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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    浬-かいり-

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    ここみさ・かおみさ

    #ガルパ
    galpa
    #かおみさ
    loftyPeak
    #ここみさ

    世界一のお姫様になれるキミへ「ライブお疲れ様、みんな! とっても楽しかったわね!」


     ライブ後の控え室で、満足げにこころは笑った。今回大成功に終わったスマイル号での船上ライブは、いつもと趣旨を変えてそれぞれがドレスアップしてのライブとなった。
     正装し華やかで上品な雰囲気となったものの、結局曲が始まってしまえばいつもと変わらぬド派手なパフォーマンスで、いつものハロハピのライブと変わらなかったが。


    「じゃあ、この後のパーティーも楽しみましょう!」


     この後は、ライブの観客を交えて船内でパーティーが行われる。こころ達は、このドレスのまま参加予定だった。彼女自身も今は、真っ赤なドレスに身を包んでいる。いつものものよりも装飾が施された派手なものだ。
     同じく花音はラベンダー色のドレス、はぐみはレモンイエローのドレス、そして薫は純白のタキシードに身を包んでいる。


    「みんな、おつかれー」

    「あっ、みーくん! ミッシェルは!?」

    「ミッシェルは仲間のミッシェルとパーティーがあるから帰ったよー」


     ミッシェルからの着替えを済ませた美咲が、控え室に入ってくる。
     美咲ははしゃいで今にも飛びつきそうなはぐみを宥めてから、呆れたように息を吐いた。


    「みんな待ってるよ。早く準備して行こうよ」

    「わーい! 行こう、かのちゃん先輩! コロッケあるかなー?」

    「ふえぇ、はぐみちゃん、ドレスで走ったら危ないよ……!?」


     楽しそうに向かうはぐみを、花音が慌てて追いかけていく。
     パーティーはもう始まってはいるが、主役はあくまでもハロハピなので、出来るだけ急いで会場に向かった方がいい。
     駆けていく二人の背中を見送ってから、美咲はこころへと振り返った。真ん丸な金色の瞳と目が合う。


    「……美咲、ドレスは?」

    「は?」


     急かす美咲とは対照的に、こころは能天気に首を傾げた。
     ドレスコードしている四人とは違い、美咲はいつものキャップとパーカーだ。


    「いや、だってあたしは最初からドレスなんて着てないし……」


     面倒で省略しているが、この場合ミッシェルはドレスを着ていたが中身の美咲は着ていない、が正しい。
     船内のパーティーとはいえ、ライブを観に来た一般客はドレスコードは必須ではないので、ラフな服装の人も多い。パーカーの美咲が混ざっていても、特に目立ちはしないだろう。だから、この服装で十分だと思っていたのだけど。


    「あら、それはいけないわ! 美咲だってハロハピの大事な一員だもの。一人だけ着ないなんて勿体ないわ」

    「そうだね。こんなに美しい夜に豪奢な船の中だ、美咲をそのままの格好にさせておくのはあまりにも惜しいね」

    「いや、そんな大袈裟な……」


     こころと薫の二人は、どうやら美咲にもドレスを着て欲しいらしい。けれど彼女は、そんな二人の言葉に首を振って苦笑いを浮かべた。


    「あたしはいいって。着たって別に似合わないし」


     自分自身可愛らしく華やかに着飾るタイプではないし、あくまでこころ達は“衣装”としてドレスを着ていた訳なのだから、衣装を着ていない自分がわざわざ着替える必要はないと。
     それは本心から出た言葉だったが、それがこころと薫に火を点けた。


    「そんなことないわ! 美咲はとーっても可愛いもの、きっとドレスだって似合うわ! ね、薫!」

    「ああ。きっと可愛らしいさ。私たちも着飾った美咲の姿を見てみたい」

    「いやいやそんなことないって……。ところで二人とも近くない?」


     じりじり。
     そんな効果音が聞こえそうな勢いで詰め寄る二人に、美咲の苦笑いが更に引きつっていく。
     嫌な予感がする。二人から言い得ぬ気迫を感じて、美咲は一歩後退りした。


    「美咲の目は空みたいに綺麗な色をしてるから、お日様みたいな明るい色のドレスがいいと思うの!」

    「それはいいね。美咲の艶のある美しい黒髪とも相性が良さそうだ」

    「いや、なんか勝手にあたしも着る流れになってる!? あたしが着ても別に可愛くないから、」

    「どうして可愛くないって決めつけるの?」


     やばい。これはいけない流れになっている気がする。
     察した美咲だったが、その時にはもう遅かった。鼻先がくっつきそうな程にこころが近付き、耳に息が掛かりそうなくらい薫が顔を寄せる。


    「美咲はこんなに可愛いのに」

    「ちょ、」


     一歩。


    「その照れた顔も可愛いよ、美咲。もっとよく見せておくれ」

    「まって、」


     一歩。


    「今の美咲、目がうるうるしててとっても可愛いわ!」

    「……う、」


     一歩。


    「赤く染まった顔も可愛いよ」

    「…………、」


     一歩。

     美咲が後ろに下がる度、こころと薫が同じように距離を詰める。やがて壁まで追い込まれて、逃げ場のなくなった美咲が真っ赤にした顔を両手で隠して。


    「……う、ううううう、」


     その場に蹲った。唸り声を上げた後、観念したように。


    「……もう、分かった、着る、着るから、もう、それやめて……」


     降参の意を示した。こころと薫が、満足気に微笑んで目を合わせる。
     何処からか現れた黒服がフッティングルームへを通路を示せば、早速着替えましょう! と、こころが蹲る美咲へと手を差し伸べる。


    「美咲、エスコートするわ! お手をどうぞ!」

    「いや、エスコートって、あんたもドレスじゃん……」

    「おや、お姫様は私のエスコートをご所望かい?」

    「言ってないです」


     自分で行くから! とまだ赤い顔をぶんぶんと振りながら美咲が立ち上がる。
     まだ気の進まない美咲の手を薫が引いて、こころが背中を押していった。
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