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    07tee_

    @07tee_

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    07tee_

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    妄想100パーセント!!!!!!!!!!
    R18回のフォロ限の相談がありまして、お詫びです。
    R15くらいかな?とは思います。話の本筋はそのままです。お楽しみ頂きましたらうれしいです。
    本当にごめんなさい。

    #rnis
    #rnis♀
    #R-15

    凛と一緒(11)全年齢版 凛と付き合い始めて、いくつかのイベントはこなした。登校デートも、お昼を食べるのも、彼女特製弁当(卵焼きだけ)、下校デートも、休日デートも、自宅デートも……ついでにバレンタインも終了した。手作りのチョコは凛の舌に微妙だったけれど、その日の凛の機嫌は好調だったのは間違いない。
     キスも…………キスもあれから回数を少しずつ重ねている。大人がするようなやつじゃなくて、触れるだけの、簡単なキス。学校で二人きりの時とか、潔家に着く前とか、凛の部屋とか…不意を突いてくるように仕掛けてくるキスに翻弄されているが、片手の数を超える頃には適応するようになり、キスをするタイミングも予測できるようになってきた。意外にも、凛とのキスは、心地が良かった。
     残るはあと……………………もっと先のこと。
     二人の休日が重なったので、凛の寮で過ごしていた。普通に談笑していたのが、ふとした瞬間に不意打ちのように振り落ちるキス。反応が遅れて、目を閉じて、その心地よさに浸る…が、油断していると、体重をかけられて、口づけも深くなる。
    「んっ、ふ…」
     わずかに唇が離れたのが合図。少しだけ覗いた潔の唇の隙間に、凛が強引に舌を突っ込んできて、口内で絡めてくる。
    「ふ…あっ…っ」
     鼻で呼吸するのも一苦労だったが、回数を重ねると慣れてきた。実は吸い合うキスの方が好きで、絡めるキスは苦手だ。というのも、ぞくぞくと背筋に這いあがるような感覚が未知すぎて怖いから。
     目を薄っすらと開くと、凛と視線がかち合う。ずっと見られていたと思うと羞恥心が爆発しそう。顔も、首も、そこから下も、胸も全部が熱い。
     大きな手が服の上から腰を這った瞬間、潔は反応した。
    「ま、てって」
     胸板を両手で押しのけて制止の声を上げた。驚きでまん丸にした目が半眼になった。
    「いいとこで止めさせんな、クソ潔」
    「また、いやらしい触り方、なってたんだけど」
    「今からいやらしいことしようとしてんだろうが。馬鹿が」
     さも当然と物申し、押しのけて続行しようとする凛から、潔は身を守るように後退した。
    「ダメ…」
    「あ?ふざけんな。またかよ」
     呆れ半分苛立ち半分の顔で、凛は潔を睨む。
    「いつまで待てばいいんだよ、オイ」
    「いやいや、なんでそんな偉そうなんだよ…」
     深いキスをするようになってから、凛は虎視眈々と狙っていて、少しの油断を見せれば直ぐ踏み越えようとしてくる。一回目の時、潔は思わず手で凛の口を塞いでガードした。二回目の時は大きな悲鳴を上げて飛び跳ねた。この度三回目を迎えることになったが、いつ手が出てもおかしくない。
     確かにお付き合いも許したし、キスも許した。けど、そこから先に踏み込むのが、どうしてもできない。勇気がないし、安易に踏み越えてはいけない気がしてならない。
    「だ、って…私らまだ高校生じゃん。速すぎじゃない?」
    「関係ねえよ。キスもすりゃあセックスだってできんだろ」
     さらり出たその強烈な単語に、潔は頬を赤らめた。
     事に運ぼうとする凛と一進一退するが、引き下がってもらうことに成功した。その代わりに潔は凛の抱き枕になった。これでなんとか許してもらう。
