Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 61

    よーでる

    ☆quiet follow

    公国建国史。ダイジェストで行こうかと思ったけどお話になりました。
    省いている出来事はもちろんありますが一般に伝わっているお話ということで。

    ##龍のうたった祭り歌
    #龍のうたった祭り歌
    festivalSongsSungByDragons

    公国の興り(1)光る花咲く森 最後の王が洪水に没し、遺された龍王国の民は公子アデラティアに率いられ、安住の地を探す旅に出ました。
     安住の地とは即ち龍の座す土地です。龍がいる土地は精霊の力が強くなり、魔物が出づらくなり、災害も起こりづらくなります。
     もちろん、そんな土地はとっくに他の人間が暮らしてます。とはいえ、未踏の秘境に龍がいる可能性もあります。民はその一縷の可能性に縋って旅に出ましたが、公子の考えは違いました。

     最初に辿り着いたのは輝く森です。緑豊かな深い森に、光を灯す花がそこかしこに咲いていました。龍がいる証です。
     龍がいる土地では、こういった不可思議な現象が起きるのです。民は喜び勇みましたが、森には既に暮らしている人々がおりました。
     何人かは森で暮らすことを望みましたが、先住民の人々は断りました。住む場所が少ないから? 信用できないから? 単なる意地悪? いやいや、どれも違うよ。
     この森の龍は、もう長くなかったからです。

     龍は不死身ではありません。龍を生んだ土地がなくなれば、この世との接点を失い、曖昧なゆらぎとなり拡散し消滅してしまいます。
     遠からず失われる安住の地。それが輝ける森でした。話を聞いて、公子は胸を叩きました。

    「よし、わたしに任せておきなさい!」

     そうして公子は切り拓かれた森の奥、かつては深い森の奥で人知れず光を浴びていた花畑を見つけ、そこに眠る龍=森の暁/星を灯す菫/花龍ペスタリスノを呼び出しました。
     自ずから光を発する蕾が一斉に咲き乱れ、漏れ出る光が花弁となり、大輪の花を纏う可憐な乙女を描きます。
     肌は鮮やかに伸びる新芽の色。髪は燃え立つ花弁そのもの。花の中心から覗く面差しはあどけない少女のようで、伏せられた眼は精霊と同じ花やぐすみれ色です。
     風に吹かれずとも自ずから茎を揺らし、葉を傾けて、ペスタリスノは花びらが風に舞い散るような声をこぼしました。

    「遠い妹、今は遥かな姉君、ようこそおいでくださいました。大したもてなしもできず申し訳ありません。
     風に吹き散る我が身ですけれど、あなたに託された民が過ごす間は、どうか生き永らえてみせましょう。森に住む獣たちが野原へ移り住むまでは。冬の寒さに凍えぬように」

     魂の姉妹の言葉に、公子アデラティアは胸を張り、背を伸ばし、手を差し出しました。かつて王子がいつか伴侶となる少女にそうしたように。

    「わたしたちと旅に出ましょう。新しいあなたを見つけに行きましょう」

     こうして、アデラの光る菫を手に森を出ました。野に咲く花に光を灯して、まだ見ぬ安住の地を目指して。
     安住の地がないのなら、作れば良いのです。それがアデラ公子の考えでした。
     そうしてこのことが、花咲く国コノラノスの建国史に記される、最初の出来事になったのです。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
    3697

    related works

    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
    3002

    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
    1226

    recommended works

    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
    1226

    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
    3002