反対方向の休息何となく、疲れた。
何となく、何もやりたくない。
そう思う原因は、試験が終わって気が抜けたからだろうか。それとも、三〇度をも超える真夏日が続いて夏バテしているからだろうか。そのどっちもな気がしてならない。
朝起きるのが辛くて、それでも頑張って通学する準備をして。重い体に鞭打って、朝早い時間にも関わらず既に暑くなっている通学路を歩いて、最寄りの駅へ。
(人、多いな……)
夏休み前の学生や、夏休みも何もなくなってしまった社会人。通勤通学ラッシュの時間帯は、いつものように人でごった返している。
仲良さそうに話す高校生達、一人イヤホンで何かを聞いている大学生、スマホをいじる社会人。外から聞こえる都会の喧騒と、駅構内に流れるアナウンスと。耳のいいツバサにとっては、不快なノイズでしかない。いつもなら平気なのに、心身共に疲弊している今は何となくその人混みの中へ入っていくことが億劫に思えて。でも。そんな満員電車に乗るしかないのだ、今は。
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