     それからまた数日後のことである。部活からの帰り道に、潔は凛を誘う。
    「この前、凛が教えてくれた、幽霊の出ないホラーをサブスクでレンタルしたんだ。うちで一緒に視ない?今親いないし」
    「いねえのか?」
    「うん。結婚記念日なんだって」
     潔と凛の分の夕飯を作り置きして両親は出かけているので、どうせなら一階の大きなテレビで凛から教えてもらったホラー映画を見てみたいと思いついた。ホラーは苦手だけど凛の好きなものだし、それに幽霊は出ないって聞いていたので、苦手な潔にだって見れる筈だ。
    「うちで見ようよ、凛」
    「……………ああ」
     ちょっとだけ微妙な間があったけれど、凛は頷いた。途中のコンビニでお菓子と清涼飲料を購入して、潔家に帰る。テレビを視る前に夕飯を済ませ、いつでもお風呂に入れるようにお湯を張り、それから一番大きなテレビの電源をつけた。ソファーの上で、拳一個分の距離で座り、画面に集中した。
    「お前、後悔すんなよ?」
    「馬鹿にすんじゃねえよ。お化け出ないんだったら怖くねえよ」
     潔は知らなかった。この世には、幽霊は出ないけど、それ以上に生きている人間が一番怖いコンセプトのホラーがあることを。しかもそれは、誰もが送っている日常を舞台とした鳥肌物であった。つまりあり得ないけれどももしかしたらあり得るかもしれない恐怖を詰め込んだ、立派なホラーである。
     潔は絶句した。全身に鳥肌を立たせて震えた。凛だけが涼しい表情で見ている。とんでもない恐怖に襲われて、ついには悲鳴を上げた。
    「うるせえ」
    「り、り、凛!これ、こ、こ、こ、こここここっこ!」
    「鶏かテメエは」
     段ボールの中に入っていた目玉と目が合ったシーンで、いやあああああと潔の悲鳴が劈いた。
     終わった後、凛は大変満足していたが、潔は身体を丸めてぶるぶる震えていた。
    「凛この嘘つき野郎騙しやがってめちゃくちゃ怖ええじゃねえか」
    「ホラーなんだから当たり前だろうが馬鹿潔」
    「こんなに怖いって思わなかったんだけど」
    「幽霊は出なかっただろ?」
    「出なかったけど怖いわ」
     目をつぶったらワンシーンが蘇ってきそう。頭を押さえて震える潔を見て、凛は内心楽しんでいた。
    「ガキはさっさと寝ろ。俺は帰る」
    「え…」
     ソファーから立ち上がって帰り支度を始める凛に、潔はさっと血の気を引かせた。
    「凛」
    「あ?まだ用があんのか?」
     潔は蒼白な表情で凛の手にしがみついた。
    「…………今日、うちに泊まらない?」
    「は?」
     凛の額に青筋が浮かんだ。今のどこにキレ要素があった?なんて考えてる余裕はない。
    「何言ってんだ、テメエ?頭沸いてんのか?」
     流れるような罵倒だけれど、一々構っている余裕は、潔には無い。
    「てか、お前の両親帰ってくるのに泊まれるかよ」
    「帰らないんだよ…」
    「は?」
    「だから、今日、両親、いないんだよ…明日まで」
     沈黙の間が続いた。
    「………………はあ?」
     凛は静かにキレた。
    「結婚記念日の旅行中なんだよ、熱海まで。だから今日は帰って来ないし、明日まで一人なんだよ………だから頼む凛、一緒にいてくれ」
     ピキイ。凛から物騒な音が鳴った。きりきりと歯を噛みしめ、眉尻を吊り上げ、こめかみをぴくぴくと収縮させて、鋭い目つきで潔を睨んだ。殺すとも死ねとも書かれた表情に、縋る思いで救援の視線を送る。
    「テメエ……まじで頭沸いてんのか?ふざけてたらマジで殺すぞ」
     今の凛なら眼光だけで人一人殺せる。けど、引くわけにはいかない。あんなの見てしまったら、こんな広い家で一人で寝て過ごすなんてできる筈がない…………エピソードの中に、一人住まいの女性宅の鍵がこじ開けられて襲われ…しかも一件だけでなく隣続き……そんなの見てしまったら、益々ひとりは無理になる。まだ死にたくないし、そもそも怖いのは嫌。こうなったら何がなんでも凛を帰さない。例え死んでも離さん。殺されても絶対。
