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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-29/夏の空閑汐♂祭りもあと3日になりました!わぁん!揃えるというかお揃いというか揃えたという感じ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day29 汐見の指先でくるりと回された白銀に声を上げたのはフェルマーだった。
    「ねぇねぇ、それってさ。ヒロミとお揃い?」
     くるくると回る白銀に輝くボールペンを指の中に納め、汐見は笑う。
    「流石ヴィン、目敏いな」
     旧式の練習機が収められた第三格納庫、その場に居るのはフェルマーと汐見だけで。日によって空閑や篠原、高師も足を踏み入れ今は飛び立つ事すら叶わない練習機の手入れをしている彼らは今日、それぞれに頼まれた仕事によって散り散りになっている。「そろそろ渡航するってのに、人遣い荒いよね」とは空閑の談だ。
     フェルマーによる乱雑な文字に補足するように流麗な汐見の文字が書き足されたチェックシートをペン先でこつりと叩きながら「ヒロミの誕生日プレゼントに買ったんだけどな。俺も欲しかったから同じやつもう一本一緒に買ったんだ」
     汐見の言葉にフェルマーは囃し立てるようにヒュウ、と口笛を鳴らして「いいなぁ」と羨望の言葉を紡ぐ。
    「スペースペンならこの先ずっと場所を選ばずに使えるしな」
    「そういう所、割と策士だよねアマネって」
     自分達が望んだ未来を掴んだ時、そのペンでなければ使うこともままならなくなる。一Gの重力に頼らずとも使えるペンは限られていて、だからこそ大気圏外では今や殆ど紙とペンが使われる事がなくなっているのだ。
     そんなフェルマーの揶揄うような言葉に汐見は肩を竦めながら「長く使えるモンを選んだだけだけどな」と笑う。それは確信犯的な、悪戯が成功した子供のような笑みで。
    「まぁ、アマネの事だから意味まで解って贈ってるんでしょ」
    「ヒロミは気づいてなさそうだけどな」
     ボールペンを贈る事に紛れこむ意味はいくつかある、それでもその中で彼らにしっくりとくる意味が一つ存在していた。
     ――あなたは特別。
    「ヒロミは目に見える重さだけど、アマネは表に出さないだけで大概重いよねぇ」
     ちゃっかりお揃いのものを用意したり、特別を意味するものを相手が知らないのをいい事に何の気負いもなく渡したりさ。
     続けられたフェルマーの言葉に汐見は喉だけで笑う。その笑みはどこか悪役のようで。フェルマーがそれを指摘してやれば「自覚はある」と開き直るのだ。
    「ヒロミは俺の唯一だからな」
    「それを気負いなく言えるのが強いなぁ。ボクだって言ってみたいよ」
     開き直ってそう口にした汐見に、フェルマーは羨望の眼差しと共にため息を一つ。あーあ、と投げやりな言葉を重ねて手にしていた工具を放った。
    「今日はもう終わり! アマネ! 宇宙港にパフェ食べに行こ!」
    「はいはい、仰せのままに」
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    はるもん🌸

    MOURNING魏無羨がニヤニヤしながら嗅がせてきたのは、いつしか見た事のある見た目がおかしい香炉。眠る前から怪しい展開になるだろうことはわかっていたが、まさかこの時の夢を見るとは思わず、数回ほど藍忘機は目を瞬かせた。
    香炉 初めての口づけ―――これは、夢か。

    魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。

    好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
    そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。

    魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。

    笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
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