指摘されて以来、意図的に「休憩」を挟むようになった。地上の喧騒、死者たちの呪詛、そんな雑音と言葉の洪水の中に身を置く反動だろう……休息で必然的に静寂を求めるようになったのは。ハデスの館も従者や裁定待ちの死者がいる以上完全な静寂が漂っているわけではないが、地上のそれに比べれば大分マシだ。厳かな館の片隅で、ステュクスの川面に視線を落とし、そのせせらぎに耳を傾ける。かの神にとって、それだけでも十分に心休まる平穏な時であった。
2795世界が世界である限り時間は止まらない。常にどこかで新たな命が花開く様に、常にどこかで命の灯火が消え死者が案内を待っている。そう、死の神は常に多忙なのだ。己の疲弊を顧みず職務に没頭しなければならぬ程に。だが神であれ肉体を伴う以上「限界」は存在する。タナトス自身はその疲労を顔色に出す事はほぼ無いものの、母たる夜母神にその事を指摘されて以来、意図的に「休憩」を挟むようになった。地上の喧騒、死者たちの呪詛、そんな雑音と言葉の洪水の中に身を置く反動だろう……休息で必然的に静寂を求めるようになったのは。ハデスの館も従者や裁定待ちの死者がいる以上完全な静寂が漂っているわけではないが、地上のそれに比べれば大分マシだ。厳かな館の片隅で、ステュクスの川面に視線を落とし、そのせせらぎに耳を傾ける。かの神にとって、それだけでも十分に心休まる平穏な時であった。
Yako_san8
MOURNINGフォルダ整理してたらpixivに上げてたやつの続きが出てきたので供養のポイ。こういうテンションのCPなし(ん?ザグメグっぽい…?)マンガって意外と置き場に悩むんよな…という訳でポイピク始めてみました。 2triste_273
DONEハデスwebオンリー エアSS「ザグがタナトスに内緒にしているなんのことはない小さな秘密について」
(すいません勝手にザグタナっぽくしてしまいました…。)
リクエストありがとう御座いました!
微睡の祝福 パチリと、何の前触れもなく自然と瞳が開く。
視界に入ってくる薄闇に浮かぶ見慣れた部屋の天井を、ザグレウスはぼんやりと眺める。元々眠りが浅い性質なのか、どれだけ疲れていようと一定時間経つと必ず自然と目覚めてしまうのだ。とはいえ、目覚め方には差がある。起床と同時に水でも浴びた様にスッキリ目覚める時もあれば、夢現の境界が曖昧な微睡が継続されている時もある。今日は後者だ、自分が「どちら側」か判断がつきにくい感覚は慣れると何とも心地よい。ただずっとそうするわけにもいかず。そこからゆっくり頭が覚醒し、新たに読み込めた情報一つ一つを丁寧に確認してゆく。
自分を包む柔らかな布の感触、耳に入る館の近くを流れるステュクス河のせせらぎと、亡者の嘆きや怨嗟が溶け込んだじっとりとた空気。そして、隣で共に眠る、伴侶の寝息。
1469視界に入ってくる薄闇に浮かぶ見慣れた部屋の天井を、ザグレウスはぼんやりと眺める。元々眠りが浅い性質なのか、どれだけ疲れていようと一定時間経つと必ず自然と目覚めてしまうのだ。とはいえ、目覚め方には差がある。起床と同時に水でも浴びた様にスッキリ目覚める時もあれば、夢現の境界が曖昧な微睡が継続されている時もある。今日は後者だ、自分が「どちら側」か判断がつきにくい感覚は慣れると何とも心地よい。ただずっとそうするわけにもいかず。そこからゆっくり頭が覚醒し、新たに読み込めた情報一つ一つを丁寧に確認してゆく。
自分を包む柔らかな布の感触、耳に入る館の近くを流れるステュクス河のせせらぎと、亡者の嘆きや怨嗟が溶け込んだじっとりとた空気。そして、隣で共に眠る、伴侶の寝息。
triste_273
DONEハデスwebオンリー エアSS「タナザグを微笑ましく思うママ2人」
リクエストありがとう御座います!
母たちの昼下がり「そういえば、タナトスはすっかり大きくなって。」
湯気が立つカップを手に取りながら、ペルセポネは感慨深く呟く。湯気の向こう側に揺らめく群青色、夜の帳そのものである女神が、やはり同じように若芽色に満たされたカップをもって佇んでいた。女王の言葉に、女神ニュクスも同じように懐かしそうに眼を細めて穏やかに言葉を紡ぐ。
「……ええ、彼は立派に成長してくれました。」
「ふふ、瞬間移動で貴方の手を焼かせていたのが懐かしいわ。」
カップを口に運びながらペルセポネは微笑む。温かな液体を口に含むと、今の気持ちと同じように穏やかで、それでいて爽やかな風味が喉を抜けてゆく。この冥界の、ハデスの館の中庭で彼女が手ずから育てたハーブ……常夜のミントティーは、この穏やかな語らいにぴったりの飲み物であった。
1336湯気が立つカップを手に取りながら、ペルセポネは感慨深く呟く。湯気の向こう側に揺らめく群青色、夜の帳そのものである女神が、やはり同じように若芽色に満たされたカップをもって佇んでいた。女王の言葉に、女神ニュクスも同じように懐かしそうに眼を細めて穏やかに言葉を紡ぐ。
「……ええ、彼は立派に成長してくれました。」
「ふふ、瞬間移動で貴方の手を焼かせていたのが懐かしいわ。」
カップを口に運びながらペルセポネは微笑む。温かな液体を口に含むと、今の気持ちと同じように穏やかで、それでいて爽やかな風味が喉を抜けてゆく。この冥界の、ハデスの館の中庭で彼女が手ずから育てたハーブ……常夜のミントティーは、この穏やかな語らいにぴったりの飲み物であった。
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DONEハデスwebオンリー エアSS。タナトス×ザグレウスで、「独占欲(嫉妬)に駆られるタナトス(もしくはザグレウス)」
リクエストありがとう御座いました!
