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    aki_co_isono

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    へっぽこ字書きです(*^^*)

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    POIPOI 22

    aki_co_isono

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    11月22日はいい夫婦の日で。そんな風味のお話を書いてみました。
    現パロ。夫婦同然な2人。
    タイトルになっている曲からお話が。歌詞をまるっと持ってきてたりします。

    1週間ぶりに書いてみて、筆は重めで。リハビリ中です。

    #晴道
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    今夜ちょっとさ一度ふくれたら、もう言葉じゃ負えない。

    これは怒らせてしまったなあ、と、道満を見ると。
    南瓜を、ダンダンダン!と切り分ける様子に。少し殺気を感じる。
    つつつ、と寄っていって。
    「…今日の夕飯は何かな?」
    と言ってみても。
    「…邪魔なので、食事の支度中は、近寄らないでいただけますか?」
    と、つれなく追い払われた。
    キッチンに並ぶ食材を見る。切りかけの南瓜。鶏肉。玉葱。
    カブの浅漬けは、もう切り分けて食卓の上だ。昆布やらが一緒に漬け込まれる中、密かにニンニクがきかせてあって、米が進むのだ。
    その横に置かれた小鉢には、昨日の残り物の豆の煮物が入っている。
    カタカタ鳴る炊飯器からは、米が炊ける香ばしい匂いが漂う。
    仕事から帰ってきて、毎日のようにこんな光景を見ていた。

    1人で暮らしていた頃は、食事はほぼ外で済まし、家は寝に帰るだけの場所だった。
    それが、道満と出会って、付き合うようになってから。変わった。
    出会いは偶然だった。たまたま入ったバーで、出会って。
    一目惚れだった。
    それから何度もそのバーに通った。
    あまりにあからさまに口説いたので、道満もすぐにこちらの好意に気付いた。
    こちらの熱意に根負けして、交際が始まり。
    そして、自宅で過ごすことはなくなった。
    仕事が終わると、真っ直ぐ道満の家に転がり込む。
    片付いているが、そう新しくも広くもない、ワンルームマンション。
    少し古びていて手狭だが、手入れがきちんとされたキッチン。
    2人で入るとぎゅうぎゅうになるバスルーム。
    朝はさながら戦場のようになる、古くて狭い、でも清潔な洗面所。
    そこで、当たり前のように2人で時間を重ねていった。
    狭い部屋に少しずつ私物を持ち込む。最初は色々と文句を言っていた道満も、1ヶ月経つ頃には諦めて合鍵をくれた。
    好きだと毎日口にした。
    事実、常軌を逸していると言っていいほど、熱烈に惚れ込んでいた。自分の中にそんな情熱があるなんて、これまで知らなかった。
    最初は戸惑いながら、いや、むしろそれを居心地悪そうにすら聞いていた道満も。
    一月経つ頃には照れくさそうに頷き。
    二月経つ頃には恥ずかしがらなくなり。
    三月経つこの頃は、「はいはい」とあしらうようになってきた。
    こちらの好意を当たり前に感じ始めているのを見て。とても、いい傾向だと思った。
    どこか翳りのある瞳が、自分の前できらきらと輝くのが、愛しかった。
    自分が愛する分だけ、道満が強くなるのを感じた。

    最終的に、食卓の真ん中には南瓜と鶏と玉葱の煮付けがででんと置かれて。
    その横には、煮物が煮える間にさっと作られた卵焼きが並ぶ。ネギが入っている。
    炊きたての新米が盛られた茶碗がことりと目の前に置かれた瞬間。
    つるりと。口から出たのだ。
    「…愛してる。結婚しよう」
    さっき口にして、大変怒られた言葉だった。
    「…だから、また、貴方はそんなことを軽々しく…!」
    道満は怒りつつも、箸をこちらに手渡す。
    「いや、別に軽々しく言ったつもりはないんだが」
    なんて言いつつ、南瓜を口に運ぶ。
    とても旨い。
    カブの浅漬けと白米を口に放り込む。
    とても旨い。
    道満が作るものは、何を食べてもとても旨かった。
    道満も外で働いているし、帰宅時間がこちらよりそこまで早い訳ではない。
    それでも、美味しい食事を用意してくれて。
    せめて食器はこちらが洗うと申し出ても、危なっかしい、と1人でさせず。
    狭いシンクで男2人が並んで、後片付けをする。
    横を見ると、手早く食器を泡立てる道満がいる。まだ顔は少し不機嫌そうだけど。その実、本気で怒っていないのは分かっていた。
    当然のように、好きな人が横にいる。これを幸せと言わずして、何を幸せと言うのだろうか。

    後片付けを終えて、テレビを付ける。夜のニュースの時間だった。
    ほんのタイミングを狙って。
    座ってじっとテレビを見る道満の膝の上に、頭を乗せる。膝枕。首が痛くないように、肩ごと乗せる感じでもたれ掛かる。
    「…重いのですが」
    と、道満はこちらを向いて文句を言うけれど。
    気にせず、腰を抱き込むように両腕を回す。
    じっと目を見ると。
    道満は気まずそうに、ニュースに視線を戻した。
    「…離れて暮らすのは、もう不自然じゃないか?」
    と臍に向かって呼び掛けたら。
    「…もう、一緒に住んでいるようなものではないですか」
    と、とても小さな声で返ってきて。
    「そうなんだけど、なあ」
    なんて言いかけて。言葉を止めた。ふと見上げた道満の顔が、真っ赤だったから。
    いたわるような心持ちで腰を撫でると。
    「…こら」
    とやんわり、たしなめられた。
    手付きが少し性的だったせいかもしれない。
    まあ仕方ない。
    想い合っている者同士が仲良くするのは、宇宙の決まりなのだから。
    そうして、じっと見つめあって。
    吸い寄せられるように2人の顔が近付いて。
    後は、宇宙の決まりに従うのみ。

    愛する人。ほんのタイミング狙って。ずっと自分のもの。

    fin
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