     凛の腕に全身で縋りついて訴えた。
    「お願いだって!一人にするな!頼むって!なんでもするから!」
     凛が静かになった。嫌な予感のする静けさだった。潔は自分が今言った言葉を後悔した。
    「なんでもするっつったか?今?」
     凛がじとりと潔を見下ろす。
     次の瞬間、ソファーの上に背中から倒れていた。直ぐ真上には凛の顔が覗いている。前髪が垂れて普段は隠れている額が見えた。
    「こ、こんな時に、お前って奴は…っ」
    「何でもするっつったよな?」
     確かに言った。滑った、が正しいけど。押し倒してくる凛から発せられるどぎつい怒りが正直きつい。
    「部活帰りだから汗臭いぞ」
    「俺も同じだろうが」
    「心の準備が…」
     あ“?凛の顔が殊更に歪んだ。今から愛を深める行為をしましょうって顔じゃない。
    「両親がいねえ家に、付き合ってる男と二人きり、になったら、やるこたあ一つだろ?」
     他にもあんだろ。そう、例えば。
    「……………添い寝、とか」
     潔は自分が悪手を打ったことに気付いた。気付いたところでもう遅い。凛の中でぷつんと糸が切れたから。静かに、ふぅぅぅー…と息を深く吐いた次に、苛烈に眼光を輝かせた。
    「ふっっざけんじゃねえぞ」
    「わああっ」
     怒号を上げると同時に潔の身体を俵担ぎして、荒々しい物音を立てて、リビングを出た。
    「オイ凛どこ連れていくんだ下ろせっておーろーせー」
    「うるせえ黙ってろクソが」
     ギャーギャーと抗議を上げる潔に怒鳴り返して、そのまま階段を駆け上がっていく。向かう先は潔の自室。足で蹴破る勢いで開け放すと、勢いに乗ったまま潔をベッドに放り投げた。
    「待ってって待てマジで待てってばぎゃああああ――――っ」
     潔の身体を両腕で固めてきて、潔は悲鳴を上げてばたばたと暴れた。抵抗すんなという怒号に対して、するわ普通にと怒鳴り返して、強く抱いて離さない両腕に拘束されながら必死に抵抗の意志を示す。
     暴れていた潔であったが…凛がそれ以上先を進めてないことに気が付いて、ばたつかせていた手足を止めた。
    「凛…?」
     がっちりと両腕で潔を抱きしめながら、横に倒れた。真っすぐな質の前髪が頬と首筋を擽る。むくりと起き上がった凛の顔が見えたが、すとんと表情が抜けていた。
     凛は潔を視ずに、ベッド脇の床に座り込んだ。片足を立てた座り方で。腕で上半身を起き上がらせた潔はもう一度凛を呼ぶが、凛は応えない。
    「………………そんなに嫌かよ」
     呟かれた声は無機質で、少し丸めた背中はむくれた子供のようだ。あ。潔は自分の失態だと悔やむが、そんな凛を見て可愛いとも感じた。
     緩やかに凛の隣に腰を下ろす。凛は潔から目を逸らしているけど、離れろとは言わない。
    「凛?」
    「お前…マジでわかんねえ…俺のことどう思ってるのか読めねえし。てか、お前が俺のこと好きなのかもわかんねえし」
    「それは…好きじゃないと、付き合わねえよ?」
    「お前から好きと言われたことねえから知らね」
    「……いや、こっちだってお前から好きって言われたこと一度もねえから」
     一旦冷静にこれまでのことを振り返ってみて、我慢できずに告げると、未だにむくれた口調が返ってきた。
    「言わなくてもわかれ馬鹿」
     無茶苦茶言ってる自覚あるのかこの馬鹿は。一方的理不尽さには既に潔は適応済みである。ので、凛が望むものを与えてやりたいと思い、実行した。
     凛。呼べば必ず振り返ってくるのは解っているので、顔が動いたのをすかさず見逃さず、小さく尖らせた唇を頬に寄せた。滑らかな頬に軽く押し当てただけなのに、触れたところが熱い。
    「ガキかよ」
    「うっせ」