小さな燻り 冥府の王子、と聞くと多くの者は最初は恐れる事だろう。冥界の支配者、冥王ハデスの息子……父王同様に冷酷で容赦なく、無慈悲な神であろうと。
所が、実際に王子と対面すると多くの亡者は唖然とする。王子は冥王とあまりに違うからだ。確かに王子は「神の子」というのもあり、その片目は冥王と同じ漆黒の中に浮かぶ炎を宿し、両脚は常に赤々と燃え上がり、タルタロスの亡者たちは「見えざる恐怖」と呼ぶほどに武勲に長けている。
だが、人間と同じくらいの背格好、健康的な血の気を帯びた肌、艶々とした濡れ羽色の髪、朗らかで人懐っこい笑顔。何より……王子は会話を好む、それは自身と同じ冥神達だけに限らず、使用人や館を歩く「ただの亡者」とさえも、気さくに会話を試みる。その有様を「神らしくない」と父王や他の神に咎められている場面も多数目撃されているが……王子は気に留める様子はなかった。
2388所が、実際に王子と対面すると多くの亡者は唖然とする。王子は冥王とあまりに違うからだ。確かに王子は「神の子」というのもあり、その片目は冥王と同じ漆黒の中に浮かぶ炎を宿し、両脚は常に赤々と燃え上がり、タルタロスの亡者たちは「見えざる恐怖」と呼ぶほどに武勲に長けている。
だが、人間と同じくらいの背格好、健康的な血の気を帯びた肌、艶々とした濡れ羽色の髪、朗らかで人懐っこい笑顔。何より……王子は会話を好む、それは自身と同じ冥神達だけに限らず、使用人や館を歩く「ただの亡者」とさえも、気さくに会話を試みる。その有様を「神らしくない」と父王や他の神に咎められている場面も多数目撃されているが……王子は気に留める様子はなかった。
triste_273
DONEハデスwebオンリーのエアss。「タナザグくっついてる世界線でそれを見ているヒュプノスの小話」
リクエストありがとう御座いました!!
柔らかな宝物 ハデスの館において、眠りの神であるヒュプノスの仕事は基本ステュクスの泉の監視と、ハデス王への謁見者の管理である。
勿論その他にも諸々の仕事を抱えている。タナトスやヘルメスより送られてくる死者数のリストアップ、カロンが送ってきた死者の整列、ハデス王への謁見者の書類作成と整理などなど……すべてを彼一人が行っているわけではないが、それでも本来「居眠り」する暇もないほどの仕事を抱えている。
なので、時としてヒュプノスも持ち場となる謁見の間を離れることがある。特に書類整理は廊下の真ん中では行えない。場合によっては執務室を使う事が多く、その時も瞬間移動を使うのが常であった。
だから「たまには歩いて行こう」などと本当に、本当にただの気まぐれだった。だがその気まぐれのお陰で、かの神は普段目にしない光景を見ることとなる。
1540勿論その他にも諸々の仕事を抱えている。タナトスやヘルメスより送られてくる死者数のリストアップ、カロンが送ってきた死者の整列、ハデス王への謁見者の書類作成と整理などなど……すべてを彼一人が行っているわけではないが、それでも本来「居眠り」する暇もないほどの仕事を抱えている。
なので、時としてヒュプノスも持ち場となる謁見の間を離れることがある。特に書類整理は廊下の真ん中では行えない。場合によっては執務室を使う事が多く、その時も瞬間移動を使うのが常であった。
だから「たまには歩いて行こう」などと本当に、本当にただの気まぐれだった。だがその気まぐれのお陰で、かの神は普段目にしない光景を見ることとなる。
音華(おんか)
MAIKING執筆中のザグ∞タナ(左右不定)途中まで。おそらく前半部分。振るったばかりの短剣を鞘へ収めた男は、息ひとつ乱すことなく、気配を探る。
死の訪いを待つ者は、ひとまずいない。
再びしばしの暇ができたことを察するや否や、彼は深く呼吸をし、いくらか緊張をほぐす動きを見せるが、肉体を休めながらも頭を動かし続けてしまうのは、もはやこの死の化身――タナトスの癖のようなものだった。
冥王陛下を降すことができたのならば、そろそろ地上に出て、女王陛下が長らく暮らしていたという場所に向かっている頃合いだろう。
あるいは、もう庭に辿り着いて、収穫に向けた手入れを始めているかもしれない。
幸い、今はまだ冥界へは戻っていないようだ――と続いたところで、彼はハッとして自らの思考を止める。
最近、気付けばあいつのことを考えてしまっている。そのことに気付く度に、自嘲の念が湧き上がらないわけではない。
2214死の訪いを待つ者は、ひとまずいない。
再びしばしの暇ができたことを察するや否や、彼は深く呼吸をし、いくらか緊張をほぐす動きを見せるが、肉体を休めながらも頭を動かし続けてしまうのは、もはやこの死の化身――タナトスの癖のようなものだった。
冥王陛下を降すことができたのならば、そろそろ地上に出て、女王陛下が長らく暮らしていたという場所に向かっている頃合いだろう。
あるいは、もう庭に辿り着いて、収穫に向けた手入れを始めているかもしれない。
幸い、今はまだ冥界へは戻っていないようだ――と続いたところで、彼はハッとして自らの思考を止める。
最近、気付けばあいつのことを考えてしまっている。そのことに気付く度に、自嘲の念が湧き上がらないわけではない。