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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    ガラハイ🐺🦇【モニター越しのスーパーモデル】私を、見て。
    X(Twitter)に上げたものです。記録用。

    #ガラハイ
    #コーヒートーク
    coffeeTalk

    【モニター越しのスーパーモデル】 テレビに知らない男が映る。中性的で端正な顔立ち。その細身のモデルは長い脚で花道を颯爽と歩く。名をハイドと言うらしい。偶然にも今俺の隣ですっかり空気が抜け、ぺしゃんこになってしまっているのもハイドという名前だ。そういえば彼もまたモデル業をやっている。

    「どうだ、私の仕事ぶりは」
    「……これ、本当にハイドさんか?」
    「失礼な奴だな。どこからどう見ても私だろう」

     視力が落ちたんじゃないか? そう笑うと俺の下瞼をぐい、と剥き瞳を覗き込む。まったく、無礼な吸血鬼だ。モニターの奥の繊細そうなモデルは間違ってもこんなガサツな真似はしないだろう。

     テレビの奥では次々とモデルたちがランウェイを闊歩する。高級ブランドの新作発表とやらは一体どこに着て行くためのものなのかさっぱり分からない……流行の最先端の衣服を彼ら彼女らに纏わせて、煌びやかだった。
     芸能にはほとほと疎い俺ですら知っている、毎日のようにニュースを賑わせる今売れっ子のモデル、タレントたち。その中でもハイドという存在は引けを取らなかった。それどころか群を抜いて目立っていた。見るものを惹きつける何かがあった。彼がスーパーモデルと称されるのも頷ける。

    「華やかな世界だな。こんなに注目されて、俺なら足がすくんじまう」
    「そうでもない」

     マグカップを傾け飄々と言ってのけた彼にへえ、と心からの驚嘆が漏れた。我が友ながら見上げたプロ意識だと思った。見られる仕事をするハイドにとって人の視線など、緊張に値しない。或いは一々気にしていられないのだろう。……そう自分の中で咀嚼した時、隣でぼそり、不満げな声があがる。

    「なんせ誰も私を見てはいないのでな」

     咀嚼したものを飲み込めず、かと言って吐き出すわけにもいかないからと喉元に溜める不快感。ハイド氏お得意の何かの皮肉かと首を傾げる。それは、どういう? と聞き返すよりも先に吸血鬼が口を尖らせた。

    「観客は皆モニターを見ている。 私はすぐそこにいるのに、だ! 肉眼で見るには遠いとかなんとか、理由はあるんだろう。でも、1キロも2キロも離れている訳じゃない。私を起用してくれたブランドも撮れ高を気にして、見つめているのはカメラとモニターばかり。レンズ越しの私はまあ、美しいだろうがそんなのは分かりきったことだ」

     残りを一気に飲み干して空になったカップがローテーブルへと置かれると、ハイドの頭が断りもなく俺の膝の上を占有した。自堕落な吸血鬼はこうして良く、ソファに横になる。

    「私のことを見ている人なんか実はほとんどいやしない。世間はモニター越しに、誌面越しに……『今ホットな話題』を捉えてそれで満足なのさ」

     寝癖の付いたハイドの髪を撫でる。さらさらと指ざわりの良い髪は、それこそ日頃からどこかのブランド化粧品で手入れされているのだろう。俺の家に備え付けられているのは薬局の隅に置いてある一番安いシャンプーだけだ。この絹のような髪がきしまないか、少々不安になる。

    「まあ、お前の言うことはわかる」
    「ほう、スーパーモデルと謳われる私の気持ちがわかるか」
    「そういう言い方はよせ。……世間はお前の顔に貼り付けられたスーパーモデルという今この瞬間のステータスを興味津々で見ている。そう言いたいんだろ」

     でもな、そう否定の言葉を唱えながらオーバーサイズのシャツの下、贅肉のない薄い腹へと手を這わせるとハイドは小さく息を漏らした。

    「それで良いんじゃないか? 例えば暗い部屋、ソファに沈んでめそめそしている姿なんか見られたら、モデルの仕事がグッと減っちまう」
    「なるほど、確かにそれはかなわんな。……私はあのイメージで金をもらっているのだから」

     指の先には丁度、スーパーモデルが映っている。画面越しにポーズを決め、ミステリアスな表情を浮かべる彼と、今目の前に居る部屋着姿のへにゃへにゃな彼。それを見比べ、あまりの落差が可笑しくて、どちらからともなく声を出して笑った。

    「俺がしっかり見ていてやるさ」

     そばにあった毛布で膝の上のへにゃへにゃをすっかり包んでしまい、子供にするようにとん、とん、とあやす。満更でもなさそうなハイドの横顔は、とても柔らかなものに見えた。

    「目を離してくれるなよ。ちゃんと見ておかないと私は酒場に繰り出して、少し酒を飲み過ぎて……そして野蛮なオークに絡まれてしまうかもしれない」
    「……お前さん、一旦黙れ」

     ああ言えばこう言う、やかましい唇を塞いでしまうと舌先で鋭い牙に触れた。
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    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

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    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

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    DONEしがない愛マニアである私が原作の奥に想い描いた、ディスガイア4、風祭フーカと父親の話です。銀の弾は怪物を殺せるか?【銀の弾など必要ない】



    白衣が揺れる。頭をかいてデスクに向かうそのくたびれた男に私は恐る恐る声を掛ける。

    「パパ、お家なのにお仕事?」

    男はこちらを振り返りもしない。研究で忙しいのだろうか。それとも、私の声が届いていないのだろうか。
    父親の丸まった背中をじっと見つめる。十数秒後、その背がこわごわと伸び、首だけがわずかにこちらを向く。

    「すまん、何か言ったか?」

    この人はいつもそうだ。母が亡くなってから研究、研究、研究……。母が生きていた頃の記憶はあまりないから、最初からこんな感じだったのかもしれないけれど。それでも幼い娘の呼び掛けにきちんと応じないなんて、やはり父親としてどうかしている。

    「別に……」

    明らかに不満げな私の声に、ようやく彼は腰を上げた。

    「いつもすまんな。仕事が大詰めなんだ」

    パパのお仕事はいつも大詰めじゃない、そう言いたいのをぐっと堪え、代わりに別の問いを投げかける。

    「いつになったらフーカと遊んでくれる?」

    ハハハ、と眉を下げて笑う父は少し疲れているように見えた。すまんなあ、と小さく呟き床に胡座をかく。すまん、それがこの人の口癖だった。よう 3321

    last_of_QED

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025