     鼻と鼻がぶつかりそうな至近距離で見つめ合う。それが合図で、顔の角度を変えた凛と同時に唇を寄せあった。軽く吸い合う音が、沈黙の中で響く。キスが深まっていく。ぞくぞくと背筋を這うような感覚は好きじゃない。けど、もっとしたいと思うのは矛盾しているのだろうか。
     凛の手が腰を這う。これは逃げられないなと覚悟を決めるしかない……。
    ――――重大なことを思い出して、すーっと気持ちが波のように引いた。
    「凛、ちょっと、ストップ…っ」
    「もうテメエの待ては聞かねえ」
    「頼むから、待って…」
     凛の胸を軽く押して、深く項垂れた。顔を見られないように。そうでないと泣く寸前だと凛にばれてしまうからだ。凛も完全に手を止めた。
    「俺がそんなに嫌か?」
    「…………ちがう…」
     咽喉から出した声に嗚咽が混じっていたので、すぐにばれた。
    「泣く程嫌なのかよ…」
     顔を見なくても、凛が落胆しているのがよくよくわかった。
    「そうじゃねえよ…」
    「いい。もう」
    「ちがう…」
    「なにが違うんだよ?」
     睨む凛に、潔は穴に入りたい思いで、答えた。
    「…………ねえんだよ…」
    「は?なんだって?」
    「だから…………下着、持ってねえんだよ」
     最後は完全に自暴自棄だった。潔の言葉を受けること、数拍。
    「…お前、普段から下着着けねえド変態だったのか?」
    「違うわそういう意味じゃない」
    「下着持ってねえっつったじゃねえか」
    「こういう場面に適した下着を持ってねえって意味なの」
    「は?こういう、何だって?」
    「可愛い下着持ってねえってことなの見られてもいいような可愛いの今は見られたくない下着着けてんだよわかれよ馬鹿」
    「わかるか馬鹿」
     うううう~。恥ずかしすぎて泣きそう。膝の上で両の拳をぎゅうっと握りしめる。
    「見られてもいいやつとか見られたくないもんとか知るか。んなもん、俺が判断する……だから見せろ」
     唐突すぎる横暴な要求に、腑抜けた声が漏れた。頤を指で上げられて、視線が合う。
    「潔。見せろ」
     言葉は乱暴だけれど、口調は穏やかだ。震える両指がゆっくりとシャツのボタンを一個ずつ開けていった。その下はキャミソール。その下もめくり上げて…………中学時代から愛用しているスポブラを見せた。
     沈黙。
    「くっ…殺せ」
    「女騎士かよ」
     奥歯を噛みしめた表情で叫ぶ潔に、凛が速攻で打ち返した。耐えきれないで潔は泣いた。めそめそ泣きだした潔に、凛は小さく嘆息を溢す。
    「…別に問題ねえ」
     ぼそっと呟く凛を、潔は潤う目を向けて見つめる。
    「脱ぐんだから関係ねえ」
    「お前ね…」
    「これ以上の異論は認めない。叫んでも泣いても止めないからな」
     低く囁く声に、観念した潔は身をゆだねた。軽く当たった額。流れる錦糸のような前髪が顔にかかる。目を上げただけで凛の目とかち合う。吸い込まれるように、同時に唇を重ねた。腰をぐっと引き寄せられて、密着を余儀なくされる。潔は凛の肩に手を置いて、されるがまま、翻弄されていく。
    「これ、本当に、する、流れ?」
    「当たり前だろタコ」
     お互いに向き合うようにベッドに腰をかけると、改めて恥ずかしさがふつふつと湧き上がってくる。
     少しの間を置いて、凛が潔の顎を掴んで深く口づけをしながら、空いてる手を動かした。潔のスカートに指を差し込んで強引に脱がせにかかった。それを察知して、潔は凛を軽く押して、自らフックに手をかけた。指が笑えるぐらいに震えたせいで大変手間取った。いつもの倍以上の時間をかけて、ゆっくりと下ろす。動きやすいという理由で中学から愛用しているボクサータイプのパンツ。これまた色気が皆無。もっとましなのを母に買ってもらえば良かったと後悔しても遅い。
