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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-19/空閑汐♂の夏19日目!かき氷で愛の大きさを表現するな。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day19 ガラスの器に降る雪のような氷の欠片にフェルマーは歓声を上げる。小さな子供のようなはしゃぐフェルマーの様子を見ながら、汐見はかき氷機のハンドルを回していた。手回し式のかき氷機をどこからか引っ張り出してきたフェルマーは、その作業を汐見に押し付けて。汐見もそれを嫌がる事なく引き受けていた。
    「アマネ、代わるよ?」
    「俺がこの程度でへたると思ってんのか」
     四杯分の氷を削った所で、汐見の後ろに立っていた空閑は彼に声を掛ける。空閑の言葉に心外だと眉を寄せた汐見に「まさか」と空閑は笑い声を上げて。
    「じゃなくて、アマネのは俺に削らせてよ」
    「あぁ、そう言う事。んじゃ遠慮なく」
     空閑の言葉に一度頷いた汐見は、自身が立っていた場所を空閑へと明け渡す。そうすれば空閑は鼻歌混じりでハンドルに手を掛けるのだ。
    「ヒロミってアマネに甘いよね」
    「まぁな」
     白い氷の山を青色に染め上げたフェルマーはスプーンでその山を崩しながら汐見へと声を掛ける。その言葉に何の気負いもなく頷いた汐見に、フェルマーは揶揄うようにヒュウ、と唇を鳴らした。
    「お前ら、学院でもこのままで行くつもりか?」
     呆れたようにため息混じりの言葉を溢すのは高師で、彼の手にもちゃっかりとフェルマーと同じ色彩で彩られたかき氷が乗せられている。
    「このままと言われてもなぁ、俺にとってはもうこれが普通だし」
    「他の男に……ううん、女にもだけど、アマネを取られないように精一杯の牽制はするに決まってんじゃん!」
     ガリガリと氷を削り続け、遂にその中身を空にしたらしい空閑はかき氷機のハンドルをカラカラと鳴らしながらも宣誓するような声を高らかに上げて。その言葉を揶揄うように汐見に声を投げるのは篠原だった。
    「牽制するとか言ってるけど、そこんとこどうなんだ?」
    「まぁ悪い気はしないよな」
     肩を竦めながら小さく笑みを浮かべる汐見に「ていうか、汐見のが過激な手段に出るんだったな。そういえば」と思い出したように頷いた篠原はかき氷機の下に置かれていた器の状態に「うわ」と声を溢す。
    「浩介! うわって酷くない!?」
    「いや、ヤバいだろそれ」
    「ヤバいな」
     汐見が削り出した四人の分よりも堆く積まれた氷の山に、流石の汐見も眉を寄せてしまう。
    「アマネへの愛の大きさだと思って欲しいよね!」
    「いや、これは愛とか言う以前に頭痛にやられる未来しか見えないぞ」
     空閑の言葉にため息混じりの声を返した汐見はそれでも、その器を手に晴れた空よりも濃い青を白い雪山へと振りかけるのだ。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-24/空閑汐♂夏祭りホラー回(???)汐見♂が叫ぶのって多分よっぽどの事が起きた時か怒ってるかベッドの中だけですよ……それはそれとして私はファースト・マンが割と好きです。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day24 照明を落とした部屋に設置されたスクリーンには映像が流れる。そして、部屋中に轟くような男の悲鳴が響いた。
    「無駄な腹筋を使うな!」
    「だって……!」
     大声を放った男――空閑の頭を叩いた汐見は苛立たしげな声を上げる。そんな汐見の言葉に言い訳するように情けない声を出す空閑は汐見の腕にしがみ付いていて。
    「ていうか、ヒロミってホラーダメだったんだ?」
    「みたいだな」
    「映画って言うからアクション系とかかと思ったのに……」
     カラカラと笑うフェルマーの言葉に汐見が頷き空閑は項垂れる。汐見の腕にがっしりと巻き付けられた空閑の腕はギチリと力を増し、汐見は眉を寄せたがそのままにさせていた。
     寮のシアタールームが借りれたから映画を見ようと言い出したのはフェルマーの誘いに乗ったのはいつもの顔ぶれで、シアタールームで機械を操作しながら「やっぱり夏にはジャパニーズホラーだよね!」と鼻歌混じりに口に出していたのに空閑が肩を震わせていたのは篠原も知っていた。しかしこれ程とは。
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