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    ぬのさと

    @nunosato
    魔道祖師/陳情令の双聶(明懐)が好きです。

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    ぬのさと

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    猫の日に書いた、猫な双聶のお話。

    #双聶
    doubleNie

    猫の日 朝、聶明玦が目をさますと、かたわらにあるはずの弟の気配がなかった。敷布のくぼみには、まだほんのりとぬくもりが残っている。
     着替えて弟を探しに行くよりも先に、明玦の目が寝台のある部分にとまった。天蓋のついた広い寝台の足もとがもりあがっている。明玦が布団をめくると案の定、弟の聶懐桑がそこに寝ていた。
     ――まるい。
     ここまでまるまっていると、呆れるというかおもしろくなってしまう。
     懐桑は細いからだを胎児のように小さくして、まるくなっていた。犬や猫が鼻先を毛皮にうずめてまるくなっているのにも似ていた。
     明玦が背中にそって手をすべらすと、肉づきの薄いからだは背骨の所在がよくわかる。肩にかかる髪をはらい、背をなでているうちに、もぞもぞと身動きして懐桑が目をあけた。
    「大哥……?」
     はっきりしない声でつぶやき、懐桑は明玦のあぐらをかいた太腿の上にあたまをのせた。筋肉のついた逞しい脚のやわらかい部分を探して、あたまの位置をずらした。
    「懐桑がそうしていると、猫みたいだな」
    「そう?」
     明玦はくしゃりと目じりにしわを寄せて笑った。
    「おまえが猫だったら、好きなときに寝て起きて遊んで――いや、いまとあまり変わらないか」
    「ひどいよ、大哥」
     懐桑はむくれて兄を見上げた。寝乱れてはだけたままの寝衣から、胸もとだけでなく、さらに奥まで見える。夜狩にも行かない懐桑の肌は白く、傷ひとつなかった。
     喉の奥で低く笑い声をたて、明玦は猫にやるかのように懐桑の顎の下をくすぐった。
    「懐桑がふわふわの小さな毛玉みたいな子猫になったら、いつでも大哥のふところに入れておくのにな」
     懐桑は気持ちよさげに目を細めた。
    「猫ね。猫になるのもいいかもしれない」
     明玦が親指の腹で懐桑の唇をたどると、懐桑は指に軽く歯を立てた。白い歯がのぞく。
    「こら、痛いぞ」
    「猫は気まぐれなんだよーだ」
     ゴロゴロと喉を鳴らしたいようすで、懐桑はあたまを明玦の大きな手へすりつけた。

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    ぬのさと

    DONE双聶本「You Mean the World to Me」につけていたおまけ折り本の再掲。
    最初は秋の話だったのを途中で春に変えたので、秋バージョンを持っている方はレアかも。
    元ネタは北宋の徽宗のエピソードです。
    作中の七言絶句は、『全唐詩』所収の劉長卿「過鄭山人所居」(鄭山人の所居を過ぐ)より。
     寂寂孤鶯啼杏園
     寥寥一犬吠桃源

    (寂寂として孤鶯、杏園に啼き
     寥寥として一犬、桃源に吠ゆ)
    ものいう鳥 数ある仙門世家のうちで唯一、刀術を使う清河聶氏の当代宗主は、聶懐桑という。
     勇猛なこと、義に篤いことで世に名を馳せた聶氏を束ねる長として、聶懐桑はあまりにも頼りない。領内でもめごとが起きても、悪鬼邪魅のたぐいが跋扈していると領民から訴えがあっても、困り顔に気弱げな笑みを浮かべて扇子ではたはたとあおぐばかり。なにを聞かれても「知らない」としか答えない、一問三不知とあだ名される人物だった。
    「――知らない」
     ふいに、つややかな黒い羽根の小鳥がそう云った。暖かな陽射しが明るかった。
    「ふうん、おいしいかい?」
     聶懐桑はにこにこと笑いながら、目もとから頭の後ろにかけて黄色い肉垂れのある、真っ黒な小鳥に手ずから餌をやった。九官鳥は橙色の嘴を開け、
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