     凛の左手が潔の肩を軽く押した。いとも簡単にふとんの上に倒れて、真上に凛が馬乗りになる。顔が火のように熱くなってきたのを悟られたくないのと、凛と目を合わせるとさらにおかしくなりそうで、顔を横に傾けて逸らすので精いっぱいだ。
     性行為の知識はあるが、凛も初めてで実地でのぶっつけ本番。
    「り、りん、りん、そこ、やだっ」
    「処女のくせして感じてるのかよ」
     声を出さないように手で塞ぐが、どうしても漏れてしまう息切れと、挑発的な言葉に羞恥心がさらに刺激される。今まで味わったことのない感覚に恐怖を覚える。
     顔を赤らめて嬌声を上げる潔の善がり切れないその初々しさが、凛の理性をきりきりと削っていく。
     初めてで、いきなり本番を強いれれば、最悪傷をつけることになる。
     だが、凛の頭の中は、潔への執着でいっぱいだった。潔の全てを喰らい尽くす。骨まで残さずに喰う。一生、自分だけを、見ていれば。
    「え…あ…?」
     その瞬間。潔の脳裏に幼き日の記憶が蘇った。父と一緒にお風呂に入った記憶だ。どうしてお父さんにはそれが生えていて自分にはないのか幼心に疑問を抱いた。のちにそれが男の子にしか付いてなくって、股の間に突っ込む造形になっていることを、中学で教えられた。
    「オイ。何固まってんだ?」
    「だ、だ、て。そ、それ…」
    「勃起すんのは当たり前だろうが。保健体育で習わなかったのかよ?」
    「目にすんのは今が初めてなんだよ」
    「びびってんのか?」
    「びびってねえ…ごめんめっちゃびびってる」
     涙が出た顔を両腕を交差させて隠す。
    「潔。止めるか?」
    「…言ったら、止めんの?」
    「ここまで来て止める訳ねえだろタコ」
    「だったら何で訊いてきたんだよ…」
     もう引き戻れないところまで来ている。怖い、とは思うけど、この先の未知に対する期待もあった。
     凛が潔を抱きたかったのと同じくらい、潔だって――――凛と繋がりたい。
    「凛…」
     ずっと隠していた手を凛へと伸ばす。潔に応えて折り重ねようとする背中に両腕を回して、背筋と腹筋を使って顔を上げて、凛の唇を軽く吸った。
    「来いよ…覚悟はできてる」
     凛の目が丸くなった。一瞬だったが、目元が和らいだ。
    「馬鹿潔」
    「う…っ!イタっ!」
    「はっ…力を抜けっつってんだろ」
    「そんな、こと、言われたって!痛いんだよ!こっちは!」
    「それだけ喋れるってことは余裕があんのか」
    「ない、ないし!凛、こわい!」
    「わかったからさっさと力を抜けっ」
    「こわいって、凛!」
    「少し黙ってろ」
     凛の声が荒い。余裕が無いのは凛も同じだ。
    「りん!りん!」
     狂ったように名前を呼ぶと、呼吸を奪うようにキスをされる。
    「潔」
    「り、りん、りん、りん!」
    「目を逸らすな。俺を視ろ」
     この声に、潔は逆らえない。翻弄されながらも薄っすらと目を開いて、凛を見た。凛の顔に余裕が無い。今にでも爆発しそうなぐらいに汗だらけで真っ赤だ。脳が焼ききれてしまう。限界に達する直前、凛が先に大きく震えた。大きく息を吐くと同時に停まった。
     潔の身体も衝撃が抜けきれないでいた。心臓の早鳴りも汗も止まらない。汗が張り付いて気持ち悪いけど動けずにいる。そんな潔を、凛は唐突に肩に担いだ。
    「風呂湧いてんのか?」
     声を出そうにも気力もなく、頭を小さく縦に振った。鋼の肉体をさらしたままの恰好で、凛は潔を運んでいく。脱衣所で潔を一旦下ろすと、先に自分から脱ぎだした。サッカーの為に鍛えて来た下半身は筋肉の塊であり、潔を貫いたそれも正常時でも立派だ。潔はただぼんやりと凛の行動を見ているだけ。ぺたりと座り込んで壁に背を預ける潔の、辛うじて残っていた衣類を真っ裸の凛が取り去って、浴室に放り投げた。
     シャワーのコルクを回し、二人同時に汗を簡単に流し終えると、自動追焚機能で調整された湯舟に浸かった。凛が潔を背中から支えている態勢で、だ。温かい湯舟の中で、潔はいまだにぼんやりから抜け出せていない。
