Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    KE_bluerose

    @KE_bluerose

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    KE_bluerose

    ☆quiet follow

    だざの誕生日をやっぱり祝いたくて書きました。
    短いですが少しでも何か感じて頂ければ幸い。

    #太織
    taiWeaving

    光の中で自殺主義者が自殺を止める日



    「やァ、織田作。今日が何の日か覚えてる?」
    「……何か特別な日だったか?」
    「全く。君は予想を裏切らないね。仕方ないからまた教えてあげる。なんと今日は、私の誕生日だよ。」
    「ああ、そうだった。済まない。生憎そういう事を覚えられない質でな。今更かもしれないが、何か欲しいものは在るか?」
    「何も要らないよ。ただ織田作が隣にいてくれれば、それで善い。」
    「そうか。なら、ずっとお前の傍にいるよ。太宰。」













    「聞いてくれ、織田作。昨日また死にそびれた。矢張り自殺というものは斯くも難しいものだね。」
    墓前の前で自殺を語るなんて、誰かが聞いていたらなんて不謹慎なと思われるだろう。
    だが、太宰はそんなことは気にしない。
    「何処かにないものかね。理想の自殺法は。」
    痛みもなく、安らかに死んでいきたい。君の腕に抱きしめられていた時みたいに。
    「……皮肉だね。織田作の腕の中で死にたかったのに、私の腕の中で織田作が死んでしまったよ。」
    私に死んでほしくないと云ったその口で、君はその命を容易く散らせてしまった。
    「酷い男だよ、君は」
    こつんと指で墓石を軽く叩く。冷たい無機質なそれは、腕の中で冷たくなっていく織田作の身体を連想させた。

    『人を救う側になれ。どちらも同じなら、佳い人間になれ。』

    私が光の世界の住人になどなれるはずもなく、相変わらず黒に沈んでいて、これはもう一生変わる事はないだろうと思う。けれど、それでも私がこうしてあの頃と違う道を歩んでいるのは、凡て

    『そのほうが、幾分かは素敵だ』

    陽の当たる場所は少々むず痒さもある。けれど、それも悪くないと思えた。ただ一つのことを除けば。
    「君に隣にいて欲しかった。それだけで、善かったのに…っ」
    どこまでも黒い自分を照らしていたもの。それは──

    君が私の光だったんだ、織田作……
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🍆🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works