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    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

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    よーでる

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    世界の一部を掬い上げた話、後半。
    読み聞かせ形式にすることでだいぶ設定省いてます。それでも伝わるか不安になるな…

    ##龍のうたった祭り歌
    #龍のうたった祭り歌
    festivalSongsSungByDragons

    今の世界が始まった話 さて、女の子の魔法を見つけたことで、世界の終わりを防ぐ道はひらけました。が、まだ一歩めです。まさか全部の魔法を見境なしに消すわけにもいきませんからね。
     魔法は人類の文明の要でした。魔法で広げた大地を元に戻せばぎゅうぎゅう詰めで大勢死んじゃいますし、魔法で癒した傷を戻したら大惨事ですし、魔法で熾した火を止めたら凍え死ぬ人が大勢出ます。
     世界を救うためなら仕方ないとか、対局のための犠牲は許容すべきとかいう考えもありますが、肝心の女の子がそういった考えを受け入れられませんでした。
     人が死ぬのは嫌。人が大切にしてるものは大切にしたい。そんな善良な子でしたからね。

     世界を救うには、適切に魔法を管理する必要があります。魔法で曖昧になった世界を適度に戻し、曖昧になりすぎないよう整えて。
     うん? そうだね。そんなの神様にしかできない。そして旧い世界で、神様は心の中にしかいなかった。
     つまり、いないなら作ってしまえばいいんです。そう、魔法でね。

     こうして、女の子の魔法を女の子以上に上手く使える神様が作られました。名前はリエル。再誕せし神というニュアンスだそうです。
     リエルはひとまず幼児としてデザインされました。世界のことを学習させるには、そのほうが都合が良かったからです。
     ん? 大丈夫大丈夫。リエルはみんなに可愛がられ、愛されました。リエルを作った魔法使いは娘のように溺愛しましたし、女の子は妹ができたみたいとはしゃぎました。王子様はリエルの先生になりましたし、乱暴者の魔法使いはそもそもリエルのお兄ちゃんでしたからね。彼にしては丁寧に面倒を見ていました。
     え? ああ、創神プロジェクトは女の子が見つかる前に始まってて、乱暴者くんは試作品第一号……プロトタイプだったんだよ。ややこしいからその話はまた今度ね。
     とにかく、リエルはみんなの愛情を受けてすくすくと成長し、世界を救うに足る知性と知識を得て、そして、世界を滅ぼしました。

     いやいや、リエルが悪い子になったわけじゃないよ。「憐れな人類よ、今ここで滅びるのがあなたたちの救い」とかそういうのでもない。
     リエルのお父さんが殺されちゃったんだよね。世界を救おうとしてる魔法使いがなんで? って……うーん、性格に問題のある人だったからね。うん、その話も今度にしようか。
     とにかく、父を殺されたリエルは怒り狂いました。世界を救う使命を忘れたわけではありませんが、生き残るのは父を愛し父が愛した人たちだけでいい、と考えたのです。
     王子様たちがなんとか暴れるリエルを眠らせたときには、もう世界が終わる日は目前まで迫っていました。あちこちの設備が壊され、もう新しい神様を作って育てる時間も余裕もありません。
     間に合わせでも神様になれるのは、女の子くらいしかいませんでした。

     幸い、神様を手伝うシステムは完成してました。物理法則を再現するためのデータ、曖昧になった時空を隔離するプログラム、それらを演算し管理し調整できるようになるため、女の子は人であることを辞めることになりました。
     おしまいの日、女の子は王子様たちにお別れを告げて、神様になりました。不完全で未熟な神様なので、世界のすべてを元通りに、とはいきません。生き残ってる人たちのいる空間を安定させて、ゆらぎが浸食して来ないよう保護して、それで精一杯です。

     全知全能ではなく、最強でも最高でもなく、ただあるがままの世界を愛そうと努めた少女が成った、か弱い神。
     地球を飲み込んだ情報ブラックホールの渦には、彼女が守った空間が浮かんでいます。波に翻弄される木の葉のように。
     それが今のこの世界。曖昧になった世界で空が青いのは、陽が落ちて昇るのは、地面が逆さにならず、風が吹き四季が巡るのは、すべて彼女が旧い世界を再現しているから。

     え、どうしたの? 怖くなった? ふふ、大丈夫大丈夫。いきなり世界が終わるかも、なんて旧い世界でも同じだったよ。え? そういう問題じゃない? はい、すいません……
     わかったわかった、寝れるまで手を繋いでればいいんだね。はい、仰せの通りに。神話のお話はこれでおしまい。明日からは歴史の話。
     遺された王子様と、女の子の娘が興した王国の話をしよう。1000年に渡り人の理想であり続けた国の話。変わってしまった世界と、そんな世界に愛された王の話を。
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    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
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    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
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    よーでる

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    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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