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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-21/今日の空閑汐♂夏祭りはキャンプです!夏はやっぱりキャンプして欲しいよね。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day21 夏の夜は短い。未だ太陽の齎した熱が冷え切らない淡い色をした空を見つめながら、汐見は目の前で燃え盛る炎の中へと乾き切った枝を投げ入れる。
    「これぞキャンプファイヤーだよね」
    「まぁ、キャンプで火を焚いてるからな」
     楽しげに声を上げるフェルマーに、何の感慨もなく言葉を返した汐見へ「相変わらずムードってもんを理解してないよな」と呆れた声を溢すのは篠原だ。
    「ムードつったって、学校からちょっと離れたキャンプ場で野営してるって話だからなぁ、許可取れば校内でも焚き木位出来るだろ」
     ナイロンとステンレスの枠組で作られた椅子に凭れながら、その横に積まれた木の枝を表情ひとつ変えずに火の中に放り込む汐見の横顔へとじとりとした視線を向けたフェルマーはため息と共に言葉を漏らす。
    「アマネそういうとこあるよね」
     折角だからと夏の思い出作りにやってきたこの場所で、ここまで表情を変えずに居るとは思わなかったとフェルマーは人知れず嘆息する。つまらない訳ではないのだろう――汐見はつまらなければ容赦なく帰る人間である事をフェルマーは知っている。
     車とバイクで連れ立ってやってきたこの場所にバイクで乗り付けてきたのは汐見であり、バイクで帰れば残り四人が帰りに困ることもない。
    「別に楽しくないとは言わないけどな、焚き木をキャンプファイヤーだって楽しむ文化がなかったと言うか、あぁ、燃えてんな。って思うっていうか」
     少しだけ困ったように言い訳じみた言葉を紡ぐ汐見に、笑い声を漏らしたのは篠原で。
    「まぁ、お前にとってはキャンプも野営になっちまうし、木に火ィつけても焚き木以外の何者でもねぇってだけか」
     笑い出した篠原に困惑を煮詰めたように怪訝な表情で眉を寄せる汐見に、フェルマーもおかしくなってしまう。初めて出逢った頃よりは随分と柔くなったけれど、結局汐見の興味関心は空へと注がれている事に気付いたのだ。
    「アマネ! ちょっとこっち来て手伝って! 高師じゃ戦力にならないんだよ!」
    「空閑お前、言うに事欠いてそれはないだろ!?」
     フェルマー達から少し離れた場所で夕飯の用意をしてい空閑と高師の声が飛んでくる。じゃんけんで決めた食事当番の選択は失敗だったらしい。
    「高師にも苦手な事はあるんだな」
     面白そうに立ち上がった汐見に、空閑は重ねるように叫ぶ。
    「高師に任せといたらお粥が出来ちゃう!」
    「分かりにくいんだよ米と水の分量が! 炊飯器があれば米位俺でも炊けるぞ!」
    「そりゃ電気に頼りすぎた結果だな……うわ。マジで粥になりそう。この米でカレーは食いたくねぇな……」
     飯盒を覗き込んだ汐見が眉を寄せ、器用に飯盒から水だけを地面に流して米を平らに慣らしてから水をゆっくりと注ぎ直す。平らになった米を指すように指を入れ、水位と自身の関節を確認した汐見は蓋を閉めてしまう。
    「水は大体中指第一関節位まで、後は炊き上がるまで蓋開けないで匂いと音で炊き具合を見りゃ炊けるんだ」
     飯盒の持ち手を竿に引っ掛け火の上に設置しながら高師へと解説する汐見に、高師も感心したように頷く。
    「汐見お前、なんか手馴れてるよな」
     テントを建てようとした空閑が説明書きに眉を寄せた時にも、焚き木をしたいとフェルマーが騒いだ時にも――そして今だって少しの迷いもなく汐見はそれらを解決させていく。その手馴れた様子を高師が指摘すれば、汐見はなんて事ないように肩を竦める。
    「まぁなぁ、小学中学と夏休みは野外教室に放り込まれてたし」
    「アマネって無人島でも生き残れそうだよね」
     大きな鍋に切った野菜と肉を放り込み煮込みはじめていた空閑はそんな言葉を口にして。空閑の言葉に少しだけ考えるように眉を寄せた汐見は、彼の言葉を否定することはせずに口を開いた。
    「そん時はヒロミも居てくれよ」
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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