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    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

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    よーでる

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    練習に三題噺。まず定式幕ってなに?からだったよ。はい、歌舞伎のアレのことね。幕開け幕引きという解釈をしてみたけどお話の枠をお題で作ったせいで中身に困ることになってしまった。

    ##単発ネタ

    定式幕+取捨選択+ルーズリーフ では始まり始まり。過去かいずこか定かでなく、遠く近くも見通せぬ、彼方此方の物語。
     寂れた家の片隅に、母の骸より生まれた双子がおりました。どちらが兄でどちらが姉か、それを知る者も既になく、きょうだい仲睦まじく支えあって暮らしておりました。
     けれどその年の冬は厳しく、生き延びれるのはひとりだけ。嘆き悲しみ身を裂かれるような心地なれど、片割れを生かすため、もう片方は食糧を置いて旅に出ることにしました。
     どちらが旅立ったか? ええ、それは、
    -----------------------------
     旅立った片割れは、灰色の雲の下、荒涼とした道を延々と歩いておりました。
     草木も枯れ果て野鼠すら見当たらず、野盗さえ野垂れ死ぬありさまのおかげで却って安全な、淡々とした死出の道でございました。
     されど、天からの一瞥の慈悲だったのでしょうか。道に変化が訪れました。左右に分かれた道に、看板があります。
     貧しい育ちの片割れに文字は読めませんでしたので、代わりに看板に尋ねました。
    「もし、みちしるべのお方。この道はどちらがいずこに繋がっているのですか?」
     こんなにも丁寧に話しかけられたのは創られてこのかた初めてです。看板は感激して答えました。
    「右は豊かだが波乱の多い海の国、左は険しいが平穏な山の国に通じておりますよ」
    「幾つの夜を越えたら着きますか?」
     粗末な身なりの旅人を不憫に思い、看板はしばらく考えて答えました。
    「右の道は昨晩好色な商人が行きました。もし気に入られたら、あなたの誇りと引き換えに食糧と衣類を恵んでくれるかもしれません。
     左の道には一昨日物静かな狩人が行きました。もし追い付けたなら、狩りの仕方をおしえてくれるかもしれません」
     片割れは看板に礼を言い、それから考えて、選んだ道は、
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     患難辛苦を乗り越えて、片割れは豊かで平和な夜の国のたどり着きました。
     花びらの舞う風、穏やかで優しい人々、実り豊かな土地、輝かしい星々に守られた美しい場所! 片割れはあっという間に魅了されました。
     幾許かの年月を経て、片割れには新たな家と家族ができました。丈夫な煉瓦のおうち、ただよう夕飯の匂い、笑いさざめく家族の声、暖かで懐かしい我が家!
     ああけれど、思い出されるのは寂しい故郷に置いてきたきょうだいのことです。今でも、とても寂しい。新しい我が家が暖かければ暖かいほど、胸に空いた寂しさが恋しいのです。
     手紙を送っても返事は来ません。そもそもあんな辺鄙な場所に無事にたどり着いているのでしょうか。迎えに行こうにも、家族を置いてはいけません。けれど寂しさが募るのです。
     片割れが選んだのは、
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     ではこれにておしまい、誰か彼か定かでなく、夢もうつつも身明かせぬ、此方彼方の物語。
     寂れた家の片隅に、母の骸より生まれた双子がおりました。どちらが兄でどちらが姉か、それを知る者も既になく、きょうだい仲睦まじく支えあって暮らしておりました。
     それがいつのことか。始まりのことなのか、終わりのことなのか。すべては戯言。気に食わなければ紙片を千切ってなかったことに。
     あなたが選んだ結末は、
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    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
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    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
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    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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