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    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

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    よーでる

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    毎日執筆が途切れたので男女CP作成スロット https://slot-maker.com/slot/YLsLEK9UVt5HqrDifIcS/ でさっくり。

    ##単発ネタ

    詐欺師の男と愛を知らない少女で『あなたのことが大嫌い』  炎が吹き荒び、爆音が肌を焦がす。煮沸された空気を嗅ぐ余裕はなく、男は決死の思いで空中に身を投じた。閃光が一瞬前までいた場所を消し飛ばし、瓦礫の間を転がりながら立ち上がってまた走り出す。

    「すとっぷ! ストップ! すとぉぉぉっぷ!! 平和的に話し合おう!!」

     返答は自動追尾魔法弾だった。なけなしの護符で障壁を張り身を隠す。体が呼吸を求めているのを堪えてポーションを飲み干すと、しゃがれた喉の痛みが薄れ、乾いた肌に汗が吹き出た。このまま気絶してしまいたいが、それを実行した場合二度と目覚める機会はない。
     燃え立つ錫杖を背負った少女が瓦礫の上に降り立つのを見て、男はここぞとばかりに叫んだ。

    「おいっ。金なら出す! だから交渉ッ!?」

     当てずっぽうで放たれた魔弾が近くの瓦礫を吹き飛ばした。まだ位置はバレていない。だが、交渉の余地はない。というか、さっきから攻撃の殺意が高すぎる。
     なんで俺みたいなケチな詐欺師がこんな一流術師に狙われるんだ。一体誰を怒らせたのか、ここしばらくの仕事を思い返す。心当たりが多すぎて何の参考にもならない。

    「クソっ、命あっての物種だ!!」

     大赤字を覚悟して虎の子の呪具を起動させる。保って数分、その間に活路を開かねばならない。

    「オイ、お前っ」

     瓦礫から少女の前に躍り出る。即座に錫杖の切っ先が向けられるが、起動した呪具が術式を解除する。少女の視線が動揺する。だが、まだ足りない。
     少女の動揺を最大限広げるため、男はとびっきりのキメ顔をした。

    「愛してる」

     少女がズッコケた。思った以上に効いたのに内心喝采しながら呪具ごと捕縛網を投擲する。
     少女の体が網に絡み取られた隙に、男は思いっきり走った。煙幕や加速ポーションなどを使い潰して、あらん限りの距離を取る。

    「だぁぁぁほんっと大っ嫌いああいう暴力で片を付けようとするやつ!!」

     空になっていく貯蓄に泣きそうになりながら、男はなんとか安全圏まで逃げ出した。

      *  *  *

     呪具の効力が切れて、少女は難なく網を破り立ち上がった。
     誰もいない瓦礫の山を見渡して、逃げられた、と独りごちる。
     ターゲットの姿を見てから、不調が続いている。何らかの呪いによるものか。やたらお腹は空くし、魔力は乱れるし、一刻も早く潰してしまいたい。
     だからいつも以上に気合も力も入っていたのだが、逃げられてしまった。渋面でさっきの男の言葉を思い出す。怒りのあまり頬に血が昇り、こみ上げる衝動のままに吐き捨てる。

    「ああいう虚言を弄するやつ、大嫌い」

     愛を知らない少女は自分の感情を知らず、未知の呪いに導かれるまま、男を追って走り出した。
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    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
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    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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