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    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

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    よーでる

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    歴史編そのいち。ざっくりやるため色々端折ってます。

    ##龍のうたった祭り歌
    #龍のうたった祭り歌
    festivalSongsSungByDragons

    生き残った人々と今はもうない王国の興り さて、女の子が神になり、彼女が作った箱庭で辛うじて生き残った人々でしたが、その先も生き延びるのは簡単なことではありません。
     まず、魔法が使えなくなっていました。旧い世界ではこうなれと命じれば世界は言うことを聞いてくれましたが、今の世界では神さまを説得しなければなりません。
     予定通りリエルが神になっていれば神さまのほうから話を聞いてくれましたが、女の子がなった神さまにそこまでの演算速度はありません。「炎よ水になれ!」と言われたって、「え? 炎が……水に???」と困ってしまいます。

     次に、神さまが作った世界は、旧い世界とは変わっていました。魔法で再現された世界ですからね。
     具体的に言うと、この世界では死者の祟りが実体化して襲いかかってくることがあります。常識? うんうん、そうだね。
     うん、旧い世界では違った。少なくとも物理的には、死は絶対の終わりだった。けど今は、死者の想いは残留し、生者に害を及ぼすことがある。

     その話はまた今度にしよう。そんなわけで、思わぬ危機も多く培った技術も使えなくなった世界で、生き残った人々は王子様を旗頭に団結しました。
     王子様はまだ年若かったけれど、懸命に人々をまとめました。そんな彼を支えたのは、女の子の遺した娘です。うん、女の子と王子様は夫婦になってたんだ。言ってなかったね。
     変わってしまった世界を調査して、住める場所を見つけて、決まり事を整えて、周りの助けを借りながら、王子様は娘を育てました。娘はすくすくと成長し、そして言葉をしゃべれる年頃になると、王子様に言いました。

    「お父様、今日までわたくしを育ててくださり、心より感謝しております。お父様の教えとお母様の愛情を胸に、わたくしはこれより人々の柱と」え、なに? うん、3歳か4歳かそんぐらいじゃないかな。ちがうちがう、おしゃまさんじゃないよ。イタい子でもなくて。
     王子様の娘はね、母親の声を聞くことができたんだ。そう、神さまになった女の子の声。
     神さまになった彼女の人格は、世界を構成するデータと運営プログラムの海に呑まれて失われていると、みんな思っていました。でも違いました。はっきりくっきりとはいきませんが、うとうとしているくらいの曖昧さで、女の子の人格は世界に残っていたのです。
     その人格は娘がすくすくと育っているのを見つけて、微笑みました。ええ、それだけです。責められた話じゃありませんよね?
     でも、神さまになった女の子が微笑んだということは、世界すべてに微笑みかけられたも同然でした。

     今の世界で魔法は使えなくなりました。女の子の娘を除いては。だってそうでしょう? 遺してしまった娘の願いを叶えたくない母親がいるでしょうか? まして意識も朦朧としているというのに。
     でも、娘にはわかっていました。自分は世界に愛されている。けれど、世界は自分以外も愛してる。自分は特別で、だけどありふれている一個人にすぎない。
     うん、乳幼児にしては賢すぎるけど、でもそれが【彼ら】だった。生まれながらに世界に愛され、それに驕らず、歪まず、謙虚に、誠実に、その愛を振りまくのを惜しまない超人たち。

     失われた魔法を操り、高い知性と広い視野を持ち、それでいて細やかな気遣いも忘れず、しかも王子様譲りの美貌の姫君に、生き残った人々は夢中になりました。
     瞳はお母さん譲りのすみれ色。髪はお父さん譲りのばら色。微笑みは気高い百合の如く、放たれる声は青空を往く白鳥の如く。
     彼女を中心に、生き残った人々は王国を興しました。これが始まり。母たる神=精霊に愛された理想の王の統治する王国は、新たな世界の中心となりました。
     その行いは人としての母を眠らせない行いだと、知っていたのは王となった娘だけ。その罪深さを知りながら、彼女は王となりました。
     そう、この世界では、死者の祟りは害を成す。死者は眠らせないといけないんだ。それをしなかったらどうなるか。知ってるよね? 常識でしょ? 
     その辺はサラッと流して、そろそろ巻いていこうか。君が今いる国の話もそろそろしないとね。それじゃ、おやすみ。
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    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
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    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
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    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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    よーでる

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