    「……んでさっきから何にも喋らないんだテメエ」
     凛が沈黙を破った。
    「いや………………」
    「……言いたいことがあるんなら言え」
    「なんか……すごく疲れたというか……まだ身体の中にお前の感触が残ってる…」
    「お前、みっともねえぐらいに泣いて叫んでたな」
     淡泊な空気を感じる。
    「凛くんや。すごく痛かったんだけど。もっと優しくしてくれても良かったんじゃないの?」
    「処女は痛いんじゃねえのか?」
    「こんなに痛いって思ってなかったんだけど。なあ」
    「知るかよ」
     固い胸板に身体を預けて、凛に甘える。珍しく凛が濡れた手で潔の頭を撫でた。
    「…後悔してんのか?」
     ぼそっと低めに尋ねる声に、潔は湯の温度と凛の体温に溶けながら答える。
    「してないよ」
     凛が潔の顔に自分のを引っ付けてきた。これまた珍しいことに、あの凛が、べったりと甘えてきてらっしゃる。たまにあるこういうところが可愛いと思ってしまうのは末期症状なのだろうか。
    「凛はどうなの?気持ち良かったの?」
    「悪くなかった」
    「そこは気持ち良かったって言えよ。最悪」
    「あ?痛いだの怖いだのとぎゃんぎゃん泣いてた奴が何言ってんだ?」
    「初めてだったんだから仕方ないだろ」
    「俺だって初めてだ、馬鹿」
     そういえばそうだった。こんなに面が良いのに、潔が初めての彼女だという。中学時代モテなかったのだろうか?この顔でモテなかってのはあり得ないし、今でもすごくモテているから、その線は無い……凛はサッカー馬鹿なので、興味が持てなかったのだろう。きっとそうだ。絶対にそうだ。自分が凛の初めての女……なんかお得感いっぱいの響きを感じる。いいな、これ。
    「凛の初めて、もーらい」
    「それは俺の台詞だろうが」
     小さく笑って、立派な咽喉仏に頭を預ける。お湯を通して伝わる心臓音も、体温も、全部が気持ちいい。眠れそう。
    「少しは元気戻ってきたようだな?」
     油断をしていると、凛の手が腹を撫でた。
    「オイ凛」
    「俺をその気にさせたお前が悪い」
    「私何もしてないじゃん。勝手にそんな気になってるの凛の方じゃん。て、こら!胸を触るな!」
    「一回じゃあ治まらねえよ。潔、もう一回だ」
     距離を開けようとするのを詰め寄られて、逃げ場を絶たれていく。
    「無理」
    「一回」
    「無理だから。疲れた」
    「一回」
    「疲れたって!休みたいんだよ」
     淵まで追い詰められてしまって、身体を守るように腕で胸を隠していたが、端正な顔が鼻の先まで詰め寄られて、追い詰められた。
    「潔」
     涼やかな目が潔を覗き込んできて、逸らすことのできない吸引力に、潔は胸を詰まらせる。こういう時に発揮される、凛の年下力もとい弟力。弟ずるい。流されやすく頼まれたら断れない性格の潔は半分不承半分羞恥で答える。
    「一回、だけだ、からな…」
     消え入りそうな声が出てしまった。凛の方からキスしてきた。
     キスだけで蕩けそう。銀糸を残して離れた凛が、張り付く前髪をかき上げる。普段隠れている額が見えて、改めて顔全体を見ると、本当に良い顔してる。動作もクソ程かっこいい。なんだこの生き物は。胸がぎゅるんと締め上げられて、思わず両手で顔を隠した。
    「んで顔隠すんだ?」
    「ナンデモナイデス…」
    「隠すな。俺を視ろ」
     手を掴まれて除けられて、低い声で囁かれる。心臓がばくばく鳴ってうるさいし死にそうだ。
    「やだって、凛…っ!」
    「気持ちがいいって認めろ」
    「こわいんだって…!」
    「安心しろ。それも全部、俺が塗り替えてやる」
    「凛、そこ、いやだってば!」
    「嫌じゃねえだろ。どっからどう見ても感じてんじゃねえか」
    「だって、そこ、変だから!」
