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    不知火 螢。

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    不知火 螢。

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    魔道祖師オンライン交流会5の展示作品になります。
    謎時空の現パロで、藍曦臣がパティシエ、江澄が社畜してます。
    これから曦澄になる予定です。
    彼らがくっつくまでを書いていければと思っています。
    まだ完結していませんが、気長にお待ちください。
    たくさん書けたらまとめてpixivにあげる予定です。

    #曦澄

    めぐる綺羅箱1*クッキー缶の出会い

    仕事終わり。
    無性に甘いものが食べたくなり、適当に寄ったお菓子屋さん。
    閉店が近づくこの時間に、たくさんのお菓子が並んでいるお店だった。
    ショーケースの中のケーキがキラキラと輝いていて、適当に買って帰ろうと思っていた自分がバカらしく思えてきた。
    「いらっしゃいませ」
    奥のキッチンから出てきたのは、体つきのしっかりとした美男だった。
    「……どうも」
    疲れ切った自分に残った微かな何かが、彼に持っていかれそうな気がした。
    「何をお探しですか?」
    昼間の暖かな日差しのような、疲れ切った体を癒すようなそんな笑顔で聞かれた。
    「あ、なにか、簡単に食べれるものありますか」
    選ぶのもめんどくさくなって、店員さんのおすすめならハズレがないだろうと投げかける。
    もう、食べるものを選ぶ気力すらないほど自分が疲れていることを自覚した。
    「それなら、クッキーなどいかがですか?日持ちもしますし、アソートとかもあるので楽しんでいただけると思いますよ」
    そう言って彼が小さな箱を出してきた。
    箱の中には、ケーキみたいにキラキラした繊細な模様のついた様々なクッキーが入っていた。
    ジャムのついたもの、チョコの練り込まれたもの、小さなもの、大きなもの。
    いろんな綺麗なものが詰まっている宝石箱みたいなものだった。
    今まで義務で食べていた食事などではなく、食べたいと素直に思えるものだった。
    「それ、いくらですか」
    妥協ではなく、これを食べたいと思ったのはいつぶりだろうか。
    「1200円になります」
    思ったより安かった。

    家に帰って、着替えるより先にクッキーの箱を開ける。
    ジャムの乗った、小さなクッキー。
    キラキラとしたそれを、口に運ぶ。
    ホロリと口の中で柔らかく甘さが広がるそのクッキーは、久々にいいものを食べているなという実感と、自分が生きていることを実感した。
    仕事終わりの疲れた体が一瞬で癒されるような、そんな暖かさを感じるクッキーだった。
    「また、仕事終わりによるか。今度は、ケーキとか買ってみるか」

    明日から、また仕事を頑張ろう。そしてご褒美にあのお菓子屋さんに寄ろう。
    楽しみが、できた。
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    不知火 螢。

    DONE以前、魔道祖師オンライン交流会5の展示作品の続きが一つ完成しました。
    謎時空の現パロで、藍曦臣がパティシエ、江澄が社畜してます。
    これから曦澄になる予定です。
    彼らがくっつくまでを書いていければと思っています。
    たくさん書けたらまとめてpixivでまとめます。
    作者がゼリーが好きなので、なんだか時間がかかってしまいましたが、楽しんでいただければ嬉しいです。
    めぐる綺羅箱*ゼリーの煌き
    忙しかった仕事も繁忙期が終わったことで落ち着いてきた。
    家に帰って冷蔵庫を開けたら、水と10秒チャージ系のゼリーしか入っていないことに気がつき、食べるものを調達しなければ何もできないことに気がついた。
    家の近くのスーパーに久しぶりに入った。
    なんとも言えないスーパーの寒さと、数の少なくなった野菜たち。
    ちらほらといる独り身であろう人。
    すぐに食べれるものをさがして惣菜コーナーに向かう。

    「あーーー。なんか肉。あと、酒買って行くか」
    ふらふらと歩いていたら、見覚えのある姿が見えた気がした。
    夜遅くだし、あの人ではないだろう。
    そう思って、酒を買いに行く。
    ジャックダニエルを手に取りつまみを探しに行く。
    途中、ゼリーが売っている場所を通った。
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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
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     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
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     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
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     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
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