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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-12/空閑汐♂の夏12日目!スイカといえば割らねば!という使命に燃えた結果。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day12 稽古終わりの道場にそれを持ち込んだのは、部活の終了時間を見計らいフェルマーを伴ってふらりと現れた高師だった。
    「……お前がこういう事するの、珍しいな」
    「姉から送られてきたんだ。俺一人だと持て余すからな、普通に部員で分けようと思って持ってきただけで……決してこんな事をしようと思って持ってきた訳では無いんだがな!?」
     ひと汗かいたと首に手ぬぐいを掛け剣道着を纏ったままの姿で眉を寄せポツリと呟いた汐見に、高師はその理由を説明しながらも予想外の展開に転んだ空間に向けて叫んでしまう。
     高師が持ち込んだそれの周りでは稽古終わりの部員達がワイワイと群がり手ぬぐいや木刀、どこから持ってきたのかビニールシートまで用意されていた。
    「こんなに立派なすいかなら、割るしかないでしょ!」
    「そうですよ! こんなの割らないでどうやって食べろと!?」
     手拭いを手に興奮したように叫んだ空閑に続くように、皆川が木刀片手に力説する。彼らの後輩たちもそうだそうだと同意の三唱だ。
    「いや、普通に切って食えば良いだろ」
     冷静に突っ込みを入れる篠原の手には新聞紙が握られているし、高師の隣をしっかりと確保しているフェルマーは「まぁ、こうなるよねぇ」と楽しげに笑みを浮かべている。
    「汐見……お前、これ止めれるか?」
     高師が思わず縋るように視線を向けた汐見は少しだけ考えるそぶりを見せながらも、口元だけでゆっくりと笑みを浮かべる。
    「おい、皆川! 木刀くれ!」
     少し離れた場所に居る皆川の手にある木刀を求めて声を上げた汐見に、彼女は我が意を得たりと頷きそれを放る。美しい放物線を描いた木刀をしっかりとキャッチした汐見は隣に立つ高師へと笑みを浮かべてその手に握られた木刀を渡すのだ。
    「道場に持ち込んだのが運の尽きだな、お前には栄えある一太刀目の権利をやろう」
     押し付けるように木刀を高師へと渡した汐見は、すいかの周りで騒ぐ空閑や後輩たちへと「すいかは外に設置しろよ!」と叫ぶのだ。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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    kumo72783924

    PROGRESS魁のパート。ビール飲んでる。
    流心〜ドイツ編〜魁1
     十一月のドイツは想像以上に寒く、訝しがりながら持ってきたダウンが大活躍だった。見るもの全てが痛いほど新鮮に映る中、隣で穏やかに微笑む恋人が旅の緊張を解してくれる。距離も時差も超えて、こうして二人並んで歩くだけでも、思い切ってここまで来て良かったと思うには十分だった。
     ターミナル駅からほど近いその店は、入口の様子からは想像出来ないほどに中は広く、何人もの客が酒とおしゃべりに興じていた。柱や梁は艶のあるダークブラウンで、木製のテーブルや椅子が落ち着いた雰囲気を醸し出している。ぐるりと店内を見渡したときに目を引くのは、なんと言っても大きなビール樽だろう。その樽から直接ビールが注がれたグラスをびっしりと乗せて、店員がお盆を手に店内を動き回っている。その様子に目を奪われていると、店員の一人から“ハロー”と声をかけられた。こちらもひとまず“ハロー”と返すと、何か質問を投げかけられたようだったが、生憎俺は返す言葉を持ち合わせていない。助けを求める間もなく楓吾が最初の注文を済ませ、席に着くなりビールが二つ運ばれてくると、ドイツに来て初めての食事が始まろうとしていた。ふと向かいに目をやれば、赤銅色に染まるグラスの向こうで楓吾が再び店員と何やら話している。ガヤガヤと騒がしい店内で異国の言葉を話す恋人は、まるで別人のようだ。ひょっとして、話す言語によって人格も多少は変わるのだろうか。俺の知らない楓吾の一面があるのだろうか……そんなことを考えながら二人のやり取りをぼんやり眺めていると、楓吾がこちらに向き直って言った。
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