    「気持ちがいいって言え」
    「やっ」
    「言えよ。気持ちがいいって」
    「きもちいいって!きもちいいからぁ!やめろって!」
     反り返して高い嬌声を上げる潔を、凛は満足そうに見つめる。
    「気持ちいいから!待てってば!壊れるんだって!」
     訴えても凛は手を止めない。
     許容範囲を超えた刺激が全身の隅から隅まで奔った。指先も、内臓も、全部の筋肉も神経も、全てが熱い。一気に脱力感に見舞われて凛にぐったりと身体を預けた。
     潔は混乱していた。今の快感が一体何なのか、衝撃すぎて理解できなかった。あわれ、今までサッカーばっかりで、そういった方面の会話もしたことがなく、雀の涙よりも小さい知識量しかなかったのだ。
     許容を超えた現象に潔は泣き出した。幼子のように泣き出したのだ。凛が軽く慌てた。
    「泣いてんじゃねえよ馬鹿」
     罵倒する凛に、うるせーと涙声で言い返す。
    「やだって、言ったぁ…っ!凛の馬鹿ぁ~!」
     凛は咽喉を詰まらせた。逡巡した挙句、つむじを撫でてあやし始めた。それは小さい時に、癇癪を上げて泣き出した凛に冴がしてくれた動作であった。刷り込まれた行動であったが、嗚咽がだんだんと穏やかになっていく。
    「出るぞ」
    「ふえ?」
    「ここにはゴムねえから。出る」
     潔をまた抱えると、湯から激しく立ち上がった。それからのそのそと動き出す。タオルを引き出して、まず潔から簡単に拭い、次に自分の身体を拭く。髪を乾かさず、また俵のように持ち上げて、潔の部屋に戻った。
     ベッドに潔を投げ捨てて、放置していた箱から二つ目の個包装を取り出して、封を開ける。
     装着を終えると、やや性急に覆いかぶさってきた。先ほどと同じ態勢だ。
     真上から雨が落ちてくる。凛の汗と水滴だった。両手を顔の両横に縫い付けられて、硬く握られる。なけなしの力を振り絞って潔も握り返した。
     一心不乱に腰を振っていた凛の口が開いて、だらりと舌が垂れた。目もかっと見開いて、潔を見下ろす。垂れ下がった舌が潔の口内を強引に入って絡めとる。
     嬌声が殊更高くなって、真っ白になった頭の中で花火があがる。凛も果てた。
     二回の行為の後、潔は気を失った。深い眠りについた。ゆっくりと覚醒した時、すでに朝を迎えていた。頭と全身が重い…特に下半身が重くて仕方がない。項に吐息が当たっていると思えば、凛が潔を背中からがっしりと抱き込んで眠っていた。穏やかな寝息を耳にして、どんな顔で寝ているのか気になったので、顔を動かして覗くと、穏やかで綺麗な寝顔がそこにあった。超絶レアな、凛の寝顔。自分しかない特権だと思うと心臓が小さく締め付けられる。
     潔が起きた気配を察知して、凛も瞼を開いた。
    「おはよ、凛」
     潔の心は満たされていた。身体は失ったけれど、溢れてくるのは、愛おしさだ。
    「ん」
     それだけ返して、凛は起き上がった。寝起きとは思えない俊敏さだ。脱ぎ散らかした服を回収しながら着なおしていく凛から目が離せない。
     潔も服を着て、二人で朝ごはんを食べて、リビングのソファーでまったりと映画を視ていると、昼前に潔の両親が帰ってきた。
     だたいま~。ほくほくと帰ってきた父と母に、ソファーから潔はおかえりと返す。両親はかなり近くなった二人の距離感に気付いていない。
    「丁度よかった!凛くんにもお土産があるんだよ!鯛茶漬けが好きだったよね?奮発してちょっとお高いの買ってきたんだよ。お昼にどう?」
     凛の目が輝いた。っす。と相変わらず辛うじての礼をする凛に、父と母は破顔する。
     お昼を食べている時、両親は旅行の思い出を語り続けた。朝から凛が家にいることになんも疑問を抱いていない様子だった。凛はその夜も、潔の家に泊まった。
     大きなものを代償に、凛と心が通じ合った。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!
    一学年繰り上がりました。bllの無い世界線で同じ高校に通いながらサッカーをするrnis♀。
    息するように受けが女体化してるので注意。
    またもやse兄貴がめっちゃでしゃばる。se兄貴はきっとisg気が合うだろうなと想像しながら書いた。若干のキャラ崩壊あり。itsサンドのプリクラが切実に見たい。
    あとちょっとで終わります。
    凛と一緒(15) 五月のゴールデンウィークも部活はあるが、フルではない。偶には息抜きも必要ということで休暇が与えられている。休みの日はどちらかの家に入り浸るか、公園でサッカーするか、東京の街に繰り出すかだ。その日、凛と一緒に映画を見る計画を立てていた為、地元の映画館へ行くことになっている。筈だった。
    「で、お前ら何観に行くんだ?」
    「ピエロが出てきてめっちゃ襲ってくる映画だって」
    「趣味悪い。どうせそれ凛の趣向だろ?あいつに合わせてると甘える一方だぞ。嫌な時は嫌だってはっきり言え」
    「これでもホラーには慣れて来たところなんだよ、凛のお陰でさ。それに凛も楽しみにしてたんだし……な、凛!」
     潔は左隣に顔を向けて声をかけた。並列して歩く凛の顔はかなりの渋顔で、負の感情をまき散らしていた。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!
    一学年繰り上がりました。rnis♀でrn(高二)がisg♀(高三)と一緒にサッカーするために一難学校に転校した、bllの無い世界線。
    息するように受けが女体化してるので注意。
    rnis♀仲直り回。se兄貴が仲介する。今後も喧嘩したする場合はse兄貴が武力介入することになる。se兄貴isg推しでこっそり狙ってる。
    凛と一緒(14) これまで凛と喧嘩したことは何度かあった。喧嘩といっても猫のじゃれ合い程度のもので…凛の暴言とか我が儘が原因によるものがほとんどで、苛立ちはするもの激怒する程でもないので受け流して終了させるのが定例だ。凛が謝ったのは、付き合うことになったあの一度だけである。今回ばかりはそうもいかなくなってしまった。
     ああああ。吹き溜める感情を吐き出そうとして声が漏れる。凛、完全に怒ってた。夕飯食べずに帰ってしまったし。どんな顔をして会えばいいんだか。ていうか、凛の怒りが消えてなかったらどうしよ。今回は潔に非があると認めざるを得ない。
     このまま気まずいまま、お互いに距離を空けて、自然消滅してしまったらどうしようか。いや、凛から捨てられるかもしれない。そんなことになったらどうしよう。サッカーはやってくれるかな。ここまでやっておいて、チームメイトに戻れるだろうか。無理な気がする。別の子と付き合い出したらどうしよ。何も考えたくない。考えたくないのに、嫌な想像ばかりが膨らんでしまう。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!!!!
    isg♀(高二)と同じ学校に通うrn(高一)のrnis♀。kr君回前編。kr君をかませキャラにしてしまった。性格がかなりひどくなってる。kr君ファンの方ごめんなさい。kr君とisg♀が付き合ってる表現ありますが、kr→isg♀です。前提ではありません。
    凛と一緒(4) 今更ながらではあるが。凛はとてもモテる。顔が良くてサッカーも上手ければ、女子が黙っていないのも無理はない。前の学校でもモテていた筈だと潔は推理し、部活帰りの途中で、実際どうなんだよと尋ねたところ、本人は知らねえとばっさり切り捨てたけれども、絶対にモテてた筈だと仮定した。でもサッカー馬鹿の凛が多田ちゃんらのように彼女がほしいだのモテたいというだのの欲望を持ち合わせていないのを知っているので、モテていたという自覚が本人には無いんだろうと考察する。凛の頭の中は基本サッカーしかない。
     どうしてこのような話の流れになったかというと、全てはあの体育祭にある。あの後、凛の人気が急上昇したからだ。今一番モテる男は誰かと聞くと、間違いなく糸師凛である。あの奇跡的プレーが全学年女子の心を射抜いたのだ。潔もまたこれまでほとんど話したことのない女子生徒から話しかけられることが倍増した。ほとんどが凛との橋渡しだ。頼まれたら断ることのできない潔は凛宛のラブレターを手渡す役回りになっていた。凛は全て拒否したけれども。
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